メキシコ旅行記  Vol.14
   
(2003年11月、日本ラテンアメリカ文化交流協会雑誌「オーラ!アミーゴス」
    に掲載された文章です。ノーカット版でご覧ください。)

帰ってきて

  思い返してみると、私のアルパ人生の本格的な始まりは2001年の「第3回全日本アルパコンクール」からだったと思います。それまで、楽しい、嬉しいだけでアルパを弾いていた日々だったのですが、先生に勧められ、大きな舞台で演奏できる度胸がつけばと応募したコンクール。そのコンクールを意識し始めたころから、自分の中で何かが少しずつ変わってきたような気がします。コンクール出場用の曲を温め、出場3ヶ月前はしにものぐるいで練習し、指がまめだらけになりながらも、1週間前は狭い2畳くらいの納戸に閉じこもって、ご飯とお風呂と寝る以外はずっと練習していました。

コンクール当日。順番がいちばん最後だった私は、控え室でずっと練習していて、他の方の演奏が全然聞けませんでした。そのおかげで、動揺せずに精一杯自分を発揮することができたんだと思います。ですから、他の方の演奏を聞けなかった分、結果発表の最後の瞬間まで、まさか自分が選ばれるとは本当に思っていなかったのでびっくりしました。

残念ながら、日本アルパコンクールの歴代優勝者が招待されている「ラテンアメリカアルパフェスティバル」は世界情勢が悪く開催されなかったので、今回のメキシコでの「国際音楽フェスティバル」出場となったわけですが、これもまた運命で、そのおかげで今回のような素晴らしい生涯忘れられない大切な思い出ができたんだと思います。(もうすぐ2004年11月メキシコで「ラテンアメリカアルパフェスティバル」に出場できることになりました!)今までずっと人に頼って生きてきた私が、一人で海外に行き、言葉も文化もわからない場所で生活したことは、ものすごい挑戦でした。大変だったけど、人生観もすっかり変わり、こんなにも自分は人に助けられて生きているんだということを実感でき、かけがえのない財産を得たような気がします。

 これからコンクールを受ける皆様に一言。このアルパの世界は、努力・才能の上に平等にチャンスが訪れる世界だと思っています。私だって大学は英文科卒だし、由緒ある音楽一家に生まれたわけでもないし・・・。そして、このラテンアメリカ文化交流協会主催の「全日本アルパコンクール」は、自分の努力・才能を、そのままの姿で正面から試す素晴らしい場だと思います。皆さん、コンクール当日まで、自分を信じて精一杯練習がんばってください! 

私の今の夢は、二つあります。一つは、いろいろな素晴らしい楽器と合わせて演奏すること。もう一つは、アルパのことが大好きな日本中・世界中の仲間と、一緒に演奏すること。いろんな弾き方のいろんなタイプの奏者がいて、それぞれの良いところが重なり合えばきっと素晴らしいアルパの世界が広がるだろうな、と夢見ています。きっとそうなるように頑張ります!

 最後に、私が今、こんなに大好きなアルパを演奏し続けることができるのは、私にアルパを一から教えてくださった、第一回アルパコンクールの優勝者であり、私の偉大な恩師である野中みさえ先生と、いつもそばで私を理解し、協力してくれている家族のお陰です。本当にありがとうございます。そして今回こんなに幸せで貴重な経験をさせてくださったマリキータさんに心から感謝の言葉を申し上げます。ありがとうございました。
 (マリキータさんのご冥福をお祈り申し上げます。2004年11月)

                     2003年11月 増永雅子

2001年第3回
全日本アルパコンクール
決勝大会


翌年2002年アルパフェスティバル(千葉ぱるるにて)

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