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2024.3.27

 



嵐とて 雲の向こうに 青い空


三日月に 住処逐われる 兎かな


夕まぐれ 魔には逢うたか 間に合うた


人はみな 水無瀬といえど 驟雨かな


山百合の 香りに惹かれ 踏み迷う


相続が 争続になる 突然死


温暖化 紅葉に降れる 小雪かな


冬はなお 唇寒し 防衛省


菊酒や 吹き回し呑む 盃のうち


もみじ葉に 似たり彼の日の 破れ扇


浪の下 都を見しか 安徳よ


政治屋が 売るは公金 許認可権


東風にのり 匂いばかりか 幹も根も


ジャニーズに 狂うアナタは 更年期


続篇を つくる厚顔 名は廃れ


携帯に タバコ ドロップ ラジオ聴き
         曲芸乗りの 自動車の群れ


ビートルズ 短い曲で 荒稼ぎ


お囃子に のれぬ前座は へこへこ出


雪空の 罅と見えしや 枯木立


犬糞を 拾う手つきの あざやかさ


深更に 爪先凍る 野猿かな


あぶな絵の 表紙ことさら 地味に出来


木を隠す 森も残さぬ 企業群


顔上げぬ 間に渡り越し 錦帯橋


朝まだき 八丁堀の 月白し


山里の 湯煙を梳く 冬木立


水面往く 梅風 白か紅か


柄杓呑む 手水の鉢の 薄氷


天蓋を 穿つ孤月の 白さかな


信楽の ひこばえと見ゆ 寒椿


薄桃の舟 盃にかき散らし 
       飲まぬ先から 酔う花見酒


名を超えて 九重十重の 八重桜


五月晴 呼ぶ成駒屋 藤娘


照るほどに いや増す闇の 深さかな


青嵐に 吹かれて撥つる 澤の鮎


返り血を 浴びるがごとき 紅紫陽花


夜に浮かぶ 妖しや 娘道成寺


宵闇に 散り咲く華や 隅田川


独り居て 天衝く竹の 青さかな


真夏日や 往く人の影 射つぶせり


天地唯 去りゆく者の 影を看て


幇間の 声にはじまる 舟遊び


虫の音に 葉月うち過ぐ 夜の闇


日輪も 届かぬ闇や 人の内


野分立つ 夕べの原の 地蔵かな


石清水 紅葉の前の 青に映へ


俎板に 鯉ならず載る 鮒一尾


驚きて やがて聞き入る 暮鐘かな


呉春満つ 青磁の盃の たおやかさ


洛中の もみじ葉散らす 鏡獅子


漆黒に 螺鈿を配す 夜半の月


実ばかりで 誰が目にするや 柿の花


もみじ葉を 組み敷き進む 冬将軍


顔見世の さざめきに消ゆ 十三夜


東雲や 天に紅葉の 写りたり


はんなりと 舞ふ白拍子 鴈治郎


鳴戸路や 見るたび移る 海の色


春遠し 嗚呼 金丸座大歌舞伎


門院の憑く 極月の 成駒屋


手を取りて 恥ぢらふ二人 照り映へて
           月影恨む 恋の道行


能役者 面のうちに 鬼ぞ棲む


古寺や 無間の鐘の 鳴りわたり


星屑と 欠けたる月の貝あはせ
       出づ光珠を いかにかはせむ


初雪や 俗世に白の 御簾下げて


顧みて げにままならぬ この世とて

        降らぬ雨なく 已まぬ雨なし


初春の 香華散らすや つむじ風 


如月に 凍つるや 風の音もなく


南天の 葉と実で飾る 雪兎


別れ際 列車が出ずに 苦笑い


古池や 埋め立てられて 蛙泣く


にわか雨 野良の歩みも 速くなり


桃薫る 慶びの塔 京に建ち


弥生来て 桜待つ身の もどかしさ


ひたすらに 桜待つ身も 腹は減り


白梅も はな待つ身には あかく見え


匂ひたつ春 大和屋の 白拍子


春雷に 驚きて散る 桜かな


梅桜 はなくれないに 飽きがきて
       疾く目にしたや 藤の紫


藤棚や 奥に夏日を 隠しけり


意見する 呂律も怪し 親子酒


花狂ひ 肩身せまきは つつじが葉


夕立や あじさいの色 溶けにけり


鳩よりも 歩みのおそき 三つ子かな


真夏日に 京劇の銅鑼 響きけり


碧天や 呼ばれぬ身にも 夏祭


長船の 鈍き光に 宿る月


雨垂れの 間をはかりつつ 蛙なく


秋風に 野良積みの石 崩れけり


道よぎる 燕に足の急く 夕べ


夕凪に 戻る島なき 船路かな


夕顔の 打ち水のたび 頭垂れ


札止めで 極楽往きの 悪党かな


怪談に 扇子を使う 手がとまり


見たきもの 散らぬ桜に 
        黒い菊 肩こりに泣く青柳


朝顔の 寝坊見ぬ間に 夏は過ぎ


気詰まりを 知らぬは 司会ばかりなり


祝宴の グラスに透ける 虚実の間


軒先に 柿の風鈴 里の秋


人心は もみじ葉よりも 移ろひて


青く澄む 真如の月と見えれども
       かくも小さき 手にや隠れむ


内堀に 散る白玉や 鴫の群


初詣 鐘つく童 泣きにけり


身震いをせぬは 地蔵ばかりなり


梅襲 脱ぐまれびとに 春の風


薫りして まだ見ぬうちに散りくるは
          桜に勝る 梅の儚さ


床出して 鮎と添い寝の 夕涼み


珠えぐる 刃と見ゆる 扇かな


鐘入りの まなこ鋭き 花子かな


米朝の 地獄八景 はんなりと


翼折れ 地にとどまりて かきつばた


真昼から 百鬼夜行の 淀屋橋


二枚舌 上目遣いのもののけは
     呼べど来たらず 呼ばぬのに来る


梅 桜 藤 杜若 散りゆくも
     色ぞ 残れり 紫陽花の上


移ろふは 紫陽花 蛍 恋心
       影絵 狐火 敗将の言


臥待の 膳をまろぶは 鱧の玉


夕立に 鳴きまさりたり 蝉木立


送り火や ほむら見ゆれど けむりなく


菊月や 夏と秋との ふたおもて


巣立ち前 溢れ出さぬか 燕の子


うなだれし 黒い犬の背に さす西日


亡き人の 金木犀の 香にも似て


かの色を どこに蔵せし 山もみじ


もちづきを 仰ぎ見るのは 喰らふため


血の雨と見れば 紅葉の 風の舞


温暖化せぬ 懐に 冬将軍


早春といえど 餅割る 白い息


庭ばかり 千両万両 景気よく


歩めども つきしたがふは 白き月


虎落笛 鳴らぬ閑かさ 春の闇


はな垂れの 施主の突進 鳩は散り


真ん中を 渡る小坊主 谷へ落ち


嫁入りの 狐迷ふや 春霞


花散るを 待つ身は独り 藤の精


靴底に 薄紅の鋲 花は落ち


目に映ゆは 扇の裏の 涼やかさ


房々に 何を隠さむ 藤の花


たまゆらの露に写せし 蟻の顔


五月雨や 案に違ひて 肘の笠


袖垣に 足生えたるや 隠れん坊


ゆかた着て ぬくい造りで 夕涼み


身を寄せて 何語らふや 花しょうぶ


顔寄せて 含み笑いの 通夜の客


舌うちを する間にあがる しぐれかな


喰へば極楽 喰はれりゃ地獄

    ほんに仇なるまむしかな


捨つる身の 浮かぶ瀬もなき 箕面瀧


昨日なく明日なく 彼岸前世なく
    いまここばかり 生くる若人


軒かげのかたちに並ぶ 乗り場かな


降りくるは 星の寝汗か 夜半の雨


酸漿の はや秋孕む 軒の下


怒るとも 上目遣いに とろとなり


おばはんは はいおおきにと 横入り


シャツの背に 汗の地図かく 衣替え


あるじ往き 墨乾きたる 試し筆


飛び梅を 追ひて佳人の 西の旅


善知鳥鳴く 声も凍つるや 外が浜


望月を 待兼山の 妻籠もり


雪載せて 鼻白くする 子犬かな


つかめぬもの 雪 タッジオ 心


長唄が 空しく響く 芋畠


盂蘭盆会 手向けの水で 涼をとり


袖笠に するやせぬやの こぬか雨


飛んできた 天神梅は まる裸


憂き世飲み 人間ポンプ 何吐くや