結論から言えば、「それなりに面白かった・・・」である。私の中では他のゲームと比べれば、5段階評価で最高のAであることに変わりはない。が、しかし、キングスフィールドとして評価すると、Cか・・・いやDか・・・。
ゲーム開始直後、その素晴らしいCGと、NPCが無声なこと・殺せること、そして第一印象としての世界観も良く、私の中では「やっぱりKFは凄い!」という印象付けがなされた。しかし正直なところ、ゲームを進めていくうちに少しずつ、あるいは一段と不満が募ってきた感は隠せない。
IVからの応えに記載している限りにおいては、確かに発売前の私の「期待」(例えば「高所から落下して行くことのできるポイント」など)はほとんど叶い、また「不安」(例えば「NPCに声」など)も、記載している限りのものは全て解消される結果となった。
では、なぜプレイ中、そしてクリアした今、こんなにも消化不良な想いでいるのだろう・・・。
その最大の理由を考えてみると、やはり何といってもそのストーリー性である。それについては後半に記述するとして、まずかなり細かい不満も含ませながら今回のKFについて厳しく評させていただきたい。
細かい不満点を列挙すると「ダッシュが遅いこと」・「スケルトンにあの独特な声がないこと」・「扉の閉まる音が小さすぎること」などか・・・。
IV をやった後 II をやりダッシュしてみると、早すぎて操作が難しくなる。当時はその速さに慣れていたし、II
のダッシュの速さは実にちょうど良い。II → III → IV となるにつれ、ダッシュは遅くなっている。ちなみに
III の体験版「PILOT STYLE」は II よりも速い。
発売前の私の「不安」で、「ダッシュ不能」と「扉を開いたときの(次のマップに進むときの)ロード」を危惧したのは、KFの世界をスムーズに中断なく彷徨いたいという希望のあらわれだった。どこに進む時も、ロードなく次のマップに行くことができるというのは、実はKFの素晴らしいシステムの一つであると思っている(シャドウタワーの扉を開くたびに起こるロードは不快だった)。
このことは西田プロデューサーも発売後触れていた。
「CGを悪くしてでも、読み込みでゲームが中断しないように心がけた」ようなことをどこかで述べていた。
STのプロデューサーである西田氏。STでなくKFである以上、このことはとても重要なことであり、その点は西田プロデューサーに感謝している。
スケルトンが無声だったことは、私にとってかなりショックだった。扉や壁の向こうにいるスケルトンの美声が聞こえる緊張感は重要だった。
IVでの扉の閉まる音は、耳をよく澄ませないと聞こえない。なぜ私は扉の開閉音にそれほどこだわるのか・・・。
扉の開く音は、これから進む部屋への恐怖感を抱かせる。扉が閉まる音は、その部屋に入ったということを決定づけさせる。さらに、次の場面への使命感をも覚悟させる。
「ダ・・・ダダン・・。」という重々しい開閉音は、私にとって素晴らしい音楽であるから、とても重要なことなのである。
次に、最上級魔法。
II の実用性・・・。III のヴィジュアル性・・・。
IV のそれは、劣るとも勝っていないと感じている。結局私はウインドカッターばかり使っていた・・・。
中盤から後半にかけての敵が強すぎる、というか、ラスボスが弱すぎる。ラスボスよりも後半の敵が強いということはままあることだが、今回のはちょっと・・・。
まさに消化不良だ。
そして IV 最大の謎かもしれない、ムーンライトソードの登場。もちろんムーンライトソードは大好きだ。ローフルブレードがムーンライトソードに変化した時、確かに私は一瞬歓喜した。しかし、冷静になって考えてみると、なぜまたもやムーンライトソードが物語の中枢になったのか。シースとギーラのいない世界で・・・。良くとれば、想像力を刺激する演出。・・・あえて説明のないKF世界も大好きだ。しかしこれは、製作者のプレイヤーに対するその場しのぎの行き過ぎたサービスと受け取ってしまう。いや、確かに竜が2匹死んでいた。竜の絵画もあった。願わくば、これからのシリーズの発展の中で、何かが語られんことを・・・。
そして私に潜在的にIVに不満を感じさせてしまっているは、マッピングである。
「中央塔」という言葉を見たとき、脳裏にシャドウタワーが思い浮かんだのは私だけだろうか。II
に似たダンジョン内を彷徨うという設定は嬉しかった。
しかし、どうもマッピングが縦に長く、横の広がりを感じないためか、 |
FIELD というよりも、TOWER。
KING'S FIELD というよりも、KING'S TOWER。
「王土」 ならぬ 「王塔」・・・。 |
ストーリー抜きに捉えたなら、「キングスフィールド IV 」ではなくて、「シャドウタワー
II 」という気がしてならない。シャドウタワーも素晴らしい作品である。しかし、KF
は ST ではなく KF としてプレイしたい。
また、王の地図の3Dマップは使い勝手が良くなかったものの、素敵な試みでカッコイイとも思ったが、精霊の地図のような地図が欲しかった。
そして、画面いっぱいに隙間なく通路と部屋がひしめき合うようなマッピングが懐かしい。
最後に、冒頭に記述した消化不良の最大の理由とは、物語に奥の深さがない!ということだ。
今ままでのシリーズが素晴らしすぎて、新たな舞台設定の KF IV にそこまでの期待を課してしまうのは酷なことなのか。
イシリウスやオルラディンやツェデックやシュドム、ロドムやメレル・ウルやガルス・フィーのような、想像力を刺激してくれるようなNPC。
レオン、アーネス、ジジ、ノーラ、ダイアス、ソニア、ミーナ、五作のような、感情移入してしまうNPC。
シースとギーラ。そして3つの聖剣。3人の主人公・・・それぞれのNPCがそれぞれの物語の主人公であった。
確かに IV にも他のゲームに勝る KF としての魅力はある。
例えば、古の王・森の民にまつわる物語や、イヒト郷の思惑、滅びの像をイクスに手渡した者の正体などは、プレイヤーの想像力を刺激する。
また、ウォーゼやアトリーなどのNPCの突然の死は、プレイヤーを虚無感の中に浸らせ感情移入せざるを得ない。
しかし、その数と質が、どうしても今までのシリーズと比較すると堕ちていると感じてしまう。ただ、ヴァーダイト編は3作を通しての壮大な物語であり、新たな舞台設定で創られた
IV 一作品を一概に比較することはできないが。
「IV」と言っても、今までのシリーズとは違う舞台設定である。つまり、IIIまでのシリーズとは別に、今回のKFは「キングスフィールド4」というよりも、「キングスフィールド ヘリオドール?編 1
」と捉えるべきなのかもしれない。
今後の「V」以降の登場を切望しつつ、例えば「ヘリオドール?編三部作」として今回の物語が掘り下げられていき、その時振り返ったとき、この「IV」という作品が素晴らしいものになるに違いない。そして、このような評論家ぶったページを作ったことを後悔させてほしい。
私は、このシリーズの今後の新たな物語の発展を願って止まない! |