140.吹雪刑事と霊魂と87分署


Gメンで唯一、本物の霊魂と接触し憑依されたのが吹雪刑事。
その現象は282話 「肉体のない女が呼んでいる」 の中で起きた。

突然、霊魂に憑依された吹雪杏子は、田口刑事を睨みつけて見知らぬ館に
入っていく。

他の刑事ドラマでも、本物の霊魂が登場することはなかったと思う。
ザ・ガードマンでは幽霊等が題材になったが、全てがインチキだったと思うし、
キイハンターもそうだったと思う。
本来、科学的な捜査が絶対の刑事ドラマに、本物の霊魂はまさしくタブーだろう。

1980年度に、本物の霊魂が登場する作品が2つ登場した。
   273話「怪談 死霊の棲む家」
   282話「肉体のない女が呼んでいる」
特に282話では霊魂が大きく拘わって、ドラマが展開する。


1.なぜ"霊魂"が登場?

以下は推測です。
Gメン75に本物の霊魂が登場したのは、
エド・マクベインの「87分署シリーズ」の、影響ではないかと考えている。

「87分署シリーズ」
  1)Gメンのスタッフが参考にしていること、
  2)シリーズで唯一、霊魂が登場する異色作があり、それが第34話「幽霊」で、
      発表は1980年5月。Gメンの前記作品の僅か数ヶ月前。
  3)さらに、
      282話で発見される新聞が1980年5月で、「幽霊」の発表月と同じ。
  4)もう1つ偶然かもしれないが、関連として、
      次の283話は、幽霊は出ないのになぜか、「オホーツク海の幽霊

           注) 282話 「肉体のない女が呼んでいる」 と87分署 「幽霊」 とは、ストーリーでの
              共通点はない−−つまりリメイクの要素はない。




丹波哲郎さんの影響は?
  霊界に関する興味や造詣の影響はあろうとも、それはGメン75開始以前
  からのものだ、との事なので、1980年度の作品に霊魂が登場したこととは、
  「直接」は結びつかないはずだと考えている。



2.87分署シリーズの『幽霊』

第34話 原作名も「GHOSTS(幽霊)」 (1980年5月)

87分署シリーズは、科学的捜査と論理的な推理の積み重ねで成立している、リアリティな警察小説である。
しかし34話「幽霊」だけが例外で、本物の霊魂が登場するシリーズ最大の異色作となった。

主役刑事スティーブ・キャレラは、若く美しい霊能力者ヒラリー・スコットとともに、数々の心霊現象に遭遇する。
そして幽霊屋敷といわれる家へ踏み込む。

この異色作は不気味で恐ろしいが実に面白い。私は怪奇小説はほとんど読まないが、これは陶酔感を味わえた。


3.87分署との関連

1)霊媒師
  ・87分署「幽霊」は、ゲストヒロインのヒラリー・スコット自身が霊媒師である。
  ・282話は、本物の霊媒師が登場する上に、吹雪杏子も直感が鋭くなっている。

2)拳銃
  ・87分署「幽霊」は、幽霊に対してスティーブ・キャレラ刑事が、
                       無駄だと知りながら拳銃を引き抜く。
  ・282話は、田口刑事は霊魂に対して拳銃を引き抜こうとする。

3)霊魂と美女とは、ドラマの相性が良いのか?
  ・87分署「幽霊」は、22歳の美女ヒラリー・スコット。
  ・282話は、21歳になったばかりの美女 中島はるみが演じる吹雪杏子。

4)季節−−これは大きく違う
  ・日本では、幽霊と言えば「夏」がその季節である。
      「肉体のない女が呼んでいる」の放送日は、1980年10月25日で怪奇作品の
      放送としてはギリギリの時期か?


  ・欧米では冬の寒いときが幽霊の季節との事。
   だから87分署「幽霊」の舞台は、12月下旬で雪が積もっている。

      なお右上の画像は、小説の表紙だが 「部屋の中で小さな照明が灯っている」 じつは欧米人にとって、
      これが幽霊が出る場面に相応しいと思われているとの事。





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