津奈木重磐岩眼鏡橋(TUNAGI CHOHANGAN MEGANEBASHI)     2003.9.15
熊本県芦北郡津奈木町  
架設:嘉永2年(1849) 石工:三平(推定) 長さ:18 m 幅:4.5 m 径間:17 m 
拱矢:5.7 m
 
 この石橋を前にし、どう撮ればよいのかしばし、考え込んでしまった。あまりに雄大で,
一部の隙も無い迫力に圧倒され、呆然自失。敢えて形容するなら、「憩いの石橋」とでも呼ぼうか。ここに居るだけで、大きな安堵感があり、いつまでも立ち去り難い気持ちにさせられた。
言い伝えでは、三平は岩永三五郎とともに鹿児島に招かれ、西田橋、武之橋、玉江橋、新上橋、高麗橋で有名な名橋・五石橋をはじめ、数多くの石橋を手がけたといわれているが、石橋が完成すると永送り(暗殺)にされるといううわさが流れ、岩永三五郎の配慮により、故郷の種山村をを目指す途上、追っ手に襲われ瀕死の重傷を負いつつも、この津奈木にたどり着き、地元の人たちによる手厚い看病のおかげで一命をとり止め、そのお礼に架けた石橋と伝えられている。

―津奈木めがね橋は親方チンバ、架くる棟りょは手がチンバ。チンバ片手で一人前―(山口祐造著「石橋は生きている」からの抜粋)という里唄が残されている。代官の衛藤三郎衛門は足の不自由な方だったようで、片腕になった三平との共同事業で架けられたこの立派な石橋を、末代まで伝えようという村人の思いが託されている。

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