追記2 Vol.16
  
(2004年9月、日本ラテンアメリカ文化交流協会雑誌「オーラ!アミーゴス」
      に掲載された文章です。ノーカット版でご覧ください。)

前の記事からつづき

 マリキータさんは舞台当日、出発ぎりぎりまで横になっていらっしゃいましたが、本番には凛と着物をおめしになり、リハーサルなしで最高のステージを見せて下さいました。今でも克明に一緒の舞台に立った感動を覚えています。
 フェスティバル次の日の朝、マリキータさんが私に言って下さったことがあります。「誰にも負けちゃだめよ、がんばりなさい、それだけが私の一番の願いなんだから。」その言葉は今も胸に強く残っています。この言葉にこれからもずっと助けられると思います。

私のファーストアルバムCDの曲解説は、誰にお願いしようか迷うことなくマリキータさんにお願いさせていただきました。それだけに今回発売する事が出来たこのファーストアルバムは本当に思い入れの深い作品になっています。マリキータさんの期待に少しでも応えられるように、これからもっともっと努力し続けます。アルパというパラグアイの楽器を、現地に根付いたリズムを大切にしながら、日本人の女性にしか出来ない音色を追求して、日本人の私にしかできない音楽を一生涯掛けて勉強し続けたいと思います。
 メキシコへ行って、行く先々で「マリキータにお世話になったから、マリキータは大切な友達だから」といって私に親切にしてくださる方がたくさんいました。ホームステイ先のドミティーロ・モラレス氏をはじめ、セルソ・ドゥアルテファミリーなど、それはもうたくさんの方に接してみて感じたことです。それも全てマリキータさんが長い年月を掛けて築いてこられたものなんだなあと痛感しました。
私なんてたかが5年くらいのお付き合いで彼女の何を知っているの?と言われたらほんの一部でしかないけれど、私にとって彼女は偉大なアーティストでありラテン界お母さんです。最後の最後までプロとして音楽を愛し続けたマリキータさん、私の人生を前向きに変えて下さった大切な人です。本当にありがとうございました。もうお会いすることは出来ないんだと思うと、辛くて辛くて仕方がないのですが、彼女の事をいつまでも胸に、アルパの世界で頑張っていこうと思います。
マリキータさん、どうか天国でゆっくりお休み下さい。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
                                 増永雅子

        追記1にもどる     もどる