屋久島−1

屋久杉ランド編

 1999年12月30日(木)の朝、村の神社に旅の安全を祈願し、いよいよ名古屋空港に向けて出発。渋滞を予想して早めに出発したが、渋滞もなくすんなり到着。早すぎるのでしばらく車内で仮眠してからチェックイン。1時間ほどで鹿児島空港に到着。双発プロペラ機の可愛い国産機YS11に乗り換え、屋久島に。夕刻迫る空港はあいにくの雨。しばらく旋回して着陸のチャンスを窺うがなかなか着陸できない。「ひょっとしたら引き返すかな?」と心配しているうちに暗闇の空港にようやく到着。出迎えのレンタカーの手続きを済ませて一路ホテルに。無事着いてホッ。作家林芙美子さんが投宿して名作「浮雲」を執筆したホテルとか。しばし昔に思いを馳せる。
 次の日からは天候に恵まれ、屋久杉(環境文化村センター、屋久杉自然館、屋久杉ランドなど)、熱帯果樹園、名漠、海中温泉、海水浴など、レンタカーで島巡りを楽しむ。「もっと花の咲く5月頃来たかったなあ」は贅沢か・・。
屋久島の自然
 鹿児島県薩摩半島南端から約80kmに位置する屋久島は、平成5年に島の面積の約20%が世界遺産に登録されました。花崗岩隆起でできたほぼ円形の島の中央部には、九州最高峰の宮之浦岳(1935m)のほか、1500mを越す山々がそびえています。暖流により島の海岸線は亜熱帯性ですが、中央の山岳地帯には冬、積雪も見られます。暖気流は中央山岳地帯に遮られて絶えず雲が発生し、杉には恵みの多雨をもたらしています。
 島の海岸低地には亜熱帯性植物、0〜1000mには照葉樹林帯、800〜1800mには屋久杉樹林帯、1800m以上の山頂付近には高山植物など亜高山帯が分布しています。
 江戸時代には、薩摩藩の財源とするため、300〜800年生の素性の良い杉が大量に伐採され、平木に加工されて搬出されました。森林組合が管理する屋久杉ランド内に足を踏み入れると、伐採されたり試し切りされて傷ついた杉を至る所で目にします。しかし、自然の力には底知れないものがあり、伐採跡から次の世代の杉が芽生え、立派に成長していました。
 標高1000m地帯に森林組合が管理する屋久杉ランドがあり、車で行くことができる。ランド内は歩道が整備され、中を渓流が流れる。30分〜3時間コースまで4コースが整備されている。  うっそうとしたランド内。赤褐色の樹木はヒメシャラ。木の直径が50cmを越える大木のヒメシャラは見応えがある。ランド内外にヒメシャラが多く見られる。  杉が手前から奥に5本一直線に並ぶ。これは「倒木上更新」と呼ばれ、朽ちた杉の倒木上に新しい杉が一直線に並んで再生するため。幸田文さんのエッセイを思い出す。
 屋久杉ランドを出て車で20分ほど山を上ると、標高1230mの安房林道沿いに推定樹齢3000年の紀元杉がある。上部の勢いの良い葉はヒノキで、杉に着生して枝を伸ばしている。  写真左と同じ紀元杉。途中に別の木が着生し、枝を伸ばしている。着生樹は19種類で、ツガ、ヒノキ、ヤマグルマ、ヤクシマシャクナゲ、アセビ、ナナカマド、ユズリハ、シキミ、トカライヌツゲなどである。
 山にはヤクザルやヤクシカが多く生息しており、安房林道に出てじゃれついている姿をよく見かけた。餌は厳禁と書いてあるが守られていない。  林道沿いでは、本州中南部以南に自生するユズリハ(トウダイグサ科)をよく見かけた。ちゃっかり杉に着生するユズリハもいる。  雨の多い林道沿いの斜面は苔むしている。ヒカゲノカズラ(ヒカゲノカズラ科)と思われるが、類似種には暖地に生えるミズスギがある。
 低地から山に登る林道沿いでツワブキに混じってツルソバ(タデ科)が自生していた。紫の果実も見える。ピンクの園芸種ヒメツルソバは市販されている。  海岸線から低地にかけてはちょうどツワブキ(キク科)が満開で、あちらこちらで黄色がめだった。標高200〜500mの沢には小型で華奢なカンツワブキが自生するとか。  多湿な林内に自生するヘゴ(ヘゴ科)。とても大きなシダ植物で、南国情緒を感じる。
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