参州牛久保の壁書と牛久保小学校

 元和4年(1618)、牧野氏とその家臣約三千人が長岡に入封した。そして参州牛久保(現在の豊川市牛久保町)で培われた三河武士の精神を拠り所とした。この家訓が「参州牛久保の壁書」で、常在戦場と質実剛健の精神である。

 長岡藩士は戊辰戦争でも、そして戦後の米百俵の逸話が生まれた時も、この精神を守り通した。また分家にあたる三根山藩、小諸藩でも参州牛久保の壁書は継承された。
 
 参州牛久保の壁書
1.常在戦場の四文字
1.弓矢御法といふ事
1.礼儀廉恥といふ事
1.武家の礼儀作法
そのうち1.出仕の礼
    1.馬上の礼
    1.途上の礼
    1.老人の会釈
    1.座間の礼
    1.目礼、手札の次第
    1.取籠者対手の作法
    1.切腹人等検死の作法
    1.同介錯の作法
    1.改易人等御使心得
1.貧は士(さむらい)の常といふ事
1.士の風俗方外聞に係るといふ事
1.百姓に似る共、町人に似るなといふ事
1.進退ならぬといふ事
1.鼻は欠くとも、義理は欠くなといふ事
1.腰はたたずとも一分をたてよといふ事
1.武士の義理、士の一分をたてよといふ事
1.士の魂は清水で洗へといふ事
1.士の魂は蔭ひなたなきものといふ事
1.士の切目、折目といふ事
1.何事にても根本といふ事
1.日陰奉公といふ事
1.荷なひ奉公といふ事
1.親類は親しみ、朋友は交わり、傍輩中は附き合ふといふ事、又一町の交り、
  他町の附き合といふ事

牛久保城のあった豊川市牛久保町の牛久保小学校の校庭をのぞいたら、何と立派な牛久保の壁書に出あった。歴史を大切にしてくれる牛久保の皆さんに思わず感謝したくなる。

牛久保小学校の校庭に建つ壁書 豊川市立牛久保小学校
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2009年10月24日から25日、長岡藩ご当主の牧野忠昌さまと、三根山藩のご当主牧野忠由さまと柏友会の東京地区の会員で、豊川市で開催中の「牧野一族展」を見学した。牧野氏の発祥の地の牛久保の皆さんとの交流を楽しみにしていたが、その一つに牛久保小学校の訪問がある。(管理人は2回目の訪問)
牛久保小学校には「参州牛久保の壁書」と「常在戦場」の言葉が、四百年の時を越えて生きているのが実感できた。小学校長は同じ三ツ柏の校章を持つ長岡の阪之上小学校との交流を願っていたが、実現して欲しいものである。
豊川市の皆さんの暖かいもてなしにに触れた2日間であった。

【牛久保小学校校歌】
(三番) 歴史はえある 三つ柏 匂うしるしの ゆかしさよ
      目ざす行手を 照らしている 
     ああ 牛久保の よい子らわれら まことの道を 進んでいこう

桜ヶ丘ミュージアムの牧野一族展 牛久保小学校の訪問
牛久保小学校の校章 暖かい久保小学校の歓迎の言葉
三ツ葉柏の紋が入った校旗 教育目標は三参州牛久保の壁書
校長室の常在戦場と山本五十六の文字 校長室の参州牛久保の壁書
インタビューを受ける牧野家のご当主 壁書の前で記念撮影
校長先生を先頭にJR牛久保駅での見送り 電車が見えなくなるまで手を振る

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