2006 潮見橋の記憶 Memory for 2006 "Shiomibashi"2006.1-7-8

潮見橋に捧げる子守唄

−平成の 風に吹かれし 君在りて われ君に云ふ 倶會一處(くえいっしょ)ぞと−

 和田川、木下川から潮見橋が消えた。解体撤去が現実になる前、一目見ておかねばと思い立ち、広島から空の直行便で鹿児島へ旅立ったのは年明けの1月7日の朝だった。年の瀬もおしつまった今、記憶を頼りに潮見橋を振り返える。
 老朽化が進み現地保存が困難という潮見橋解体撤去の根拠は、すでに工事の始まっていたあの日(1月7−8日)の潮見橋をコマ送りしながら、まだ人も車も渡っていた潮見橋であったことは、行政自体が工事に着手したこの期に及んでさえ潮見橋の老朽化に危険性を感じていなかったことを自ら告白している。
 日本の絶景の一つであった潮見橋はこの三ヶ月後、和田川、木下川からその姿を消した。
 今頃、潮見橋のあった場所はさぞ殺風景な風景が広がっていることだろう。せめて願うは我らの祖先が私たちに残しおいた潮見橋が、いつの日にかその価値を見直され、再びこの地に蘇る日が来ることを祈るばかりだ。
                        2006.12.31                    
2006年1月7−8日の潮見橋
top