リュウノヒゲの実

ふきだま鉄砲の実です。本当の名前は「リュウノヒゲ」の実です。田んぼの土手などに自生している5−8cm程度の細い密集した葉っぱを掻き分けると見つけることができます。が、こんななんでもない実ですが最近はなかなか見つけるのが難しくなってきました。

この実は、透きとおった空色から紺色のものまであり、宝石のように実に美しい色をしています。

子供のころ、今の時節になるとこの実は「ふきだま鉄砲」の弾になります。青い皮をむくと硬い種が出てきます。

この時代の男の子はほとんどが「肥後守(ひごのかみ)」というナイフが必需品です。駄菓子やなどで売っており、いつもポケットには入っていました。切れ味が悪くなると砥石で研ぐこともできます。勿論学校にも持っていき、鉛筆を削るのにも使用します。この肥後守で笹薮で「シノベ竹」を切って図のような鉄砲を作り野や山を駆け回るのです。鉄砲の弾には、リュウノヒゲ(当時はふきだまと呼んでいた)の実のほかに、春になると「杉の 花(花粉症の元)」を使い、その他の季節は新聞紙を濡らしてちぎって詰めていました。今では考えられないことですが、新聞紙をちぎって口で咬んで唾液で濡らしていたと思います。勿論インクの匂いと味がしたものです。

それぞれの弾の大きさに合わせたシノベ竹が要ります。特に杉の実は2ミリ程度で実に繊細な加工を必要とします。こんな鉄砲でもびっくりするような音が出て、煙まで出るから驚きです。

この単純な遊びの中にも、ナイフで鉛筆を削る、物を削る、切断する、寸法を図る、ナイフを研ぐ、空気は圧縮されることを知る、竹と木の性質を知る、ピストンとシリンダーの関係を知る・・・等、理科、科学の知識がいっぱい含まれています。

先日ある機会に、小学校のサポーターをしている人が、竹とんぼなど工作するからナイフか小刀を持ってくるようにと子ども達に言って、先生があわてて訂正し、後で注意されたと言っていました。時代の流れを感じます。

今の子ども達、いや父兄も含めて鉛筆をナイフで削れる人がどの程度いるのでしょう。ちなみに私は家では草刈鎌で夜、明日の鉛筆を削っていました。