284話 金髪女性バスルーム殺人事件

(注:ストーリーが判らないように解説していますが、ネタバレの内容は含んでいます)

<予告編のナレーション>

ハードボイルドGメン75 次の活躍は、

外人の女を狙う切り裂き魔。
第1の犠牲者 金髪のコールガール。
第2の犠牲者 ディスコのダンサー。

そして偶然通りあわせた、女性Gメンの妹も傷ついた。
さらに第3の犠牲者は、外人の女モデル。

容疑者として、母と二人暮らしの足袋職人の青年が浮び、取調べの最中に、またもあざ笑うがごとく切り裂き魔が犯行を犯し、捜査は振り出しに戻される。

次は、「金髪女性バスルーム殺人事件」

     <監督:小西通雄、 脚本:高久 進>

1.作品について

今回のGメンの相手は、「連続切り裂き魔」

冒頭から凶器を磨くシーン。ギラギラと光る切り裂き魔の眼光。

外人女性が次々と、切り裂かれて殺されていく。 犯人はどんな奴なのか?
無差別殺人鬼か? 通り魔か? 変質者か? 恨みを持つ者か?

女性が狙われて殺され、妹も傷つけられた吹雪刑事は怒りに燃える。
"連続殺人魔”と直接対決して、逮捕することを決意する。

捜査で挙がった容疑者は凶悪面かと思いきや、意外にもまじめそうな男。
  果たして、「連続切り裂き魔」はこの男なのか?
  なぜ、連続殺人を犯すのか?
さらに事件が発生し、捜査は混沌としてくる。

望月源治とは別種の、連続殺人魔の恐怖。

   (注)233話「金髪女性連続殺人事件」では、殺された金髪外人は1人だけ
      だったが、今回は全員が外人。



2.外人女性たち

サリー・エンジェル、バーバラ、モニカ、ペギー。

最初の3人の女、特にサリーは悪女である。
殺されても、自業自得だろうと思ってしまう。
しかし殺しはいけない。(それでもやはり、殺されて当然だと思う)

但し、英会話の先生をしているペギーだけは例外である。

その外人女たちを、切り裂き魔が狙う。


3.容疑者 古市正彦

  神経質そうな古市正彦(吉田次昭さん)と、母親のミツ(川口敦子さん)。

  かつては、徳川家に献納したこともあるという、由緒ある足袋の老舗。
  手作りの足袋というのは、当時でも殆ど残っていないらしい。

  神経質そうな男で、「連続切り裂き魔」という豪胆なイメージとはほど遠い。
  また、狂気を帯びているわけでもなく、カッとなりやすいタイプでもなく、
  幼児性もない。いわゆるドラマに登場する凶悪犯とはタイプが違う。
  この犯人像はGメン75の中でも、少ないかも知れない。

  昔ながらの伝統を守る大事な職種だが、一般的な職種ではないので、
  ひょっとしたら、正彦は疎外感を感じてはいなかったか?
  しかし誇りも持っている為に、自分で連続殺人を計画して実行するという
  凶悪犯になる。

  鳥居の下に現われた正彦の映像は秀逸。下村和夫さんのレベルの高さか。

  Gメンでは色々な凶器が登場するが、今回は「足袋」を作るのに使う刃物。
  先端が尖ったものではないが、非常に鋭利で殺傷力は抜群だろう。


4.ディスコの通り魔

ディスコにいる女を物色する好色な青年「姉川」。

一番、美しい外人女に目をつけ、その女の後をつけていく。
その美しい女こそ、吹雪杏子の変装した姿だった。

吹雪刑事にナイフを突きつけ、「お前、ジンガイ(外人)だろう」 と迫る。
この男はいったい何者なのか?

そして、杏子は大丈夫なのか?


5.Gメンの活躍

吹雪刑事の主役作品だが、全員それぞれにも活躍シーンがある。

捜査本部では変質者による、流しの犯行の線で捜査を進めていた。
しかし立花警部は怨恨ではないかと思っており、黒木警視正がそれを支持し、「Gメンは、独自に怨恨の線を追え」 と命令する。

立花警部の取調べや古市家への乗り込みは、貫禄充分である。
短い言葉と、悠然とした態度で相手を圧倒する。

中屋警部補・島谷刑事・田口刑事・吹雪刑事らは、
聞き込み、ガザ入れ、鑑識への確認などを行い捜査を行なって的を絞る。

この作品では、次のように島谷刑事の活躍がけっこう多い。

  1)容疑者への島谷刑事の尋問。
  2)事件直後の切り裂き魔に対する追跡は、スピーディで見ものである。
  3)古市正彦の母親に対する令状での説明。
  4)変装した吹雪刑事との出会い。


6.妹、吹雪陽子

杏子の妹、吹雪陽子婦警は4回も出演したが、ついに最後の登場である。
特に最終編という内容ではなかったから、ひょっとしたら再登場の可能性があったかも知れないが、結果的に今回が最後になる。

悲鳴を聞いた陽子は現場へ急ぐ。積極果敢な行動力は杏子に似ている。
しかし吹雪杏子と違って、妹の陽子は、実戦能力が高くない。

また刃物を見て震え上がるなど、杏子のように強靭な精神力もない。
     「目の前でナイフがギラギラ」と、恐ろしがる。
切りつけられピンチに陥るが、九死に一生を得る。

面通しの場面は臨場感があった、 余談だが吹雪刑事が陽子を車椅子に乗せて入ってきた時、つい280話での津川警部補を思い出した。
     −−−「車椅子に乗った婦人警官」−−−か。

吹雪陽子婦警は、今回もピンチに襲われて姉の吹雪刑事を心配させるが、その結果として杏子に犯人逮捕への執念を燃やさせることになる。

妹の吹雪陽子は別ページ、134.杏子の妹吹雪陽子婦警で書いているが、4回も出演しうち3回もピンチに遭遇したが、Gメンでは稀有なことについに最後まで生き永らえた。

7.吹雪刑事の活躍



吹雪編の32話目。

女を連続して殺す"切り裂き魔”に対する、吹雪刑事の執念の捜査が描かれる。

危険を顧みない積極的な捜査は、吹雪刑事の魅力であり、
合気道に熟達した、吹雪杏子ならではの捜査活動である。


1)切り裂き魔の登場

最初の一晩で、2人の外人女性を殺害し、吹雪刑事の妹の陽子まで傷つけられる。
杏子は、徹夜で陽子の看病をするが、杏子の心に犯人への怒りが燃え上がる。

2)おとり作戦

吹雪杏子は、女を殺し続ける「切り裂き魔」と直接対決することを決意する。
「おとり捜査」を志願して、黒木警視正の承諾を得て(ドラマではカットされている)、外人女性に変装する。

外人に変装した吹雪刑事は、中屋警部補と島谷刑事の前に現われ、
「2人の外人を平然と殺し、妹を傷つけた犯人をどうしても捕えたいんです」
という、杏子の強い決意に2人は息を呑む。

  これは別ページ162.吹雪刑事ほかGメンの変装で触れているので参照して下さい。
  但し外人女性には、津川警部補のほうがより似合っていると思う。


犯人は必ず「凶器」で襲って来るが、おとり捜査で逮捕しようと言う作戦だから、
杏子には逃げることは念頭にない−−襲ってきた男と1人で対決して逮捕する−−これしかない。

3)護衛なし

他の作品でも、吹雪刑事のおとり捜査には男性刑事の護衛はつかない。
吹雪刑事のおとり捜査の直前に、2人の男性刑事が会って目的を知っているが護衛しようとしないし、杏子も護衛を求める気配がない。

吹雪刑事が、「護衛がいれば、犯人は察知して現れない可能性は高い」と考えてのことだろうか?
また吹雪杏子自身が元SP隊員で、護衛が任務だったからかも知れない。

 (注)Gメン75では、女刑事が犯人を誘う「おとり捜査」は何度かあったが、
    響刑事(101話)・津川警部補(233話)らには護衛がつき、ピンチになると
    男性刑事が救出した。


4)通り魔

警戒していた吹雪刑事が野良猫に驚くシーン−−杏子が驚く姿は少し滑稽
それが「猫」だとわかり、高まっていた緊張感が緩む。 そこに隙が生じた。

いきなり男が、吹雪刑事を後ろから襲って首を締め付ける。
       「お前、ジンガイ(外人)だろう」
杏子が肘撃ちで首締めを外すと、今度はナイフで切りつけてくる。
数十秒後、吹雪杏子はこの男を、合気道の必殺技で投げ飛ばす。

5)面通し

吹雪刑事は、立花警部に犯人と遭遇した陽子の容疑者との面通しを依頼し、
その成果に期待する。 上の「5.吹雪陽子」で記載済みで、陽子最後のシーン。

6)2度目の作戦

途中の説明は省略するが、外人女性に切り裂き魔の危機がまた迫る。
ドラマの終盤、吹雪刑事はついに切り裂き魔と直接対決する。

鋭い凶器で襲い掛かるその腕をつかんで、完璧に投げ飛ばす吹雪刑事。
     「切り裂き魔”は、やはりあなただったのね」 
叩きつけられた男は、落とした凶器をつかもうとするが、
吹雪杏子は、凶器を蹴り飛ばし犯人の前に立ち塞がる。(右の画像)

例え外人に非があったにせよ、そして犯人に同情の余地はあるとしても、
連続殺人は凶悪犯罪である。

しかし、杏子には次の危機が迫っていた。
不意の攻撃に、吹雪刑事は身体のバランスを崩してしまうが、
彼女は、凶器による襲撃をかわしていく、、、






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