有事法制に反対する君津地域市民連絡会
2.11を考える会集い
 講演:「情勢の特徴と私たちの課題」
−イラク・朝鮮・そして日本−
横堀正一さん(元千葉県高教組委員長)
 「2.11集会における声明」
平和・人権・教育と文化を考える会、千葉県高教組君津支部
 2.11を考える会呼びかけ文
平和・人権・教育と文化を考える会、千葉県高教組君津支部

   日にち : ’04年2月7日(土)
主催 :平和・人権・教育と文化を考える会、千葉県高教組君津支部
リポート : T.M.さん
講演:「情勢の特徴と私たちの課題」
−イラク・朝鮮そして日本−

 講師:横堀正一さん(元千葉県高教組委員長)
 当日のレジュメと聴講メモから
(通常国会 1月19日〜6月16日=150日間,参院選6月24日公示,7月11日投票)

1.’04国家予算(借金財政・軍事費増大・生活破壊)。補正予算(イラク無償資金供与15億ドル=1600億円のうち1188億円計上)。
  *税収見込み41兆7000億円(歳入の50%強),国債新規発行36兆5900億円(依存44.6%),国債発行残高(国と地方)719兆円,GDP比120%。
   07年〜消費税引き上げ。
   軍事費−MD導入(将来6兆円規模に)など

2.有事関連法整備(「国民保護法制案」,米軍行動円滑法,自衛隊行動円滑法,交通・通信総合調整法など)。
   「訓練」を通した日常の準戦時化−自治体の「実施要領」(鳥取(住民避難マニュアル」)。
   ジュネーブ条約追加議定書批准に伴う国内法(非人道処罰法案,捕虜に関する法案)。→ 陸上戦を中心にしながら,敵を捕まえるというところまで議論されるまでになっているということを示すもの。
   現地調査前に「安全」の報告原案のデッチ上げ。

3.自衛隊法「改正」(海外活動を「主任務」に)。
   「武器輸出3原則」見直し問題−民主・菅「MDの必要性は感じている。見直しが必要か検討の余地がある」。
   情報通信省構想(1・16小泉)。「武器商人」へ−武器共同開発(1・13石破)。→ 日本の技術レベルが高いと経団連は自負している。情報通信省構想は一端提起をしてその後話がなかった。住基ネットが稼働して,国民保護法制ができあがってくると,情報管理は政府にとって不可避の問題となる。
   米・日・オーストラリアのMD網の目的。→米軍の太平洋での再配置を狙っている。

4.イラク派兵の国会承認。陸海空三軍の本隊派遣へ。
  「従軍記者」。報道規制(自粛要請)。→ 統制が始まっている。
  「ジハード」「レジスタンス」−「ベトナム化」(人的消耗,反米,待ち伏せ−組織性・計画性)。
  ユニラテラリズムの失敗−軍事的,政治的(CPA・暫定占領当局と「統治評議会」),経済的(イラクの借金1200億ドル)。
  前米大量破壊兵器調査団長・デービット・ケイ証言(04・1)「大量破壊兵器なし。分析は間違っていた。誤った経緯を外部機関に検証させる必要がある」。ブッシュ「私も真実を知りたい」(04・2)。
  政権委譲後も駐留継続を明示,トルコ・クウェート基地との連携 → 中東支配=中央アジアからアフリカまで狙う。
  「復興事業」の受注(米多国籍企業ハリバートン23億ドル,ベクテル10億ドル。日本=住友商事(携帯電話の通信設備受注),三菱重工(MD推進役,02年防衛庁との契約額3481億円),川崎重工(同,1102億ドル)。→ イラクがらみの軍需産業化が顕著になり始めてきた。
  「海外派遣自衛隊員を支援する国会議員の会」(1・29設立−自民138,公明13,民主31=186名。事務局長・民主)。英BBC「第二次大戦以来,初の戦地派遣」米CNN「歴史的なイラク派兵」,AP「第二次大戦以来,日本の最も危険な派兵」。
  *「イラク支援殉職」=国家公務員災害補償法の準用(年金または一時金),賞じゅつ金9000万円,首相特別報奨金1000万円,遺族特別支給金,自治体支給金,派遣特別手当(日額3万円),防衛庁職員団体生命(国公災と合わせ数千万円),民間損保大手7社「PKO保険」適用(死亡,後遺障害−最高1億円,掛け金1ヶ月15610円)。
  *市ヶ谷・防衛庁敷地内に追悼・慰霊場の完成(03・9)−6億円。死者の美化の始まり。国家としての追悼。特注棺桶,特注日の丸。→ 橋龍が,先日「殉職された隊員をどのように礼を持って迎えるか」といっていた。特注棺桶・日の丸の準備は終わっている。

5.改憲国民投票案,国会法「改正」(過半数問題−有権者,投票総数,有効投票数)。→ 国政選挙と絡めてやられようとしている。07年,総選挙を目途にしている。
  民主・菅「憲法の還暦(06年=公布60周年)までに民主党案を出したい」「(9条)解釈改憲は健全な憲法運用ではない。ここから改正論議を始めたくない」(マニフェスト「論憲から創憲へ」)。「9条回避せず」。「全条文議論」「市民革命」論による真の争点の回避,国民・住民投票,国と自治体の関係,財産権,環境権など。
  小泉「民主と一緒に」。毎日「民主,第二自民に」。
  民主02・7報告(鳩山)「集団安保活動に積極的選択を」「多国籍軍に実質的に意味を持つ形で参加する選択肢を持っておくことが重要」

6.朝鮮問題。
  外為法「改正」成立。→ 目的は,朝鮮に対する送金を止める。極めて遺憾な事態。反対したのは共産党だけで決まってしまった。
  「特定外国船舶の入港の禁止に関する法案」「再入国禁止法」。→ 制裁は,国連の決議で行ったり,多国間協定でやるのが通常だが,日本は法律で決めてしまった。国際的に入港は保障されている。それを入れないという法律。直接の狙いは朝鮮。再入国禁止法も狙っているのは朝鮮。国際人権規約に違反する。
  「拉致問題特別委」設置問題(1・16国体委員長会議で見送り決定)。アメリカの意図。アフガン,イラクの先例。朝鮮の「位置」。米軍の「トランスフォーメーション」(韓国,沖縄,三沢−情報機能の拠点化,ハワイ,グアム)。
  *拉致問題(北東アジア課首席事務官訪朝,ソン・イルホ朝鮮外務省副局長らと平沢勝栄らとの北京会談「平壌出迎え,帰国」論など)。
  政府間交渉,六者協議を巡る動向。
  国内=在日朝鮮人「対策」(朝銀,総連施設,学校,大学受験問題など)。

7.裁判員制度法案。
  労働災害保険の民営化問題(民間保険会社へ。労働災害の国家・企業責任の放棄,労災の「私事」化,公的強制保険制度の廃止)。
  地公法「改正」案(地公の雇用期間限定,短期間勤務制度など)。地方自治法「改正」案(渡島府県合併の際の手続きの簡略化−住民投票を省く。県議会決議−知事の申請−国会決議)。
  「高齢者雇用安定法「改正」案(次期通常国会の方向。65歳までの雇用継続の義務化。大企業3年,中小5年間猶予期間。就業規則で選抜の基準など可能)。
  労使紛争の和解制度の法制化の検討(金銭和解を含む)。
  「敗訴者負担制度」の検討。

8.年金「改革」関連法案(毎年0.354%保険料引き上げ,18.35%へ。給付率の削減,年金課税の強化など。中長期構想を論議するための協議期間設置を自民が民主に呼びかけ)。
  補助金関連事項(道路公団民営化関連法案−通行料金は新線の建設には回さないが,担保にして建設資金を調達することは認める)。
  義務教育国庫負担制度の見直し(「税源委譲予定交付金」化に伴う改正法案。将来,一般交付税化の方向。教育基本法「義務教育無償」原則,教育条件整備の行政責任の放棄,教育条件格差の放置,教育民営化への接近)。
  「栄養教諭」創設(05〜)関連法案。

9.その他
 *教育基本法=通常国会は見送り。公明の反対。参院選の争点化回避。
   「国を愛する心」「公の精神」「宗教教育の尊重」。
   学校体系の弾力化。教師の「責務」。家庭責任。
   「教育振興基本計画」。
   先取り実態−「日の丸・君が代」,統廃合・学区解体。低学力論と学習指導要領。「不適格・指導力不足教員」。業績主義(評価),シラバス,公設民間委託方式,産官学提携,FA制度など。
   「統治行為」としての教育。「ネオリベラリズム」(競争,市場原理,自己責任)とナショナリズム(愛国心,日本人としての自覚)の統合。「エリートは100人に一人でいい。非才・無才は実直な精神を」(三浦)。エリート,資本,国家への服従。
 *育児・介護休業法改正=「一年以上雇用され,子が1歳をこえても雇用義務が見込まれる」有期雇用者。
 *「知的財産高等裁判所」(仮称)設置法。
 *介護保険=05年に向けての見直し開始。
 *「防衛計画大綱」見直し。三原則見直しと並行。「専守防衛」から「海外活動」の本務化へ。
 *憲法調査会最終報告のタイミング。07年=夏・参院選,11月衆院任期満了。日経改憲論における25条廃止論(「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」「社会福祉,社会保障」。
 *海外派兵恒久(一括)法。民主「国連待機部隊」創設論。

−護憲運動をどう進めるか−再び戦争・増税・生活と権利の総破壊の再現を許さない!
 (1)7月参院選での護憲の共同候補,共同名義実現の努力。自治体選挙での努力。
 (2)3・20集会(「イラク開戦一周年世界同時反戦平和行動WPN」)への結集。
 (3)憲法改悪反対署名の推進と5・3集会への結集。
 (4)「憲法を生かす会」の拡大と地域学習会,宣伝。地域の護憲勢力の結集,地方自治体・議会への働きかけ。
 (5)「署名運動」を担うことの出来る運動体の形成。

−労働運動に期待すること−
 (1)情勢認識を統一しよう=構造的「大状況」と労働者状態の相関性。
 (2)どこから,何を始めるか。
 国会は2/3以上が改憲派になってしまった。共産,社民が反対しているが極小勢力。経団連は「憲法25条(国民の生存権の項目)はいらない」といっている。規制緩和の時代に入ったのだから,25条は削除していいといっている。
 この状況をどう変えられるか。共産,社民は頑張ってもらわなければならない。民衆の運動をどう作っていくか,統一戦線が必要。情勢は極限的に来ている。知恵を寄せよう。有事に関連した,自治体のマニュアルづくりが進んでいる。これとの闘いが重要。
2.11集会における声明

平和・人権・教育と文化を考える会、千葉県高教組君津支部
 昨年11月29日イラク北部テイクリット近郊で遂に目本人外交官二人が何者かによって殺害されるという痛ましい事件が起きました。今日に至るもイラク情勢は多数の犠性者を出すなど日々悪化の一途をたどり、米英軍当局さえ「イラク全土が戦争状態」と認めています。

 そもそもアメリカのイラク戦争は,何の正当性もない不当な戦争です。開戦の唯一の根拠であった大量破壊兵器は,いまだ見つかっていません。先月までアメリカ政府の現地調査団長をしていたデビット・ケイ氏が、開戦時の大量破壊兵器の存在を否定する議会証言をして今アメリカ政府を揺るがせています。

 このような状況の中で小泉内閣は、イラク人道復興支援と言う名のもとに自衛隊出兵を決定し、1月22日には航空自衛隊輸送部隊、2月3日には陸上自衛隊本隊をイラクに派兵しまレた。

 自衛隊はイラクでアメリカ軍占領軍の指揮下ではなく、日本自衛隊独自の行動でイラク人道復興支援を行うと政府は声高に言明していましたが、1月27日の国会での議論の中で遂に嘘であることが判りました。即ち米英占領軍の指揮下で作戦行動を行うことになっているのです。武器を携えた自衛隊を戦闘地域のイラクに出兵することは、日本が、国際法に違反している米英のイラク攻撃と占領を日本が積極的に支持し加担することを意味します。此れは、米英占領軍による占領行政の一翼を担うことであり、日本国憲法が禁止している交戦権の行使にあたる事は日本政府自らが従来言ってきたことです。

 私達はこの様な自衛隊の出兵に反対し、イラクの復興支援は、イラク人によるイラク人の為の政府が成立した段階でこれらの人々の意向に基づいた復興支援に協カすべきものと考えます。私達は自衛隊のイラク出兵を直ちに撤回する事を求め、更に大きく運動の輪を拡大することを宣言します。.

               2004年2月7日            参加者一同
(資料) 2.11を考える集会 呼びかけ文
2月11日を考える集い
−イラク派兵・北朝鮮問題をめぐってー


平和・人権・教育と文化を考える会、千葉県高教組君津支部

政府は、129日、自衛隊のイラク派兵基本計画の閣議決定をおこないました。現在、イラクの状況はますます戦場化し、連日アメリカ軍などへの攻撃が続いています。1129日には、日本人外交官2人が殺害されるなど、痛ましい事件も発生しました。こうした深刻な泥沼化の原因は、米英軍が引き起こした無法なイラク戦争と不法な占領支配にあることは明らかです。これらのことが、イラク国民の怒りと憎しみを呼び起こし、暴力とテロの土壌を広げる原因となっているのです。

一方、一昨年9月以降、マスメディアに朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)の情報ののらない日はないようになっています。この百年の間に日本が朝鮮半島にどう向きあってきたのかを問うことなく、未清算の過去に目をつぶり、拉致、核問題に、適当な調味料や薬味をそえて、嘲笑、軽蔑の競演が日々続けられています。

 それだけではありません。小泉首相は、日本が米国に追従して「集団的自衛権」を行使できるよう、日本国憲法第9条を改悪する意図をあらわにし、自民党に対し、2005年11月までに改憲案を作成するよう指示しました。そして自民党は今年の通常国会に、改憲のための「国民投票法案」を提出しようとしています。
本格的な「戦争国家」化、「派兵国家」化、そのための憲法改悪……、こういう危険きわまりない情勢に歯止めをかけ、この国を平和への道に向け直したいと願う人びとが現在、活発に全国で反戦の活動を展開しています。

 今年は、日本が、平和を求める世界の大きな流れに合流するのか、アメリカの無法な戦争に協力する道をさらにつきすすむのか、重大な選択が問われているといえます。毎年、この地域において私たちが持っている「2月11日を考える集い」ですが、今年はイラクへの自衛隊派兵や北朝鮮問題を取り上げ、現在の日本の情況と私たちの課題を、ともに考えてみる機会にしたいと考えています。
 ぜひ多くの方々に参加していただきたいと思います


   主催:平和・人権・教育と文化を考える会
           千葉県高等学校教職員組合君津支部