お姉さんがもこもこになった。 いつもいつも見ているのに、いつの間にかもこもこだった。 お日様のあたる場所、気持ちよさそうに目を細めて、もこもこ体をまあるくしてる。 お姉さんのいる場所は、透明な板の外。僕は触れなかったけど、お姉さんはもこもこしてる。 僕はもこもこしてないし、おうちのお姉ちゃんもいつものまま。 もこもこのわけは分からないけど、僕はふうんと板から離れる。 透明な板の傍。とっても寒くて、僕は離れる。 お母さんが板をどかすと、冷たい風が入ってくる。 お母さんが板を直すと、冷たい風が入ってこない。 お母さんの脇から、僕はちょっぴりお外を覗く。 冷たい冷たいお外の空気。中にはない、冷たい空気。 僕はぶわりと毛を膨らませたけど、冷たい空気は変わらない。 お外のお姉さんのようになんて、僕にはきっとできやしない。 透明な板の外を見る。 お日様のいる間だけ、ほんの少しのあったかの時。 板の外のお花も消えて、草の色も変わってしまった。 寒いの季節がやってきて、お兄ちゃんもお姉さんももこもこだ。 僕はあったか板の上、背中を丸めて眺めてる。 お母さんが、熱いのをいじると、お部屋の中があったかになる。 明りのついた僕のお部屋は、お腹を出してもへっちゃらで。 ちいお母さんの横のふかふかで僕は寝る。 朝昼晩とご飯のたび、お姉さんはお母さんを見る。 ご飯のついでに、入れてとねだる。 お母さんは板を直す。 お姉さんはお外のまま。入れて欲しいとねだり続ける。 暑いの季節、あんなに元気に胸張っていて、寒いの季節、ねだってる。 お外の寒いを、僕は知らない。 |