で、修理。
ナイスなアドバイスのメカの彼の見立てでは、本車のダメージはフロントの三叉が曲がっちゃってるとのこと。それ以外は幸いにも平気そう。しかし舟の突端鼻先が凹んじゃってて、僕の心も大凹み。FRPのささくれだったガラス繊維が傷付いた僕の心に突き刺さるわ。
とまれ、彼のお店では本車の修理は問題無しなんだけど、サイドカーに関してはやっぱそりゃねぇ。
彼と角突き合わせ「ど〜すんべ」と悩んでもラチ空かず。そこでここはやっぱ王道でしょ、ってことでサイドカーを作ってるメーカーさんに連絡。

で、連絡。
このサイドカーくん買う少し前に、単車くんにサイドカー付けたいなって衝動的に思った頃があって。雑誌で見つけたこのサイドカー屋さん、忙しいはずなのに電話で親切に応対してくれて。その時の優しさ忘れられず、泣きつかせてもらおうと電話。
一度お話しただけなのに覚えて下さっていて、また感動。
「どおしたの?」「かくかくしかじかじかこ〜ゆ〜わけで」「あらら」「んだもんで、こんなになっちゃって」
遠距離電話もなんのその、ここぞとばかりに泣きを入れる。
「じゃあね、壊れたとこや、各部の写真送って。そしたら見積もりやら出せるからさ」って嬉しいお言葉。
速攻、写真を送って待つ事数日。「写真着いたよー」「どうっすかね?」「まかせなさい」って心強いお言葉が。見積もり聞いて納得。「んじゃ、お願いします」「取り行くかんね」「はぁ〜い」

で、完了。
自主独立しやがった爪も再び併合してやった頃。数カ月経って戻ってきましたサイドカーくん。潰れた鼻も元に戻り、心なしか若返った様。
乗り方知らない僕にサイドカー屋さん近場の河川敷で丁寧にレクチャー。メカの彼も心配してか来てくれる。が、正直ブランク長過ぎでビビリまくりの力みまくり。
「セッティング調整しといたからね」
「ハンドルも前よりはブレないと思うよ」
いかんせんビビリまくりの僕、以前と違いがよくわからん。相変わらず右へ左へ行ったり来たり。しかし、幾度の修羅場をくぐり抜けてきたメカの彼、「前より乗り易いっす」、何故わかる? 彼曰く「力み過ぎじゃないすか?」頭じゃわかってるが、身体の奥からふつふつ沸き上がるこのパワーを制御できないんじゃわい、と思いつつ、生意気にもオーナーの僕よりも早く免許皆伝をいただいた彼の視線を受けつつ、何度もトライ。
と、意地悪なくらいブレていたハンドルの振れが、振れ始めに力を抜くとスッって収まるのがわかった。何よりもハンドルを握るんじゃなくて、ハンドルを押し出すように添えれば振れが起きないのが、ようやっと理解できた。そりゃそうだ、単車だって運転中、ハンドルにしがみつくわけないもん。一度理解できりゃこっちのもん、もう怖いもん無し。
「もう平気かな?」ってサイドカー屋さん。「慣れてくればハンドルを思いっきり切らなくても、アクセルのオンオフで曲がるようになるからね」と、やっと免許皆伝のお許しが。「とにかく慣れ、ね」「はぁ〜い」感謝の気持ちを半分も伝えきれぬまま、サイドカー屋さんは遠路帰路へ。

ともあれ、こうやって第一難関を突破。最初にレクチャーを受ければぶつけずに済んだものをって思いと、ぶつけたからこーいう経験ができたんだって思いと。あれから早数年、今じゃ立派なサイドカー乗り。それからぶつけたかって? ぶつけるわけね〜じゃん!

オイラって天才! 思いつつ。

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