2010年3月定例会 一般質問と答弁

一般質問の主な内容は下記の項目です。

1,平成22年度財政運営について
@財源不足をどう補うのか A各財政指標 B財政健全化 C市民債

2,経済・雇用対策について
@拡大された国の雇用対策 A中小商店街対策

3,教育行政について
@不登校児童生徒の対策 A放課後子ども教室の実施

質問者: 井坂あきら議員
 通告に従いまして、これより質問をさせていただきます。
1,平成22年度財政運営について

 国は、一昨年のリーマンショックの影響、経済の悪化により税収の大幅減収のなかで新規国債発行額は44兆3030億円、総額で92兆円という内容で、国債発行額が税収を上回るという中で財政運営をすることになりました。
 ことしは法人市民税の落ち込みが大きく、雇用情勢は2回目の就職氷河期といわれるほどきびしく、大学生・高校生ともなかなか就職が決まらない状況があります(県の高校生の就職内定率が1月末時点で81%、ハローワークにおける有効求人倍率は0.40)。総務省が発表した1月の完全失業率4.9%という数字はなお高水準にあり、景気回復は下げ止まりといわれているが、回復を肌で感じることにはなっていません。前月比0.3ポイントの改善はいいが、完全失業者の数は300万人を超え、昨年同月より46万人も多い状況です。
 一方、市民の生活は悪化し世帯の所得は、この10年間で約100万円の減収、この一年間の年間所得の減少は約29万円ともいわれています。若い労働者の二人に一人が年収200万円以下のワーキングプア、働く人の三人に一人が非正規という働き方になっており、結婚が出来ない賃金であり、少子化対策とうたっても環境が整って行きません。市民の生活困窮度も徐々に高まり、生活保護を受ける世帯が846世帯に増え、学校給食の滞納人数も小学校・中学校とも合わせて約230名いるという状況にあり、今後、税金・国保税・年金などの滞納等を生み、より税収の落ち込みにつながります。
こうしたなか予算編成で苦労されたと思いますけども、財政運営にどう臨んでいくのかをお聞きして行きます。


一点目は財源不足についてどう補っていくのか
@法人市民税の落ち込みが大きいのですが、91年の38億円を最高に下がり続け、02年の8.7億円となかなか上昇しておりません。今後、税収の増が見込めない中で財政運営をしなければならない。かなり厳しいやりくりが求められており、本市の財政はもつのかと危惧しますが、市長はこの事態をどう受け止め、どのように財政運営をしていくのかを考えを伺います。

A歳入については地方交付税、財政調整基金などからの繰入でしのいでいるが、いずれ基金等は底を尽きます。22年度はやりくりがついても、経済の厳しさはすぐには上向かないと考えます。そこで大事なってくるのは、財源確保(税収確保)をどう図っていくのか。ひたちなか地区への企業の進出も明るい材料ですが、今後、諸税収入はどのくらい見込ができるのかについても伺います。
二点目は財政の指標及び財政健全化のとりくみについて
@本市は「健全な財政」を目指して財政運営をしてきていると思いますが、指標に基づく本市の現状はどうか。
A財政力指数については、平成20年度は0.99ですが平成11年からの10年間でどのような傾向を示しているかお示しください。この指数は財政の余裕度を表すといわれています。本市は、この2年間「不交付団体」とされてきましたが、余裕があってなったのか信じられませんが、なぜなのか伺います。
B経常収支比率については70から80%が適正といわれていますが、平成11年から20年度の10年間の推移とその傾向について伺う。本市の投資的経費について、施政方針によると新清掃センターの建設、駅前東口再開発事業などで平成22年度以降は高くなると考えられるが、今後の推移はどのようになると予測しているでしょうか。 また、決算カードでは「減税補てん債」および「臨時財政対策債」を歳入経常一般財源等に加えない場合の経常収支比率とある。国の都合で入らなくなった金を地方が借りることだと理解しているが、借金であり国が面倒見てくれないので返済をしなければならないと思いますが、いま、どういう状態にあるのかを伺います。
C公債費比率について本市の平成11年度から20年度までの10年間の数値をお示しください。10%以内が健全、15%を超えると警戒ライン、20%超えると再建団体といわれております。本市の置かれている状況について伺います。 また、市民一人当たりの借金が63万6千円となっている。借金は少ない方がいい。総額で1048億円の市債がありますが、この借金をいかに減らして行くのか伺います。
D財政調整基金は、一般財源に繰入しているので額が減少しています。平成22年度は乗り切れても、底を尽く状況になっております。今後はどのようになると予測していますか、伺います。
三点目は、市民債(3億円)についてですが、その目的と市民生活にどのように活かされているのかを伺う。


答弁  本間源基 市長
本市の財政運営の考えについてお答えします。

 一昨年秋から世界的な同時不況の影響によりまして、大幅な税収減が見込まれる厳しい財政状況を迎えたわけです。そういう中で平成22年度は長年の懸案事項でもあり、第2次総合計画に位置づけました東海村との共同で整備する新清掃センターの建設、勝田駅東口地区の市街地再開発事業、さらには小中学校の耐震化、地域医療の核となる日製水戸総合病院の改築支援など本市の将来にとって非常に不可欠な重要施策、また市民生活にも直結し緊急性の高い事業について基金や市債を活用しながら財源を重点的に配分して予算の編成をしたところであります。
 さらに今後の問題を考えますと、ひたちなか市固有の問題としまして、地価の下落を背景に土地区画整理事業や住宅・土地サービス公社が抱えております土地の処分、負債の整理と本市の財政運営にとって非常にこれは大きな負担となると考えています。財政指標の一つである将来負担比率も非常に高くなるのではないかと深刻な事態が控えていると思っております。
 私は、市長としての使命は、ひたちなか市の財政破綻をさせない、そして市民サービスをしっかり確保することにあると思っています。そのためには第一に、歳入の確保を図るということに絶えず努力して行かなくてはならない。企業誘致をする、たとえば産業活性化コーデイネーターに活躍していただいておりますけれども、新製品の開発・販路の開拓などを行いながら、いわゆる市内企業を振興する・支援をする、そして新規就農者の支援をさらに進める、そういった意味で市内の働く場を確保することを、そして企業や働いていた方から市税を納めていただいて市税収入をしっかりと確保するということがまず、ひたちなか市に求められている課題でありますし、ひたちなか市だからこそ前向きにそのようなことが取り組めるのではないかと思っております。
 そうは言いながら当面のやりくりもしていかなければいけないわけでありまして、今後、土地区画整理事業を始めいろんな事業について重要性や緊急性の観点から精査を行い、またきびしく優先順位の見直しを行いながら、一方では、国・県からの補助金、そして市債を最大限活用するなどやりくりをしながら市民のための喫緊の重点事業を実行に移して参りたいと考えています。雇用の確保ということについても、正規職員を増やすとかは当面困難なわけであります。市内のいろんな事業所で雇用の場を確保していく、そういう産業施策をさらに進めて行くということがひたちなか市にとって大切なことであると考えております。
答弁 兼山隆 総務部長
財政の指標及び財政健全化についてお答えします。
 税収確保について。
 平成22年度は景気に左右される法人市民税が平成6年の合併以来、もっとも少ない約11億5千万円になると見込んでおります。しかしながら、ひたちなか地区に所在する企業等から個人市民税・法人市民税及び固定資産税の合計で約11億円の税収が見込まれますので今後とも本市の有する優れた産業流通インフラや産業集積促進奨励金などの優遇制度を積極的にPRして企業誘致に努め、財政基盤の確立を図っていきたいと考えております。また、税の公平性を確保する上からも差し押さえや公売の手法などを用いながら市税の滞納処分を強化するとともに、利便性の高い口座振替を促進するために4月1日から7月30日までの口座振替キャンペーンを新たに展開し、市税の収納率の向上を図ってまいります。

 財政指標について
 財政力指数については、平成21年度は1.028であり、平成13年度の0.798を境に一貫して指数が上がってきており、平成20年度からは普通交付税の不交付団体となっております。不交付団体となった要因は、一昨年秋の世界同時不況以前の好景気のもとで税収が伸びていた点もありますが、三位一体の改革による地方交付税の大幅な総額縮減により、基準財政需要額が意図的に抑えられ、結果として基準財政収入額が超過となったものと考えております。
 次に経常収支比率については、平成15年度までは70から80%台を推移しておりましたが、平成16年度から90%台に上昇しており財政の硬直化が進んでおります。今後は、市税などの一般財源の大幅な増加が見込めないこと、人件費や物件費・公債費は抑制に努めているものの少子高齢化の進行により扶助費の伸びが続いていることにより、経常収支比率は引き続き90%台で推移するものと考えております。

 公債費比率について
 公債費比率は15%台で推移していましたが、平成19年度は14.4%、平成20年度は12.9%となり低下しております。これはプライマリーバランスを考慮し、平成11年度から市債の発行を減税ほてん債、臨時財政対策債を除き、償還元金の範囲内とする本市独自の基準を設けて借り入れを行ってきたことにより、元利償還金が年々減少していることや高金利で借り入れた公的資金の低利資金への借り換えによるものであります。

 減税ほてん債について
 国の政策による恒久的な減税に伴う地方自治体の減収額を埋めるため、平成6年度から18年度まで発行していたものであり、平成21年度末の残高は約38億円となっております。また、臨時財政対策債については、平成13年度の地方財政対策において地方交付税の財源不足を国と地方が折半し、地方負担分については臨時財政対策債により補填するものとなりそれ以来毎年発行しておりますが、平成21年度末の残高が約123億円、一般会計の市債残高に占める割合は27.1%と高い割合になっています。平成22年度の地方財政対策においては、地方財源の確保策の一つとして臨時財政対策債の総枠が平成21年度と比べて49.7%増の約7兆7千億円となっており、本市でも平成21年度と比べて約8億円増となる25億5千万円の発行を予定しております。
 臨時財政対策債の元利償還相当額は、その全額を後年度に普通交付税の基準財政需要額に算入され、国が負担するものとなっております。しかし、三位一体の改革により基準財政需要額の総額が抑えられたことにより実質的に十分な財源措置がされなくなったことが、非常に地方財政が苦しくなっている一因であると考えている。

 市債の残高について
 建設事業に充てる借入金の抑制により、借り入れが元金償還を上回らないようにプライマリーバランスの黒字化をはかって負債残高を減少させてきましたが、平成22年度と23年度は新清掃センターの整備により技術的にプライマリーバランスが赤字となり、負債残高が増加することになります。しかしながら、大型事業が終了する平成24年度以降につきましては、再び市債の発行を償還元金の範囲内に抑制し負債残高の減少に努めてまいります。

 財政調整基金について
 財政調整基金は、不足する財源に充てるため平成22年度は15億2000万円を取り崩すことを予定しております。また、財政調整基金とともに、財源のやりくりのために市債管理基金を6億円取り崩すことを予定しております。このまま予算通りに取り崩すことになりますと、平成22年度末には財政調整基金の残高が約7億円、市債管理基金の残高が45億円まで減少し、将来の財政運営に支障を来たすことになりますので、平成22年度の予算執行に当たっても契約差金の凍結を行うとともに、事業を効率的に執行し基金の取り崩しを少なくするよう努めてまいります。

 市民債について
 市民債は、平成15年度に市内市町村で初めて発行して以来、継続して毎年発行しています。市民の皆様からも好評であり、毎回完売しております。これまで学校、道路、公園、消防、防災施設などの整備に市民債を活用してまいりましたが平成22年度の市民債の発行に際しましても市の事業に関心をもっていただくとともに、まちづくりへの市民の参加意欲・意識を高めていくため市民生活に密着した事業を選定してまいります。また、市民債の発行により銀行等から借り入れる場合に比べて市民債の発行期間である5年間で約1000万円の経費削減を図っているところであります。
年  度 財調基金 財政力指数 経常収支比率 公債費比率 実質公債費比率
千円 % % %
1999(H11) 2,454,363 0.85 77.8 15.3
2000(H12) 2,458,308 0.81 77.6 14.9
2001(H13) 2,265,448 0.80 79.0 14.8
2002(H14) 2,265,654 0.80 83.0 15.0
2003(H15) 2,265,936 0.83 83.4 15.1
2004(H16) 2,266,067 0.87 91.5 15.2
2005(H17) 2,267,196 0.90 92.2 15.6 16.6
2006(H18) 2,267,512 0.92 92.5 15.5 17.3
2007(H19) 2,269,469 0.95 91.0 14.4 12.8
2008(H20) 2,236,823 0.99 90.1 12.9 13.0

再質問 井坂議員

 臨時財政対策債(臨財債)は既往債の元利償還を臨財債で補填している状況と思いますが、新規発行とあいまってここ2年で雪だるま式に増加していく。財源不足が縮小しない限りこの状況から脱することはできず、もう「臨時」とはいえず、赤字地方債が常態化していると認識せざるを得ない。この点について伺いたい。


答弁 兼山隆 総務部長
 臨時財政対策債にかかわる再度の質問に対して答えます。臨時財政対策債は、平成22年度は増額をして発行することになっておりますけれども、これは国との密接な関係がありまして、いわゆる地方交付税制度の一環として作られている制度であるので、地方交付税の普通交付税が全額、国の方の財源が措置されて地方に交付されるとすれば、この地方交付税は発行する必要性はないわけであります。国の財源がないものを補うということで国も臨時財政対策債に相当する分の半分は借りているのですが1/2相当分を各地方が借りているということになりますので、これについては一地方自治体だけでは解決できないと考えております。
 しかし、これについては将来の元利償還金については普通交付税の需要額に算入されておりますので、国が最後には面倒見るというシステムになっているわけであります。「臨時」というのがなぜついているかといえば、当初スタートした段階が国の財源が逼迫(ひっぱく)して平成13年度から3年間ということでスタートしましたので、臨時というネーミングがされた。その後、国の財政が全く好転しておりませんので、臨時がずっと続いて延長して今日に至っているということです。
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2,雇用・経済対策について
 井坂議員

 一点目、政府の予算案では経済・雇用対策について力を入れています。雇用対策・臨時資源活用臨時特例債など予算も少し拡大されております。また、経済に関して中国などアジア向け輸出の好調で関連企業の求人が回復しつつあることであります。この動きは今後も強まっていくと思いますが、それに加え、新たな内需として医療・福祉の分野で雇用が増加している状況があります。
 施政方針では緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別交付金の制度で取り組んできた経過とともに、新たに重点分野雇用創造事業を行うとあります。さらに、雇用期間の制限のあるものが主で正規職員につながるものではなかったと思うのです。非正規の働き方が問題になっている情勢であり、臨時職員よりも正職員が望ましいのですが、雇用を創造するという政策をもって取り組まれたい。考えを伺います。
 二点目、中小商店の状況を伺います。
 商業については、大型ショッピングセンターの隆盛とは反対に表町など従来の商店街が元気をなくしている。この間様々な施策を行ってきているが、ジャスコの閉店、商店街の閉店が多いのが現状です。市民は歩いて買い物に行ける便利なまちを望んでいます。ジャスコの空き店舗は今後どのようになるのか伺います。また、歩く専用の道路が出来るとの計画があるようです。「ひたちなか総合病院」を軸に中心市街地活性化に力を入れていくことになると思いますが、元気な町の再生についてどのようにお考えなのか伺います。


答弁 葛宇芳樹 経済部長

 雇用・経済対策について。1月28日に可決成立した国の平成21年度第二次補正予算において、重点分野雇用創造事業が創設され新たな雇用機会の創出や人材育成を推進することとしています。本市においては、22年度に市内中小企業の新製品開発等による経営改革を加速させるため、ものづくり中小企業緊急支援事業を実施することとし、4名を新たに雇用する予定であります。
 そのほか、22年度は緊急雇用創出事業で86名、ふるさと雇用再生特別交付金事業で13名の雇用を確保する計画であります。雇用の創造はどうかとのことですが、ふるさと雇用再生特別交付金事業は今後の地域の発展に資する事業のうち、事業継続が見込まれるものを計画し、民間企業等に事業を委託して実施するものであり、地域の雇用創造につながるものと考えております。
 次に、中小商店の状況について。まず、ジャスコ勝田店の閉店については昨年12月末に地元商店街の要望等をふまえ、店舗保有者であります活ノ勢甚に対しましてジャスコ勝田店閉店後の店舗活用の要望書を提出し、早期に営業を再開するよう働きかけを行っております。こうしたジャスコ勝田店の閉店に象徴されますように客数の減少や、依然、不景気感が続いていることから中小商店に限らず小売業全般の業況はたいへん厳しい状況であります。
 勝田駅周辺の中心市街地においては、再開発事業をはじめとして民間のマンションや総合型フィットネス施設等の建設が進んでおり、日製水戸総合病院の改築を機に実施する健康づくりのためのウオーキングコースを兼ねた歩道整備や東石川第二公園の改修についても中心市街地の再生活性化に寄与し、表町商店街の活性化につながるものと考えている。そのほか、商店街活性化のための施策としては繁盛店づくりモデル事業による地域一番店の育成支援、チャレンジショップ支援事業による新規創業者支援、コミュニテイ交流サロン「フラット」や「みなとや」による商店街の情報発信や交流の促進に関する支援に引き続き取り組んでいきます。


再質問 井坂議員
 雇用対策でさらに伺います。産業活性化の取り組み、産学連携による就職支援対策ということは考えられないでしょうか。現在の産学連携について伺いたい。


答弁 葛宇芳樹 経済部長
 産学官連携による就職支援策をという質問ですが、実際の会社説明会等の開催状況を申し上げます。
 昨年の6月に開催された勝田工業高校とひたちなか商工会議所による会社訪問、その説明会には学生53名と市内の中小企業7社が参加しております。また、今年1月に開催された茨城大学工学部と那珂ネットワークシステムによる会社説明会には学生44名、市内の中小企業14社が参加しております。
 また、この3月に実施された茨城工業専門高等学校と那珂ネットワークシステムによる説明会には学生32名、市内中小企業15社が参加している。市の商工振興課が担当して参加しておりますけれども、商業活性化コーデイネーターとともに、産学連携活動に大きく関わっておりまして成長性豊かで安定した企業と学生との出会いの場を提供することによりまして就職活動を支援している。また、学生が一定期間企業の中で研修生として働き、就業体験を行えるインターンシップにつきましても市と商工会議所、ひたちなかテクノセンターの支援の下、支援市内企業と茨城高専や勝田工業高校との連携によって行われております。
 今年度におきましては茨城高専の学生33名が21社で研修し、勝田工業高校の学生106名が38社で研修を受けております。こうした就業体験を積むことによりまして就業時のミスマッチを防ぐことにも役立っていると考えています。


再々質問 井坂議員
 ありがとうございます。一所懸命に取り組んでいることが判ります。その上で申し上げます。京都市では、就職支援を雇用対策金を活用し、就職できなかった若者を一旦行政側が臨時員として月額20万円で雇い、本人の適性・やりたい仕事を三ヶ月研修させ、本人がブースを開き中小企業へ情報を送り、それを見た企業が受け入れてそこで実習を兼ねて働いて、雇いたい・働きたい希望が一致すれば就職にするという取り組みをしています。産学官の連携ですが、このことで約80人が申し込み、約50人を超える人が就職につながったということです。この情報はNHKニュースで知ったものです。すでに情報は行政の方でつかんでいるかもしれませんが、前向きに検討されるように望みますが、何かコメントがあればお答え願います。

答弁 葛宇芳樹経済部長

 これからも雇用関連予算を活用しながら、人材育成支援策を引き続き検討してまいりたいと考えております。
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3,教育行政について
 質問 井坂議員


 一点目は不登校児童生徒について。
 子どもたちをとりまく環境は社会の荒廃をうけて危険もあるなど厳しいものがあり、学校や地域で守って行く態勢づくりは益々重要です。昨今のニュースでは子ども虐待や、いじめによる自殺なども後を絶ちません。2月1日の水戸市で夜回り先生の水谷修氏の講演を聞く機会があり、薬物汚染の広がりについて事態の深刻さを認識してきました。こうしたことは今まで自己責任で片付けられてきた節もありますが、私は社会的問題であるという立場から考えたい。
 ここで、不登校の問題をお聞きするのは、なぜ不登校問題が生じるのかということです。つらいのは本人・保護者ですし、教育に携わる先生方も苦労されていると思います。そこで4点伺います。
@学校には行きたくないという児童生徒は何が原因でそうなるのかを伺います。
Aこの問題について施政方針では、教育研究所の「いちょう広場」における援助指導、相談活動のほかに、新たに「心のサポーター」を配置して各学校に派遣とのことですが、どのような方がサポーターになり対応するのかを具体的に伺いたい。
B現在、不登校になっている人はどんな傾向なのか(全国的なもの含め)。また、本市では小学校、中学校でそれぞれどういう状況かを(人数)教えてください。
C不登校の児童生徒さんへの情報伝達はどのようになっていますか。保護者に情報がなかなか入らないという声を聞きます。例えば、高校進学のことなどはどのように対応をされているのか伺う。
 二点目は、放課後児童対策について。
 放課後児童対策についてとなっていますが訂正して「放課後子ども教室」について伺います。
 施政方針では全学年を対象に放課後の子どもの遊びや学習の場を確保するために地域の力を借りて実施するということです。本来ならば全学校で行うのがいいのですが、高野小学校ほか二校ということです。地域の方の果たす役割と、子どもとふれあい交流する意義と実施内容について伺います。


答弁  青野紘也 教育長

 不登校児童生徒の状況について。
 一点目の不登校の原因についてですが、社会状況の変化や核家族化に伴って人間関係が希薄になっていること、友達との関係づくりが上手に出来ないこと、学校生活における問題を解決する力が不足していること、家庭における教育力が低下していることなど様々な要因が複雑に絡み合っていることが考えられます。
 二点目の本市の新規事業心のサポート事業による心のサポーターの配置について。不登校またはその傾向にある児童生徒に対しまして、学校ではスクールカウンセラーや心の教室相談員、関係機関と連携を図りながらチーム支援の体制を作り、一人ひとりの状況に応じて教育相談や家庭訪問を行い、不登校の改善に努めております。
 また、教育研究所適応指導教室「いちょうひろば」では、通級児童生徒にカウンセリングや体験活動を通して学校生活への不安を少しでも解消できるよう自立に向けた支援や援助を行っております。平成22年度には心のサポート事業を立ち上げ、ひきこもり傾向にある児童生徒やその保護者に対して学校や教育研究所及び心の教室相談員と連携した支援体制作りを進めてまいります。具体的には教育相談に興味関心が高く児童生徒の年齢に近い大学生や大学院生等から採用する心のサポーターが家庭訪問等を実施し、不安な気持ちを抱えた児童生徒の心の支えとして話し合いになるなどして登校に向けた支援をするものである。近い世代の若者との関わりを経験させることで引きこもり状況の改善を図るものでございます。
 三点目の不登校になっている児童生徒の傾向でございますが、複合的なものを含め無気力や不安を中心とした心の問題に起因するものが殆どであります。また、不登校児童生徒の状況は平成20年度で年間30日以上欠席した小学生は19名、中学生は108名でした。その割合を全国と比較しますと、小学生は全国0.32%に対し本市は0.19%であり、中学生は全国3.05%に対し、本市は2.3%でありまして小中学生とも全国の割合よりも少ない状況にあります。本年1月現在では30日以上欠席した小学生は16名、中学生は113名です。小学生は全体の0.16%、中学生は2.4%であります。昨年度に比べ中学校で僅かに増えている状況です。
 四点目の高校進学時期を迎えた不登校生徒と保護者への対応についてですが、学校は、どの生徒に対しても同じように誠意を持って進路相談を進めていると認識しております。
とくに不登校生徒や保護者の方は、進路に対する不安が大きな状況にありますのでその不安を軽減するためにも細やかな心配りをして支援することが重要であると考えます。そのために、定期的に家庭訪問し、進路を決定するために必要な情報を提供しながら話し合いを重ね、希望の実現に向けた励ましや学習支援を継続的に行っております。
 
 二点目の放課後児童対策について(同僚議員と質問が重複したために井坂議員は質問を割愛しましたが)答弁の趣旨は次の通りです。
 「放課後子ども教室」の実施について。まず、地域の果たす役割と子どもとふれあい交流する意義については、今日少子化や核家族化、都市化が急速に進展し、過程と地域との結びつきが弱まり、地域の中で過程の孤立化、子育て不安の増大などの問題が生じております。そのため、「知・徳・体」の調和の取れた子どもを育成するために、子どもの生活の場である家庭、学校、地域においてそれぞれの役割を持って教育機能が適切に発揮されることが重要であると考えています。
 平成22年度より実施する「放課後子ども教室」は、地域の方々が主体となり、子どもの健やかな育成や子どもを見守っていくことを目的としており、この事業を通して、地域住民と子どもたちの交流の促進や地域の教育力の向上が図られることを期待しております。
 なお、「放課後子ども教室」は小学校施設を活用し、毎月第一土曜日に、活動を希望する小学1年から6年生までの児童を対象として実施いたします。
 また、放課後子ども教室の実施対象校は高野小学校、枝川小学校、磯崎小学校の3校であります。
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