技の極み 森口華弘



高度な蒔糊技術の創造と細密にして大胆なデザイン。森口華弘は昭和42(1967)年、57歳の若さで重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)に認定されました。以来、平成20(2008)年に逝去されるまで、国際的にも評価の高い芸術的な作品の数々を生み出してきました。



■森口華弘
明治42(1909)年、滋賀県守山市に生まれた森口華弘(もりぐちかこう)。小学校を卒業後、京都の薬局での丁稚奉公中に書いた絵が人目に留まったことがきっかけで、友禅作家中川華邨(かそん)に弟子入りします。また、同時期に、四条派の画家・疋田芳沼(ひきたほうしょう)に就いて日本画を学び、昭和14(1939)年に独立。
その後、博物館で見た漆蒔絵を参考に、蒔絵の伝統的技法である梨子地と伝統の染め技法である撒糊を組み合わせた独自の技法により創作的な技術を完成させました。

<森口華弘>染帯 980,000円


<森口華弘>染帯 980,000円


<森口華弘>染帯 980,000円



森口華弘は、平成20(2008)年に98歳で亡くなられるまで、貪欲に制作活動と後進の指導に当たってこられ、その魂と技術は息子さんの森口邦彦さんに受け継がれました。邦彦さんは父の姿を見ながら京都で育ち、日本画や建築・グラフィックデザインなどを研鑽の後、気品と革新性を備えた友禅を創作し、やはり父と同様重要無形文化財保持者として認定されました。短い期間とはいえ、親子が同時期に重要無形文化財保持者に認められたのは、伝統工芸の分野で制度史上初めてのことでした。
PC用サイトはこちら