2.ディティールアップは必要か?


 1/35で過剰なディティールアップやアフターパーツの氾濫が良く
戦車模型趣味をつまらなくし、初心者にとって敷居を高くしている「原因」にされることが多いですが、
これについて考えてみましょう。

 エッチングパーツやカステン履帯等のアフターパーツが充実するということは、
寧ろ「選択肢」が増えるということで、
本来模型制作における「自由度」を広げるものの筈です。
しかし模型誌等では「あらゆるアフターパーツを全て組み込みました」みたいな
作例ばかりが氾濫し、あたかもそれらを使わなければ素晴らしい作品は出来ない
かのような風潮を醸し出してしまい、結果的に「自由度」を狭めてしまったというのが
実情ではないでしょうか。

(それ以前の「AFV冬の時代」についても、その原因が過剰な考証とディティールアップに
あるとする方もいらっしゃいますが、私はそれだけでは正確では無いと思います。
過剰なディティールアップがモデラーを辟易とさせたのではなく、
正しくは過剰なディティールアップに付随する「キット批判」がタ●ヤを怒らせた、ってのが正解でしょう(笑)
まあ一番の原因は当時の主力モデラー達が就職して社会人となり、
模型どころでは無くなったってことなんでしょうけど)


 さて、ここで注意しなければならないのが、「アフターパーツを組み込む」ことと
「ディティールアップする」行為は同義ではないということです。
本来プラモデルというのは「誰が作っても同じものが出来上がる」もので、
それ以前のソリッドモデル等の模型作品に比べれば「自由度」の少ない
半完成品的な性質があるものです。
ですが、そこに各自が「ディティールアップ」や「独自の塗装」を加えることによって、
模型本来の「創意工夫」する楽しみを付与することができるわけです。
つまりディティールアップする行為は、プラモ制作の自由度を広げ、彩りをもたらすものだと思うのです。


 ですがただ単に「アフターパーツを組み込む」行為は冷静に考えると
機械的にプラモデルを組み立てる行為の延長に過ぎないとも言えます。
確かにそれらを組み込むにはそれなりの高い技術は必要でしょう。
しかし「創意工夫」という観点では本来のディティールアップの楽しみ
を満足させるものでは無いと思うのです。


 この辺を分けて考えないと、
「過剰なディティールアップが模型をつまらなくした」
なんて寝ぼけた意見が幅を利かせることになるかもしれません。
実態は「アフターパーツを組み込むことで満足して
それ以外の創意工夫をしないモデリング」が真犯人じゃないんでしょうか?


 アフターパーツを使うこと自体は悪いことではないと思います。
実際私もイッパイ持ってますし(笑)それも選択の自由です。
ただ「アフターパーツを組み込みました。以上。」
ってだけの作品では終わりたくないですね。


 それ以前の模型に比べて「お手軽」をウリに登場したプラモデルではありますが、
それが只の「暇つぶし的娯楽」から「深遠なる趣味」の世界へと
発展する為には、程度の差こそあれ、こうした製作者による「付加価値」を与える作業は
欠かせない要素だったのではないでしょうか。


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