大きな大きな箱が通る。 がたんごとんと通っていく。 いくつもいくつも来てはいく。 僕の前を通ってく。 僕はいっつも手を伸ばす。 一生懸命手を伸ばす。 それが来るたび手を伸ばす。 ちっちゃなモノが空を飛ぶ。 向こうの柱に飛んでいく。 高いひもにいっぱいとまる。 ひもはとまってまたゆれる。 僕はいっつも手を伸ばす。 一生懸命手を伸ばす。 それをみるたび手を伸ばす。 よそのおじさんが歩いてく。 僕をよそ目に歩いてく。 僕はいっつも、そこにいるのに、 おじさん気づかず歩いてく。 僕はいっつも手を伸ばす。 一生懸命手を伸ばす。 おじさん過ぎても手を伸ばす。 小さなお花。 不思議ないきもの。 僕はいっつも手を伸ばす。 冷たい雨や、 白い綿菓子。 一生懸命手を伸ばす。 伸ばした僕の手のひらは、 透明な板にあたってしまう。 何もないのに、見えるのに。 そこから先へはいかれない。 僕はいっつも手を伸ばす。 一生懸命手を伸ばす。 透明な板の外。 僕はいっつも手を伸ばす。 |