ナロースペース5エレ八木アンテナ

<ANTの全景>


<ANTを一まとめにしたところ>

 

<材料と製作>
材料は近くのDIY店やホビーショップで簡単に手に入る物ばかりです。
エレメントクランプとクロスマウントも作ろうとしましたが、加工が大変なので既製品
(ロケット店オリジナル製品)を使いました。表1に材料リストを示します。

加工で厄介なのは給電部ですが、Mコネのボックスは既成の小さなアルミケースや
タッパーを利用すれば比較的細工がやりやすいと思います。
またエレメントを固定するガスホースクリップも私は加工してぴったり占めつけられ
るようにしましたが、鉄製であるため加工が大変なので、アルミ版で作るほうがいい
と思います。

 

<表1. 材料リスト>
材料名 規格寸法 数量 備考
アルミパイプ φ6 ― 1m 1本  
φ10 ― 1.5m 10本  
φ12 ― 1m 1本  
φ22 ― 0.5m 1本  
φ25 ― 3.5m 1本  
エレメントクランプ φ12用 5個 ロケット店オリジナル
クロスマウント MAX φ50 1個  
目玉クリップ 1個  
目玉クリップ 1個  
アルミ板 t=1mm,150mm×150mm 1枚  
ベーク板 t=3mm,30mm×80mm 1枚  
ガスホースクリップ 小,15mm用 10個  
同軸線 5D2V 1m  
Mコネ,メス   1個  
圧着端子 M3用 2個  
ビニール線 AWG #18 5cm  
ビス M3 6個 マッチング部分
ナット M3 6個 マッチング部分
ワッシャ M3 6個 マッチング部分
ビス M5 2個 ブーム接続用
蝶ナット M5 2個 ブーム接続用
シリコンゴム KE45(信越化学) 少量 マッチングBOX防水用

 

<給電部の製作>
給電部は以前に自作した7エレ八木を参考に同軸ケーブル利用のガンマーマッチ
方式としました。
図1の様にアルミ板でMコネのマッチングボックスを作り(サイコロを作る要領)、
シリコンゴムでつなぎの部分を防水します。
これに事務用目玉クリップ大を取り付け、ブームにクリップすることで着脱可能に
します。
ベーク板でφ6のアルミパイプを固定してマッチングボックスと絶縁し、Mコネの芯線
端子とφ6アルミパイプとをAWG#18の撚り線で接続します。
Mコネ側は直接半田付けしアルミパイプ側は圧着端子でカシメて処理します。
マッチングボックスからの取り出し部分はゴムブッシュで絶縁とエッジ保護を施します。
ラジエータエレメントへのショートバーは事務用目玉クリップ中を利用します。
φ6アルミパイプの中に5D2V同軸線の芯線をスライドさせて可変コンデンサーとし
て働かせる様にします。
ショートバーへはφ6のパイプを使って圧着端子でネジ止めします。
このマッチング部分の利点は着脱がクリップ2個で簡単にできるところです。
(下写真参照)

 

<給電部の写真>

 

<図1>

 

<エレメントクランプ部の加工>
次に各エレメントのブームへの取り付け部分の加工ですが、ロケット店のφ12用の
エレメントクランプを使い、ブームから左右にφ12のアルミパイプを10cmずつ出し、
両端を2cmずつ各々4箇所割りを入れます。
割りを入れた先端は外側へ各々4箇所曲げてヤスリで滑らかにしておきます。
これはエレメントを取りつけて固定するガスホースクリップが抜け落ちないようにする
工夫です。(下写真参照)面倒な場合は割りを入れるだけで十分でしょう。
ガスホースクリップを加工し、φ12のアルミパイプの中にφ10のパイプを入れたとき
に抜けないように内径を調節し、うまく締め付けるようにします。
加工が面倒な場合はアルミ板で作ってもOKです。

 

<エレメントクランプ部の写真>

 

<ブームの加工>
ブームはφ25のアルミパイプを3分割して組み立てられるようにしています。
つなぎの部分はφ22のアルミパイプを介してて蝶ネジ1本止めとします。
エレメント間隔、エレメント長はアンテナハンドブックを参考にJE3HHT 森OMの
シミュレーションソフト:MMANAを利用させていただき、最適化プログラムによって
寸法出しを行ない、カット&トライで決定しました。
この際、アンテナの性能実測にMFJのアンテナアナライザーが非常に役に立ちました。
シミュレーション結果を図2に示します。

 

 

<図2.シミュレーション結果>

 

<ビームパターンシミュレーション結果>

 

<調整と運用>
各エレメントは設計寸法より長めに切っておき、実際の調整時に少しずつ切って
最適値を決めます。
特にラジエータの寸法が微妙にSWRに影響してくるようでした。
ガンマーマッチのコンデンサーの部分をいろいろ変えましたがなかなかSWRが落
ちず、ラジエータエレメント長を少し変えるだけでストンと落ちます。
カット&トライで決定した寸法とシミュレーションでは少し違う結果が出ましたが理論
と実際の差と考えていますが?
出来上がったアンテナのSWR特性は50.0MHz〜51MHzで1.5以下となり、
実用できるものとなりました。(下図参照)

 

<ANTアナライザおよびSWRメータによる実測値>

 

アンテナゲイン、FB比は測定していませんが、ローカル局と一緒に移動運用した時に
6エレデルタループアンテナと並べて上げ、聞き比べをしました。その際、Sで0.5ぐら
い劣っていたようですが、1エリアの局とも楽々交信出来、期待通りの出来ではないか
と思われます。
お手軽移動の時にはぴったりのアンテナではないか自己満足ですが、重宝して使って
います。
現在このアンテナをもう1本作ってスタック化することでゲインアップを図る運用もしてい
ます。
スタックケーブルの寸法も記載しておきます。

                  <2004/5/12 貝塚市移動>
                          ↓

 

<スタックケーブル>