海外オークション その快と怪

 

オークションカタログの表紙

近頃、インターネット経由のオークションが盛況です。
私は数年前、老舗の専門業者が主催する英国のオ
ークションに書面入札方式で参加し、数点の中古カ
メラを落札しました。

この場合、まず買うカタログには、ほとんどのアイテム
が写真入りになっていて、毎回、豪華な出来になって
います(左は表紙の見本)。

説明文を読み、希少度・市況などをアレコレ考え、通常
ファクスなどで入札します。

 

で、落札成功と知らされたときは、実にうれしかった。しかし、現物だといって

カタログ表記とは似て非なるシロモノが届きました。

もし相手がこの事実を認めないとしたら、あなたはどうなさいますか。

 

私は実は数年前、こんな恐い目にあいました。詳しくは以下をご覧ください。

2.8F?

これが憧れの「ロライフレックス2.8F」か?

革ケース・プリズムファインダー・ハンドグリップなど付属品つき
で落札し、手数料その他を含み総額は722英ポンド(邦貨約12
万円)。

しかし、あるべき「2.8Fで始る製造番号の刻印」がない、また、
あるはずのない「EVSシステム」がついている。正面のコントロー
ルレバーの配置なども文献とまったく異なります。

これは2.8Fなんかではない! こんな結論をえて呆然としました。

 

 

正面

これが憧れの「キャノンYーT」か?

50mmF1.4、革ケースとフラッシュガンつきで落札し、総額は120英
ポンド(邦貨21千円)でした。しかし、ラピッドワインダー部にはYーTの
刻印があって、ボディと軍艦部は一つ前の XーT(デラックス)そのもの
なんです。

これは「ハメもの」だ、フルーツポンチだ!

軍艦部正面に緩速用、軍艦部上面に高速用のダイヤルがある(分離方式)は
XーT型の特徴です。これに対しYーT型では、緩急統合されたダイヤル
が軍艦部上面に一つだけあります。アマチュアでも少し経験を積めば、紛
れることありません。

 

 

いずれもカタログに写真はありませんでしたが、日本でも知名度が高い老舗が準

備したカタログの表記を素直に信じました。しかしトラブルは短期間に連続して発

生しました。インチキなものを二度にわたりつかませられて、心底落胆し、また強

い怒りを感じました。

日本人を、毛のない黄色い猿かなんかのように見くびったのか!

そこで書面で本社(ロンドン)と東京支社へ厳重抗議し、釈明と諸経費をふくむ全

額の返還を求めました。なお時間、経費、言語、手数を考えると、ロンドン相手で

は正規の対策はきわめて困難だろうと覚悟しましたが、あきらめるのはいかにも

口惜しく、取りあえず抗議文を送ることにしたものです。それには、誠実かつ早急

な対応を求め、いたずらに遅延する場合はこの事実をマスコミへ通報するとつけ

加えておきました。

 

回答は、早くも2週間後にロンドンの責任者からきました。その要旨としては、

1)カタログの表記については、これはこれで正しい (description does stand)

2)コンディションレポートを是非利用してもらいたかった (urge you to obtain)

3)期待に沿えず申訳ない(apologise we have not fulfilled your expectation)

4)日本の市場性に配慮し(encourage more Japanese buyers)、また善意にも

とづく償いの趣旨で(prepair to make amends,as a gesture of goodwill)、

全額を返金する用意がある、でした。

私としては、老舗といわれる業者が、こんな見えすいたインチキ(詐欺行為)をした

からには、明確に事実を認め率直に謝罪し、防止対策も明らかにしてほしかった。

回答内容はその点では、すっきりしていません。コンディションレポート(CR)の件

も、これを利用するかどうかはオークション参加者の任意とされていたものであっ

て、(カタログの表記だけを信じ)CRを取りよせ検討しなかつたことに責任がある

かのようないいかたは、到底納得できるものではありません。

しかしアノ老舗が諸掛りをふくむ全額は返還するといっている以上、要求の実質

的な部分は充たされていると自らを納得させ、早早に矛を収める気になりました。

ただ偽キャノン YーT型は、苦い経験の個人的な記念物として手元に残し、あえ

て返金は求めませんでした。

以上が、はずかしながらコトの顛末です。

国際的なトラブルに発展しそうで、一時はどうなることかと心配しました。

軽率で不用意な取り組みが禍を招くところだったのです。

お蔭で勉強にはなりました。ハイ。

件のローライフレックスでの試写です
(左は絞り f4 で撮りました)

 

以上