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■第X回 「メルカバMk.3D 初期型」(MENG)

「組んでみよう」シリーズも3種めになりますね…。
そんな感じで今回は香港の新鋭メーカ、
「MENG(中国語読みで『美』)」製のキット、
「メルカバMk3D(初期型)」です。

現用系戦車の中では結構有名な部類に入るメルカバですが、
タミヤのMk1以降はキットに恵まれておらず、紛争の絶えない地域では
実車の取材すら危険や制限が伴うからか、
ここ最近の新作ラッシュには驚きを隠せない、
…ってのが正直な感想です。

同仕様のキットは先にホビーボス製のものがありますが、
こちらはある程度の一体化と、
異素材(金属パーツ)の使用を極力排した内容になっていて、
工作レベルは少し低いんじゃないかなと思っていたのですが…、
…その辺はこの記事とか参照いただければと(汗。


さて、画像が多いのでパケ写をやめて机にパーツを並べてみた、
の図からスタートですが、
たまたま再販分を入手したので試しに2個同時に組んでみようと思い、
いつもよりやや多めの初期状態になってます。

まずはバスタブ状態の車体下部パーツに
サスペンションの基部を付けていきます。
転輪のサスは外付けのバネ式、
誘導輪の基部は円柱・四角柱ではなく、三角柱になっていて、
泥詰まりし難い様に配慮されている事が分ります(をぉ。

他、起動輪の基部(最終減速機のカバー)にフックがついてますが、
これも泥落とし用のパーツで、実際にスプロケットを付けてみると、
ああ成る程と納得してみたり(画像参照)。

中東地域は雨そのものは少ないものの、
一旦降るとかなりグチャグチャになる?
…と推定されるのですが、
そうでなければ、ここまで配慮する筈もないので。

ラストは付属の鉛板を使って戦術サイン布部分をつけます。

所属部隊により後面の布の長さが違っているものが有る様なので、
それに合わせて2パターン用意してみました。

縦幅が若干余るようになっているので、
カゴ部分の枠に合わせる様に少しだけ折り曲げておき、
確認が取れたら一気に接着してます。


瞬間接着剤の白化の跡が目立ったりもしますが、
塗りながら組むのではなく、全部組んでから塗る以上、
気にせずやってしまっておりますが…。


や、割り切らないと、こんなの一生完成しませんので…。

今度は後回しにしていた砲塔部分のディティールに移ります。

メルカバの初期仕様の砲塔では、
正面形を少なくするために、前から後ろに向かって三角の平面形を
持っていたのですが、戦車同士の戦闘からテロ・ゲリラとの戦いが
中心になっていくに従い、炸薬系の弾を側面・後面から受けるようになり、
その対策として、側面には増加装甲(実車では箱組のブロックがボルト留め?)、
後面にはチェーンカーテン(直撃反らし)が装備されています。

で、側面の増加装甲ですが、擬装用も兼ねた大型のフックが付いていて、
プラパーツでは剛性が足りない気がしたので、
手持ちの0.5mm真鍮棒で現物合せの自作をしてます(をぉ。

よく見ると歪んでいたりしますが、
その辺は趣味の範疇ですし、根の詰め過ぎは楽しくないので。

更なる難所にぶち当たりました(爆。
LIC(低強度紛争)と呼ばれる戦闘に対応する為、
メルカバには砲塔上面に3丁もの機銃が付きます。

メルカバは元々周辺諸国との戦車戦を想定して設計された為か、
車体や砲塔に機銃が装備されておらず、
主砲同軸機銃が防盾の真上に装備される形になってます。

他、車内からリモート操作される装填手用の機銃、
同じく車長用の機銃、…で合計3丁ですな…。

加えて2台分有るので製作数は6丁、
当初タカをくくっていた部分ですが、先の車体バスケットと同様、
実物と同じ固定方法を採ったが故に水平・垂直が出せず、
正面や側面から見ると残念な仕上がりに…。

これ、当に初心者殺しというか、自分の中では、
『模型としては正しいかもしれないけれど、
 プラモ(≒趣味・娯楽)としては完全に失敗している』

…という部分に該当するんじゃないかと…。

や、お金と時間をかけてイライラするのってどうよ、と(憤。



その下で画像が出てますが、車体側のバスケットで苦労した
記憶が蘇ってきた
砲塔部のバスケットは割とすんなり組めた方かと。

チェーンカーテンはABS?っぽい粘りのある樹脂が使われていて、
切り離し時に壊れた部分は1箇所で済んでます。
とはいえ、ピタリと位置が決まる訳でもないので、
相応の注意が必要かなと。
(後で鉛板の戦術サイン布が付くので多少の無理は利くかも)

他、ワイヤー部分は付属の紐を指定長さに切って接着しますが、
自重による弛みの付け方にちょっと苦慮するかも…。
(付属のリード線で輪っかを作って間接的に固定するので、
その長さによっては重力に逆らっているように見えてしまうので)

順調に組めるかに見えたこのキットですが、第一の関門に遭遇(爆。
車体工具の雑具入れ(バスケット)の組立と取付けです。

1/1なら問題になるはずもない部分ですが、1/35に縮小している以上、
接合部が点付けの連続で上手く形にならず、
軽く押さえているだけなのにアッサリ歪むわ、折れるわで…。

実車ではイベント会場の巨大なゴミ箱宜しく内側に大きな袋が付いて、
更に蓋がつくので内側をでっち上げて剛性を持たせるのがベストかと。
イベントなどでこの辺のアフターパーツが有ったらしいのですが、
入手出来るはずもないので、…(脂汗。

個人的に考えたのは、砲等後部のバスケットに使用した
戦術サインの幕に使った鉛板をコの字型に曲げて内側を補強、
…くらいがベターな選択かと思いますが、
(余計なお金をかけない)いい方法があればご教示いただきたい所(苦笑。

次は車体上部。
バリエーション展開の為か、エンジンデッキ(メルカバは防御力向上のため、
エンジンは前に配置されてます)のパネルが別パーツで、
それぞれをすり合わせつつ、はめ込んでいきます。

ここはそれほど苦労していないのですが、再生産分のキットには、
とにかくバリが出てしまっている箇所が多く、そういった部分もキッチリ
処理した上で更に合わない部分をチクチク削っていきます。

余談ですが、1台目で大体何処で引っかかっているのか分ったので、
2台目は割とすんなり組めた気がします。

他、成型の関係上、ボルト部分を別パーツ
(ランナーからこそぎ落として貼りつけ!)にしてある部分がありますが、
金型では垂直にモールドが抜けないにしても、
…初心者向けではない内容ですね、これ。
(予備パーツは多数有るので多少の失敗はカバーできますが)

ついでにこのキットは幾つか選択式で組む部分がありますが、
ヘッドライトがリトラクタブルなので開閉状態を選択したり、
各ハッチ周囲のペリスコープも収納状態で組めるので、
面倒だと言うヒトには、基本閉状態で組む方が気楽かも。
(ライトパーツはそのままだと合わない感じでしたし)





その下、取説ではキャタピラを組む指定になってますが、
無視して砲塔部分の基礎を箱組みしています。
ここもまた取説では小パーツを付けた後に組む指定になってますが、
すり合わせ無しでぱっと組めるとはとても思えなかった(!)ため、
形を出してからディティールアップしていく方が無難だと思います。
(パーツを押さえたり削ったりする過程で破損や紛失の危険があるため)

…で、あまり言いたくはないのですが、主砲部分のパーツも、
基部(防盾)やエバキュエータ(砲身中央の膨らみ、
発砲時の排煙を一時的に溜めておく部分、
現用戦車では普通に装備されてます)が1パーツで成型されていて、
これは中々…と思わせておいて、肝心の砲口(マズル)部分は
貼り合せで出来ているので、真正面から見ると、
真円どころか段差ができてしまいがちなので、
…これさ、先端部分だけでも円筒形のパーツに出来なかったのかと(怒。


更にその下、キャタピラは後付け出来るかどうかを確認しましたが、
側面にフェンダーやら装甲板も付くので、
車体パーツの上下を接着する前に、キャタピラを組まないとダメ、
…な構造なんだなと。

ぱっと見た目ではキャタピラが一番の難所だと思っていたので、
後回しにしようかとも考えていたのですが、この後はキャタピラをやるか、と。

車体上下接着を最後にすれば?という意見が聞こえてきそうですが、
上面のパーツがパネル後付けの影響もあって歪んでいて、
塗装後の接着は精神的ダメージに繋がりやすい、と思うので。

この辺り、「塗りながら組む」飛行機モデラーの方からすれば、
異様な手法に思えるかもしれませんが、
「見えない所は色を塗らなくても良いんじゃね?」的な割りきりとか、
「塗装まで済んだパーツを最終段階で壊したりするよりマシ」とか、
「作業が長期化すると未完成が増えるだけ」とか。

実際、組むだけで苦行の連続になりがちなので、
少しでも楽な方法を採って「楽しく組めるように」するべきでしょうし。
…「趣味」であってプロのモデラーの様に「仕事」している訳じゃないんでね…。

この連載自体、そういう趣旨でやっているものですし(乾笑。





でもってキャタピラ。
以前に組んだノイバウは連結可動式ですが、今回のは連結固定式です。
ピンを挿していく方式ではないので、作業工数的には、
(噛み合わせの精度さえ有れば)割と楽な部類かと。

で、とりあえずキット指定通りに106枚にキャタピラをパーツ処理した後、
画像の様に2個組、4個組、8個組、…と繋げていきます。
1個ずつ組んでいくのは性に合わないので大体この方法でやってます。

ここだけは乾燥に時間がかかる普通のプラスチック用接着剤を
使用していますが、最後に接着する部分は、曲げる箇所や
撓ませたりする部分に持ってこないようにすると、
スムーズに取付けが出来るかと。


で、実際にやってみると106個では若干余り気味だったので、
残りの3本は105枚で組立しています。
車体後部の誘導輪でテンションの調整をするべきですが、
最初から固定するタイプなので…。


今後色んな戦車を組んでいくと思われますが、
メーカによっては誘導輪の取り付けがフリーになっているものも
多々あるので、うまいやり方を今後模索していかねば、
…とは思うのですがっ。




長さが余ったら上側をたるませて調整しようかと考えてましたが、
サスペンションの上部がガイドになっていたりするので、
最終的にはたるみは殆ど出ていませんね…。

実際の所、現用戦車では側面に装甲板が付くケースも多く、
ベルト式でも塗装と接着が容易であれば実感を損なう事は
それ程無いんじゃないかなと。

火力支援車両などでは付いていないものが多いので、
そういう場合には連結式が有利だとは思いますが…。
要はこのメルカバに関してはベルト式でも…という意味で、
こういった作業が苦手で戦車キットを敬遠する方も多いと聞くので、
メーカ側も商品内容によって使い分けするべきではないかと。

ちなみにこのキットのキャタピラ、予想に反して
勘合精度は非常に良く、パーツ処理はゲート跡を削っただけです。
接地面のヒケとかは、組みあがった後に、
「見える部分だけ」やれば十分だと思いますが…!?
(ちなみに自分はほぼそのままで組んでます)


乾燥を確認した後、車体上下を接着してますが、
側面装甲板の基部がキャタピラとぶつかったりするので、
「それなりに」慎重を期して貼り合わせます。


こうなってくると、この状態で満足してしまいそうですが、
作業はまだまだ続く事になります(溜息。

自分の場合、このサイトで記事にする目的が無かったら、
…ここでそのまま放置していたんじゃないかと。

残りの画像は塗装前の状態みたいなもので。


結果だけ見ると、繊細なディティールを持った凄いキット
ですけれど、根気がないと終わりませんし、
何より途中から「作らされている」感が先行したり、
「次の組みたいからこれはサッサと完結させたい」とか、
サイトのネタを提供していかなければ、という義務感とかが
先行していって、


…そうでなければ途中放置してそのままだったんじゃないかと。



自分はローガンズ予備軍でもありますし、
とにもかくにも細分化されてばかりの状況ですと、
次に繋がっていかないんじゃないかなと。


今回の様な「初心者お断り」な内容のキットが多いと、
折角興味を持ってキットを買ってくれた人たちが、
次のキットを買ってくれない可能性もあるんじゃないかと。

現状の購入層は自分も含め40代以上の人間が
圧倒的に多いそうですし、
自分の様なぬるま湯の片手間モデラーが楽しめるようでないと、
他人には絶対に勧められない訳ですし。


一応ですが、「買うな」と言っている訳ではなくて、
「作るならそれ相応のものを要求されますよ」という事です。


中々理解してもらえない事ですが、
自分は「多少の覚えはあるけれど、上級者ではない」ので、
組上げた事に対する自慢や自負は全く存在していなくて、
むしろ「色々とチョンボってますが、形には出来ました」程度の
感覚しか持ち合わせておりません。


…だってさ、肩肘張って拘って根詰めて組み続けたって、
全然楽しくないし、何より年齢を重ねるごとに、
段々色んなものが億劫になってきましたし(苦笑。

忘れていた側面装甲板とか。
一体成型のパーツが付くのですが、当然の様に?
ピタリと基部に収まらなかったので、
2台目では途中の1枚を切り飛ばして接着しています。

見てくれが格好良いので、基部はそのまま、
キャタピラもチラ見えするので、割と効果的な追加工作かも。

最前部の装甲板にかまぼこ型の穴が開いておりますが、
これは多分大戦ドイツ飛行機によくある、
「搭乗時に足を引っ掛ける穴」だと思います。

メルカバは基本後部ハッチから出入りする構造になっておりますが、
エンジンや変速機を整備する時や、操縦手が乗り降りする際、
砲塔がでかくなった分、前から乗り降りする方が手っ取り早いから、
という判断に基いているんじゃないかなと。

転輪部分はゴム有りとゴム無しの2種から選択して、
(ついでにサスアームも専用パーツ)組んでいくわけですが、
組み付け精度が信用できなかった為、
最前部と最後部のみ鋼製転輪にしてます。

調整がしやすいとか、ごまかしが効き易いという理由からですが、
これから組む人がいれば、どちらか一方で統一した方が良さそうです。

余談ですがゴム部分の有り無しは走行音、乗り心地、
キャタピラの耐久性、等等に関ってきますが、
見た目的な感想を言うと、
「当初は全部ゴム付きであったのが、
 磨耗によりゴム部分が切れた」
感じが…。

メルカバのスペックは知りませんが、仮に40トン程度だったとしても、
単純計算でサス一箇所当たり3〜4トンの重量が掛かっておりますので。
(車に乗る方なら分ると思いますが、転輪一つで大型トラック1台分?
 …くらいの重量を支えている感じかと)

しかしまぁ、よく出来てますけど、本当にヒドイ目にあったなぁ…。
2個同時とはいえ、組むだけで2ヶ月以上かかったわけですし。

更に細かいパーツが続々と…。

目立つ部分としては主砲両脇の発煙筒ですが、
蓋有りと無しの2種が選択式で組めます。

ディティール優先で全部開放状態ですが。

その下、ハッチ類やペリスコープ、レンジファインダー(測距儀)、
ハッチストッパーにアンテナ基部、…と、
あれやこれやと、てんこ盛り(汗。

ハッチそのものは開閉選択式でどちらかの状態で固定しますが、
微小なパーツの精度があまり良くないので、
開放状態で組む折には、後でフィギュアとかを乗せて
彼らの体で隠すような形にしないと…(あわわ。

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ふぅ、2個同時とはいえ、組むだけで丸2ヶ月以上もかかるとわねぇ…(大事な事なのでもう一回)。
この後は塗装を予定しておりますが、グレー系の基本色から乾燥地域の影響で焼けた感じの色合いにするものと、
ダークイエロー系で同じ様に塗装が焼けて白化した感じのものと、2種類やってみようかと妄想していたり。
…元々そういう意図が有ってわざわざ2個も同時に組んでいるわけですし。

当方の現用ものコレクションは陸自もの以外は旧ソ連系の一部、IDFはメルカバ以前のものくらいしかないので、
次に現用ものを組むとすれば…迷うな…(汗。
えっ、メルカバのバリエーションですか?タミヤ以外のキットは全身全霊でお断りしたい気分なんですがっ。 <をい

さて、難物も区切りが付きましたし、次は軽いやつを組みたいなと。
                                                            (2012.11.03)