轟橋  (Todoroki-bashi)                               2004.11.5
天草郡河浦町大字今田
架設:大正3年 (1914)  石工:江嵜仁吉  長さ:12.5 m  幅:5.05 m  高さ:6.10 m  径間:9.25 m

 今年2度目の天草巡り、前回の5月に来た時は雨にたたられ、岩場を下りるのも一歩、一歩足を滑らさないよう、気をつけながらの必死の撮影だったが、今回は晴天に恵まれた。だが、今年は異常に台風が多く、11月だというのに紅葉が遅く、もみじの色もはかなげに先っぽだけが黄色に色づいた程度だった。
 さて、半年振りの恋人との再会とあって、これが人であってみれば顔などじっとみつめたり、眺めたりといったことは恐らく私には出来そうにないが、轟橋という石橋であってみれば安心して向かい合い、心ゆくまで眺められることは何にもまして有難いことだった。
 険しい岩場と一体になった轟橋の風情は、逞しく、凛として気高い、地球上の小さな営みを静かに見守る孤高の人と対峙しているような、そんな不思議な感覚がある。
 轟橋を渡った右手に牛舎があり、牛が窓から顔を覗かせていた。左手を回って下りると村の長・代官の墓、休憩所の小屋などがあり、その中に石橋の写真が掛けられていた。こうした心配りのある場所は手入れも行き届き、管理してくださっている今村老人会の方々に感謝せずにはおれない。

−とどろきに 巌となりし 君のいて−                             04.12.5 
                            
            
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