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両国高校定時制
二十七日。大津より浦戸をさしてこぎいづ。かくするうちに、京にてうまれた
りし女子、くににてにわかにうせにしかば、このころのいでたちいそぎを見れど
、何事もいはず、京へ歸るに、女子のなきのみぞ悲しび恋ふる。ある人々もえ堪
へず、この間に、ある人のかきていせる歌、
都へと思ふもものの悲しきは帰らぬ人のあればなりけり
また、あるときには、
あるものと忘れつつなほなき人をいづらと問ふぞ悲しかりける
といひける間に、鹿兒の崎といふところに、守のはらから、またこと人、
これかれ酒なにどもて追ひ来て、磯におりいて、別れ難きことをいふ。
守の館の人々の中に、この來る人々ぞ、心あるやうにはいはれほのめく。かく別
れ難くいひて、かの人々の、口網も諸もちにて、この海辺にて、になひいだせる
歌、
惜しと思ふ人やとまるとあしがものうちむれてこそわれは来にけれ
といひてありければ、いといたくめでて、行く人のよめりける。
さをさせど底ひも知らぬわだつみの深き心をきみに見るかな
土佐日記はU先生から教わりました。最近、両国高校定時制で使っていた国語の教科書が見つかりました。教科書を開くと懐かしい教室の記憶が蘇ります。教室は私たちにとってとても大切な存在でした。教科書には本文にそってさまざまな書き込みがありました。本文を読み返しても内容は難しくて読み進めませんでした。こんな難しいことを教わっていたのです。