MMANAによるヘアピンマッチングの設計

ここでは例としてアンテナの給電点インピーダンスの抵抗分RA が25Ωの時、目標整合値を50ΩとしてVSWRが1.0になる時のアンテナのキャパシティブリアクタンスの値をまず求めます。

MMANAの表示/オプション/環境設定画面でSWR計算基準Zに、まずアンテナの給電点インピーダンスの抵抗分25ΩをR欄に入力してヘアピンマッチング時にVSWR=1.0になるアンテナのキャパシティブリアクタンスを求めます。なお、Rの値は整合目標、今回の例では50Ωですが、この50Ωより必ず小さい値でなければなりません。
  • Rを入力後、ヘアピンマッチボタンを押して整合目標Z、今回の例では50Ωを入力してOKボタンを押すと、SWR計算基準Zのj X に50Ωに整合する時のアンテナの給電点インピーダンスのキャパシティブリアクタンスが計算され表示されます。この場合の計算結果はR+j X=25Ω−j 25Ωです。


  • 次にオプション/スタブマッチ画面でZL に先ほど求めたR=25Ω、X=−25Ωを入力、フィーダにヘアピンの特性インピーダンスZ0 と短縮率、例えば300Ωと0.975を入力、f に設計周波数及びZi に整合目標インピーダンス、ここでは50Ωを入力してTUNEボタンを押すと、ヘアピンのインダクタンスXS及びヘアピンの短縮率を考慮した長さL2sの計算結果とZi に整合目標のインピーダンス及びVSWRの計算結果が表示されます。なお、ヘアピンの特性インピーダンスZ0 の求め方は「ヘアピンマッチングについて」の中の「ヘアピンの特性インピーダンスとリアクタンス」を参考にして下さい。

ヘアピンマッチングで整合を行うアンテナの給電点インピーダンスは必ずキャパシティブリアクタンス成分を持っていなければなりません。
また、VSWRを1.0に追い込むにはアンテナ給電点インピーダンスの抵抗値に見合うキャパシティブリアクタンス値が必要です。
アンテナは共振している時リアクタンスがゼロになるので、その時のインピーダンス(抵抗成分)値を測定しておき、その後エレメントを少し短くしてキャパシティブリアクタンス成分を持たせるようにします。
短くすればするほどキャパシティブリアクタンス値は増加しますが、給電点インピーダンスの抵抗値も少しずつ減少していきます。
アンテナインピーダンス測定器で抵抗成分とリアクタン成分を別々に測定できれば調整が楽にできると思います。
なお、ヘアピンマッチングは平衡タイプですから同軸ケーブルで給電する場合は必ずバランが必要です。
また、長いヘアピンを使用する場合、構造的に支える必要がありますが、ヘアピンの中点は電気的にはニュートラルですから八木アンテナの場合はブームの所でアルミ等の金属を使用して支えても差し支えありません。