BJ7美術準備室展 テーマ「転」について

1999年に始まったこのBJ「美術準備室」展も今回で7回を数えます。第1回はテーマを「起」としてスタート、発表・発展・発見の場として集った県内美術科教員が全員同一テーマで制作に取り組むというスタイルでこれまでやってきました。

当初は、作家としてのスタイルや個性をどの程度尊重するか、教員としてのキャラクターをどの程度織り込むか、方向性に苦慮しました。
その後、自画像を展示することや所属する学校名を明記することが定着し、教員であることを含めた最低限のプロフィールを示した上で、自作の発表をするということになっています。これは、美術準備室という「ハコ」が、その中外の人物に必ず影響を与えているだろうという観点からで、それぞれの作品から、その学校の“美術準備室像”を感じ取ってもらえるといいと思っています。
また、最近の傾向として、「観客参加型」作品が定着し、教員という立場を語るがゆえに「子ども」というテーマが根底に見えてきています。これは、かつて“若手美術教員”をうたって集まったこのグループのメンバーの多くが、“親”という立場になる時期と重なったこととも無関係ではないと思います。

今回で12年――。干支も一周しました。このあたりで改めて、これまでのBJと、自分の足下を見直してみたい。そんな意味を込め、テーマを「転」としました。各自が、教員を語りながら作品を発表する上での普遍的に大切なものを押さえながら、それぞれの創作の可能性を模索し、さらに展覧会全体として新しい展開ができたらと考えます。

もちろん、「転」のとらえ方は作家の自由です。それぞれの参加者が自由な発想で「転」を創造します。今年は、豪雪に始まり、震災、台風災害など、まさに日本中が「転」がった年だったように思います。個人的には、「災い“転”じて福となす」ことを願いつつ、制作に打ち込んでいます。

    BJ7事務局 伊藤裕貴