■はじめに
PCゲームの投稿レビュー記事を書くのも久しぶりかと思いますが、
今回は2005年11月にリリースされた、「智代アフター」について語ってみようかと。
今回の作品ですが、元々は前作「CLANNAD」開発時に没になったお話が元で、
CLANNADで出来なかった諸々を詰め込んで一本のゲームになってます。
タイトルだけ見ると、「智代さんを主軸にしたファンディスク」だと思われがちですが、
そのつもり(ラブラブハッピーストーリーの類)で買うと、イタイ目に遭う作品ではないかと。
ただ、CLANNADのトゥルーエンドに到達した人ならば、
あの結末もきちんと受け入れ、更に智代さんが愛おしくなる事、請け合いかと思います。
…実際、私もそうなりましたし。
一応お断りしておきますが、まだ未プレイの方も多いかと思われます。
今回はかなりの部分でネタバレを含むと思われますので、
その手のコメントが嫌いな方は以下文章を読まないことをお勧めします。
(一部、それとなく匂わせている表現もありますが、当たらずとも遠からずですので)
では、人生の宝物を捜す旅に出ましょうか… <クサッ
■プロローグ
――つらいとき、支えてくれたひと。
喜びを、分かち合えたひと。
哀しみを、癒してくれたひと。
――それは、わたしの、たからもの――
***
主人公、岡崎朋也は、学園を卒業し、町外れの廃品回収会社に就職していた。
紆余曲折の末、元生徒会長の坂上智代と恋人となり、
あわただしくも充実した日々を送っていた。
彼の新居であるアパートには、学校帰りの智代が通い詰め、
元気になった智代の弟、鷹文までが居候状態になっていた。
そんなある日、鷹文が一人の小さな女の子を連れてくる。
智代たちの父の隠し子、とも。
やがて、鷹文の元彼女、河南子までが転がり込んできて、
岡崎家は擬似家族の様相を呈してくる。
そして、夏休みを迎え、5人の少年少女は沢山の事を学んで行く…
■ストーリーとか
「智代アフター」の名のとおり、攻略対象は智代さんただ一人です。
バッドエンドはいくつかありますが、シーンコンプの関係上、最低一個は見る事になります。
何か他の某視覚芸術作品に、似た様なシチュエーションがありますが、
まさか現代世界を舞台にしたドラマで、超級にイタイEND(心中系)を出すわけにも行かないでしょうから、
…そういうENDに落ち着いたのかなと。
とは言いつつも、そこそこしょんぼりするENDである事は間違いないですが。
そんなわけで、シナリオ自体は一本道で割とあっさりと終了します。
ただ、前作「CLANNAD」でも有った、
「攻略には全く関係ないお遊び選択肢」が多数ありますので、
迷ったらセーブして全部試してみるとか、
システム画面で「前の選択肢に戻る」なりして楽しんでみてはいかがかと。
後、思いっきりネタバレになると思われましたので、
詳しい内容は下の妄想プレビューとか、所感とかで書いてみました。ご参考まで。
■システムとか
きわめてオーソドックスなアドベンチャーゲームのスタイルですね。
これまたCLANNAD(PC版)との比較になりますが、
今回KEY初のフルボイス作品という事もあって、バックログ時に音声が再生できます。
…ただ、やはり「読ませるゲーム」ですので、
バックログ時には全画面表示にして欲しかった気がします。
後、起動時に常にディスクが必要になりますので…
見失ったが最後、ゲームが立ち上げられなくなります(汗)。
■グラフィックとか
KEY作品と言うと、「樋上いたる」氏がデフォルトですが、
今回は「ゆきうた」「そらうた」(何れもフロントウィング扱い作品)でおなじみ、
「フミオ」氏が担当されております(氏はイラストレーターとしても活躍中です)。
本作は外伝みたいな扱いですし、
連チャンで原画家働かせるのはメーカーの意向もあって、フミヲ氏にお願いしたのではと。
(2006年3月時点では、次回作「リトルバスターズ」で、樋上氏が原画を担当されています)
発売前に取り沙汰された絵的な雰囲気ですが、
ゲーム始めてみたら、何処かへ行ってしまいました。
個人的には、智代さんの横顔っぽいCGが好きだったり。
正面向いている絵も捨てがたいですが、個人的にはこれを。
むしろ、当初違和感を覚えたのは、季節が夏だという事で、
学園の制服が夏服になっている事でしょうか。
(前作での露出は殆どなかったもので…渚の夏服姿がちょっとだけ有ったり)
ゲーム中で使われている立ちCGは基本的にバストアップのものが多いですが、
相変わらず、表情が異様に多かったり。
…冗談抜きで、鷹文は100人いるのではないかと(笑)。
今回、全年齢から18禁作品になっているという事で、
絵的にはかな〜り濃い目のCGが増えてます(笑)。
ただ、内容がそれに伴っているかと言うと、個人的にはそれほどでもなかったように思えます。
…自分のキャリアが長すぎるせいなのか、
絵的には濃厚なのに内容はちょっと淡白な印象を受けました。
てなわけで、世間では「朋也は変態だ」とか言われてますが、
プレイ後の感想としては、「割と普通だった」という印象が強いです。
…ま、最初からそんな面の期待はしていませんでしたが(苦笑)。
■サウンドとか
今回はソロヒロインという事もあってか、楽曲数は少なめですね。
インパクトのある曲は少ないのですが、どれも雰囲気にマッチした感じで、良かったと思います。
個人的に気に入ったのは、主題歌の「Light colors」でしょうか。
CLANNADの「メグメル」が幻想的雰囲気を持たせていたのに対し、
こちらは、スピード感とパワフルさを前面に出したような感じですね。
今回、ファンタジー要素は一切入っていないので、こんな風になったのかもしれません。
BGMでは、何故かオマケゲームのバトル部分で流れてくる曲が気になっていたり。
…特にボス戦のときに流れてくる「resonator」とか。
本編のプレイ時間が短いので、そう感じてしまうのかもしれません(汗)。
(ちなみに妄想プレビュー書いているとき、桜並木のテーマとか、
幻想世界のテーマとか、脳内リピートしてました)
■シナリオランキングとか
基本的に一本道なので、これという評価はしにくいのですが、
やはりストーリー順にだんだん内容が上がっていきますので、
最終エピソード(智代)>とも編>鷹文編>朋也編
…といったところに落ち着くかと思います。
あんまり語ろうとすると、ネタバレだらけになってしまいそうなので、このくらいで(滝汗)。
■キャラランキングっぽいものとか
こちらに関しては、まあ、いつもの通り、好きな順で並んでいる、と思っていただいて構わないです。
後は、語っている内容で判断していただけば幸いです。
●智代
今回、主役という事もあり、かなり大変な目に遭いましたが、それを乗り越えて行く強さに、惚れました。
智代さんというキャラは、ある意味自立した女性の代表格みたいな方ですが、
そんなスーパーウーマンにも、恋愛沙汰にはてんで弱かったり、
やはり女性であるがゆえの、感情で物事を判断するヒステリックな一面とか(苦笑)、
色々見られて楽しかったです。
どんな人でもそうでしょうが、完璧な人格なんて存在しないわけで、
情に流されて正確な判断が出来なかったり、途中で諦めてしまったり。
智代さんは基本的に芯の通った素敵な方ですが、
それでも、脆い部分というのはやっぱり有って、
それを乗り越えた後、さらにステキな女性になってました。
色々な事件を通して、人間的に一回り成長した、というべきでしょうか。
「(晴れて一人身になったんだから)僕とけっこn(蹴)」 <128HIT
●朋也
「CLANNAD」の智代ル−トの最後で、「頑張るから」と約束したとおり、
今回はかなり頑張ってくれましたね、すっげぇカッコ良かったです。
とも編での活躍についてですが、前作を最後までプレイした方なら、
彼の行動が理解できるかもしれません。
…当作品内での朋也が、「それ」に気付いていたかは分かりませんが。
「根性、こんじょう〜ド根性〜、泣いて笑って喧嘩して〜、憎いよこの〜(略)♪」 <ヤメレ
●河南子
鷹文と並んで、どっちかというと「お笑い担当」の彼女ですが、こういう人、結構好きだったり。
この手の世界で言う「親友キャラ」っぽいですが。
オマケゲーム中ですが、
「私の辞書には、『萌え』という単語はないっ!!」と言い切ってしまう辺り、凄いなと。
尻に敷かれる鷹文の姿が目に浮かびます…(合掌)…
●鷹文
前作「CLANNAD」では、朋也の悪友として春原君が色々といぢられてましたが…
本作では春原君が実家で家業を継いでいる関係上、すっかりギャグ担当になっていたり。
イベントCGの類はかなり少ないのですが、ヒロイン並に立ちCGのバリエーションが有ったような…。
グラフィッカーさん、かなり大変でしたでしょうね…お疲れ様でした。
それだけスタッフの方にも愛されている証拠、だという事で。
河南子と、幸せになってくださいませ〜 <棒読み
●とも
やっぱり子供ならではの無邪気さがかわいいですね…
…こんな娘がいたら、もう毎日が楽しくて仕方がないでしょうね、多分。 <羨望のまなざし
敢えてその後は語られておりませんが、きっと、強く、たくましい少女に成長していることでしょう。
やっぱり子供と女の子は、笑顔が一番だと思います。
…そんな事を思わせるキャラでした。
■妄想プレビューとか(智代さんモノローグ風味) *注意:ネタバレ満載
――まずは、馴れ初めから話そうか――
最初にあいつと出会ったのは、学園の廊下だった。
当時私は編入したばかりで学園にまだ馴染めなかった頃だった――
そんな春の日、春原とおまえは、私の前にやってきた。
おまえは春原の付き添いだとか言っていたが、正直、
「春原がどんな目に合わされるのか」楽しみにしてやってきているようだった。
――思えば、最悪の出会いをしていたのだな――
何度かあらぬ因縁をつけられ、春原を都度、撃退してきたが、
いよいよ人を男扱いする段になって、お前が一人で私の所に来るようになった。
私には、この学園に来た、目的があった
――私の家族の絆を取り戻してくれた、鷹文のために
――あの時見た、桜を、もう一度、ふたりで見上げるために――
いよいよ生徒会会長選挙に立候補する事になった。
私とお前、それと春原の3人で、いろいろ支持を取り付けて回っていたな――
そして、会長に当選した。
いつの間にか、私と同じ匂いを持つ、お前に惹かれていた――
しかし、お前は――
素行不良のお前が、私と付き合う事を快く思わなかった学校側は、別れるよう言ってきた。
私は、会長としての責務と、恋人としての自分を両立させる自信が有った。
なのに、お前は――
――私の前から、離れる事を選んだ――
――冬になっていた。
桜の坂道は雪に覆われ、私は会長職を辞する事になった――
――目的は、果たしたから。
私が鷹文のためにしてやりたかった事、それが叶ったから――
――今度は、私自身のために――
「ずっと安心してもらえるよう、がんばるって、誓うから、…
だから、智代、一緒にいてくれ…」
***
季節は過ぎ、夏になろうとしていた。
お前は町の廃品回収業に就職し、一人暮らしを始めていた。
いつの間にやら、弟の鷹文までおまえの新居に居ついていて、
なにやら男の友情みたいなものを発揮しているようだが…
まあ、その、なんだ…。
わが弟ながら、デリカシーに欠けるというか、何と言うか…。
そんなある日、鷹文が一人の子供をつれてきた。
――名前は、「とも」――
――私達家族が、バラバラになっていた時期――
――私が、荒んで、家にも帰らずに、ただ、ケンカに明け暮れていた頃――
――父さんは、愛人をつくって、子供までもうけていた。
――どうして、こんな小さな子に、辛い思いをさせるのか。
――理由が知りたい。
父さんの事は愛していなくとも、子供を私達に託す理由が――
母親と会うことが出来たが、取り付く島もなかった。
感情に乏しいその表情からは、何も知る事が出来ず、
――ただ、呆然とするともを、必死になぐさめる私がいた――
まだ結婚もしていないのに、子供ができたようだった。
――こういうのを、家族の幸せ、というのだろうか――
今度は、おまえが一人の女の子を連れてきた。
鷹文を捜して、結局朋也のアパートに居座る事になった、その子の名前は、「河南子」――
鷹文が事故に遭った3年前、確か一緒にいたはずだったが…
二人の間に何があったのか分からないが、ここに来たという事は、…
――河南子もまた、何かを求めて、ここに来たのだろう――
***
――俺は、情けないやつだった――
生徒会長として、輝かしい未来を歩き始めた彼女に対して、俺は――
――ただ、怠惰な日常を、繰り返していた――
そんな俺のところに、彼女は、智代は帰ってきてくれた――
共に過ごした日々は短かったけれど、楽しくて、輝いていたと思う――
失ってみて、いやという程、思い知らされた。
――だから、頑張ろうと思う――
――彼女との、幸せを、守るために――
彼女が誇れる、男になるために、頑張ろうと、思う――
***
朋也が、明らかに喧嘩帰りだと分かる、怪我をしていた。
訳を聞いてみたが、「俺を信じてくれ」の一点張りで、話してくれなかった。
――いつか、必ず、話してくれるな?――
今は成り行きを見守ることしか出来ないのが、とても悔しかった。
***
――これは、言うならば、彼女の、負の産物というべきか――
でも、彼女に、やらせてはいけない気がした――
彼女は、もう、普通の女として、生活しているから――
闇雲に暴力を振りまいていた頃を思い出すものは、彼女から遠ざけたいから――
だから、おれ自身の手で、決着を付けなくてはならない。
――この先も、強く、あるために――
***
――僕は、まだ、走り、続けている――
今度も勝って、先生に、「河南子を下さい」って、言うために――
――でも、その機会は、永遠に、失われてしまった――
――バラバラの、家族。
姉ちゃんの事もあったから、僕は、全てが、イヤになって――
――気がついたら、車の前に、飛び出していた――
***
――にいちゃんの根性に負けて、全て、話す羽目になった――
姉ちゃんには話すなっていったのに、もう、話されていた――
「鷹文、この大会に参加するんだ」
――有無を言わせない、凛とした、強制だった。
***
――苦しい――
…くるしい…
ただ走るだけの事が、こんなにも苦しかったなんて…
――昔の事を、思い出していた――
先生と出会い、陸上と、出会った頃の事。
河南子と出会い、付き合い始めた頃の事。
大会で勝つたび、先生に、「河南子をくれますか?」と言っていた頃の事――
――先生、あなたはいつも、「まだまだ河南子はやれんなぁ」と言ってましたね――
――ごめんなさい――
――負けちゃった僕だけど、先生の期待には応えられなかった僕だけど――
「河南子との事、許して、くれますか――」
「――許すよ――」
***
――負ける事によって、得るものもある――
人の真価が試されるのは、勝利ではなく、敗北においてかもしれない――
――鷹文は、あの日から、止まっていた――
それは、永遠に解けない、呪いのようなもの――
――いつまでも悪夢が続いているというのなら、それは、終わらせなければならない――
続けるためではなく、終わらせるために、走らねばならない――
――前へ、未来へ、進んでいくために――
――大丈夫だ。おまえには、河南子がいる――
***
鷹文の協力もあって、ともの母親の居場所が、漸く見つかった。
行って、直接、話がしたい――
――どうして、ともを捨てたのか――
――私は、ともを、引き取りたい――
その確証を、得んがため――
――初めて、朋也と、意見が分かれて、喧嘩した――
無茶だ。こればかりはいくらなんでも、無理だ。
なぜだ。どうしておまえは、ともにまた、つらい思いをさせようとするのだ…
おまえは、ともが、可愛くないのか?
大切なものを、また傷つけてしまうのなら、いっそ知らないままの方が幸せではないのか?
…わたしには、させられない…
――だから、諦めて、私と一緒に、帰ろう――
――おまえが望む事なら、何でもするから――
***
――夢を、見ていた――
――肉欲におぼれ、周りを見失った自分を。
鷹文と河南子が居なくなった事も気付かず、
逃げるすべを持たぬともだけが、取り残された、私達の姿が――
――そうだな。
――こんなのは、私らしくない――
***
今度は、朋也が、事故に遭ってしまった。
だが、それをきっかけに、村人達が協力を申し出てくれた――
――すまない、朋也――
私が、わがままだったばっかりに――
――私は、荒んでいたあの頃と、何も、変わっていないな――
――理屈では、それが正しいと、分かっている――
でも、ともを幸せにすると、約束した――
つらい思いはもうさせないと、あの日、約束したから――
「――いいかい、とも、よくお聞き――
――それでも、ともはお母さんと一緒に、暮らしたいかい――」
「――約束だぞ――
――この先、どんなつらい事があっても、絶対、乗り越えてみせるって――」
***
――あれから、どれほどの月日が流れたのか。
――ひとり、肩を震わせ、枕を濡らした事も、一度や二度ではなかった――
――徒労に終わるかもしれない。
――ずっと、このままかもしれない。
――それでも、諦めない。
――ともと、約束したから。
――ほかならぬ朋也が、諦めないことを、教えて、くれたから。
――だから、私は、今度も、乗り越えてみせる。
――いつか真実を告げ、おまえを、取り戻すことを――
――積み重ねてきた日々を失った事は、とてもつらいことだ。
――それでもまた、いつか未来へと積み重ねる日々が帰ってくるのなら、それでいい――
――それが、私の、幸せ。
――愛するものと共に、日々を積み重ねてゆける、幸福。
――振り返ると、思い出す。
――あの輝いていた日々を。
――思い出すたび、胸に、去来する。
――人生とは、かくも素晴らしいものであると――
***
――智代には、すごい力があったと思う――
立ち尽くしていた俺や鷹文を、導いてくれた――
おまえ自身が立ち止まってしまったとき、助ける事が出来て、本当に良かったと思う――
俺はもう、おまえを手伝ってやる事は出来ないけれど――
一緒に、積み重ねてゆく事は出来ないけれど――
伝えてくれ、俺たちの軌跡を――
導いてくれ、もっと沢山の人たちを――
――おまえなら、きっと、やり遂げられるはず――
――だから、
――愛しているよ、智代――
***
――たいせつなものは、みつかりましたか――
あなたのために、本気で怒ってくれる人は、みつかりましたか――
あなたのために、涙を流してくれる人は、みつかりましたか――
――ともに支えあい、よろこびを分かち合い、哀しみを癒してくれる人は、みつかりましたか――
――みつけてください――
――あなたの、
――小さいけれど、たいせつな、たからものを――
■所感とか、考察っぽいものとか
●前作「CLANNAD」との関連性について
前作「CLANNAD」は、渚と朋也の物語でした。
渚と智代を比べてみると、いろんな面で、全く対極の位置にいますね。
渚というキャラは、とにかく体が弱くて、そのせいか引っ込み思案で、
思わず守ってあげたくなるような、そんな、ヒロインでした。
そんな人並みの生活すらままならない彼女が、
朋也と出会い、恋をして、戸惑い、躓きつつも、周りの大人たちに温かく見守られ、
子供をもうけ、幸福を手に入れるまでの物語でした。
対して智代というキャラは、親からの愛情をあまり受けず、
それゆえに荒れ、そのくせ心の奥では(家族)愛を求めているキャラでした。
弟の事故をきっかけに、見事に更生し、頑張って進学校に編入し、生徒会長にまでなった、
頑張り屋さんでもあります。
そんなスーパーウーマンな彼女が最後に望んだのは、普通の暮らし。
彼女が既に完成された?人間に近い関係からか、
渚の時と違って、見守り、導く立場からの物語になってますね。
CLANNADにおいては、渚と朋也は、秋夫&早苗夫妻の助力とか、
芳野さん、公子さんらとのふれあいを通じての、成長が描かれていますが、
今作では智代と朋也のコンビが、鷹文、河南子、ともを導いていってますね…
ともの一件に関して、智代と朋也は、アフターストーリーENDの古河夫妻っぽい立ち位置になってますし。
そういう意味でも、CLANNADとは対極の位置にある感じがします。
…だからこそ、CLANNAD開発時には没になり、別タイトルのゲームになったのかもしれません。
●エンデイングの是非について
リアリスト的な見地からすれば、「永遠の愛は存在しない」と言うべきでしょうが、
果たしてそうなのかなと。
言葉を変えてみましょう。
「神様は存在しない」とか。
結局の所、信じる人たちにとっては、間違いなく神様は存在しますし、
それと同じ事で、永遠の愛を信じる人には、それは間違いなく存在するものだと。
もっと他の例を挙げてみましょうか。
教会で結婚式を挙げる(=永遠の愛を誓う)際、
「健やかなる時も、病める時も、死が二人を分かつまで…」って、誓いますよね。
…ゲームクリアされた方は気付くかもしれません。
まさに、『病めるとき』、あの二人はどうなりましたか?
あんまり話題にもなりませんが、近頃は痴呆の夫や妻の介護に絶望し、
無理心中を図る事件だって起こっているわけで、
それに比べれば、あの結末は十分美談の内に入るのではないかと。
そんな考えも有って、私自身は、あっさりと受け入れてしまっています。
ていうか、あそこまで尽くされたら、惚れるしかないでしょう。 <断言
●おまけゲーム(D&T)について
これについて語るべきかは、ちょっと悩んでしまいますが、少しだけ。
これまた、CLANNAD開発時に、オマケとして企画されていたものの一つだったり。
(一例を挙げると、ToHeart2のミニゲームのようなもの)
勿論、開発スケジュールの都合で、あえなく没になったものらしいですが。
(やっていたら、CLANNADの開発が4年では済まなかったという話も)
このゲーム、作中作の扱いで、2周目に出てくる、ある選択肢を選ぶ事でプレイ可能になります。
朋也、智代、河南子、とも、の4人でパーティを組み、
ダンジョンの最下層、50階を目指すゲームなのですが…ハマりました。
レベルを上げて行くと、色んな技が使えるようになっていきますが、
各キャラクターの個性に応じた、楽しい技の連続で、
技発動時のボイスとかを含め、ファンなら思わずニヤリとするものも。
そういった軽いノリに比して、ゲーム自体は特に最終局面が超難度だったかと思います。
(筆者は時間制限ギリギリでクリアしました)
こういうのやると、キャラクターへの愛着が異様に湧くんですよねぇ…(汗)
「いでよ、へんなの〜〜〜」 <バカ
■謝辞
さて、今回もそこそこ長いレビューになってしまいましたね…
最後までお付き合いいただいた皆様に、感謝いたします。
なお、プレビュー文ですが、筆者の妄想が入り混じっている関係上、
本編では出てこない表現も一部あったりして。 <確信犯?
一応ですが、ご意見・ご感想・誤字脱字の指摘とか、その他ご質問とかについては、
当サイトのBBSまたは直接メールにてお願いいたします。
では、またいつか、お会いしましょう。
(2006.03.05)
[EOF]
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■「智代アフター」(KEY) 投稿レビュー