製造現場の叫び?!

鋼について


一般的にかどうかわからないけど「これ鉄で作られている!」とか、「スチール製。」とか耳にします。
実際に部品加工をする場合、材料の材種がJISとかISOなどできめられた物を使います。
「スチール=鋼」は鉄と炭素の合金であり炭素の量によりその性質が変わるのを利用して様々な用途に使われています。
(厳密にいうと鉄と炭素以外に不純物が入っています。)
またニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、などを添加して性質をかえて利用したりしている。
JISだと
区分JIS記号代表的な材種記号
一般構造用圧延鋼(JIS G3101)SS400
機械構造用炭素鋼(JIS G4051)S25C,S30C,S35C,S45C,S50C,S55C
炭素工具鋼(JIS G4401)SK3,SK4,SK5
高速度工具鋼(JIS G4403)SKH2,SKH10,SKH51,SKH57
合金工具鋼(JIS G4404)SKS3,SKS31,SKS93,SKD1,SKD11,SKD12,SKD61,SKT4
ニッケル、クロム鋼(JIS G4102)SNC236,SNC415,SNC631
ニッケル、クロム、モリブデン鋼(JIS G4103)SNCM220,SNCM415
クロム鋼(JIS G4104)SCr415,SCr420,SCr440
クロム、モリブデン鋼(JIS G4105)SCM415,SCM420,SCM435,SCM440,SCM455
マンガン鋼(JIS G4106)SMn420,SMn443
マンガン、クロム鋼(JIS G4106)SMnC420,SMnC443
硫黄および硫黄複合快削鋼(JIS G4804)SUM21,SUM22L,SUM24L
耐熱鋼(JIS G4311,G4312)SUH310,SUH446,SUH11
高炭素クロム軸受鋼(JIS G4805)SUJ2
ねずみ鋳鉄品(JIS G5501)FC100,FC300
上表に区分されています。
これらの材料に熱処理や表面処理などをしたものがあり部品を見ただけだと
まったくなにをつかっているのかわからないのです。
(自分たちが経験した部品はある程度予測できるのですが!)
手にとってさわったりヤスリをあてたりすると少しなにかわかってくるのです。
この中で良く削るものはSS400,S50C,SCM440です。この3種類を中心に書きます。

SS400

一般構造用圧延鋼で特に炭素量の規定がなくて一般的にSS材とかなま材とよばれています。
削りやすい材料で刃物の傷みも少なくて材料も安価です。
炭素量が少ない(規定なしなのでほぼ入ってない)ので溶接後、焼きが入らないので
L字型のブラケットを作成する時に良く使われています。
(S45Cなどは溶接後、焼きが入り削るのにとても大変になるので産業機械の部品ではまずS45Cの溶接ブラケットは設計しない)
黒皮材料を溶断で買うこともできるし流通量も多い。
ミガキ材とよばれている物があり冷間圧延されたもので比較的面がきれいで
長さだけ加工して使う物があり。これを使う事により加工コストが下げられる。
(ただしミガキ材で面削りすると簡単にそってしまうので絶対厚さは削らないこと。)
機械的性質は弱いので重要な部品の材料としてはあまりつかわれていないようです。
それと機械加工で平面度や平行度をだそうとするとき300mmで0.05mぐらい変形するみたいです。
(以前どうしても平面度が必要な部品を加工したときどんなに条件をかえても変形するので
S50Cに材料をかってにかえて作ったことがあります。S50Cだときっちり精度が出た。)

S50C

機械構造用炭素鋼は鉄Feに炭素Cだけを添加したもので炭素が1パーセント未満のものをいう。
(1パーセント以上は炭素工具鋼SK材として別に規定してある。炭素0.02%から2.0%を添加 した鋼を炭素鋼といい、JISでは機械構造用炭素鋼と炭素工具鋼にわけてある。)
S50Cは炭素量の割合から中炭素鋼の部類になり切削性は良いです。
SS材に比べると刃物の痛みは多いですが加工していて困ることはないです。
焼きいれ、焼き戻しを行うことで強靭性がえられるのですが切削加工の注意としては
刃物を焼きつかせないことなのですがドリルなどが切れなくて焼いてしまうと硬度が上がり
焼けた部分を除去しないと硬くなっているのでドリル交換してそのままの切削条件でいくと
すぐにドリルをこわす事になるので注意するひつようがあります。
溶接によって、焼きが入るので溶接後加工する場合焼きなましが必要なので、私の所ではやりません。
SS400のところで書きましたが一般機械部品の精度範囲なら加工による変形はほとんどないので
精度は出しやすい材料だと思います。

SCM440

クロム、モリブデン鋼で炭素量が0.4%前後のものです。強靭鋼で特に引っ張り強さがあります。
焼きいれ性が良く焼き戻しに対する抵抗も大きく焼き戻し脆さの傾向も少ない。という特性。
切削加工はS50Cより刃物の持ちが悪いです。
漫画の「湾岸ミッドナイト」の24巻にポルシェターボのフレーム材として登場していて、
「あまりの硬さに切削できず、なげだしたのはもう昔の話だ。」と高木が言っているが、そのとおりです。
今現在の刃物では普通に削れますただSS材よりは刃物を消費します。

その他

SKD11(冷間金型用)で機械の開閉シャッターのスライド部を作ったことがあります。
加工すると変形した記憶があります。細長い部品だったのでプラスチックハンマーでひっぱたいて
修正しながら削ったと思う。
FC100は鋳物です。当社は食品用産業機械部品、が多かったので鋳物部品はたまーにしか加工したことがないのですが、
鋳物削ると鼻の中が真っ黒になるイメージしかないのです。
鋳物用の工具は鋼用と若干違うので道具自体あまり持っていないのです。