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感想

人は死なない
    著者:矢作 直樹
救急医療にたずさわる医師が、摂理(神)と霊性(霊)について、自身の見解を述べている。
現代医療は飛躍的な進歩をとげたものの、人間については解明できていないことが多い。
過去の統計から助からないと判断された患者が回復したり、逆に容態が急変して亡くなられる患者もあり、説明できない事象がある。
そのため、アメリカでは代替医療として気功なども検証されており、筆者も気功を体験し、常識では考えられない現象を目の当たりにしている。
また、医療現場にあると、瀕死の患者から、霊に憑依されたとか、体外離脱をした、などの話を聞く機会があるそうだ。そんな体験から、摂理と霊性に興味を持ち、自身で調べられ、信じるに至っている。
霊については、高名な科学者が本気で研究をしてきたと説明しており、その実績を知り、科学的な見地から、現在の認識があるのだという話は興味深い。
最後に、肉体は寿命をむかえても、魂は不滅であると言う。そのため人は老いや死を恐れずに、足るを知り、利他に生きるべきだと締めくくっている。

霊の存在は、普通の人は感じず、霊媒師などの話を聞いても、にわかに信じることは出来ない。
しかし、医師という立場から、摂理と霊性について語られる内容は説得力があり、道徳的に正しい生き方をすることは、死んだ後に意味のあることなのだと感じる。
[2016/3/19]

モチベーション 3.0
    著者:ダニエル・ピンク
会社が業績をあげるため、社員のやる気を引き出す手法として採用されてきた「アメとムチ」。
成果を上げれば、報酬を出すというもので、経済成長時の日本で大きな効果をあげてきた。
しかし、物作りの時代から、付加価値をつける時代に変わり、「アメとムチ」は機能しなくなった。

「アメとムチ」の問題点を説明し、これからの手法として、自身の内面から「やる気」を作り出すことの必要性を説く。

2.0の問題点
  • 報酬があると判っていると意欲が低下する。報酬に応じた成果しかあげず、100%の能力を発揮しなくなる。
  • 創造性を阻害する。問題を解決すると報酬があると聞かされると、問題に集中できなくなる。
  • 良心を失わせる。善意に対して報酬を与えると意欲を失う。無償の方が社会に貢献したという満足感を得られる。
  • 悪行を助長する。ノルマを課すと罰則を恐れて、結果を出すために手段を選ばなくなる。
  • 短絡的な思考になる。目の前の目標を達成するための手段ばかり考えて、長期的な視点で考えなくなる。
3.0の解説
  • 自律性
    自由に好きな方法で仕事を出来る環境を与える。
    何をするのか(課題)、いつするのか(時間)、どのようなやり方でするのか(手法)、誰と一緒にするのか(チーム)を個人に任せて、自律を促すことで、能力を最大に発揮することが出来る。
  • 熟達
    統制によって会社の求める結果を出すことでは、自律的な成長は望めない。
    簡単すぎず難しすぎない課題を与えることで、作業に集中することが出来、継続する向上心がもたらされる。
    より難しい仕事を、一歩ずつ達成することで、自らの熟達を感じることが出来る。
  • 目的
    熟達を目指す自律的な人が、自らの目的を自覚しているとき、より大きな成果を達成する。
    会社の掲げる目的が、社会に貢献する内容であるとき、会社の利益を上げるべく働き、自身の能力を上げることが、世の中の役にたっていると自覚できる。

自分の好きなこと望む方法で行い(自律性)、成果を上げて成長を感じれば(熟達)、おのずから意欲が湧き、社会に貢献できる正しい会社に勤めることで(目的)、持続的な「やる気」をもたらすということ。
以前から言われていることだが、モチベーション2.0 と 3.0という言葉を作り、2.0の問題点と、3.0の効果を比較する内容が理解しやすい。
[2016/3/13]

できる男は超小食
    著者:船瀬 俊介
60歳を超えても若々しく元気な人が、1日1食で生活していると言い、小食の有効性を解説している。
小食なら、思考が冴え、体重が減り(過度には減らない)、疲れず、睡眠時間が少なく済み、加齢臭が消え、食事にかける時間とお金が少なくすむ。
空腹を感じることが長生きの秘訣。
空腹=飢餓と感じた体が、保護機能を働かせ、酵素を作り出す。酵素は活性酸素や紫外線から遺伝子を守り、老化を防ぐ役割をはたす。
ラットの実験で、Aたくさん食べる。B6割に抑える。C1日置きに断食。を比較したところ、Cが最も健康で長生きだった。アルツハイマーにも成り難い。
肉や砂糖の摂りすぎが病気の原因。腸に負担のかかる食べ物を控え、腸を健康にすることで、あらゆる病気が治る。

若いうちは体の防御能力も高いため、食事が健康の妨げにならず、成長に必要なものであるが、年を経てからは食事の量を減らして老化を防ぐことが、健康を保て、楽しい生活をおくることが出来ると理解した。
週末の1日断食を試してみたいと思う。
[2016/3/6]

孤独の価値
    著者:森 博嗣
孤独を恐れている人が多い世の中に対して、酷い状況では無いと述べる。

孤独は恐れている人に、何故だと問えば、寂しいからだと答える。
人は、他者と繋がりがあると、仲間意識を感じるが、繋がりが失われると孤独を感じる。
周囲に人がいたとしても、認められていないと本人が判断した場合も、孤独を感じる。

何故、生死にかかわらない孤独を恐れるのか。
孤独による寂しさを、悪くとらえているのは、先入観による。
社会によって、寂しさ=悪だと植えつけられた思いが、孤独状態を不安に感じすぎている。

孤独によって幸せを感じる場合もある。
科学者は独りで研究に没頭する。それは孤独に思考をすることが楽しいからだ。
ものを発想する、創作するという行為は、個人的な活動であって、孤独が絶対に必要だ。
これまで偉大な成果を残した人物は、孤独から発見を生み出している。

人との絆が感動という感情をもたらすため、商業が感動を押し付けてくる。
また、情報化社会によって、ネットを通じて他者が割り込んでくる時代になった。
貴重な孤独の時間が、繋がりを求める人によって、遠ざけられてしまっている。

一人でコツコツと作業をしていたい人にとって、寂しさは大好きなものになる。
孤独から得られる楽しみを、もっと大切にする必要がある。
[2015/10/27]

ひとりのメールが職場を変える
    著者:田坂 広志
管理職である著者が、マネージメント手法として、自らの職場で行っている「ウィークリーメッセージ」を紹介している。

毎週1通のメールを、職場全員に対して発信するというもので、内容は自由。
ただし、誹謗、中傷は厳禁。

下記のような、現代の職場が抱える問題に対して、有効なコミュニケーション手段として機能している。
・仕事の効率化を求められて、個々が忙しい作業に追われている。
・組織の改変や、転職が多くなり、長く一緒に作業をすることが少なくなっている。
・業務時間以外にメンバーとの交流を行うことが歓迎されなくなった。

また、上司と部下という関係性での直接対話では、本音を聞き出せなかったり、会話では自分を上手く表現できないメンバーもいるが、メールなら、心の中で抱える思いや、深い悩みが、率直に発信されてくる。
さらに、あるメンバーの発信に対して、間接的な返信が行われるといった対話が生まれる。
このような、深層対話とでも呼ぶべきコミュニケーションが行われ、互いを知る手段として役立つ。

仕事に関するメッセージが発信されることもあり、仕事における経験が、他のメンバーの知識として伝達する。
発信した本人も、体験を言葉にする行為によって、より明確な知識として記憶される。

メンバーがこころの問題を抱えたときも、メッセージに書くことによって、その問題を深く考えるきっかけになる。
メッセージが自分を知っているメンバーに読まれるという意識が、客観的に自分を見つめることに繋がる。
このことが、セルフマネジメントの効果を生み出す。

後半は、マネジャーとして、メンバーの心の成長を、どのように導いていくべきかという、筆者の思いが語られる。
ウィークリーメッセージによる心の交流が、筆者の言う「創発系マネジメント」に寄与すると言う。

最後に、「ウィークリーメッセージ」を始めた理由が改めて書かれていて、
「深い縁あって同じ職場に集まった仲間のことを、もうすこしだけ深く知りたい」
と述べ、いつの日か昔のメッセージを読みなおして、かけがえのない時をともにした仲間のことを思い出してみたいと締めくくる。

同じ職場で働く仲間のことを、より知りたいと思う気持ちを持つものの、上手くコミュニケーションが出来ない自分にとって、とても有効な手段であると感じた。
まず自分から発信することを始めて、自分の思いを仲間に伝えたいと思う。
仲間が自分の事を知ってくれていると感じられたならば、直接対話でも臆せずに思いが伝えられるようになると思う。
さらに、筆者が述べているような、心の交流が生まれたならば、それは幸せなことだ。
[2014/12/20]

脳を鍛えるには運動しかない!
    著者:ジョン J.レイティ
「運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段」という趣旨の本。
脳の機能とは、勉強が出来ることだけに留まらず、心が強くなること、加齢による衰えを取り戻すことも指す。
1章では学校の取り組みを実例であげ、運動することが、成績の向上、肥満の解消、暴力行為の減少をもたらすことを示す。
運動の目標は「高い心拍数を維持しているか」という点。他人との比較や、技能の成績は関係なく、あくまで自分と競い合い、向上が感じられる仕組みになっている。
以降、ストレスに対する抵抗力、不安障害の克服、うつ症の改善、依存症からの脱却など、心が強くなることで、あらゆる心的障害の症状が良くなることを、医学的な専門知識をまじえて解説する。
最後に、加齢による脳の衰えが、運動によって脳を鍛えることで緩和する健康に保つと述べ、心と体がいかに繋がっているかを重ねて伝える。

専門用語による解説が多く、理解できない部分があるが、理詰めで説明されると納得する私のような人間には必要な記述だ。
わからない文章は飛ばして読んでしまっても、筆者の伝えたいことは十分に理解できる。
運動への意欲がわいてくる。
[2014/9/30]

嫌われる勇気
    著者:岸見 一郎、古賀 史健
アドラー心理学を物語形式で解説している。

主題は「自由と幸福を得るための考え方」と感じた。禅で語られる考え方に近いが、より具体的に体系だてられて説明しているので理解しやすくなっている。
アドラー心理学が定義している用語がもれなく書かれていて、用語の多さと説明不足により、哲学的な難しさが残ってしまっているが、興味を持った人が専門書をひもとくときに繋げやすくする考慮かもしれない。

前提
性格や気質は、これまでの人生で選んできた結果なので、変えることが出来る。
だが、今の自分を不幸だと感じ、不満をもっていても、外的原因のせいにして変わろうとしない。それは、変わらない方が(他者のせいにしていた方が)楽だから。
不幸や不満の原因
人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。
他者との比較によって感じる劣等感は、主観的な思い込み。健全な劣等感は、理想の自分との比較によって生まれる。
他者との権力争いにはのらない。対人関係がこじれるし、たとえ勝ったとしても、相手は復讐をもくろむため。
対人関係から自由になる
承認欲求を否定する
他者の承認を得る行為は、他者のために生きることになる。
課題の分離
他者が自分の良いように動いてくれないのは、他者の課題。
他者を変えようとする行為が、対人関係の悪化につながる。
嫌われる勇気
他者から嫌われることを受け入れなければ、自由になれない。
幸福感を得る
対人関係の悩みは共同体感覚(仲間意識)によって解決する。

縦の関係を否定し、横の関係を作る
他者を評価する(叱る、褒める)ことは、縦の関係。
承認欲求は自己中心的な考え方。
自己受容
変えられるもの(性格、気質)、変えられないもの(他者の課題)を見極め、変える勇気を持つ。
他者信頼
無条件に他者を信じる。裏切り行為は他者の課題と理解する。
他者貢献
仲間である他者に対して、何ができるか考え実践する。

対人関係の悩みが解消することで、幸福感が得られる。
幸福感とは、他者貢献することで、誰かの役にたっているという主観的な感覚。

普通であることの勇気を持ち、存在するだけでも他者貢献できるという考え方の転換が重要と感じた。
特別な存在になろうとしたり、人生の目標を決める必要は無い。
他者との比較で理想の自分を定義し、目標を達成できないことで、自分の無能を感じることになる。
過去や未来を気にしない。
いま、ここを真剣に生きることを続けることが、自己実現や優越感を得ることに繋がる。
[2014/8/7]

ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる
    著者:山田 昭男
「常に考える」を標語に、社員の自主性を一番に考えた経営哲学が述べられている。
社員の自主性を最大限引き出すために、以下のような方策をとっている。
・失敗をマイナスとしない
商品の改良や、業務の改善をやってみて、ダメなら元に戻せばよい。
また、違う方法を考えて試せば良い。
失敗を責めてしまうと、萎縮させてしまい、試行錯誤が無くなる。
・権限と責任を与え切る
上司に報告や承認を得る義務を課すと、責任転嫁する余地が生まれる。
権限を与えないと、問題解決能力や判断力がつかない。
・上司から部下への命令は禁止
社員が自分の考えで行動し、間違いを犯し、改めることでしか当事者意識は育たない。
・社員はすべて正社員
給料や処遇の違う人が同じ仕事をしていては、不平不満がたまり、仕事の質の低下につながる。
不満を持った一部の人間がいると、全体に悪影響が生じる。
・上司は特定分野の深い知識や技術を持てばよい
会社が儲かる7つのポイントのうち、どれかひとつを抜きんでた力を持てば魅力となる。
1.たくさん売る
2.高く売る
3.安く作る
4.いいものを作る
5.たくさん作る
6.安く買う
7.いいものと買う
・ノルマを課さない
制約があると、ノルマをこなすための仕事になってしまう。

社員を信用して、個性を発揮できるように自由を与えていると感じた。
規則の抜け道を探して得をしようとする人間がいるなら、規則が無ければ良いという発想は素敵だと感じた。
余計な制約を廃して、不満を無くし、やる気を喚起する。給与の多寡ではなく、他者からの称賛が行動の動機づけになるという考え方には共感する。
[2014/4/9]

悩む力
    著者:姜 尚中
現代人が抱える問題として、自由すぎることによる孤独と、進歩が速い社会による価値観の変化をあげている。
この「孤独」と「変化」によって自分の存在意義を見出だし辛い状況にあると言う。

・社会の変化によって、時代に流されてる感覚があり、自我を保てないものの、逆行して個性を求めることも困難である。
・科学の進歩よる合理化によって、職業の性質が細分化されるほど、個別な人間となり、孤独を感じる。
・誰をどのように愛するか、何を愛するかが自由になり、判断基準が無くなった結果、未婚が増えている。

上記のような例をあげ、では、何によって存在意義を得るのかという問いに対し、「他者からの承認」という答えを出している。
社会の一員であるという、自分の存在が認められる行為によって、生の価値が感じられる。

筆者自身も、相互承認によって、私が私であることの意味が確信できた。と締めくくっている。

冗長な文章が多いものの、「孤独」と「変化」によって悩まされているという論点は、大いに共感できた。
[2014/4/3]

自由をつくる 自在に生きる
    著者:森 博嗣
筆者は「人生の目的は自由だ」と言い切る。
思うがままの状態を自由、支配を受けている状態を不自由と定義し、支配から解放された状態が自由であると、対比した解説をしている。

以下は要約。

自由とは「自分の思いどおりになること」であり、「思う」ことが無ければ始まらない。そして、思考し、行動に移し、達成による満足を得ることで自由を感じる。

「思う」ためには「支配」されていることを「自覚」する必要があるため、いろいろな支配を例示し、自覚を促している。

・体による支配
・社会的な支配
・常識による支配
・ルールに従うことの安心
・他者からの支配
・自分による支配

ただ、自由と向き合うことには難しさがある。
常識に流されず、自分で考え、自分の力で進む覚悟を持つことは楽ではない。
そのため、支配に従うことの楽さに甘んじてしまう傾向がある。

支配に気づき、自由を求めるならば、まず、今の自分の状況がどんな問題を抱えているかを分析する。
分析には、整理して言葉にしたり、自分と対話したり、文字に書いたりすることが有効である。

自分の位置、方向を認識し、目標を定めたら、計画を立てて少しずつ前進する。
予定どおりに進まなければ修正し、慌てず取り組む。
計画の進捗を把握すれば、自由に近づいていると感じられる。

自由を手に入れるための秘訣として、皆を同じことをしないことである。
自分にとっての合理的な理由で判断する。
周囲の評価、定説、噂、世間体、常識、といったもので決めてはならない。

最後に、次の一文で締めくくっている。
「非合理な常識よりも、非常識な合理を採る。それが自由への道である。」
自由とは、何を支配と感じ、そこから逃れ、自由を獲得するかということ。
自分が何から支配されているのか、考えてみたいと思った。
[2014/3/25]

ザ・ゴール
    著者:エリヤフ・ゴールドラッド
著者の提唱した「制約条件の理論(TOC:Theory of Constraints)」を物語形式で説明している。
あらすじは、
生産効率が悪く、工場閉鎖を勧告された主人公は、恩師からの助言を元にTOCを実践し、見事に工場を再生する。
やがて、会社で一番の売上を上げる工場となり、工場長から会社役員へ昇格する。
主人公は、会社全体を捉えたTOCを実現するため、新たな挑戦を始める。
となっていて、恩師からヒントだけが与えられ、答えを探して解決していく過程が物語として面白い。

TOCとは、企業の売上向上(業務の効率化)を図るとき、業務全体を俯瞰し、妨げの要因(ボトルネック)を見つけ、それを改善することで、全体効率を最適化する手法である。
物語の中では、生産工場を舞台に、前工程が作った部品10個を、後工程が6個しか処理できないとき、後工程がボトルネックであるとし、後工程の処理能力を高めることで、全体の生産効率(スループット)が上がると捉えた。また、前工程が余計に作った4個の部品は在庫となり、無駄とされる。同じく、在庫となる部品を作るための人件費(作業経費)も無駄と考える。つまり、部分的な生産性が高くても、売上から見ればマイナス要因である可能性があるということ。

私の仕事では、平準な作業が少なく、簡単にあてはめることが出来ないが、全体からボトルネックを発見する視点は必要だと感じた。
[2013/3/17]

読書は「アウトプット」が99%
    著者:藤井 孝一
本は読むだけでなく、アウトプットすることで、一冊の本が自分の中で生き続けると言っている。

・書いてあることの1つでも実践できたら充分
本の内容を、すべて真似ることは出来ないし、考えの合わないこともある。何かを得ることが出来れば良いという考え方が良い。
・記憶力とは覚える力ではなく思い出す力
本から得た知識は使わなければ役に立ったと言えないし、すぐ忘れてしまう。繰り返し使う(或いは人に話す)ことで初めて記憶となる。
・読書メモを残す
心に残った一節や、大事な事を残せば、備忘録となる。
・本は同時に何冊も読む
気分や状況によって読みたい本、読み易い本は異なってくるので、何冊か平行して読むことで効率良く読書が出来る。
・小手先の技術ではなく普遍的な仕組みを学ぶ
基礎が無ければ応用が利かない事と同じ。やり方を覚えるより理屈を理解することが大事。古典から学べることが多い。
・仕事と関係ない領域の本を読む
自分には必要ないと思う本から、新しい発想が得られる。
・文芸書を読む
文芸書の多様な文章から、表現力や想像力が培われる。平易では無い文章から読解力がつく、語彙が増える。
[2014/3/15]

うまくいっている人の考え方
    著者:ジェリー・ミンチントン
自尊心を高める考え方について、100個紹介している。
著者のいう自尊心とは、自分を好きになり、素晴らしい人生を創造するに値する人間だと信じる気持ちである。
失敗や、能力の低さを欠点と意識しすぎることで自尊心が欠如するが、他人と比べて悲観することを止めて、自分の個性を価値あるものと認識し、幸せを感じるべきである。

心に残った言葉を書き出しておく。

・自分を許す
ミスは許される。わざとミスをする人間は居ない。失敗から学び、繰り返さないようにすればよい。
・自分の間違いは堂々と認める
間違いを犯すということは、劣っていることではなく、人間的だということ。
自分が犯した間違いを、進んで認められることは、人間的に円熟している証。
・自分のしたいことをする
自分のことを他人がどう思っているかを不当に重視すると、自分を他人よりも劣っていると思い込んでしまうようになる。
・自分の決断に自信を持つ
自分がしてきた決断は、間違いよりも、正しかったことの方が圧倒的に多い。
・ほめ言葉は素直に受け入れる
人からほめられると何となく居心地が悪くなるのは謙虚だからではない。自分にほめられるだけの価値がないと信じているからである。
人から称賛の言葉をかけられたら、寛大な気持ちで受け入れ、心からお礼の言葉を述べよう。
・他人に対する悪い感情はさらりと忘れる
悪い感情は自分に最も多くの害を与える。自分に不利益を被らせた相手を許さないという態度から生まれる負の力は、心と体に悪い影響を及ぼす。
・今、幸せだと気づいている
私たちは現在の幸せを楽しもうとせず、なんらかの出来事が起こるまで幸せになるのを延期する傾向がある。
目標が達成できれば幸せだが、その実現に向かって励んでいる今も幸せだ。と考えよう。
・ものおじせずに質問する
多くの人は無知だと思われるのを恐れて質問しない。
わからないときに謙虚な姿勢で質問すると、仕事の技能が向上し、ほとんどの人と幸せな人間関係を築くことができる。
[2014/3/4]

礼節「再」入門
    著者:ピア・マッシモ・フォルニ
「礼節とは人生の質を高めるすばらしく効果的な手段」と言い、礼節について解説する。

他者との繋がりを断ってしまっては、人は生きられない。
社会的な結びつきの欠如は、健康を害する。
徳のある人間になるためには、他者とふれあわなければならない。
不幸の原因は他者との関係性で生じる。
幸せになりたいならば、他者とともに良く生きる方法を学ばなければならない。
その方法が「礼節」を知ること。

25個の礼節のルールをあげていて、どれも大切なことであるが、私が出来ていないと感じた項目は、
・周囲の人に関心を向ける
・排他的にならない
・自尊心を持って自己主張する
・前向きに批判し、受け入れる
要するに、
自分のことで頭がいっぱいになると、他者に心を配れなくなる。
他者との衝突を嫌うあまり、言うべきことが言えずに状況が悪化する。
だと理解した。
より良く生きるために、礼節を身に付けたいと思う。
[2013/12/2]

自分の小さな「箱」から脱出する方法
    著者:アービンジャー・インスティチュート
人間関係に問題をかかえている時、すべての原因が自分への裏切り「自己欺瞞」にあると言う。自分を欺いたときに「箱の中」に居るというたとえを用いて解説している。
物語の体裁で書かれているため、主人公と一緒に講義を聞いている風に読み進められた。単純ではあるが、とても大切な「考え方」を知ることが出来る。

自分が他人のためにすべきと感じたことに背く。

自分への背信を正当化する思考が働く。

現実を見る目がゆがむ(箱の中に入る)

自分を正当化するために相手を批判する(相手も箱の中に入る)

お互いに責め合うことで、箱の中に居続ける。
という負の連鎖が起こる。
すなわち、
・自己欺瞞によって相手を邪魔な存在、物として見るとき、箱の中に入る。
・相手を人間として尊重し、相手のために行動するとき、箱の外にいる。

したがって、自分がすべきと思ったことに素直になれば、人間関係の改善が進みはじめる。ちょっとしたことで自己欺瞞に陥ってしまうが、自分を許して改善すれば良い。実直に続ける他ない。
[2013/11/4]

貧乏入門
    著者:小池 龍之介
お金や物に縛られない生き方をすることが、幸福なことであるという趣旨の本。
幸福の定義を示し、幸福になれる金の使い方を解説する。

物を所有していると、自分の価値が高まると感じられるので、ため込んでしまう。
しかし、持ち物が増えると、持ち物のことを考える時間が増えて、心の中が散らかってしまう。
また、所有欲などの欲望という苦痛を解消することで、快楽を得られるので、自ら苦痛を求めてしまう。
このように、物を持つことは、苦痛を求め、思考を鈍らせることでしかない。

幸福は、
・精神がひとつところに集中できている状態
・何かの事柄が自分の思いどおりになっている状態
・自分が今やっていることを確信している状態
に得ることができる。
しかし、持ち物が多いと、集中することができない。
物に対して欲望を持つことは、自分の思いどおりにならない状態にあること。

不幸な金の使い方とは、強い刺激を得るために使うこと。
刺激を得ることで、集中することができるが、精神が疲れるので持続しない。

幸福な金の使い方とは、欲しいものではなく、必要なものを買うこと。
衣食住にかかわること。仕事の道具、知識を得るために使う。
ただしケチってはいけない。節約も金を貯めたいという欲望。
仕事をして適度な収入を得ていれば、必要な物を買うに足りるであろう。
必要な物に、十分な対価を払えるならば、思いどおりになっている幸福な状態である。
[2013/9/26]

練習15分 論理力トレーニング教室
    著者:新田 祥子
言いたいことを相手に伝えるために、どのように文章を組み立てれば良いのかを解説している。
筆者の言う、五段階情報整理法とは、
・伝えたいことを決め
・結論を述べて
・理由、根拠を説明し
・補足を5W2Hで行い
・話を締める
というもの。
似たような書籍は数あれど、一番理解、実践しやすいと感じた。
また、伝えるための話し方についても書かれており、相手に同意してもらうための要点が、とても納得できた。
[2013/9/7]

禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本
    著者:枡野 俊明
「威儀即仏法 作法是宗旨」日常生活の立ち振る舞いそのものを整えることが、そのまま禅の修行である。
所作が整えば、心も綺麗になる。身のこなしも綺麗になる。本人が清々しく生きることができ、心が強くなる。
とあり、美しい所作を解説している。

姿勢を整える。足元に気持ちがそのまま現れる。つま先を揃える。靴を手入れする。
手先にも端的に心(冷静さ)が現れる。
呼吸を整えることで心が安定する。正しい言葉を使う「愛語」。
食事は腹八分。箸や器を大切に使う。食べ物に感謝する。
早起きをする。朝、掃除をする。朝、歩く。
今日の事は、寝る3時間前までに済ませる。
毎日、同じ時間に寝る。
身だしなみの基本は清潔感。
挨拶をする。美しい文字を書く。
礼節を知る。

などが書かれていました。どれも大切なことばかり。日常生活で意識したいと思う。
[2013/9/1]

腸内リセット健康法
    著者:松生 恒夫
腸の健全化が、体調を良くするという趣旨の本。

食物繊維を摂ると、便通が良くなる。腸内細菌が増える。
便通が良くなると、老廃物が排出される。
腸内細菌が増えると、免疫力が高まる。

味噌などの発酵食品に、植物性乳酸菌(腸内細菌のひとつ)が含まれる。
野菜や海草に、食物繊維が含まれる。

以前の私は、偏食がたたって胃腸を悪くし、ラーメンの油が気持ち悪くて食べられなくなった経験を持つので、胃腸の大切さは身に染みている。
最近、野菜の摂取量が少ないので留意したい。
[2013/5/6]

自由であり続けるために
    著者:四角 大輔
大人になって社会にでると、いろいろな物を手に入れることが出来る。
しかし、手に入れた物によって、人は拘束される。
また、あれもこれもやりたいと思っても、限られた時間のなかで、すべてを満足にこなすことは出来ず、貴重な時間を失ってしまう。

自分を束縛する物を捨てることで、視界と思考からノイズが取り除かれて、本当にやりたいことが明らかになる。
自分に必要なものだけ残して、注力したならば、本来の能力を発揮できるだろう。
自分らしさを手に入れることができるだろう。

「捨てる」を主旨に、50の事柄が書かれている。
「20代で捨てるべき」という副題があるが、捨てられなかった20代を過ごした30代が、共感する内容となっている。

・視界にある"ノイズ"を捨てる
大好きなモノ以外はすべてノイズだ。
視界のノイズはあなたの空間だけでなく、生活も、頭の中も複雑にしていく。
・「なんでもいい」と言う癖を捨てる
誰かに決めてもらったら、痛みはない。
だが、それは自分の人生を放棄しているのと同じだ。
なにがやりたいのか? なにが欲しいのか? 答えられなければいつの間にか、自分が何者かも、よくわからなくなってしまう。
・不得意な仕事を捨てる
“自分がやるべき仕事”だけに集中することが義務だと考え、自分が不得意な仕事は、それを得意とする人にパスしよう。
つねに“自分にしかできないこと”だけにフォーカスし、社会に提供し続けること。
それだけが“仕事”と呼べるものだ。
[2013/3/14]

選ぶ力
    著者:五木 寛之
私たちの日常が選択の連続であることを説明し、溢れる情報の中、選択に迷っている現実を解説している。
あらゆる情報には正論と異論があり、どちらも専門家が理屈を述べて、正しいと言いはる。
つまり、正解の無い世の中で、自分で判断するしか無いということ。
大多数が支持する常識とて、正しいとは限らない。

興味をひいたのは、巻末の章で、死についての記述だ。
孤独死は悲しく惨めなものだと世間が言うが、本人が主体的に選択した結果かもしれないと述べる。
施設で暮らし、手厚い看護で延命を受けたとしたら、それは自らの意思で死を選べなくなるということ。

昔の人は死期を悟ると、食事を少なくし、遂には水も取らなくなり、自然に老衰したとか。
60歳を過ぎた人に、心臓手術を行って、何年か延命したとて、高額の医療費に釣り合うものなのか、その費用で救うべき他の命があるのではと考える。
自然な死について、考えさせられる内容だった。
[2013/2/10]

ぶれない人
    著者:小宮 一慶
「ぶれない人」を自分の信念をしっかりと持ち、それを貫いている人と定義し、解説している。
渋沢栄一氏や、松下幸之助氏の著作から学び、道徳を優先し、利益は後からついてくることを理解。
正しい考え方を学ぶ機会が少ないので、自発的に行わなければならない。

なれる自分の最高を目指す。

正しい考え方が信念へ高まる。理解の無い人に疎まれるが、譲らず貫く。

部下に厳しいことを言えないのは、優しさではなく甘さ。
厳しさには勇気が必要。
信念が勇気を生む。

会社のビジョンや理念は、掲げただけでは意味が無い。
社員ひとりひとりに浸透して活きる。
ビジョンや理念を大切にしている会社は、それを社員に伝える努力を惜しまない。
正しい考え方を共有し、意識を統一することが肝要。

正しい会社に勤める。

素直さが大切。
人の話を聞く姿勢をもつ。謙虚な気持ち。
行動する。行動しなければ何も変わらない。
続ける。続けることは困難だが、高い志をもって原動力とする。

良く言われることが書いてあったが、簡潔にまとめられていて思い返すために読むには丁度良い。
理念を持った正しい会社に勤めることが必要だというのは納得。人生の大半は仕事をしているので、自己を高めるために良い環境を選ぶことは大切と感じた。
なれる自分の最高を目指すという考え方も共感。他人と自分を比較することに意味が無いということ。
[2013/2/5]

コミュニケーションは、要らない。
    著者:押井 守
今の日本に異議を感じることを述べている。

馴れ合いをすることがコミュニケーションの本来の目的ではない。
議論をしてお互いを理解するために必要なもの。
インターネットやSNSは議論には向かないコミュニケーションツール。

今さら反原発だと言うのは無責任。原発を作ることに反対しなかった事実をふまえるべき。
廃炉にかかる費用、代替エネルギーにかかる費用、経済の停滞を許容できるのか。

日本人は論理的に考えることが苦手。
あいまいな表現が可能な日本語の特殊性による。だが、表現力に富むという利点はある。「話し言葉」でメールを書くため、文章に「書き言葉」を使わなくなっている。
「書き言葉」こそ論理力を鍛えるために必要なもの。

日本には民族意識がない。
日本人は日本人でいたいのか?という疑問を抱く。
この答えは、日本人は日本語しか使えないから。だから日本という国が必要。

コミュニケーションとは異なる文化を交換する行為。そこには必ず、摩擦と抵抗が生じる。日本人は安寧以外を求めなくなっているので、コミュニケーションをとる必要が無くなっている。

要旨は以上だが、氏の訴えたいことは、次の一文に集約されていると感じた。
「一瞬一瞬の感情に流され、目先のレベルでしか物事が判断されていないから、こういことが当たり前のように許容されている。情緒に訴えることで論理的な思考を麻痺させ、正しいとか正しくないとか言い合ってコミュニケーションをはかったつもりになり、その判断の積み重ねで、今の日本になってしまった。」

全般的に、共感できるものが多く、良い刺激を受けた。
特に、話し言葉と書き言葉の違いについては、意識が無かったので、詳しく調べてみたい。
[2013/1/27]

独学術
    著者:白取 春彦
本を読むことで、物事の考え方、教養を身に付けることができると言い、本の読み方を解説している。
入門書や解説書の方が、かえって理解しづらい。

哲学書に真理が書いてあるわけではない、哲学者も悩み、仮説をたてている。問題提起を受け取り、自分なりに考えてみるべき。

多くの本を読むべき。1度読んだだけでは理解できなかった本も、何度も読んだり、別の本を読んだりすることで理解できるようになる。

教養は知識より得られる。本を読むことで知識は得られる。

キリスト教(聖書)の知識が、あらゆる文化や、哲学の基底にある。基礎を知らないが故に、哲学書を余計に難しく感じ、また、誤った理解をしてしまう。

文化の差異とは、考え方の違い。多種多様な本を読むことで、異なる考え方を知ることが出来、視野を広げることにつながる。

教養の根源が聖書にあるという主張は予想外だった。今まで宗教書を読もうと思ったことはなかったので、新しい考え方を得られた。
[2013/1/19]

人間の基本
    著者:曽野 綾子
氏の想うところを羅列した新書で、上っ面ばかり気にしている現代の人に対して、自分の頭で考えなさいと、至極まっとうな事を述べています。
気になった文を拾うと、
・秩序を維持するために、自由には制限があること。
・ロンドンの帝国戦争博物館には、戦争の悲惨さが展示されており「あなた自身の頭で考えるように」と掲げられていること。
・氏が個を持っている人とだけ付き合うのは、自分で考えているおもしろい人だから。
・ルールを守ってさえいれば良いと思っているのは、人間として何も考えていないのと同じ。
・プロとアマの違いは、アマは労働時間で対価を得、プロは時間に制約が無い(自己責任)ということ。
・修羅場を経験することで、耐性や精神的な強さが得られる。
・教養とは胆の据わり方。他人にどう思われようと、自分は自分という個を備えている。
とあり、個を持ち、常識で判断しろと言っています。
[2013/1/6]

ロジカル・ライティング
    著者:安田 正
簡潔でわかりやすい文章を書くというのは意外に難しく、冗長な文章をだらだらと書いてしまいがちです。
この問題を解決するために、どうすれば良いかということを簡潔に書いてあります。
・主語と述語を近づける。
・一文を短くする。
・「の」を続けて使わない。
といったところが要点でしょう。
メールや報告書を書く機会が多いため、上記に則って効率の良い仕事がしたいものです。
[2008/10/14]

フリーズする脳
    著者:築山 節
脳の専門化である著者が、若くしてボケてしまう人達と向き合った経験をもとに、現代人の脳の使い方の問題点を解説しています。
便利な道具が増えたり、仕事の効率化を追求したりと、日常生活が単純になっています。
インターネットや、メールの普及により人と話さなくても生活できるようになっています。
結果、かたよった脳の使い方となり、考えなくても済む生活をしてしまうことで、ふと思考が停止するという症状が現れるそうです。
自分も最近頭が悪くなったなぁと感じることがありますが、年のせいではなく、脳の使い方が単調になっているのかもしれません。
具体的な症例と解決策がいろいろ書いてあるので、参考にして試してみたいと思いました。
[2008/6/15]