火の色、お日様色、空の色、お日様が居なくなっちゃう前の色。 透明な板の外、いろんなお花が見えなくなると、寒いの時期になっていく。 お日様ぽかぽか縁台や、ほんのりあったか台の上も。 なんだか少し寂しくて、僕はあちこち歩き回る。 ずっと年上のお姉ちゃんは、自分の部屋から出てこない。 暑いの時期は、涼しい場所でずっとずっと寝てるのに。 僕はあちこち歩き回る。 お日様の見えるところ、ベットの上のふかふかクッション。 階段の上のほんの隅、押入れの奥のお昼寝場。 どこへ行っても寂しくて、どこへ行っても冷たくて。 僕はずーっと歩き続ける。 お姉ちゃんは、自分の部屋から出てこない。 透明な板のお外のお姉ちゃんは、お日様の見えるところにずっといる。 ふらふらしているお兄ちゃんは、お日様の見えない時間は来なくなった。 透明な壁はずーっとあって、お外の風が入ってこない。 透明な壁が退くときは、痛い空気が入ってくる。 今日もやっぱりお姉ちゃんは出てこない。自分の部屋から出てこない。 お姉ちゃんは寂しくないのかな。お姉ちゃんは、冷たくないのかな。 お日様も見ずに、ふかふかもなくて。 痛い空気は入ってこない? 寂しいにはならないの? お姉ちゃんは、すごいのかな。 お姉ちゃんは、強いのかな。 少しだけお部屋を覗いてもいい? お姉ちゃんの様子、見ても良い? 僕が覗いたお部屋の中で、お姉ちゃんはお昼寝してた。 お日様が消えちゃう前の優しい色した明りの下で。 ぐっすりぐっすり眠っていた。 優しい色の明りの下は、なんだかとても、あったかくて。 お日様じっと見ているよりも、なんだかとても、あったかくて。 少しだけ、僕も入って良い? お姉ちゃんの邪魔しないから。 ちょっとだけ僕も入れて。 ここは寂しくないんだもん。 ここは冷たくないんだもん。 そーっとそーっと入ったのに、お姉ちゃんは目をあける。 ポーっとしながら僕を見て、僕に出てけと怒ってる。 僕はどうしても入りたくて、お部屋の周りで待ってみる。 お姉ちゃんが出たら、その間だけ。 お姉ちゃんがいなかったら、その間だけ。 ずーっとずーっと待ってたら、僕は持ち上げられて、お部屋の中へ入れられる。 同じ色の明りのついた、お姉ちゃんのお部屋じゃない、部屋。・・・僕のお部屋。 僕は、お日様もふかふかもないけど、寂しくない。 僕のお部屋は寂しくない。 僕はお部屋にずっといる。 ご飯の時と、御用の時だけお外に出る。 僕はずっとお部屋にいる。 お姉ちゃんもお部屋にいる。 僕のお気に入りのお部屋だけど、お姉ちゃんのお部屋もいいな。 僕のところは寂しくないけど、お姉ちゃんのところも、きっと寂しくないんだろうな。 ご飯の時にお外に出て、僕はお姉ちゃんのお部屋を覗く。 お部屋を覗いて、怒られる。 お姉ちゃんのお部屋は、僕のお部屋よりあったかかな? |