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草色の玉が跳ねる。 僕の前をぽんぽん跳ねる。 右。左。前。後。上。下。 僕は追う。一生懸命、玉を追う。 手を伸ばして、走って隠れて。飛んで狙って、手を出して・・・。 そいつは僕を馬鹿にする。 手を伸ばすとひょいと下がって、狙うとひょいと消えてしまう。 僕が下がればちょこんと現れ、おいでおいでと手招きだ。 僕は狙う。じーっと狙う。隠れてそいつの一瞬を狙う。 目の前をそいつがよぎる。一瞬を僕は逃さない。 ためた力で腕を伸ばして、平でそいつをちょいとつかむ。 ふさふさした感触。思ったより軽い手ごたえ。 伸ばした爪は、そいつを裂いて。 そいつは僕の平から逃げる。 あわてて伸ばした僕の平を、そいつはちょいと動いてかわす。 そいつは僕を馬鹿にする。 ぽんぽんぽんぽん、前を跳ねる。 僕のプライドはずたずただ。 僕は構える。次こそは。 そいつが動く。僕を誘う。動いてとまり、跳ねて転がり。 僕はじっと待ち続ける。そいつに手を伸ばす一瞬を。 僕の前をそいつが過ぎる。今度こそと手を伸ばす。 平にあたった感触に、僕はしっかり爪を出す。 爪を伸ばして固定して、僕はそいつを抱え込む。 草の色した丸いもの。細かい葉を出す丸いもの。 僕はしっかり抱え込む。暴れるそいつを押さえ込む。 牙をたてて、そいつをかじる。 これ以上、僕を馬鹿にさせない。二度と僕の前であそばせない。 そいつはぱさぱさ、・・・まずかった。 僕が離すとそいつは逃げて、僕の前を通り過ぎる。 右。左。前。後。上。下。 僕の前をぽんぽんはねる。 |
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