「ソロモンの鍵2~クールミン島救出作戦~」について
「ソロモンの鍵2~クールミン島救出作戦~」(以下「ソロモンの鍵2」)は、1992年にテクモ株式会社から発売されたファミコン用ソフトです。前作「ソロモンの鍵」よりも前の時代設定で、「大魔法使いダーナが、まだぺーぺーの新米だった頃のお話」だそうです(取扱説明書より)。ストーリーは、冬の妖精達が住む氷の島「クールミン島」に邪悪なる魔法使い「ドルイドル」が炎の魔物を放ったため、妖精の女王から氷の魔法を授かった見習い魔法使いダーナが島を救いにいくというものです。前作「ソロモンの鍵」はかなりメジャーなゲームなのですが、その続編なのに、「ソロモンの鍵2」の存在はあまり知られていません。そのようなわけで(?)、「ソロモンの鍵2」について私が思うところを筆の赴くままに書いてみようというのがこのコーナーです。そのため「レビュー」という名には値しないかもしれませんがご了承ください。
さて、「ソロモンの鍵2」ですが、前作「ソロモンの鍵」との比較から、低い評価を受けていることが多いです。他方で、「ソロモンの鍵2」を単体として評価し、それなりの価値を認めている方もいるようです(他のサイトの内容また掲示板への書き込み等から)。まあ他の方の評価の詳細は別のサイトでご覧になっていただくとして、私は私で「ソロモンの鍵2」について思うところを述べたいと思います。
私は、「ソロモンの鍵2」は、単体として評価すると、かなりよくできたパズルゲームだと思っています。メルヘンチックな画像と音楽には個人の好みが分かれると思いますが、特にパズルを解く支障にはなりません。そして、パズル自体は、面の進行に沿って容易なものから難しいものまでそろっていて、ゲームを進めていくにしたがってパズルを解くスキルが自然と身に付くような構成になっています。最後の方の面はそれなりに難しいのですが、それでも最初から順に解いていけば何とか解けるのではないかというレベルです。ちょっと操作性が悪いのが難点ですが、まきもどし機能(いわゆるundo機能)があるので、それほど気にならないでしょう。パズルが好きなら一度は挑戦してみても損はないと思います。
ただ、「ソロモンの鍵」と「ソロモンの鍵2」とを比較すると、前者の方の評価が高くなるのはやむをえないのではないかと思います。ソロモンの鍵2の方が楽しみの幅が狭いと考えられるからです。
すなわち、「ソロモンの鍵2」は、「ソロモンの鍵」と比較して主に以下の点が指摘できるように思います。あくまで、「ソロモンの鍵」との比較なので、「ソロモンの鍵2」にとっては厳しい評価となっています。
①面の数は多いもののパズルが全般的に容易であり、面の構成の多様性に欠ける
「ソロモンの鍵2」の面の数は、本編の100の面と50の裏面で、計150面あり、前作のほぼ3倍です。ただ、容易な面も多く、また、まきもどし機能(いわゆるundo機能)を利用して試行錯誤すれば、ちょっと難しい面でもあまり苦労することなくクリアできるため、結果として前作と比較して容易なゲームになっています。また、ダーナの行動が限られている(走る、一段分の段差を登る、土管に入る、氷を自分の斜め下に作ったり消したりする、1マス分の氷と石を押す)ので、面の構成にもそれほどの多様性があるわけではありません。そのため、ゲームを進めることが、どうしてもやっつけ仕事のような感覚になってしまいます。(とはいえ、それなりに難しい面も多くありますので、パズルに頭を使うのが嫌いな方にとってはたいへんだと思いますが。)
②ゲームオーバーや得点の概念等がなく、緊張感に欠ける
とにかくこのゲームは炎を全て消すことによって面をクリアできるのですが、それだけなのです。操作ミス等をしても「まきもどし」や「やりなおし」すれば全く問題なく、それに伴うペナルティ等もありません。そのため、ちょっと悩んでも、適当に操作してうまくできたら御の字みたいなプレイをしがちです。その結果、面をクリアしたときの充足感もそれだけ減殺されます。
一般的な評価は上記のような感じでしょうか。これらの点に加えて、私が感じていることも1つ付け加えておきます。②と共通する点ではありますが、私が「ソロモンの鍵2」に関して最も不満を抱いている点は、ある面をいったんクリアしてしまうとその面を繰り返して行うことがほとんどなくなってしまうことです。「ソロモンの鍵2」は、ほぼ純粋なパズルゲームなので、1回クリアした面はクリアの方法が既に分かっています。さらに、前作の「ソロモンの鍵」のように、制限時間やアイテム等があるわけではないので、点数を稼ごうとか、アイテムを全部取ってやろうといった更なる楽しみもありません。確かに、クリアまでの経過時間は表示されますが、記録が残るわけでもなく、タイムを縮めようという気にもなりません。
(追記)これを書き始めてから、全ての面のタイムトライアルを敢行しました(まだ完全ではありませんが、結果はこちら(有益な情報とは思えないので現在リンクを切っています ))。最短クリア手順がすぐに分かってしまうような面は誰がやっても同じタイムになってしまうと思いますが、中にはタイム短縮に挑戦しようという気になる面もあります。ただそのような面を探し出すのが大変です。また、先述したように操作性のよくない部分があるので、その点がネックです。
さて、上記のような感想を抱いている私が、なぜ、サイトまで作ってしまうほど「ソロモンの鍵2」を評価しているかというと、それはエディット機能が付加されていることにつきます。しかも22面もセーブできるのです。まさに、本編のパズルで飽き足りない方は、エディット機能で自分で面を作って楽しんでくれと言わんばかりです。私も、全ての面をクリアするとすることがなくなったので、エディット機能を使ってみたのですが、これがなかなか楽しいのです。まあ、もともとパズル等を考えるのが好きなだけかもしれませんが、本編のパズルを解くだけでは満足のできない方の欲求のはけ口となりうるものだと思います。私の自作面を見ていただければ分かると思いますが、エディット機能を使うと、「独りよがりの」恐るべき難解な面も作成できます(難解といっても10000手以上かかる倉庫番の面やチャンピオンシップロードランナー等には到底及ばないのですが)。
というわけで、せっかくなので、作った自作面を公開してみることにしました。本編のパズルでは飽き足らない方には、自作面に挑戦していただき、また、それがきっかけで、自分でも面を作ってみようかなと思っていただければ非常にうれしく思います。