■「この青空に約束を―」(戯画)投稿レビュー


■はじめに

 そういえば、2006年発売のゲームをきちんとレビューするのって、これが初めてですね…(汗)
 事の起こりは、2003年春に発売された「ショコラ」というゲーム。
 以来、ねこにゃん氏と丸戸氏のコンビによるシリーズは欠かさず買っていたり。

 不幸にも昨年発売された「パルフェ」(2005年春)、同年末に発売されたDVD版も、
 すっかり積みっぱなしで、このレビューを書く前に、漸くちょっとだけプレイ出来ていたり。

 で、4月辺りからちびちび進めていた本作品が漸くコンプリート出来たので、
 その辺も含めてレビューにまとめてみました。

 伏字にしたりとか、さり気なくぼかしたりとかもしてますが、
 例によって知らずネタバレに触れる事も有るかと思いますので、
 特に「プレビュー」部分をお読みになる際には、お気をつけ下さいませ。

 では、これにて入寮手続きが完了しましたので、寮生の皆さんにまずはご挨拶を― <ヲイ


■プロローグ

 Z県南栄生(さこう)島町――
 太平洋上に浮かぶ、人口数千人の小さな島――

 15年ほど前、この島には出水川重工業の支社が出来、
 同社の宇宙開発事業とかで関係者が沢山やってきた。

 ――だが、今年度を以って出水川重工の完全撤退も決定し、
 この島は、少しづつ、けれど着実に過疎化しつつあった――

 ***

 島唯一の学園、高見塚学園。
 出水川重工の関係者が多かったせいか、この学園には寮がある。

 旧校舎を改造したその寮の名前は、「つぐみ寮」――

 学生数の激減に伴って、寮生も減り、今年度はたったの7人。
 その寮生達も、来年の3月には卒業やら、両親の転勤やらで退寮する――。

 それは、もう決まっている事――
 わかっている事、もうどうしようもない事だから、その日までの毎日を――

 笑って、泣いて、喧嘩して、楽しく――
 ――過ごしたい――


■ストーリーとか

 オーソドックスな学園青春もの、と言いたい所ですが、そういった要素以外に、
 つぐみ寮で生活するヒロインたちとの群像劇的な部分が多いです。

 思えば、最初の「ショコラ」では「キュリオ」という喫茶店の中でのお話、
 「パルフェ」は、「ブリックモール」というショッピングモールの中でのお話、
 本作では「南栄生島」という小さなコミュニティーが枠として存在するんですよね…。

 もうひとつ、日常を語るための舞台装置として、「つぐみ寮」という設定があるのですが、
 これのおかげで、朝・昼・晩を問わず、ヒロイン達との随意なコミュニケーションが図れるわけで…。
 食事時のエピソードなんかは最たる例ではないかと。

 で、ゲーム本編なんですが、
 新学期の前日、退寮した友人の送別会に行って午前様だった主人公の下に…
 朝っぱらから下着姿の(見知らぬ)女子が寝ていたものだから、さあ大変(笑)。

 そんなこんなで、波乱の新学期と、つぐみ寮最後の1年が始まるわけですな…
 時期外れの転校生を中心にした、大騒動と、みんなで過ごす、最後の夏休み、学園祭…

 ――「だれか」と交わす、やくそく――

■システムとか

 選択肢型のオーソドックスな…と言いたい所ですが、似てるけど違ってますね。
 特定箇所になると、ヒロインイベント選択みたいな感じで、
 移動先が最大4箇所表示されます。
 ヒロインのデフォルメキャラアイコン?が表示されていますので、
 お目当てのヒロインがいればそれを選択し、ゲームを進めて行く事になります。
 居ないときは、まあ適当に選んでもらっても良いのではと。

 「ショコラ」では、チップキャラの表示(ちょとしたアニメ)があったりしましたが、
 「パルフェ」から省略され、繰り返しプレイが楽になってます。

 このとき、「イベントシート」を表示する事が出来ますので、
 2週目以降、イベントの概略とか発生条件とか確認したり出来ます。
 …見たことのあるイベントだけですけれど。

 セーブシステムは戯画ゲームでは一般的なもので、任意100箇所、
 オートセーブが10箇所、こちらはどんどん古いものから順に上書きされていきますね。

 クリアキャラクターのシステムボイスが使えるのも、他のタイトルとほぼ同じ…
 バックログ表示とか、ボイス再生なんかも他の作品と同じですね。
 タイトル画面は、起動している時間帯に合わせて昼になったり、夜になったりしてますが。
 (補記:時間帯だけでなく、PC側の時計に合わせて、特定期日でBGMが変化したり、
  雨が降ったりとかもするようです…すげぇ…)

 で、今回から変わった点を一つ上げると、演出面はかなり強化されてますね。
 背景スクロールとか、画面の上の「書き文字」とか。
 個人的には、「どよ〜ん海己」(仮称)が気に入っています。
 あ、後一瞬だけ発動した「ダークモード海己」(これも仮称)とか。

 そういえば忘れてましたが、ゲーム本編で描かれている期間が数ヶ月に及ぶため、
 ゲーム内には日付の表示が全くなく、イベントだけを追っかける形になってます。
 (必要に応じて、学園祭の日付とか正月とか、あえて出す場合も有りますが)

 ゲーム全体を見渡して行くと、3部構成になっており、
 凛奈を中心にした「第一部」、(どちらかというと)ヒロインイベントを追っかける「第2部」、
 ヒロインルートに突入する「第3部」、という構成になってます。
 …「パルフェ」と似た様な構成ですが、通常イベント回想が出来るようになったのは嬉しいです。

 とまあ、つらつらと書いてきましたが、ストレスを感じる事もなく、快適にプレイできるのではないかと。
 重箱の隅をつつくなら、ウィンドウ枠の色調節機能とかあればと。
 (何のためか、というのは聞かないでくれるとありがたいです)


■グラフィックとか

 人物原画担当はシリーズおなじみの「ねこにゃん」氏が担当されています。
 この手のゲームではヒロイン以外の立ち絵は少ないのが通例ですが…
 特定のシーンでしか登場しないオヤジキャラとか、ばあちゃんとか…多彩です。

 単純に前作とも比べても、年齢層も大幅にボリュームアップしてますので、
 その多さにビックリするのではと。
 このレベルの量を使っているのは、他ではち○れん関連とか、ア○スソフトの大作もの位ですから…
 今回はかなり頑張った、と言うべきでしょうね。

 ま、後多少デッサンが狂っていたりとかは…問わない方向で。

 背景なんですが、これまた沢山有りますね…島の色んな所とか、学園内とか、
 つぐみ寮の色んな場所とか、施設?とか。
 自分が航だったら、背景見るだけで、色んな思い出が出てくるでしょうね。
 それゆえに、某シナリオで、○○となってしまった○○○○はショッキングでした…(謎)。


■サウンドとか

 この辺は定番というか…主題歌はI’ve、KOTOKOさんですね。
 (タイトルは「allegretto〜そらときみ〜」です)
 「パルフェ」の主題歌「leaf ticket」がややおしゃれ風味(死語)なのに対し、
 素朴ながらも力強い雰囲気がゲームのイメージには良く合います。
 そういえば歌詞の内容ですが、やっぱり○○の内面を語っているっぽいですね…(ニヤリ)。

 ボーカル曲は後2曲あり、とあるヒロインのクライマックスと
 「○○○○」シナリオで流れてくる、 「Pieces」と、
 その最後にスタッフロールと共に流れてくる、「さよならのかわりに」という曲があります。

 特に後者なんですが、ヒロインエンド後にはただのインストゥルメンタルだったのが、
 最後の最後でボーカルつきで流れてきた日には…
 「海己じゃないけど、つられて泣く」という行動をしてしまったり。

 BGMはave:newがメインのようですが…いつもながらピアノアレンジには脱帽です。
 パルフェ・ショコラが喫茶店主体、という事で軽快なテンポと洒落た雰囲気だったのに対し、
 舞台が田舎という事で、アコースティックギターがメインだったり、ハーモニカがメインだったり。
 「おやくそく」シーンでは木琴風味だったりしますので、かなり幅広い感じになってます。
 (ついでに音楽モードですが、全員クリア後にもう一度通常ヒロインエンドを迎えると、
 コンプリート出来ますので、埋まらない、という方は試していただければと)

 個人的に印象に残った曲のタイトルだけ挙げると、
 「風のアルペジオ」(時間帯によりピアノVer.とかに変わります)、
 「TSUGUMI SEVEN」「嘘と自転車」「ROCKIN’MOKKIN’CHAIR」「もうひとつの青空」、
 …あたりでしょうか。
 ゲームには2枚組のサントラが付いてきますので、ゲームプレイ後に余韻に浸るつもりで(ぉ。
 (筆者注:サントラが付属するのは初回版のみのようです、通常版は付属しない模様)


■シナリオランキングっぽいもの

 最初に断っておきますが、例によって好き順ではなかったり。
 その辺りご考慮いただいたうえでお読みいただけると幸いです。
 一応ですが、ヒロインの攻略順というのは無いようです(真ヒロイン?は全クリア後ですが)。

●海己シナリオ

 航への依存度が異様に高い彼女ですが、そこまでの関係でありながらキスすらしていない二人。
 単純に、ただ馴れ合ってしまっている、という事ではなくて、
 もうひとつ、彼女と航の間には高い壁が聳えていたり。

 …それも、そう簡単には解決出来そうも無い問題だったり。
 解決策はたったひとつ、逃げることなく、立ち向かっていって、一つずつ、認めてもらう事。

 この辺、航の、馬鹿だけど真っ直ぐで強い所とか、かなり羨ましかったですね…
 エピローグでの二人は、本当に、幸せなんじゃないかって、そう思わせるシナリオでした。

 (補記:「フォセット」では、更にEND後の二人のエピソードが描かれていますので、こちらも必見かと)

●凛奈シナリオ

 本作のツンデ…と言いたい所ですが、勝負は大抵がスポーツ、食い意地みたいなものばかり…
 テストの点では主人公を更に下回るダメっぷりですが…。

 陸上を再開してからは、男子のみならず女子の人気(主に後輩)も急上昇、
 学園祭でのアレはニヤリとせずにはいられないですね…。
 さり気なく?つぐみ寮の現実とネバーランドがかけられている辺り、上手いなと。

 図らずも、左耳のピアスのエピソードが出てきますが、落とし方と言い、
 伏線の張り方といい、かなり楽しめる話だったと思います。

 こんな彼女いたら、毎日ドツキあって楽しく暮らすんじゃないか、と思うようなお話でした。

●奈緒子シナリオ

 色々と裏の顔?を持つ彼女ですが、会長と副会長、というだけでなく、
 何かこの二人の間柄って、ゲーム始めた当初、異様に引っかかってました。
 …そういうわけで、筆者が最初に攻略したのは、このお方だったりして。

 そんな事も有って、ヒロインルートでは二人の出会った頃が出てきて、
 現在の形に落ち着く?までのエピソードがあったり。
 この話、他のヒロインルートでも、その事を言外に滲ませていたりするので、
 クリアするなら早目の方がいいかと思われます。

 で、奈緒子さんはぐいぐい引っ張るタイプですので…
 自分もこんな人に導かれてみたいなぁ、と思う結末でしたね。

 で、やはり本作における人気キャラのなせる業か、「フォセット」でのアフターシナリオは…(謎。

●宮穂シナリオ

 出水川重工の重役でもあり、高見塚学園理事長でも有った六条氏を祖父に持つお嬢様ですが…
 その、今は亡き祖父の足跡を追う事がお話の中心になります。

 お嬢様と庶民のバカンスだから、半ば割り切った形で彼女は島に来ていたりして、
 そのお嬢様に諦めないことを身を以って教え、勝ち取る?お話になります。

 ここでも、航の強さが垣間見えますね…本気で尊敬してしまいますわ…

●静シナリオ

 恥も外聞も無く、航にじゃれ付いてくる猫みたいな生態を有するヒロインですが…。
 本能的に凛奈を嫌ってしまう理由とか、つぐみ寮に来る前はどんな子だったのか…。
 ある意味、「可愛い子には旅をさせよ」を地で行く展開だったので、その辺の描写はきましたね。

 …きっちりオチまでついてましたけど。
 凛奈とは違った視点で、「回復と旅立ち」をテーマにしたお話だったと思います。

●沙衣里シナリオ

 つぐみ寮の廃寮は3月なのですが、それまで待てない人々も若干いたり。
 問題は、そこまで急いで何をしようとしているのか…
 このシナリオで、漸くそういった部分の描写が出てきます。

 学園側に付け入る隙を与えず、頑張ってきたのに…
 たった一度の過ち(笑)が、最悪の窮地を迎えます。…ま、言われて見ればその通り。

 で、ここからがこのお話の本題。
 手に汗握る展開が続きますので、是非とも最後まで見届けてください。
 エピローグは…思わずニヤリとしてしまいましたが…。

●(エクストラ)シナリオ(仮称)

 メインヒロイン6人をクリアした後、プレイできるお話ですが…
 まずは、特定のヒロインと結ばれることなく?、つぐみ寮最後の日を迎えるところから始まります。

 …ま、言ってみれば航にとって寮の仲間は家族に近い存在ですし、故に「誰か」ではなくて「みんな」、
 という意味合いが強いのではないか、と思ったり。
 普通のゲームならばここは「ノーマル」ないしバッドエンドの扱いですが、
 あえてここでこういう描写が有る辺り、心憎い演出ではないかと。

 この日のために用意した、古ぼけたピアノと、航が作曲した歌…(という設定)
 …最後の辺り、つられてこっちまで涙がにじんできました…かなり反則級にキましたね。

 で、このシナリオが終わった後、ゲームを再開すると、
 とある場所からとあるヒロイン?のルートに入れるようになるのですが…
 さえちゃんと航だけが残された、その後の南栄生島に…

 つぐみ寮も解体され、抜け殻のようになった航と…
 それでも、航が元気を取り戻してくれる事を信じて、普段どおりに接してくれる、クラスメイト達…

 航は、この島で、何を想い、何を目指すのか…
 結末は、直接見て確認していただけると宜しいかと思います。

 ちなみにつぐみ寮の「その後」がハッキリと描かれているのは、このシナリオ(ある意味バッドエンドですが)と、
 海己シナリオだけなんですが、その点からも好対照な印象を受けていたり。


■キャラランキングみたいなもの

 さて、こちらも例によってあえて順位はつけずにつらつらと。
 キャラクターの魅力が少しでも伝われば幸いです。

●羽山 海己(CV:石川乃奈)

 OHPでの露出を最初に見た折、「花鳥 玲愛」(パルフェ)が浮かんだのは私だけではないでしょう、
 …と断言してみたり。
 ま、こちらの「白いカトレア」(仮称)に関しては、似ているのはシルエットだけで、
 中身は見事なくらいに別物になってます(正反対、という方が分かりやすいかも)。

 流されるわ、空気は読めないわ、引っ込み思案でいっつもおどおどしてるわ、でいいとこ無さそうですが、
 料理の腕は超一級、果ては自家菜園まで作っていたり…とても年頃の娘さんとわ(以下略)。

 とある事情から主人公とは「幼馴染以上、恋人未満」の関係が続いていますが、
 その未満の部分を取り払うと…
 10年余りに渡って溜め込んだだけの事は有りますね、凄かったです(苦笑)。

 この子、そういえばゲーム中のイベントで何回泣いたのかな…そんなキャラも珍しいです。

●沢城 凛奈(CV:河合春華)

 ゲーム冒頭でいきなりやってくれた彼女ですが…ショコラ・パルフェと比べるとアレですけど(笑)。
 第1部で思いっきり嫌な奴を演じてくれたおかげで、2部以降はスキンシップが面白いの何の…
 こういった、だんだん変わって行く過程を見て行くのは結構楽しかったり。

 学園物ではスポーツ少女はある意味定番ですが、その実力は全国クラスなところ、
 色んな所で規格外な所を披露してくれます。

 恐らくですが、エピローグ後、陸上界のアイドル?として脚光を浴びるのではと思ったり。
 で、引退後はスポーツ部門のキャスター、(世間的には)電撃結婚、というコースを辿るのではと。
 さらにTGL食品陸上部の合宿所を南栄生島に誘致、夏にはトライアスロン大会とか…

 …そんな事を思い描いてしまったり。

●浅倉 奈緒子(CV:篠崎双葉)

 泣く子も黙る生徒会長様(誇張表現なし)。
 しかも成績優秀、品行方正で先生方の評判もこの上なかったり。

 そしてつぐみ寮では影の寮長として君臨し、日々策謀(表面を取り繕うための)とか、
 鬱憤晴らし(主に表の寮長や航に対して)をしている日々。

 つぐみ寮を早急に取り潰そうとしている学園側に対して、清濁織り交ぜた手練手管を発揮し、
 仲間のピンチは必ず救う…そんな、頼りがいのある姉御です…。

 航が、「○○○に惚れた」と述懐しますが、さもありなん…

●六条 宮穂(CV:草柳順子)

 学園の理事長でもあった、六条紀一郎氏の孫娘で、祖父の他界を機に、
 初めてこの島を訪れ、理事長代理の肩書きを持ちつつも、生徒として学園に通う事になりました。

 つぐみ寮で暮らすうち、周りの人々の影響をもろに受け、
 航には(主にギャグを滑らせるたび)いぢめられたり、さぶい突っ込みをしていたり。
 駄菓子屋に入り浸っていたりする所とか、
 1年余りですっかり化けの皮が剥がれてエセお嬢様呼ばわりされていたり。

 それでも嬉々としてつぐみ寮での生活を続けていた辺り、
 彼女にとっては、六条家のお嬢様として扱われてきた今までの生活より、
 歳相応の少女として接してくれる、つぐみ寮の生活が楽しかったのではないかと。

 真っ赤な顔して「ああっ!!」とするところが妙に可愛かったりします。

●藤村 静(CV:北都南)

 少女、という表現がぴったり来るくらいの、幼い外見を持った彼女ですが…
 出水川重工で働く両親は彼女の事を構ってやれず、不登校が続き、
 学園入学前に至って、航がつぐみ寮に引き取ってきた経緯があったりして。

 紆余曲折を経て、寮の仲間にだけは打ち解け、それまで受けられなかった愛情を求めるが如く、
 航に甘えてくる娘になり…

 でも、つぐみ寮はあと1年で無くなるし、いずれ独り立ちできるようにしてあげなければ、
 つらいけど、彼女が他の場所でも笑えるようになって欲しいから…

 …そういえば、エピローグ後のえ(ry)は無いのでしょうか…(たぶん無理)。
 って言っていたら、「フォセット」で…(謎

●桐島 沙衣里(CV:紫苑みやび)

 「さえちゃん」の愛称で親しまれる、かなりダメダメな社会人2年生。
 同情の余地が全く無いかと言えばそうでもなくて、建部みたいな上司がいたら、
 確かに職場でのストレスは溜まりますし、寮に帰れば生徒会長にいびられる(笑)し…。

 まぁ、「頼れるお姉さん」が既に君臨しておりますので、
 逆に彼女は「年上のクセに甘えてくる」というダメっぷりを遺憾なく発揮してくれます(笑)。
 そういうどうしようもない所が、とてつもなく可愛かったりします。

 ヒロインルートでの行動を見る限り、彼女には仕事に対する本気度がちょっとだけ?欠けていただけで、
 本気にさえなれば、すっごくいい先生になれるような感じがするのですよ…。

 大学時代の同級生の言動を見る限り、
 「そばに居るとウザいけど、捨てたらもっとウザいわよ」ってのは、間違いではなさそうです(笑)。

●三田村 茜(CV:涼宮琉那)

 かなり「フェイント」な形でセンセーショナルな登場を果たすサブキャラ?ですが…
 過剰なくらいに「らぶらぶびぃーむ」((C)リリィ・シアフィールド)を放ち、
 通常キャラの3倍の高周波(星野航調べ)を響かせる最強最凶キャラ。
 (一般キャラが緑だとか、額には羽根飾りが付いている、…という話ではないです、一応)

 しかしこの方のマシンガントーク、個人的にものすごくツボ突きだったりして。
 この行動と、バックについている「お兄様」のおかげもあって、
 どんな男も親友どまり…不遇と言えば不遇なんですが…

 …あれ?どうしてこんなキャラのコメントつけてるんだか…(謎)。

●星野 航

 本作の主人公。結城大介(ショコラ)・高村仁(パルフェ)と比べても、やっぱり強い人なんだなぁ、
 …というのが正直な感想です。
 共通する家庭環境は、いずれも母親は既に他界している所とか、
 父親は生きている場合でも、色々とアレだったりとか。

 そんな環境に育ったからこそ、「家族」というものに並々ならぬこだわりを持っているところとか、
 誰かが困っていると、思わず手を差し伸べて「お節介」を焼いてしまうところとか、
 バカ正直で真っ直ぐな所とか、実は人一倍寂しがり屋だったりするところとか…。

 不器用な生き方しか出来ないから、正面からぶつかって解決しようとする所とか、
 すっげぇ、いい男ですね…

 ヒロイン達は、彼のそんなところに漠然とでは有っても、惚れていたのではないかと思ったり。

●紀子

 クラスメイトの一人。…ですが、昔、割と周囲にいたっぽい感じのキャラですね。
 海己、凛奈、茜と4人揃うと…かなり見劣りはしますけど、他のキャラが別格ですから…。

 結構友達想いのいい女ですが…○○と付き合っているのがちょっと納得いかなかったり。 <まて

●内山 雅文

 航のクラスメイト。ですが、小さな島の中での話、星野家と内山家は本家と分家の関係だったり。
 そんな事も有って、航との関係は「一の子分」みたいな関係が続いています。

 「師匠」でもある隆史さんと航と3人揃うと…「何か」を必ずやらかします。

●三田村 隆史

 島唯一のペンション、「サザンフィッシュ」のオーナーにして、高見塚学園OB。
 その(女性を口説くための)手練手管は航や雅文をして「師匠」と呼ばしめるほどのもの。

 その行動もあって、軽い人に見られがちですが、その実、
 相談に来た若者達には親身になって接してくれる事もあり、航達のたまり場になる事も。

 ある意味、航とヒロインの行く末を一番親身になって考えてくれている人なのではと。
 勿論、「かわいい」妹(兄フィルタ付き)の事も、ですが。

●その他男性キャラとか

 ま、学校という現場では競争原理があまり作用しないようですから、
 社会人○○年の自分からすれば、建部みたいな形式主義、
 事なかれ主義のしょーもない先生がいたりとか、
 学園長とか教頭は「やな奴」の筆頭ですね…
 筆者自身が、高校までの学生生活にあんまりいい思い出が無いので、特にそう思います。

 部分的にしか登場しませんが、航の現在の保護者でもある一誠さんとかは、
 主人公が尊敬する肉親ということもあり、かなり好感度は高いです。
 願わくば、自分もこんな風に歳をとってみたいものだと。

 役どころとしては普通ですが、海己パパとか、某先輩とかもそれっぽい雰囲気ですね…。
 登場頻度がアレですが、他の先生方とか、島で働く漁師さんとか、吾郎さんとか、
 テキ屋のおじさんとか…こう見て行くと、本当に多彩で、
 このゲームの舞台が、「南栄生島」という島なんだなぁ、と実感させられます。

●その他女性キャラとか

 セリフでは「女生徒1」とかの扱いですが、結構名も無き女生徒にも立ち絵があったり。
 …や、会話中では名前を呼びかけているのですが、そこまでは憶えていなかったり。

 立ち絵があるキャラとしては、他には保健室の先生?とか出てきますけど、
 駄菓子屋のばあちゃんとか、航のおばあちゃんであるとか…
 こういうゲームで複数出てくるところが更にびっくりだったり。

 逆に、さえちゃんの大学時代のお友達とか、サザンフィッシュに遊びに来た女子大生とか、
 立ち絵の無い女性キャラもそこそこ居たり。
 …どんな方たちだったのか、興味は尽きないんですけれど。<やめい

 (補記:2006年12月発売の「フォセット」エピソードにて、立ち絵が登場しています)


■プレビューっぽいものとか

 ……んあぁ……

 昨日は、えらい目にあったなぁ…
 …ところで、この酒瓶の多さはなんだぁ…!?

 それに、この子…

 ……

 …

 …だれ?

 ***

 いつもの事だけど、また、海己が泣いた。
 いつのも事だけど、なだめすかすのに、結構苦労した。

 朝のホームルームで、転校生が紹介された。

 「…をっ…おまえはぁ…っ!?」
 「もしかして、初対面っ!!」


 夜になって、漸くみんなと話す時間が取れた。
 で、昨日の事は何とか誤解を解くことが出来た。

 翌日、朝のホームルームで、またしても転校生――

 「……って、フェイントかよぉっ!!」

 今夜は新たに寮生がもう一人来るって…

 「ばかじゃない…いずれ悲しい思いするってのに、仲良くなんか、できるわけないでしょ?」

 「…そうか、そっちがそういう気なら…
  絶対に、お前を仲間にしてやる。
  別れの日、胸がかきむしられるくらいに悲しませてやるから、覚悟しろ!!」

 
***

 …とはいったものの、俺が立てた作戦は悉く失敗、海己の発案もあって、
 手紙とか書いたりとかしてみた。

 ま、これも失敗したんだが、代わりに、校内マラソン大会で勝負する事になった。

 「いいか、先にゴールをくぐった方が勝ちだ、それだけだ」
 「アンタ…一体、何があったの…それでマトモな勝負なんて出来ると思うの?
  …棄権しなさい」
 「…やだね…」

 ***

 「星野、もういい、あんたは、良くやったよ…
  あんたは、胸を張っていい…試合に負けて、勝負に勝ったんだ…え?…えええっ!?」

 「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!」

 「航…わたるぅ〜〜〜〜」 <例によって涙目の海己

 ***

 一ヶ月の停学が明けて、学園に向かう。
 海己、茜、紀子、雅文…それから、凛奈…。

 「航…ありがとう…これが、航の、したことだよ…」

 …海己のやつ…また涙ぐみやがって…

 ***

 今回の一件で、学園側がつぐみ寮の廃寮を急いでいる事は分かったが…
 あいつらに、付け入る隙を与えないためにも、期末試験は万全の体制で…

 …しっかし、凛奈はともかく、静まで補習かぁ…思わぬところに穴があった…

 ***

 ――夏休みが、始まる。

 凛奈は、大会に向けて練習を再開、
 海己は、(いつも通りだけど)菜園と家事一般、
 会長は、(まあ3年生だし)受験勉強、
 宮は、(祖父の足跡を辿るとかの)自由研究、
 静は、(いつもと変わらず、猫みたいに)ぷらぷらと、
 さえちゃんは、(ブツクサ言いながらも嬉しそうに?)凛奈と静の補習、
 …それから、凛奈の大会への付き添い。

 俺は、サザンフィッシュでバイトしながら、まあ適当に…

 ***

 「きっかけが、勘違いからだったとしても、今のこの気持ちは…本物だよ…」

 「ひとりは…だめなの…ふたりだけなのも…だめなの…みんなが…いいの…みんなが…」

 「…アンタ、アタシと約束した事、憶えているわよねぇ…」

 「祖父は…私の、憧れです…だから、もっと、知りたいんです…」

 「わたるぅ…かえりたく、ないよぉ〜」

 「知れば知るほど…このヤマは、大きいわよねぇ…だからこそ、みんなを、巻き込むわけには…」

 …やっぱり俺は――
 ここまで来たら尚更、最後まで付き合いたいと思う――

 ***

 「みんな、いつか、大人にならなくちゃいけない…
  ここは、子供たちの楽園、ネバーランド。…でも、いつかは、でていかなくちゃ、いけないの…」

 「…最後に、私のわがままを、聞いて、もらえますか…?」

 「すいません、先輩…あなたには、私を、嫌いになって、いただきます…」

 「ひとりは…いやぁ……おいしいのに、ひとりじゃあ、全然、おいしくないです…」

 「おまえが…つらくて、笑えそうもなかったら、いつでも、戻ってきていいんだからなっ!」

 「桐島先生…アンタ、いい先生になるよ…」

 ――さよならのかわりに、たったひとつだけ――
 ――希望を込めて、やくそくを、しよう――

 ***

 ――3月21日。
 最後の日が、やってきた。

 「今日という日を、無事、迎えられたのはひとえに、…ひとえに……っ!!
  みんなの…つぐみ寮のみんなの、努力があったから、なんだよっ!!」

 「ありがとう…航…最初に会った時、何て言ったか、憶えてる…!?
  あたし…あたしっ…胸が、かきむしられそうなんだよ…」

 「航…わたる…わたるぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜」

 「先輩…私…私…みんなと離れ離れになるなんて、嫌ですぅ〜〜〜」

 「こんなことなら、もっと、もっと航に、いろんな事、教えてもらえばよかった…」

 「もう、来年からは私とアンタしか居ないけど、このつぐみ寮を、守っていこう…ね…」

 歌声は、いつか嗚咽とすすり泣きに取って代わり――
 誰も彼もが、その場を動けず――

 ただ、時間だけが、過ぎていった――

 ***

 守るって、約束したのに――
 それは、あっという間に取り壊されて、何も、無くなってしまって――

 ただ、自分の無力感に苛まれ、勉強するくらいしか、する事がなくなった。
 会長?結局何にも出来なかった俺が、会長だって!?…笑っちまうよ…

 俺には、俺を信じてくれたあいつらに――
 答える資格も、ましてや会わせる顔なんて――

 夏祭り――
 去年と同じ、祭りの喧騒――
 つい、あの石段の上に、登っちまった――

 そこにはもう、何も無くて――
 皆と楽しく食事した、食堂も――
 凛奈と何度もバスケの勝負をした、ゴールも――
 海己が丹精込めて育てていた、菜園も――
 静といろいろ遊んだ、お風呂場も――
 会長が、さえちゃんが、寝起きして、勉強を教えてくれた、部屋も――
 夜毎に楽器を持ち込んで爪弾いていた、ベランダも――

 あの日のために調律した、古ぼけたピアノも、音楽室も――


 ひとりで、ひとりになって、思う存分、泣きたかった。
 でも、あいつは、ぼろぼろになりながら、ついてきた。

 「泣くときは、ひとりじゃ、だめなんだよ…」
 「…おまえ…俺の彼女になっても、親友でいてくれるか?」
 「その言葉…ずっと、ずっと待っていたって言ったら…信じてくれる?」

 ***

 やっと、わかったよ…
 俺が、やりたい事、いまやっておくべき事…

 …ああ。もうこれ以上、誰かの好き勝手になんか、させるかよ…

 ――もう、こんな思いは、二度と、したくないから――

 「あっ…あははは…っ、それでこそ、星野だよ…がんばれ…」


■個人的所感とか

 さて、最後に、いつもの如く色々と感想らしきものとか。
 関係ないけど書いておきたかった事とかも有りますので、
 気になる方だけお読みいただければと。

●「パルフェ」「ショコラ」との比較

 何かと話題にされるシリーズ作ですが、扱っているものが微妙に違っている関係上、
 一概には「超えた」と言い切れませんが、作品のグレード自体は着実に向上しています。
 各項目でちびちび書いてますが、システム周りの簡易性とか、舞台装置の大きさとか。

 どの作品も、「ヒロインが沢山いても不自然ではない状況」というのは設定の勝利でしょうか。
 たとえば普通に学園ものとして考えた場合、夜とかのイベントは発生する筈がありませんし、
 ましてや年頃の男女が同じ屋根の下…という(言葉だけなら)すごい状況とか。

 イベントとかドラマ部分の面白さって、色んなキャラが掛け合う事で醸し出されると思うのですよ。
 昼間での学園内でのイベントなら人が沢山いて当たり前なのですが、
 朝とか夜とかはそうもいかないわけで…
 …しかも、「そこにいるのが当たり前」でなくては会話に参加出来ませんし。

 キュリオであれブリックモールであれ、そこで皆ウェイトレスとして働いているからこそ、
 花鳥玲愛とちょっとだけ喧嘩っぽいイベントを(昼夜を問わず)こなす事が出来るわけですし。

 それと、「パルフェ」が人気作の続編、という部分も考慮しておくべきではないかなと。
 「前作がプレイ済みだと、ニヤリとさせられる部分がある」という点だけで土俵が違ってきますし。
 (そういう意味ではパルフェが負けている、と言わざるをえませんが)

 今回の作品を終わらせた後、ふと思い出したのは「家族計画」(D.O.)ですね…
 ま、あの作品よりは青春度が異様に高くて、ギャグの方向性も違うんですけれど。

 そういったものを想起してしまうのは、最近では廃れてしまった、
 大家族をテーマにした「ホームコメディ」(○ちゃんのどこまで〜みたいなの)の
 要素があるからでしょうか。
 航が、夜な夜なベランダに上り、気分に応じてギターやらフルートやら、
 果ては音楽室に置き去りにされた、古ぼけたピアノだったりとか…

 そういう意味での郷愁みたいなものも、この作品を通じて思い出してしまったり。
 前2作がメイド喫茶というかなり特殊な環境であったせいか、かなり普通に受け入れられたと思います。

 ま、ぶっとんだ設定の学園ものですら、平気で「そういうものだ」と割り切って
 遊んでいる人のセリフではないような気もしますけど。

●ドラマCDとか

 2006年6月23日には、「通常版」が発売されますが、
 初回版には予約特典として、ドラマCDが付いてきていたり。

 メーカー特典としてついてきたのは、本編開始の前日、
 航がサザンフィッシュで送別会に参加している日、
 いつの間にか凛奈と意気投合して、酔っ払った勢いでつぐみ寮に連れ込み(笑)、
 寮の部屋で2次会みたいな酒盛りをしていた日の…つぐみ寮側のお話ですね。
 (これの内容に関しては、「フォセット」のミニゲーム景品のシナリオにおいて、
 「プレ・プロローグ」という形でゲーム化されています、ご参考まで


 で、後もうひとつ、ショップ特典として各流通店から色んなドラマCDが付いてきたりします。
 手元にはいつもの「地図」特典としてついてきたものしか有りませんが。

 とりあえずこの内容なんですが、本編では省略されてしまっている、
 凛奈の中間エピソードだったり。
 劇中では、停学の明けた航が学園に来ると、凛奈はみんなと仲良くおしゃべりしていたり、
 放課後はさえちゃんと一緒に、陸上部の活動を始めていたり。

 この間に、どんなエピソードがあったのか…
 そんな、小さなきっかけが始まった、日々の事がドラマCDで描かれています。
 (航が停学中でいないから)オチはありませんけれど(笑)。

 戯画OHPでもいくつかネットラジオが配信されていますので、
 興味が湧いた方はDLして見るのもいいのでは、と思ったり。
 (ちなみにプレストーリー的なものです、参考まで)

夏コミドラマCD「まるねこ!」とか

 本作の人気を受ける形?で、戯画さんからはスペシャルドラマCDなんてモノが
 2006年の夏コミ(C70)でリリースされていたり。

 で、この内容なんですが、休みを利用してブリックモールに遊びに来たつぐみ寮の面々と…
 ファミーユ&キュリオ3号店の面子が織り成すドタバタラジオドラマ風になってます。

 で、CM(というかインターミッション?)を挟む形で、
 「魔女・黒井ミヤ」というサイドストーリー?と、「暇な店から2時間かけてきたスパイ」という、
 2つの小話が楽しめます。

 前者は、…まぁ、オチ担当というか、草柳順子さんの名演が光りますね…。
 後者は、先のシチュエーションだけでは、キュリオ本店のメンバーが出られませんので、
 こういうお話になったのかなと。スゲェ、香奈子さん、本当に噛み合っていないよ…(笑)。
 (一応ですが、「パルフェ Re−order」をプレイしておくと、話が分かりやすいかと)

 それにしても、「中の人」ネタですが、ああ、そうだったのねと。
 (○ちゃんのCV担当が、あの○月○○○さんだったとか、明日香ちゃんの(以下略))

 茜とチロルのハジケっぷりもいいですが、振り回される花鳥玲愛さんのムキになる所とか、
 結構聞き所はある作品でした(恐らくですが、舞台的にはノーマルエンド後みたいです)。
 ちょっと残念だったのは、海己の出番が少なかったことくらいでしょうか。
 容姿以外は全て地味、っていうのはやっぱり本当だったのかと(笑)。

「フォセット」とか

 ねこにゃん氏&丸戸氏のコンビ作品のファンディスクとも言うべき作品が、
 2006年12月に「フォセット」というタイトルでリリースされています。

 基本的には「パルフェ」「この青空に約束を―」の2作品における、
 補完エピソードやら、後日譚やらが沢山詰まった形になっていますが、
 ミニゲーム(「ショコラ」も含めた3作品のクイズゲーム)やら壁紙やらメモリアルモードやら、
 かなり遊び甲斐のある作品に仕上がっているような気がします。

 とりあえず「こんにゃく」がらみのものを挙げていくと、普通に追加シナリオとして8本、
 クイズゲームの景品としてプレイするものが9本と、かなりの数量になっていますね。

 前者は主に補完エピソードとアフターものが中心ですが、
 後者は既にドラマCDとか雑誌媒体等で発表されたもののゲーム化が多いような気がします。
 (そうは言いつつも結構楽しめた気もしますが)

 VFBとかで丸戸氏が語られているのですが、本作の真のヒロインは、
 システム上では○ちゃん(笑)になっているものの、シナリオ的にはやはり海己ではないかと。
 (ショコラでの香奈子、パルフェでの里伽子的ポジションのヒロイン)
 …○ちゃんは「バッドエンド救済ヒロイン」扱いらしいです…言われてみれば確かにそうなんですが。

 共通事項があるとすれば、主人公に限りなく近い位置にいるにも拘らず、
 ゲーム開始時点では「ただの友達」(でもちょっと訳あり)であるという事。
 もうひとつは、そのヒロインと結ばれるにあたり、解決すべき問題が山積みだという事。
 (ただ、前2作と異なり、海己攻略に際してはシステム上の手順や順番は特にありませんが)

 書き下ろし系のシナリオをプレイして感じた事は、
 海己が航と手を取り合って、様々な問題に立ち向かい、やがて皆に認められていく、
 その過程のようなものをひしひしと感じてしまったので、そういうのを改めて認識した次第です。

 で、最後にまた、「約束の日」のプレエピソードに持っていくあたり、憎い演出だったなと。
 作中人物達にとっては、未来の事ですが、プレイヤーはその後の、
 『あの「約束の日」、つぐみ寮の皆がどうなったか』知っていますし、そう言う意味で、
 ヒロインたちがラストにこぼすセリフは、妙に心に刺さったりするのですよね…

 例えばこれが南栄生島の高見塚学園でなく、都会の学園を舞台にしていたら、
 こういった青春くさくてさわやかな話、にはならないかもしれないんですが…
 違和感がなく、すっと受け入れられるのは、またしても設定の勝利ではないのか、と思ったり。

 ついでに「メモリアルモード」の話なんですが、本作で好評だった「通常イベント」の回想が、
 このゲームから出来るようになっており、「ショコラ」「パルフェ」がインストールされていれば、
 あの名シーン?とかがいつでも見られる様になってますね…
 おかげで回収し損ねていた「ノーマルEND」とかをじっくり鑑賞する事が出来たりして、
 割と重宝していたり…もっとも、前作がアンインストールされていたらどうにもできないのですが。

 とまあこんな所ですが、これ以外にも「パルフェ」エピソードとかクイズゲームも
 かなりボリュームがあるので、「こんにゃく」を機にこの一連の作品に触れた方も、
 舞い戻って前2作をプレイしてみては如何かと勧めてみたり。
 (レビューの本旨から大きく逸脱しますので、とりあえず割愛しておきます)

●地方の現状とか

 現代日本は、少子高齢化の時代を迎えつつあります。
 それでも相変わらず、都会に流入する若者は沢山いますので…

 そうして田舎はどんどん過疎化が進んでいきますが、子供そのものが少ないので、
 後継者もいないまま、ゆっくりと高齢化が進んでいっていますね。

 ただ最近は親の稼業を継ぐべく帰ってきたものの、生産業に従事する世帯そのものが激減し、
 継いでみたものの、仕事が無くて廃業をやむなくされるケースも多いと聞きます。

 ニュースとかで見たのは、ネット証券とかの個人投資家向けのクレーム処理のため、
 コールセンターを離れ小島?とかに建設するケースもあるようです。
 …良く何処かからかかってくる怪しげな勧誘?っぽいあれ、未来の南栄生島からかもしれないですね。

 仕事が無いから、どんなに愛着が有ろうとも、都会へ出て行かざるをえなかったり、
 負の連鎖は際限なく拡がっていき、最低限のものしか残らない場合も…

 だからこそ、学園長側がつぐみ寮を早急に解体して、リゾートホテルを…
 というのもあながち(一つの選択肢として)間違いではないとは思います。

 結果としてそうなるとしても、それでも誰か一人の好き勝手にやらせたくない。
 現実には、開発援助として色々と整備したりはしたものの、
 相手側には何の利益ももたらすことなく、かえって恨みを買っている経済大国もある事ですし。

 そうやって考えをめぐらせると、最後に航が思い描くものは…素晴らしい事ではないかと。
 じいちゃんが満面の笑みを浮かべながら、
 「面白い」といった気持ちが、多分分かるのではないかと。


■謝辞とか

 さて、今回も割と長いレビューになってしまいましたね…
 最後までお付き合いいただきました方々に、無上の感謝を。

 例によっていい加減な記憶とノリで書き上げているレビューですから、
 アラとかは多数あるかと思われます。

 今回はプレビュー部分を前半とラスト部分に絞って、
 ヒロインルートのお話はは匂わす程度にとどめてしまっているので、
 未プレイの方は「???」な部分が普段より多いと思います。
 (未プレイの方の興味を引くためでもあるのですが)
 既にプレイされた方は、ニヤリとして頂けたら、書いた当人は非常に嬉しかったり。

 …そうそう。「栄生(さこう)」という読みなんですが、たまたまウチの地元に同じ読み方をする
 私鉄の駅があったりしたので、ルビなしで読めてしまっていたり。
 (スタッフコメントによると、どうやらそこから名前を拝借した模様…自分でもビックリ)
 ま、鉄分の高い方も多いでしょうから、あえてどこの駅かは申しませんが。
 (ついでに、東京の東雲とか、大阪の放出とか、読める人は居るのかと思ったり)

 誤字脱字の指摘とか、その他ご意見ご感想とかは、当サイトのBBS、
 または直接メールにてお願いいたします。

 では、またの機会にお会いしましょう。
                                               (2006.06.10)


■更新履歴

 ●Ver.1.00 初稿完成、Web公開開始(2006.06.10)
 ●Ver.1.01 誤字修正、表記ゆれ修正、追記など(2006.06.11〜12)
 ●Ver.1.02 レビュー部分を一部追記修正(2006.07.14)
 ●Ver.1.03 一部補記追加など(2006.07.29)
 ●Ver.2.00 「まるねこ!」コメント追加(2006.09.03)
 ●Ver.3.00 「フォセット」コメント追加、一部補記&反転処理(2007.04.01)


[EOF]



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