兄さんの感じがおかしかったのはわかっていた。
店から出るときからすでに目がすわってたし。
でもそれは慣れない日の明かりと話の内容のショックからだと思っていた。
だからって、こんな事になるとは思わなかったけど。
目の前の標的は、すでに食事を終えて一番油断していた。
だから襲いかかった。
なのに…………
一撃目を避けられたのは幸運としか思えなかった。
でも切られたところの熱さが、痛みが、逆に頭を冷静にさせていた。
記憶には……
あいつが部屋に逃げ込んだ所までしか残っていない。
その後はどうするかなんて考えていなかったと思う。
もしかしたら錯乱状態だったのかもしれない。
まさか、殺そうだなんて……?
念のために買っておいたスタンガン。
とっさに受け止めた一撃で壊れなかったのもまた幸運。
凶器を跳ね飛ばして必死にスイッチを入れていた。
下手すると心臓が止まることもある程の電流は、確実に相手の動きを止めさせていた。
ベッドに寝ていた。しかし体は動かない。
皮膚に突っ張るような感覚があり、喉も酷く渇いていた。
「兄さん! 起きたの!? よかった……」
……?
「おま… 何を…」
声を出した後に酷く咳が出た。 血が出るかと思うほどに。
「ゴメンね兄さん… 私のせいで……
でももう大丈夫。 私が看病してんだから。」
……思い出した。 俺はなんということを……
「兄さん、確かに私が悪かったのかもしれない… 兄さんは、寂しかったのね…
でもこれからはなるべく兄さんに構ってあげられるようにするから。」
……お前は、こんな俺でも愛してくれるというのか……?
「今はまだ本調子じゃ無さそうだからダメだけど、治ったらすぐにさせてあげるからね。」
キスをしてくる。 俺はそれに優しく応えていた。
「それと、兄さんが二度とあんな事をしないように教育もしないとね。」
教育…?
その手にはビールの缶ほどの大きさの黒いプラスチック製の箱のようなものが握られていた。
表面に一カ所、傷が付いている。
「わかる? コレで兄さんは懲らしめられたのよ。
今度悪いことしたら、すぐにお仕置きだからね。
そうだ、今のうちに教えておこうっと。」
針のように固い感触がしたかと思った瞬間、体中に衝撃が走った。
「ア、ガガガガガガガガ……」
「あ、ちょっと流しすぎちゃった。
でもあの時はこんなもんじゃなかったし、きっと大丈夫よね。
兄さん、大事に思ってるからね。 大好きよ。」
俺はどうやら、妹の玩具として生きていくしかなさそうだ……
終わり
「兄さん、ココに電流を流すとカエルみたいに飛び跳ねながら射精できるんだって。
試してみようか。」
「……遠慮する。 つーかこの体位でそういうことするとお前もヤバイぞ。」
「あ、そっか。
じゃあいったん離れて…と。」
「おい、だからそういうのはやめてくれと!」
ズバババババババババババ