| 設計事務所って? |
「設計ってタダなんでしょう」
と、お客様からよく言われました。
確に工務店に建築を頼むと「ウチは設計は無料でやってます」と言わるかもしれません。
しかし実際は設計分は工事費に含まれているのです。
さらに 図面を書く=設計 ではありません。
設計事務所はお客様の希望を聞いて、それを現実的な形にするのが仕事です。
「玄関は広く」「階段は螺旋にして大きく」「収納たっぷり」「部屋は全部6帖以上で」
こんな希望はどんどん言ってください。
もちろん土地や予算には制限があり、また建築基準法という厳しい法律もありますの全てが希望通りにいくとは限りません。
しかしこれを上手くまとめ、後悔しない住宅を造るのが我々の仕事です。 |
|
| 床下と小屋裏 |
10年ほど前から、私の担当する住宅は「ベタ基礎」と呼ばれる基礎で設計してきました。
コンクリートの「面」で支える基礎です。
当然、軟弱地盤でも安定し、かたよった沈下をすることもありませんし、湿気も上がりません。
構造的に抜群の強さを発揮しますが、利点はこれだけではありません。
コンクリートで囲まれた空間は、床下に天井の低い地下室がある様な物です。
この「地下室」を使わない手はありません。
高さは50センチながら、面積は一般的な建売住宅で15坪。その容積は6帖間に匹敵します。
これが全て収納だったら・・・・
建売住宅の場合、床下収納と言えば60センチ×120センチ程度の収納がキッチンにあるだけ。
その他の空間はまったく未使用です。
もったいない話です。
ここを収納にしませんか?
もちろん床下の空間は、空気を流し湿気を取る役割があるので、全部は使えません。
忍者のように和室の畳を上げると、和室の下全体が収納に。
ご心配なく、畳は電動で上がります。
スキーや雛飾り等の季節物はここで十分です。
もう一つ。建物の余った空間といえば小屋裏。
建売りでも3帖程度の小屋裏収納やロフトは標準装備ですが、これをもっと大きくしてみましょう。
最高で2階の面積の1/2まで広げることが出来ます。
ただし天井高さは140センチ以下。
ここまで来たら、1階の天井裏も2階の床下収納として使わなければもったいないですね。
|
|
LDKは1階、2階?
|
土地が広ければLDKは1階に作るのが普通です。
しかし近隣と接近した狭小地の場合、1階だと日は当たりません。
昼間に暗い1階で生活し、夜になって2階で寝るのはもったいないです。
これを入れ替えたのが2階LDK。
寝室は日が当たらなくても問題ありません。
注文住宅場合は、事前にお客様と話し合って決めるので問題ないのですが、建売住宅の場合はそうはいきません。
現地にご案内したときに、
「えっ? 台所は2階なの? 階段が辛いわねえ」
こう言ったご意見は高齢者に多いです。
当然、逆の場合もあり、
「2階が見晴らし良いから、2階にリビングが欲しかったなあ」
といった感じで裏目に出ることもあり、読みが浅かったかなと反省します。
2階にリビングを設けると、ロフト付きや勾配天井といった細工が出来て、結構楽しめます。
|
|
| ハウスメーカーと設計事務所の違いは? |
正直に言って、ハウスメーカーも設計事務所も一長一短があります
ハウスメーカーの場合、基本的なプランで進めるなら建築費は安くなるでしょう。
工場で大量生産しているので当然です。
しかし少し変わった設計をしたい場合や、土地が変形していて基本プランじゃおさまらない場合など、追加の費用がこまめに発生し最終的に高くなることが多いようです。
設計事務所の場合は格安の建築は難しいですが、最初から基本プランはありませんので大きく価格が変わることはありません。
弁当屋さんで幕の内弁当を買って、チョット足らないのでゴボウサラダとマカロニサラダと御新香を追加。
良く見たら幕の内には嫌いなサバが入っていたので残してしまった。 と、これがハウスメーカー。
弁当屋さんに 「幕の内にゴボサラとマカサラ付けて、あとサバは嫌いだから鮭にして、あと御新香も忘れずにね」
と頼むのが設計事務所。
もちろん幕の内弁当単体ではメーカーの方が安くなります。 |
|
| 土地は全て表情が違います |
建売住宅と言えども、1戸1戸考えて設計します。
同じものをズラリと並べて建てる訳ではありません(私の場合は)
設計を依頼されると、まず土地を見に行きます。
道路の向き、方位、高低差、隣の建物、音、匂い その他いろいろ。
もちろん役所に行って用途地域や高さ制限、建築協定、水道管の位置も調べます。
気を使うのは隣の建物。
窓の位置が重なると、窓を開けたら隣の方とお見合いなんて事になってしまいます。
お見合いを避けるため隣と接近している場合は窓の位置をずらしますが、隣の窓位置を確認するため、あまりじろじろ覗いてスケッチなどしていると、今のご時世すぐにパトカーが飛んで来そうです。
最近はコッソリ写真に撮って、事務所に帰ってから分析します。
隣に高い建物がある場合は、その建物の日影図を作成して検討します。
なるべく日が当たる場所に、リビングの窓やバルコニーを計画しなくてはいけません。
今はパソコンで簡単に作成できますが、昔は大変でした。
「隣のビルの影が、ウチのリビングの床のどこまで来ますか?」
「冬はベランダの洗濯物に何時間何分、陽があたりますか?」
など、難しいことを聞かれたら徹夜で図面を手書きしたものです。
南隣が低い住宅だと良いのですが、いつのまにか取り壊されて3階建のアパートになったりします。
隣が古い住宅の場合は注意が必要です。
街並みも重要です。
私はいつも周りの建物もウロウロ見て廻ります。
落ち着いた住宅街に、いきなり清里のオミヤゲ屋のような建物は建てたくありません。
「こんな建物を建てたいんです」
と雑誌の建築雑誌を持ってくるお客様もいらっしゃいます。
たしかに雑誌のプランは良いのですが、
「道路が逆なので、玄関にたどりつけません」とか「これでは土地からはみ出てしまいます」なんて事もたまにあります。
「この図面のままで良いから設計費まけてよ」
と、おっしゃるお客様もいらっしゃいます。
これはカンベンして下さい。 |
|