コーヒーブレイク
     お城とお酒と一人旅の思い出を綴ります。



長野県上田市の巻
お城  長野県上田市といえば、戦国の雄、真田氏ゆかりの土地である。真田氏発祥の郷(平成の大合併により旧真田町を合併している)であるし、真田氏確立の地でもある。従ってその史跡もいろいろある。
 真田氏中興の祖幸隆(幸綱)は、小県郡海野平に盤踞していた滋野一族の系統で真田郷を支配していた真田頼昌の子(真偽の程は定かでない)である。しかし、幼い頃に父頼昌が他界し、母方の祖父海野棟綱に実子同様に育てられ、海野幸綱を名乗っていた。
 1541年(天文10年)、突如侵攻してきた甲斐の武田信虎、北信濃の村上義清、諏訪の諏訪頼重の連合軍に真田の郷の領地を奪われ、上州平井城の関東管領上杉憲政の庇護を求め、上杉の重臣箕輪城主長野業政のもとへ逃れた。以後幸隆の真田の郷奪回の辛苦の奮闘が始まる。

 まず、幸隆は、関東管領上杉憲政に頼っていても真田の郷は取り返せないことを悟り、長野業政に暇乞いをし、仇敵である甲斐の武田の当主晴信(信玄)に仕官することを決意した。甲斐では信虎が長子晴信に駿河へ追放され、新しい治世に代替わりし、小県から北信濃への進攻を狙っていた。そこでその信濃先方衆として存分に働き真田の郷の奪還を企図したのである。

<砥石城跡より望む真田の郷>
右手奥へ進むと鳥居峠を経て岩櫃城へ

<真田氏本城跡から望む真田の郷>
右手上方へ進むと地蔵峠を経て海津城へ

<上田原古戦場の碑>
 まず武田の臣となった幸隆は、1548年(天文17年)北信濃に勢力を持つ葛尾城主村上義清と信州上田原で対決した。晴信は甲斐国主となって以来無敗を誇っていたが、この戦さでは、地の利のある村上方に大敗を喫した。重臣板垣信方、甘利虎泰らも失った。しかし、この合戦の後、晴信の命により真田の郷に城を築き、失地回復の第一歩を踏み出した。

<上田原古戦場より葛尾城方面を望む>

<上田原古戦場にある板垣神社>
 上田原合戦の敗北後、信濃守護小笠原長時を塩尻峠で打ち破った晴信は、1550年(天文19年)7月長時の本拠、林城を制圧、信濃平定に大手を掛けた。そして9月いよいよ村上方の小県郡の要衝を押さえる難攻不落の山城、砥石城攻略に乗り出した。しかし、1ヶ月の攻防の末、またしても地の利があらず横田高松ら多数の死傷者を出し敗退した。世に言う“砥石崩れ”である。
 しかし、翌1551年(天文20年)には幸隆は謀略で村上方の武将を寝返らせ砥石城の奪取に成功した。ここに真田の郷を実質的に村上方から奪還した。

<中央が砥石城、左が米山城、右が桝形城>

<砥石城への急な岩場>

<砥石城主郭跡>

<左から山家神社、菩提寺長谷寺石門、その裏手の幸隆の墓(中央)>
<左:砥石城主郭からの上田市街の展望>
<上:幸隆の三男昌幸築城の上田城>
 実は、上田には親友であるTT氏から2年位前に聞いた、どうしても呑みたいお酒、行ってみたい酒蔵があった。お城とは関係ないが同じ上田市なのでここをご紹介したい。
 そのお酒は『醲献(じょうこん)』というお酒で、アルコール度数が38.1%の純然たる醸造の日本酒である。醸造元は信州銘醸株式会社、発売元は株式会社シマシステムである。
 まず、信州銘醸を尋ねてみた。しかし、道に迷い着いた時間は午後の5時、営業時間が終わっている。その日は引き返し上田駅前のホテルに泊まった。そしたら、何と駅前の土産屋「北村」に信州銘醸の樽「信繁」があった・・・なっなんと?早速飛び込んだ。(信繁とは真田幸村の正式な名前である。武田信玄の弟信繁から着けた名前であると思われるが・・・)
 愛想のいい亭主が出てきて、試飲をさせて貰ったり、信州銘醸・醲献の話をした。そしたら駅前で醲献を提供する「NOAH」なる店があると知らされ、早速行ってみた。

<上田駅前のおみやげ「北村」>
*因みに、この「信繁」は北村のプライベイトブランドである。

<上田駅前のNOAHにて(中央はご主人と奥様、右は醲献です)>
*二日間お世話になりました。ありがとうございます。
 翌々日再び信州銘醸へ、今度は早く着きました。二日前の事情も話したら大変親切に美人の店員にもてなされて・・・醲献の製造を担当している職人の方を呼んで、醲献の製造装置の見学・説明を直接受けました。iyahaya感激です。(北村の主人からはプレハブの窓から覗いたらいいよ程度だったもので・・・)
<上:信州銘醸株式会社
<左:醲献製造装置の前で>

<左2つは信州銘醸『醲献』製造装置の建物とその内部、右2つは熟成庫とその内部>
*熟成庫の扉を開けると、瓶の中からぷーんと甘辛い旨そうな匂いが漂ってきた。
<写真左>
純米濃縮熟成酒 「醲献」
500ml  4,800円

原材料:米・米こうじ
原料米:(麹米)美山錦、(掛米)あきたこまち
精米歩合:(麹米)59%、(掛米)73%
日本酒度:+5
酸度:5.0
アミノ酸度:4.2
アルコール度:38.1度


<写真右>
無濾過純米熟成酒 「醇」

720ml  1,500円

原材料:米・米こうじ
原料米:(麹米)あきたこまち、(掛米)あきたこまち
精米歩合:(麹米)70%、(掛米)70%
日本酒度:+3
酸度:2.8
アミノ酸度:2.0
アルコール度:18.5度
【醲献】円やかなブランデーのような口当たりと香りであるが、それよりとろっとした濃くのある甘さと辛さと酸味、喉から食道に向ってヒリヒリした刺激が走り、鼻からツーんと辛さが抜ける。アルコール度38.1%でも、この旨みはヤッパリ日本酒だ。新しい日本酒の境地が堪能できる。
【醇】豊潤な香り、濃醇な口当たり、酸味の後の喉越しの辛味が旨い。様々な成分の絡み合った味、これぞ日本酒の醍醐味である。精米歩合が低いとは何と素晴らしいことか。このお酒を半氷結させ水分を除去し高アルコール度の醸造酒『醲献』ができる。醲献が益々気に入った。