USで遊ぼう! 〜PC-9801USの修理小ネタ集〜

 管理人がPC-9801US(以下、US)を修理するにあたって集めた資料をちょっとだけ晒します。
 修理出来無かったUSを粗大ゴミに出す前にちらっとご参照頂き、少しでも救われるUSが多くなるのが管理人の願いです。ヤフヲクの値段も高騰せずに済みますしね(笑)
 なお、このページでは修理方法の紹介は致しません。あくまで修理の参考になる情報提供のみであり、修理方法を見いだすのは閲覧者であるあなた方のお仕事です。ヲクに「整備品! 返品不可!」とか書かれた粗悪な素人修理品がたくさん出品されても腹立たしいだけですからね。
 そもそも故障の原因などを真面目に考えること無くネットの修理記事を猿まねして、「完動品!!」だの抜かしてヲクで粗悪品を転売する阿呆がたくさん居るからこそ、こういった有用な情報がネットに上がりにくくなっているのです。管理人は、真面目に商売されている方の邪魔をするつもりはありませんので、懇切丁寧に修理方法など書かないスタンスで記事を作りました。つまり、まともな知識が無い人間がこの記事を見ても、それだけでは修理は出来無いって事ですよ。
 さて、実際修理するにあたり、最低限必要な部材は以下の通りです。ドライバとかハンダゴテとか、そんな基本的なものはいちいち書きません。
 こんな程度は言われるまでもなく全部持ってるぜ、ボケ!って人が、この記事の想定読者です。

 以下、あると便利なモノ。

 以下、故障の種類によって記事を分けておりますが、どれか一つに該当する場合でも、必ず全部の記事に目を通しておいて下さい。場合によっては、他の故障部位が影響を及ぼしていたりする事もあるかも知れませんし、そこに修理のヒントがあるかも知れません。
 なお、シリアルとパラレルに関してはケーブルなどの部材も無いし動作確認するのが激しく面倒なのでスルーしています。そもそも管理人はその二つは使いませんので、修理出来るとしても全くモチベーションが上がりません……。
 パラレルの方は近くに腐れ電解コンデンサが無いので故障している事はほぼ無いと思いますが、シリアルの方はすぐ近くにあるので、断線や近くのドライバICが壊れる可能性はそこそこ高いと思われます。その場合は頑張ってパターンを追っかけ、ICを張り替えて下さい。

 あと、この記事に関しては質問を貰ってもよっぽどのことじゃない限りお返事しません。基本は無視します。こっちだって教えて欲しい位なのですからね。管理人は他人様の修理までサポート出来ませんので、あしからずご了承くださいませ。

FDDが動かない

 USの故障で一番有名かつ面倒くさいのが、FDDが動かない故障です。
 FDD自体の劣化故障では無く、ちゃんと動くであろうFDDを繋いでもドライブ自体を認識していない、なんか動くけどディスクエラーで読まないなどの症状です。ちなみにFDD自体の故障でよくあるFD挿入検知のマイクロスイッチの接触不良や腐れ電解コンデンサの交換に関しては、ネットでいくらでも有用な情報があるのでそっちをご覧下さい。ちゃんと分解写真入りで説明してくれています。
 このページで扱うのは、マザーの方の故障です。
 USでFDDが動かないのは不治の病として有名で、例え安く売っていたとしても地雷扱いです。ネットでもこの症状を根性で治したという記事はほとんどありません。
 管理人も当初はFDC(D95101GLの一部)が壊れているのかと思っていたのですが、どうやらそれだけが原因では無い様です。色々とUSを弄り倒しましたが、この機種の部品は腐れ電解コンデンサ以外は結構根性があるようで、致命的な部分でぶっ壊れていることは案外少ないようです。何かあったらすぐぶっ壊れる華奢な現代PCに比べたら、なんと心強いことでしょうか。
 ということで、内臓のFDDは動かないけど1MB FDD I/Fに繋いだ外付けFDDは動くとか、その反対の場合は、かなりの確率でFDCは壊れていないので、気合いを入れればしっかり修理出来るかも知れません。

パターンの断線

 USのFD周りの回路は、YM2203Cの隣にあるでっかいIC(D95101GL)のFDC→1MB FDD I/Fコネクタ近くにあるIFD3とかあたりの石→内蔵FDDまたは1MB FDD I/Fの順に接続されています。
 さて、IFD3あたりには腐れ電解コンデンサがたくさんあり、こいつらのおかげで基板のパターンがあちこち断線しています。基板内層だけで接続されているビアもボチボチあり、見た目だけでパターンを追っかけるのは悲劇です。なので、IFD3あたりの石を中心とした結線を根性で調べましたので、以下ご参考下さい。(FDに関係する物のみ)
 なお、基板にICの部品番号が無い感じなので、便宜的に以下の名前を付けます。
 1MB FDD I/Fとかモニタのコネクタを下にする方向でマザーを置き(大概のロジックICの型番がひっくり返る方向です)、YM2203Cの下にあるIFD3をIFD3-1、その右隣のはそのまま74F08、また右隣の石はそのまま74LS08、その右隣のIFD3はIFD3-2、右斜め上方向、電源コネクタとメモリチップの間にあるIFD3を1FD3-3とします。(IFD3-1の左にある074はFM音源のオペアンプなのでFDには関係無い)
 また接続先の略称は、1MB FDD I/Fコネクタは1MB、内蔵FDDはI、FDDコントローラが入ったD95101GLはCとします。1MB 25と書いてあれば、1MB FDD I/Fコネクタの25ピンに接続されているということです。また備考欄にはG8LRE中継基板とマザーボードを繋ぐ端子番号も載せておきます。

■IFD3-1
ピン番号接続先信号名備考
11MB 25Low Write Current(Out)
2C 87Low Write Current(In)
31MB 24File Unsafe Reset(Out)
4C 86File Unsafe Reset(In)
51MB 11,13Drv Select2(Out)
6C 49Drv Select2(In)
71MB 10,12Drv Select3(Out)
8C 48Drv Select3(In)
9I 26Side(Out)A18
10C 58Side(In)
11GND
12C 79Head Load(In)
13I 9Head Load(Out)A07
14C 50Drv Select1(In)
15I 4#2Drv Select1(Out)A05 ドライブ2
16C 51Drv Select0(In)
17I 4#1Drv Select0(Out)A04 ドライブ1
18C 54Direction(In)
19I 12Direction(Out)A07
20GND
■74F08
ピン番号接続先信号名備考
8C 67Window(Out)
91MB 1Window(In)
1010kΩ+5Vでプルアップ
■74LS08
ピン番号接続先信号名備考
11MB 16Index Out(In)
2I 2Index Out(In)A03
3C 59Index Out(Out)
41MB 3Read Data(In)
510kΩ+5Vでプルアップ
6C 62Read Data(Out)
7GND
8C 60Track 00(Out)
91MB 5Track 00(In)
10I 20Track 00(In)A11
11C 61Write Protect(Out)
121MB 4Write Protect(In)
13I 22Write Protect(In)A12
14VccVcc
■IFD3-2
ピン番号接続先信号名備考
1-
2-
31MB 8Step Pulse(Out)
4C 55Step Pulse(In)
51MB 7Write Data(Out)
6C 56Write Data(In)
71MB 14Sync(Out)
8C 84Sync(In)
91MB 17Head Load(Out)
10C 82Head Load(In)
11GND
12C 58Side Select(In)
131MB 19Side Select(Out)
14C 54Direction(In)
151MB 9Direction(Out)
16C 57Write Enable(In)
171MB 6Write Enable(Out)
18C 83MFM/FM(In)
191MB 2MFM/FM(Out)
20GND
■IFD3-3
ピン番号接続先信号名備考
1C 26
2?
3-
4-
5I 14Step Pulse(Out)A08
6C 55Step Pulse(In)
7I 16Write Data(Out)
8C 56Write Data(In)B08
9I 18Write Enable(Out)A09
10C 57Write Enable(In)
11GND
12C 52Motor On(In)
13I 10Motor On(Out)B05
14C 81Dencity(In)
15I 11Dencity(Out)B06
16C 83MFM/FM(In)
17-
18C 84Sync(In)
19VFO 4Sync(Out)
20GND

 ついでに、FDDから見た接続先の情報も載せておきます。

■FD1139C(ドライブ1)
ピン番号接続先信号名備考
1+5V
274LS08 2→C 59Index out(Out)A03
3+5V
4IFD3-1 17→C 51Drv Select0(In)A04
5+5V
6左148168-002 20Disk Change(Out)B03
7-
8左148168-002 19Ready Out(Out)B04
9IFD3-1 13→C 79Head Load(In)B18
10IFD3-3 13→C 52Motor On(In)B05
11IFD3-3 15→C 81Dencity(In)B06
12IFD3-1 19→C 54Direction(In)A07
13GND
14IFD3-3 5→C 55Step Pluse(In)A08
15GND
16IFD3-3 7→C 56Write Data(In)B08
17GND
18IFD3-3 9→C 57Write Enable(In)A09
19GND
2074LS08 10→C 60Track 00(Out)A11
21GND
2274LS08 13→C 61Write Protect(Out)A12
23GND
2474HC14 1→VFO 2→C 53Read Data(Out)B10
25GND
26IFD3-1 9→C 58Side(In)B12
■1MB FDD I/F
ピン番号接続先信号名備考
174F08 9→C 67Window(Out)
2IFD3-2 19→C 83MFM/FM(In)
374LS08 4→C 61Read Data(Out)
474LS08 17→C 60Write Protect(Out)
574LS08 9→C 62Track 00(Out)
6IFD3-2 17→C 57Write Enable(In)
7IFD3-2 5→C 56Write Data(In)
8IFD3-2 3→C 54Step Pulse(In)
9IFD3-2 15→C 48Direction(In)
10IFD3-1 7→C 48Drv Select3(In)
11IFD3-1 5→C 49Drv Select2(In)
12IFD3-1 7→C 48Drv Select1In)
13IFD3-1 5→C 49Drv Select0(In)
14IFD3-2 7→C 84Sync(In)
15150ΩReady Out+5Vでプルアップ
1674LS08→C 59Index Out(Out)
17IFD3-2 9→C 82Head Load(In)
18-(NC)
19IFD3-2 13→C 58Side Select(In)
20-(NC)
21150ΩTwo Side Disk+5Vでプルアップ
22-(NC)
23150ΩFile Unsafe+5Vでプルアップ
24IFD3-1 3→C 86File Unsafe Reset(In)
25IFD3-1 1→C 87Low Write Current(In)
26-50GND

 まずはこれらの結線を確かめてみて下さい。導通していなければ、どこかのビアが切れているかパターン自体が溶けて無くなっています。その場合は、IFD3なりの足からG8LRE中継基板と繋がっているマザーのコネクタの裏あたりにジャンパを飛ばして下さい。この辺、ピンピッチが広いので超余裕ですね。

ICの故障

IFD3辺りの修理風景

IFD3辺りの修理風景

 腐れ電解コンデンサの汁が多かった場合は、IFD3などが壊れることがあります。
 IFD3はネットで調べてみるとNEC専用のカスタムチップらしく、メーカーのWebで型番検索しても出て来ませんし、もちろんデータシートもありません。しかも真っ当な販社では品番の登録も無く、入手は絶望的です。たぶん素人では手に入りません。
 さて、IFD3の動作はオシロや他の98のマザーを見ていると、どうやら74LS06あたりのオープンコレクタのインバータと同じ様な感じです(VCCが無いのに良く動くもんだ。FDD I/Fは基本+5Vにプルアップされているので、そこから電源をとっているのでしょう)。実際管理人はいくつかのIFD3に繋がる信号を74LS06に繋いで動かしてみましたが、FDDはちゃんと動きました。
 なので結線がしっかりしているのにFDDが上手く動かない場合は、オシロで前項の表にあるInとOutを見比べ、波形が反転しているかを確かめてみて下さい。反転していなければ、74LS06あたりを使ってFDCの出力信号を反転してFDDに入力してみて下さい。それで大概動くはずです。(普通のインバータでは無くオープンコレクタなのがミソ。FDCの出力がHの時にFDD側がGNDに落ちてLになれば良い)
 なお、74F08や74LS08は普通に売っているので、怪しければさっさと取り替えた方が良いです。

VFOチップの故障

 結線は大丈夫、IFD3とかも何とかなった。しかし外付けFDDは動くのに内蔵FDDがリードエラーを起こす場合(OSからドライブを認識し、FDを読もうとする努力をしている場合)は、前面スピーカーのボリューム近くにあるVFOチップ(uPD71065)が壊れているかも知れません。このチップ用に近くに腐れ電解コンデンサがあるので、その汁を被っておかしくなっている可能性もあります。取りあえず一旦基板から引っぺがしてパターンの断線が無いか確認すると共に、腐れ電解液を綺麗に拭き取ってみて下さい。
 それでも直らない場合は、大人しくuPD71065をドナドナ機から移植しましょう。
 なお、uPD71065の見るべきざっくりしたピンアサインは以下の通りです。適当にオシロを当てて波形を確認してみて下さい。
 あと近くにあるクリスタル2つでも、表面に書かれた周波数で発振しているか要チェックです。

■uPD71065
ピン番号接続先信号名備考
2I 24→74HC14Read Data(In)
4IFD3-3 19Sync(In)
5C 83MFM/FM(In)
8C 53Read Data(Out)
9C 68Window(Out)

FDDのメンテ

 USに組み込まれているFDD(FD1139C)は基板上に小さな10uFの腐れ電解コンデンサが二つ付いていますが、こんな小さな電解コンデンサはなかなか手に入りません。管理人は後先考えずに10uFの積層セラミックコンデンサを載せていますが、取りあえず問題無く動いています。FAなどに付いているFD1158Dにも同様の処置をしていますが、こちらのドライブも特に問題はありません。
 何の責任も持てませんが、スペース的に困っている場合は積セラも活用してみてはいかがでしょうか。

FM音源が鳴らない

パターンの断線

オペアンプ周りのポンチ絵

オペアンプ周りのポンチ絵

 FM音源周りは腐れ電解コンデンサに囲まれているので、これでもかと言うほどパターンが腐食しています。
 右の図は、オペアンプ(074)を中心としたFM音源周りの簡単なポンチ絵です(オペアンプの定数用の抵抗器とかは省略。また線を適当に引っ張っているので、実際の回路図とは違います)。基板内層での接続は無いので、表裏の見えるパターンに沿って導通を確かめて下さい。特に電解コンデンサのパッドの根本が目に見えないくらいの細さで断線しているので、その辺を念入りにチェックするのはデフォの対応です。
 断線を直してもオペアンプの挙動がおかしい場合は、さっさと新しいのに張り替えておきましょう。腐れ電解液も大量に染み込んでいるので、どのみちチップは一度引っぺがした方が良いです。
 ちなみに、オペアンプの左下部(8〜10ピン)はDACに入力する1/2Vccの生成、右下部(12〜14ピン)は未接続です。
 なおLINE OUTのコネクタのすぐ上にB35と書かれた小さなNPNトランジスタ(2SC3735?)がありますが、これも壊れている場合があるのでドナドナ機から移植しましょう。B34でも使えそうです。

 ところで故障の話ではありませんが、USのラインアウト端子はステレオ対応の部品が使われています。しかし音源がモノラルだからかLchにしか接続されていないので、モノステ変換ケーブルでも使わないと、普通のコンポにそのまま繋ぐと左しか鳴らないので鬱陶しいことこの上ありません。なのでいちいちそんなケーブルを用意するのが面倒な人は、基板の裏でラインアウト端子のLとRを繋いでしまいましょう。

音源、DACの故障

 運良くソフトウェアがFM音源を認識している場合は上記の通りオペアンプ周りを何とかすれば何とかなりますが、音源チップ(YM2203C)やDAC(YM3014B)が死んでいる場合は別途ドナドナ機から移植するしかありません。
 すでに腐れ電解液でハンダやパターンがグズグズになっているでしょうから、壊れた音源チップやDACを抜き取るときは、無理せずじっくり作業して下さい。そうしないと、ビア毎抜けて取り返しが付かないことになります。
 ちなみにソフトからFM音源が認識されない時でも、場合によっては別の原因で認識できていないだけで、音源チップ自体は生きている可能性もあります(後述のメモリの影響で、認識出来ない事もあるかも知れません)。
 安易にチップを抜くと基板にいらぬ負担を掛けますので、音源チップやDACの交換は最後の楽しみにとっておきましょう。見てくれが酷いことになっていても、案外生きているものですよ?
 取りあえず、DACの4ピンに音源チップからのシリアル信号が入ってきているので、これをオシロで観測し、何となく鳴っているであろう音楽に沿って波形が動いているならば、音源チップが生きている事が分かります。
 DACチップは、オペアンプ周りが正常に動いていないと動作が確認出来ないので、まずはオペアンプ周りを確実に修理してください。その後、2ピンから音声信号が出ているので、オシロでそれっぽい波形が見えるならば、DACが生きている事が分かります。なお、オペアンプ周りの調子が悪い場合は、オシロをAC結合にして、垂直スケールを相当上げてみてください。ノイズの中にうっすらと波形が見えれば、DACが生きている可能性が高いです。

ビープ音が鳴らない

LM386やVFO辺りの修理風景

LM386やVFO辺りの修理風景

 PCの速度切替スイッチの下にある腐れ電解コンデンサ4つ(表面実装2つ、ラジアルリード(よく見る普通の)2つ)と、すぐ近くにあるオペアンプ(LM386)の配線が正しいか良く確認してください。表面実装のはビープ音とかのカップリングコンデンサ、ラジアルリードのはLM386を駆動する為のコンデンサです。
 FM音源が鳴るのにビープ音が鳴らない場合は表面実装のコンデンサ周りでパターンの断線が考えられます。ただし、ビープ音周りはどうも基板内層で接続されているっぽいので、どうにもならない時は諦めも肝心です……。

カレンダ機能がおかしい

 カレンダ周りにも腐れ電解コンデンサがあり、盛大に回路を腐らせています。しかもここはバックアップ用電池が接続されていることから、余計に回路の腐食が激しいです。まずはパターンを目で追い、断線箇所は確実に直しておいてください。

日付・時刻が設定出来ない

 DOSのDATEコマンドで日時を設定しても変わらないとか、おかしな値を繰り返している等の場合は、基板裏に張り付いているカレンダIC(uPD4990A)が死んでいるのでドナドナ機から移植しましょう。ちなみにこのICはフローハンダ付けのためにボンドで張り付いているので、剥がすのがかなり大変です。ドナドナ機から剥がす場合は、熱で壊さないように手早く処理しましょう。もし新品が手に入るなら、それを使った方が良いです。2017年ではまだ新品で買えそうです。

バッテリバックアップが出来ない

 新品の電池(リチウム1次電池なので3V)を付けていても、電池両端の電圧が妙に低くてすぐに電池が無くなるとか、電源を切ったらすぐにカレンダが狂う場合など、まだ周りの部品に異常がある場合があります。特にDACと電池のコネクタの間にあるダイオード(A3)が壊れやすいようなので、ドナドナ機から移植しましょう。A3〜A6なら使えそうな感じ?

メモリ関連がおかしい

 メモリバスに何かしら異常がある場合は、画面表示がメチャクチャになるとか、ソフトウェアディップスイッチの設定情報を記憶出来ないとかの症状が出ます。特にUSの場合はパターンがショートするよりも腐食による断線が多いと考えられますので、実は本体メモリまで影響が波及する事はあまり無い様です。
 メモリバスの近くで腐れ電解コンデンサがあるのは主に画面周りの機能を持つ小基板になりますので、そこでメモリバスが断線したら影響が出るのはVRAM関連に限られるようです。このためPCとしては正常に起動してきますので、修理が比較的楽かと思われます。メインメモリまで影響が出るとそもそもPCとして起動出来ないので、VRAMの確認など絶望的になりますから。

画面が異常

 画面がサイケデリックなグチャグチャではなく、グラフィックの表示で縦縞になるとかが該当します。
 小基板にあるVRAM(マザーボードと接続する小さい方のコネクタのすぐ隣にある、2.5cm x 1cmのメモリIC2つ)の両隣に腐れ電解コンデンサがあり、こいつらの汁がこのメモリチップとその上(先の小さい方のコネクタを下にした場合の方向)にあるでっかいIC(D95102GL)との間にあるメモリバスのパターンを盛大に腐らせてくれています。
 とくにここはチップの裏に隠れてパターンが見えないところも多く、導通を追っかけるのも一苦労ですが、なんせメモリバスなので規則性があり、パターンを追っかけること自体は何とかなります。
 しかし、導通が無い事が分かった場合、ピンピッチ0.65mmのD95102GLからメモリチップまでジャンパを何本も通さなければならないため、それなりのスキルと度胸が無いと手出しが出来ません。USの修理で一番の山場、そして悲劇がここです。ひたすら根性で0.65mm間隔でジャンパ線をハンダ付けしてください。人間、為せば大抵何とかなります。(本当)

メモリカウントがおかしい

 起動する度に画面がサイケデリックな模様になるとか、やたら苛烈なノイズが入りまくるとか、全然メモリを増設していないのに14.6MBまでカウントしてくれてウマーとか、起動する度に「SET THE SOFTWARE DIP SWITCH」だの「KANJI CG RAM ERROR」だの出して全くピポと言わない場合は、小基板のメモリバスのうち、チップセレクト(CS)信号が断線している可能性があります。特にPC稼働中に小基板上のSRAM(小基板の1D区画にある、256Kbitのやつ)の裏面付近に手を近づけた場合にノイズの雰囲気が変わる場合は、その可能性が高いです。SRAMのCS(20pin)からパターンを辿って、小コネクタ(A13)まで導通を確かめてみてください。なぜか小基板ではCSのパターンが腐っている場合が多いです。
 画面がぐちゃぐちゃになるのは、本来テキストVRAMを読むべきが、CSが断線しているためにどこかよく分からんRAMの情報を引っ張ってきているためだと考えられます。

ソフトウェアディップスイッチの内容を覚えない

 小基板の小コネクタB12ピンには、リチウム電池からの電気(3V弱くらい)が供給されています。これが上記の256KbitのSRAMなどにも入力されていますが、このパターンが腐食して断線すると、ソフトウェアディップスイッチやメモリスイッチの内容を覚えなくなります。SRAMのVCC(28pin)まで電気が来ているか確認してみてください。

その他

 そのほか、速度切替のスイッチが効かないとか、妙にPCが不安定だとかの場合は、リセットスイッチや速度切替スイッチ付近のパターンの断線が疑われます。必死こいて目で追って、断線を直してください。Cバス用のライザカードのコネクタの下で断線している場合もありますが、ひたすらに想像を働かせてパターンを追っかけてください。LM386の隣にあるリセットIC(uPC2270)辺りのパターンの確認も同様です。
 ところで、USは音が鳴らなくて良いなら5Vだけで動く、慎ましいPCです。
 このため管理人は横着こいて、修理中は5Vしか入れないで動作確認したりしていますが、スピーカーを動かすオペアンプは+12Vが必要ですし、FM音源のオペアンプは+12と-12Vが必要です。特に+12Vだけ入力するとビープ音と、場合によってはSSGだけうっすら鳴りますが、FM音源が全く鳴らなくなります。FM音源周りの故障の調査をするときにたまに填まりますので、注意してください。

コンデンサ考

 上記の説明で何となく気付いたと思いますが、USの腐れ電解コンデンサのほとんどはFM音源とビープ音用です。
 かつICの貧血防止に付いているパスコンの類は画像関係の小基板やVFOまわりくらいなので、USの修理をするときは全部の腐れ電解コンデンサを取っ払った上で、PCとして最低限きちんと動作するまできっちり修理(断線の修復とか、ICの交換とか)をするのが楽ちんと言えます。ぶっちゃけ新しい電解コンデンサを付けなくても、割とすんなり動きますし。
 また、FM音源とビープ音のところで説明した電解コンデンサは音を鳴らすためのものなので、ガチにビジネス用途でしか使わないとか、別途86ボードを突っ込むとかで本体のFM音源なんてどうでも良い場合は、そもそも電解コンデンサを付ける必要すらありません。
 ネットの記事だと、元々張り付いていたコンデンサの容量が微妙なので「電圧・容量一回り大きく」「マザーボードなので出来れば低ESR」が鉄板の説明ですが、そもそもオーディオ用のパスコンやらカップリングコンデンサなので、そのロジックはちょっと違うのかなぁ、という気がします。
 なので管理人は音源周りにはたくさん余っている緑MUSEを、容量を吟味して貼り付けておきました。以前のスイッチング電源用105℃品の時と比べて、気分的に音が良くなった気がします。あくまで気分的にですが。その辺コダワリのある人は、オペアンプも含めてオーディオ用に取り替えてしまうのも良いかも知れません。カップリングコンデンサの類は容量や品種で音が変わりますので、好みの音を追求しても良いでしょう。しかし旧機の内蔵FM音源なので、いくら高級な部品を突っ込んだところで、音質的にはたかが知れてますけどね。
 なお、他の場所(リチウム電池付近のとか、VFOチップとか、リセットIC付近)のコンデンサはICの貧血防止とか時定数用の類かと思われますので、それなりに高性能なコンデンサを付けておいた方が良いでしょう。
 ちなみに半可通は写真に写る緑色の電解コンデンサを見て「PCのマザーに音響用の緑MUSE付けてら、超バカでー!」とか宣うのでしょうが、ちゃんと回路を追っかけた上で使っているのだから、少しは自分の浅慮を反省すれと前もって言っておきます。あと、もう一台あるUSではオペアンプをOPA1604に変えて、コンデンサは現行のFineGoldをあてがってみましたが、何か不必要にいい音がしますねぇ、気分的だと思いますが。

総括

 さて、管理人は人一倍凝り性というか、壊れたままの物があると許せない偏執狂なので、なんとか自力でUSを修理することが出来ましたが、そもそもジャンクのUSを買って修理するのはコスト的に見合っているかを、改めて確認してみましょう。

 今回のUSだと、原価としておよそ8.7万円掛かっています。
 ちなみにまともな専門店で整備済みのUSを買うとざっくり8万円位なので、自分で修理するより買った方が良いという事がはっきり分かるかと思います。
 なのでこれから地雷USを買って修理に勤しもうかと漲っている諸氏におかれましては、部屋の中を腐れ電解コンデンサの腐臭で満たしたあげくに青春を無駄にするくらいならば、まともなお店でしっかり動くUSを買った方が数十倍マシであることを今一度喧伝したく、このページを締めくくりたいと思います。
 まぁPCの修理が趣味とかいう変態奇特な人には、かなりエキサイティングな経験が得られるとは思いますけど。
 またUSを弄くったら記事が更新されるかも知れませんので、忘れた頃にまた見に来てくださいね。

おまけその1 Ap2でも遊ぼう! 〜PC-9821Ap2の修理の愚痴〜

 ここはUSのページですが、水没機を含む11台中9台(マザーボードだけも含む)の復活を果たしたAp2について、修理の勘所を交えた愚痴をお送りいたします。新たにページを起こすほどのネタもありませんし……(というか、本気で解説するととんでもない苦労が掛かるので諦めました)
 この章は、修理指南と言うより、自分での修理は諦めろといった趣になるかと思います。結論から言うと、掛かる苦労に比べてリターンが少ないからですね。だいたい平成も終わったこのご時世に、今更趣味で9821なんぞと戯れようなんて粋なことを言ってる人は、管理人と違ってお金持ちかと存じますので、そういう人は金に物を言わして真っ当な専門店で売ってる修理済みの9821を買った方が遥かに良いです。特にA-MATEなんて部品の集積密度が高くて、ヒマと設備とやる気がUSの5倍増しで無いとやってられません。Ap2の修理に比べたら、USなんて超簡単ですよ……。
 ちなみにこの駄文を書いた頃(2018年下期)、ヲクではAp2とかその辺のマシンがやたら高価格で取引されていますが、いくら出品者が「貴重! 昭和レトロ! 感動品のAp2!!!」(誰もこんなところまで読んでないから書いちゃいますけど、98を昭和レトロなんて言うヤツは不勉強の大馬鹿者ですげな。98が全盛を誇ったのは平成に入ってからなので、せめて書くなら「平成一桁代の逸品、インターネット老人会の皆様垂涎の品!」くらいにしておけと。客をバカにすんな)とか書いて出品していても、中身のマザーは以下の記事に出来る様な半壊品に等しい状態になっていることは想像に難くありません。外見は適当に磨いたり汚れを飛ばすような撮り方で綺麗に見えますが、送られてきたブツの中身を見たときの絶望は中々の物です。管理人は自分で修理してよくよく理解しましたが、ヲクで整備済み(もちろん正しいやりかたで)のマザーまでしっかり提示したうえで、例えばAp2の値段が5〜6万円即決とかかなりお買い得です。確かにノウハウや設備があればもう少し安く修理する事も出来ますが(だからこそ業者さんは利益を出せる)、経験も無い状態でネットに転がってる胡散臭い修理記事(このWeb含む)を見て修理しようとか完全に無理ゲーです。修理する事自体が趣味な人にしか到底お勧め出来ません。
 なお、そんな無理ゲーに近い修理の実例として、九拾八式の記事で実際に半壊Ap2をレストアしていますので、こちらもご参考下さい。
 という事で、以下に故障部位に合わせた所見を連ねておきます。ここまで言っても修理に挑戦しようだなんてドMな貴兄に於かれましては、どうぞお体とお心をご自愛下さい。本気で鬱になりますから。特にヲクで周りを挽き潰して大枚はたいて落としたAp2が半壊品で、それで修理に失敗したときのショックと言ったら線路に飛び込むくらいの勢いがありますので。
 ちなみにAp2の修理に必須な物は、USで挙げたものに加えて以下の通りです。基板内層だけで接続されているビアが凄まじく多いので、一旦その辺が断線したら繋ぐべき箇所が全く分かりません。検証に使える生きたAp2が無いとマジで詰みます。根性入れてもどうにもなりません。どこかにAp2の回路図でも転がってないもんですかね?

 ちなみに以下には何の物だかよく分からないテキストや写真、表が点在していますが、管理人は何を意味しているかはさっぱり分かりませんので、読者様で勝手に解読して適当に活用ください。中身については管理人は一切責任を持ちませんし、保証もしません。
 あと、マザーはボリュームやリセットスイッチを下にした向きがシアワセの第一歩です。

修理の前に

 USみたいなご家庭用?PCと違い、Ap2に代表されるA-MATEの類は工場のコントローラとしてコキ使われていた個体が多く、ヲクでフィーバーして大枚はたいて買ったPCの蓋を開けて、その中のハンパない汚さに激しく絶望するのは我々の業界では定例業務となっています。
 単にブロアで埃を飛ばせば綺麗になる程度のものは、汚れのウチに入りません。大概は油成分のベタベタと鉄粉混じりの埃と腐れ電解コンデンサの腐汁でドロドログチャグチャデロデロになっている物です。
 となると、結構な割合で基板を洗浄しないとどうにもならない事になるのですが(正しい修理のためには、基板を綺麗にする事が必須です。見た目が汚いと何が悪いのかさっぱり分かりません)、ここで改めてPCを水で洗う作業について纏めておきます。
 ようつべとかで、たまにCPUファンやらHDD丸ごとPCに洗剤ぶっかけて洗ってる阿呆が見受けられますが、そんなことしたら必ず錆びてぶっ壊れますので、これから洗おうとしている98に特段の恨みでもない限り、絶対にマネしないでくださいね。以下もしくはより詳細なページをご覧頂き、正しく汚れを落としてあげて下さい。もしくは水没させただけのPCを「洗浄・整備済み!」とかいってヲクで売り飛ばすようなテロ行為をしない様、重ねてお願い申し上げます。
 まぁ、まともな知識のある人なら、常識以前の話なのですがね……

以下は絶対洗ってはいけないので必ず基板から外す
ビニール被覆線、CPUクーラー等のファン類、メモリモジュール、ICソケットやその他コネクタに填まってる全部のもの
ビニール被覆線を洗ってはいけない理由
毛細管現象で水分がケーブルの奥深くまで浸透し、絶対乾燥しない。やがて導線を腐食させて断線してしまう
CPUクーラー等のファン類を洗ってはいけない理由
中にベアリングが入っているので油が抜けて錆びたあげくにベアリングが劣化して回転しなくなる
メモリモジュール、ICソケットやその他コネクタに填まっているものを洗ってはいけない理由
接点に溜まった水分でサビが出たり接触不良を引き起こす。バラして個別に洗うのは良い
以下は常識的に洗ってはいけないので絶対に水を付けない
光ドライブ、HDD、ケースファン等の駆動部分を持つ周辺機器の類
HDDはヘリウム入りでも無い限り密封されていないから、水を掛けたらすぐに中に水が入る
光ドライブは光学系が汚れて一発で即死、ケースファンはCPUファンと同じ
パッチが当たっている基板は洗浄を諦めるか、壊す覚悟で洗うこと
ジャンパー線に入った水は乾かないし、基板を固定している両面テープとかが余計に腐る

 要は、取れるパーツを全部取っ払って基板だけにして、それに食器用の洗剤でもぶっかけて歯ブラシでゴシゴシ優しくこすれば良いです。そのあと水で丁寧に洗剤を洗い流して、エアコンプレッサーやエアダスターで水分を飛ばして日陰で1日くらいじっくり乾かして下さい。大概それで綺麗になりますし、水洗いしたくらいじゃぶっ壊れたりしません。この程度で壊れるならそのPCは元々壊れているので、取りあえず涙を流して諦めます。
 逆に、間違っても高圧洗浄機やスチームクリーナーなどで洗ってはいけません(部品の中に水が浸透してぶっ壊れます)。また、お湯を使って洗ってもダメです。温度が高いと化学反応が進みやすくなるので金属部分が錆びるし、部品の中に水分が浸透しやすくなります。
 ちなみにケーブルとか外すのが面倒で水洗いするのが微妙な場合は、ウエスに車用のパーツクリーナーでもぶっかけて、それで汚れを拭うのも個人的にはお勧めです。特に部品が溶けたりすることもありませんし(外装や塗装は剥がれるのでダメ)、頑固な油汚れがさっさと落ちます。基板にビニール被覆線がハンダ付けされているような場合は、ウエス(細かいところは綿棒とか)+パーツクリーナーでシコシコ磨くのが良いかも知れません。
 パーツクリーナーは値段が安いのでがっつり使える所が良いですね。ケーブルの外装も綺麗になりますし。
 洗浄後、余裕があるならコネクタとかには接点復活剤をちょっと付けておくと、接触不良が出にくくなるのでお勧めです。
 ところで、腐れ電解コンデンサの腐汁がひどい場合は、アルコールやパーツクリーナーでは汚れが落ちづらいです。電解液は水溶性なので、水洗いした方が遙かに綺麗になります。ヘタに無水アルコールなどで基板をゴリゴリやるとレジストが剥がれてきたりしますので、ひと思いに水洗いした方が基板に対する負担が少なくなるかも知れません。
 管理人はほとんどのAp2やUSのマザーを水洗いしていますが、特にそれで壊れたことはありません。決して保証はしませんが、そういう事例もある事だけは心に留めておくと良いでしょう。

音源関係

 Ap2の地雷と言ったら、まずは音源関係が鳴らなくなる事かと思われます。なんせ基板には大量の腐れ電解コンデンサが張り付いており、大概こいつらが皆お漏らしをして、基板を盛大に腐らせていますから。
 ただし、腐れ電解コンデンサを変えても直らないという楽しい事象もあるのは事実。以下、改めてご確認ください。

カップリングコンデンサとして機能しない腐れ電解コンデンサ

 原因は色々あれ、取りあえず腐れ電解コンデンサは全部取り替えます。腐れ電解コンデンサのおかげで音が出ないのは、だいたいが中身が乾いてカップリングコンデンサとして機能していないことと、周辺の回路を断線させることによります。
 だいたい奴らは早々に中身が噴き出てどうにもならなくなるコンデンサであり、音声信号が流れて然るべき箇所で信号が流れなくなるので、結果として音が出なくなるのです。ちなみに腐れ電解コンデンサはアッテネータ近辺やバッファ回路のカップリングコンデンサとして多く使われていて、どこかのコンデンサが一つドライアップ(腐れ電解コンデンサが腐汁を噴き出すのもドライアップというのかなぁ……)しているだけでも音が出なくなります。いちいち調べて回るのは時間の無駄なので、さっさと全部取り替えましょう。
 ちなみにパッドの根本でパターンが断線している事が多いので、テスターやオシロでパターンを追っかけつつ、導通しているか確認して下さい。だいたいこの辺で心が折れてきます。

★Ap2の音源 ふっかつのじゅもん
FM YM3016 CH1(L)/CH2(R) 10/11pin
XRA14741F(8A3下) R(7B3/7B4) 4066 C(7B2/7B5) R(6B4/6B7) 裏XRA14741F(6B12左) 裏C(5B11/5B13) C1406HA(6B3左) 裏C(5B8/5B12) 裏R(5B6/5B7) 裏XRA14741F(5A10右) 裏R(4A14/6A14) 裏C(4A15/6A15) C(4A4/5A5) 裏R(5A8/5A9) 裏R(6A10/6A9) F(16A5/16A6)→LINE OUT
SSG YM2608 27pin
C(7C1) R(6B6)+R(6B5)/R(6B9)+R(6B8) R(6B4/6B7) to YM3016 CH1/CH2
PCM uPD6376 11(L)/6(R)pin
裏C(5C14/5C11) 裏R(5C12)+R(5C16)/R(5C10)+R(5C9) 裏XRA14741F(5C12右) 裏C(4C11/4C9) C1406HA(6C2右) 裏C(5C7/6C4) 裏R(5B4/5B5) 裏XRA14741F(5A10右) to YM3016 CH1/CH2
LINE IN
F(16A3/16A2) C(15A3/16A1) 裏R(7A5/7A3) XRA14741F(7A1右) C(6A7/7A1) C1406HA(7B2右) C(6A8/6B1) 裏R(5B8/5B11) 裏XRA14741F(5A10右) to YM3016 CH1/CH2
MIC
F(1N1) C(1M6) 裏4560 裏R(1D8,1D6) 裏4560(2D6右) VR2 R(1D1) XRA14741F(7A1右) 裏R(7A4/7A2) XRA14741F(7A1右) to LINE IN
AVOUT
from FM 裏R(5A8/5A9) 裏C(2A14/2A18) 裏4560(2A14左) 裏C(3A7/3A6) 裏R(16M8/16M9) F(16N11/16N10)→MONITOR
PHONE
from FM 裏R(5A8/5A9) 裏C(2A14/2A18) XRA14741F(2A4下) 裏R(2A15/2A12) XRA14741F(2A4下) 裏C(2B7/2B8) C1406HA(1B1右) 裏C(2B11/2B10) 裏R(2B10/2B11) 4560 裏R(1L3/1L2) F(1M1/1M2)→PHONE
SP
from PHONE 裏C(2B11/2B10) 裏R(1B18/1B19) 裏C(2C9) 裏C(2C12) TDA7052A C(1L1) F(2M1) PHONE(SW) F(2N1/2N2)→SP
BEEP HIKARIR 74pin
裏R(2A6) 裏C(2A16) 裏R(2A11/2A16) XRA14741F(2A4下) to PHONE

YM2608へのクロック入力を調べる

 Ap2のマザーで、白と黒の腐れ電解コンデンサがある場合、白の16V 4.7uFがやたらに腐っていることが多いです。特にこいつの周りでは回路の腐食が激しいので、しっかり調べる必要があります。
 さて、音源周りではYM2608のマスタークロック近くに白い腐れ電解コンデンサが付いている場合があります。ちなみにマスタークロックはYM2608の下にあるEXO3なんちゃらという8pinのDIPの部品で、一見ICに見えますがこいつは分周機能の付いたクリスタルです(f0の15.794MHzを1/2に分周して7.897MHzをYM2608に入力)。この部品のデータシートをよく見て、EXO-3の2pinから出ている7.897MHzがYM2608の2pinに入力されているかオシロかなんかで確認して下さい。周辺の回路が腐っていると、EXO-3の分周の設定(5〜7pinがしっかりGNDに落ちていること)が狂って変な周波数をYM2608に入れている場合があります。この場合は、FM音源が全く出力されません。またDACのYM3016へもまともなマスタークロックを出力しなくなるので、この辺の周波数を見るだけでもEXO-3周りの異常を確認することが出来ます。

スピーカーアンプ(TDA7052A)の電源入力を調べる

 マイクボリュームの上にあるアンプIC TDA7052A周りがおかしいと、LINE OUTやイヤフォンからは音が出るのに、前面スピーカーからビープ音を含めて一切音が出ません。
 3A1の腐れ電解コンデンサが余計に腐っている場合、TDA7052Aへの+12V電源入力が断線している場合があります。TDA7052Aの1pinに+12Vが入力されていること、4pinから約+1.1Vが出力されていることを確認して下さい。1pinに電源が来ていない場合は、近くから+12Vを拝借してきます。ついでに4pinに接続されている3D1の腐れ電解コンデンサも取り替えましょう。ここがおかしいとTDA7052Aの電子ボリュームが下がって音が出なくなります。

オペアンプの電源入力

 ApやAp2など、マザーの電源コネクタ付近にいる腐れ電解コンデンサのおかげで+12Vや-12Vの太いラインが断線している場合が多いです。見た目じゃ繋がっている様に見えても切れている場合が多く、腐れ電解コンデンサを張り替えても音が出ないとか、LINE OUTでやたらDC漏れが激しいといった場合は、オペアンプに入力されている電圧を確かめてみて下さい(オペアンプによって、マイナス電源がGNDになっている場合もあるので、電圧が0の場合は断線しているのかGNDに落ちているのかしっかり確認してください)。むしろ音源部の腐れ電解コンデンサが綺麗なのに音が出ない場合は、コンデンサを変える前に電圧を確かめた方が良いです。
 なお、+5Vや+12Vのラインが切れているとそもそもPCとして立ち上がってこないとかHDDが回らないとかで分かりやすいのですが、-12Vは音源のオペアンプのマイナス電源生成くらいにしか使っていないので、断線していても気がつきにくいです(-12Vが供給されていなくても、PCとしては元気に動きますので)。そもそも電源ユニット自体が-12Vも含めて出力しているかも、事前に見ておいた方が良いでしょう。

その他

 イヤホン端子が壊れている(内部で接触不良とか)と、地味にスピーカーから音が出なくなるので、その辺の導通もチェック。何度かピンプラグを抜き差しすると良いかも知れません。
 ちなみにわざわざ音源部のコンデンサを音響用の良い物に変えようなんて廃な嗜みをしようと漲っておられる貴兄におきましては、コンデンサを変えた後の音が98のFM音源の音として良いのか?といった覚悟をちゃんと決めてから施工されることを激しくお勧めいたします。もちろんコンデンサを変えれば音は変わりますが、それがレトロPCの奏でる音として似つかわしいものかどうかは別ですからね。ちなみにFM音源の音としてしっとり纏まっているのはオリジナルのままです。むやみに高音質化すると、音の粒が立ってだいぶ違った風に聞こえますから。

★音源関連のコンデンサ
1A2 1B1 1C1 1L1 1M6 2A1 2A3 2C1 2C3 2L3 2D4 3A1 3A4 3C3 3C4 3D1 4A2 4A4 5C4 5A5 6A5 6A7 6A8 6B1 6C1 6C3 6E1 7A1 7B2 7B5 7B6 7C1 7C5 7D8 8A2 8A3 10A1 10A2 10A3 11B1 15A3 16A1

そもそも起動してこない場合

 さて、ここら辺から心が折れる音が、頭の中でポキポキ鳴り響いてきます。音源部で音が出ない原因なんて、ぶっちゃけちょっとだけ気合い入れてオシロで信号を追っかければ大概分かりますから(そして修理も簡単)。しかしロジック系がおかしい場合、そもそもピポらないので故障解析もやり辛くて仕方ありません(ロジック回路にプローブを当てても何が悪いのだかさっぱり分からん)。
 以下、絶望に浸りながらよく読んで下さい。

当たり前だけど、目を皿のようにして断線を見つける

 断線があるのは、腐れ電解コンデンサのある半径3cmくらいの領域と、一部ロットで施されているタンタルコンデンサ追加の両面テープまわりです。Ap2ではラッキーなことに基板のほとんどの部分が該当します(涙)
 特に腐食が激しいのは、Cバスライザー基板のコネクタからリセットボタンまでの、ロジックICがゴチャゴチャある辺りです。背の高いコネクタがたくさんあるので、そもそもハンダゴテを入れづらいです。実にドM向きな構成です。
 さっそく、特に以下の場所を確認して見ましょう。

リセットIC 2270A付近

 製造番号が3から始まる古めのマザーボードでは、腐れ電解コンデンサ2L1に下でリセット用パターンが断線していることが多いです。これが切れるとリセットが効かないどころでは無く、そもそも電源入れても全く起動しません(CPUボードを抜いたのと同じ状態になる)。
 逆に言うと、綺麗なのにうんともすんとも言わないマザーに出くわした場合、ここの断線を一つ直すだけですんなり生き返る場合もあります。
 腐れ電解コンデンサを変えても直らない場合は、BIOS ROMを外して導通を確認しましょう。

Cバスライザーのコネクタ付近

 腐れ電解コンデンサ7L2の下にビアが有り、これが断線する場合が考えられます。ただしこのビアはCバスライザーのコネクタ右にあるPEBBLEBEACHまたはコネクタ上のGRANDPAPA2とCバスを接続している物なので、断線しても取りあえずPCとしては起動してくるでしょう。ぶっちゃけここは基板内層にも接続があり、正常に動作するAp2の基板から導通を確かめるしかありません。他のAp2が手元に無い場合は、終了のお知らせです。

B96-PB105A79-PB110
A103-PB119B100-PB102B82-PB109
A104-PB116B101-PB131A54-GP2 153A51-GP2 154

メモリ付近

どの機種にも付いている8個のメモリ。左右にある腐れ電解コンデンサが働き者だった場合、地味にパターンを溶かされているので、MEMORY ERRORとか出て起動しない場合は全部のメモリの結線を確かめてみて下さい。メモリチップの下のパターンが切れていることがあります。

クリスタル周り

 管理人の考える、Ap2の最大の地雷はここだと思います。
 一部のロットでは回路の設計ミス(ノイズが酷くて74F245が貧血になる?)だかで74F245にタンタルコンデンサが追加されていますが、そこで使った両面テープがやたら基板を腐らせます。パターンを腐食させたり基板内層で接続があるビアを大量に断線させるのです。そして両面テープを引っぺがすときに、かろうじて繋がっていたパターンが良く切れます(涙)。
 この周辺で多いビアはCPUボードやメモリ、CPUボードコネクタの隣にあるAUGASTAというチップセットを接続しているので、1箇所でも断線すると致命的です(全く起動しなくなります)。ビアの腐食が疑われる場合は、一旦表裏にある74F245を引っぺがし、正常に動作するAp2の基板で導通を確かめ、パターンの断線を追っかけるしかありません。凄まじく面倒なので、この辺で確実に心が折れます。
 もし潰し用のAp2があるなら、この辺の部品を全部引っぺがし、パターンを見た方が手っ取り早いです。
 なお、接続先からある程度想像が付くかと思いますが、この辺のバッファの一部は増設RAM向けの配線だったりするので、増設RAMボードを認識しないとか、Cバスライザのコネクタ付近に実装されているメモリ(2MB分)を認識しない場合、この辺の配線パターンの断線を直したり、バッファチップを交換すると認識するようになる可能性があります。

■7J1下 74F245
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1R 2K220Vcc
2-19GND
3-18-
4-17-
5-16-
6CPU B2815-
7CPU A2814MEM A19
8CPU B2913MEM B23
9CPU A2912MEM A29
10GND11MEM B33
■B01 74F08
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1裏74F32 314Vcc
2PB 11213PB 112
3内蔵GA A4812裏74F32 3
4裏74F32 311GP2 99
5PB 11210PB 148
6CBUS A1039CPU A38
7GND8裏74F32 2
■A01 74F245
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1裏74F32 120Vcc
2AU 101 CPU B1319GND
3AU 102 CPU A1318MEM B24
4AU 107 CPU B1417MEM A25
5AU 108 CPU A1416MEM B25
6AU 109 CPU B1515MEM A26
7AU 110 CPU A1514MEM B26
8AU 111 CPU B1613MEM A27
9AU 112 CPU A1612MEM B27
10GND11MEM A28
■74F244の隣の74F245
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1裏74F245 120Vcc
2AU 123 CPU B2319GND
3AU 125 CPU A2318MEM B34
4AU 126 CPU B2417MEM A35
5AU 127 CPU A2416MEM B35
6AU 128 CPU B2515MEM A36
7AU 129 CPU A2514MEM B36
8AU 132 CPU B2613MEM A37
9AU 133 CPU A2612MEM B37
10GND11MEM A38
■裏A02 74F245
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1表74F245 120Vcc
2AU 92 CPU B619GND
3AU 93 CPU A618MEM B19
4AU 94 CPU B717MEM A20
5AU 95 CPU A716MEM B20
6AU 97 CPU B815MEM A21
7AU 98 CPU A814MEM B21
8AU 99 CPU B913MEM A23
9AU 100 CPU A912MEM B23
10GND11MEM A24
■裏74F245
ピン番号接続先例ピン番号接続先例
1表74F245 120Vcc
2AU 113 CPU B1819GND
3AU 115 CPU A1818MEM B29
4AU 116 CPU B1917MEM A30
5AU 117 CPU A1916MEM B30
6AU 118 CPU B2015MEM A31
7AU 119 CPU A2014MEM B31
8AU 120 CPU B2113MEM A32
9AU 123 CPU A2112MEM B32
10GND11MEM A34

接続先例は近場の端子までの導通で、もちろん他の部分にも接続されている場合がたくさんあります。パッドの断線くらいは確認出来ると思いますけど。

腐ったビア

 改めて「ビア」とは何かと言うと、多層構造になった基板の各層を電気的に接続する為のちっちゃい穴の事です(この記事ではスルーホールビアのことをビアと称しています)。そして修理でいちばん面倒というか出くわしたくないのが、表裏からは決して見えない、基板内層へ接続されているビアです。
 Ap2の場合、腐れ電解コンデンサの腐汁がビアの穴に溜まって層間を接続する銅を溶かしてしまいます。
 このとき、見た目で分かる表面と裏面両方のランド間で導通があるから大丈夫!というわけでは無いのがビアの恐ろしいところで、実は内層でもパターンに接続されていて、そこだけ導通が腐って不通になっていることもあります。信号が3方向に繋がっている事を想像して頂ければ分かるかと思いますが、表、裏、内層で別の場所とパターンが接続されている場合ですね。Ap2の場合だと、CPU周りの部分からファイルスロット向けのCバスのラインなど考えてみれば良いかと思います。
 そしてビアの見た目じゃ全くドコに繋がっているか分からないので、内層での断線が想像される場合、腐食の無い別のAp2の基板でひたすらビアや部品の足などで導通チェックをしなければなりません。管理人は色々メンドウなので、テスタの片方を接続した黄銅のワイヤブラシでひたすら基板の両面をコシコシこすりまくります。ここまでやってもたまに見つからないことがあるので、内部まで腐食していると思わしきビアに出くわしたときは、取り急ぎ絶望の準備をしておいた方が良いです(大概は穴から緑青を噴き上げて、指でこすればパターンの銅が全くなくなっている)。

実録 管理人は見た! ジャンクマザー修理の実態

 さて、上記記事の実証?として、ジャンクマザーがまた手に入ったので(自分で買ったくせに……)その修理の一部始終をお送りします。
 ちなみにチキンな管理人は、マトモに修理出来無かったらこの記事は作らないつもりでおりましたが、さてはて。
 これからAp2の修理をしようと企んでおられる廃な粋人の皆様に於かれましては、「こんなの自分でするもんじゃねーな!」と思いつつ、ご笑覧下さいませ。

マザーの状態を確かめましょう

 はやる気持ちをおさえて、まず始めにマザーの様子を確かめましょう。いきなり電源を入れると基板が燃えるかも知れません。
 特に腐れ電解コンデンサで腐った箇所やその他瑕疵がありそうな所をしっかりチェックする事が大切です。
 ちなみに今回手に入れたマザーは、自分の修理歴の中では「中の下」くらいの状態です。水没マザーに比べたら遙かにマシですが。
 それでは、実際の状況を見ていきましょう。(状況の詳細については、画像を突っついて下さい)
 以下の写真では、修復が必要と思われる部分をピックアップしてみました。他の部分はそれなりに綺麗なので不具合は無さそうです。

 さて、マザーの全体的な状況は腐れ電解コンデンサのお漏らし汁と埃でベトベト。かなり汚いです。しかし電気を入れて火を噴く様子では無かったため、取りあえず電源を入れてマザーの動作や状態を確かめてみました。
 以下はその動作状態です。

 実際に画面を見ると、以下の感じ。

 さて、一般の人がこんな画面を見ると、
「うぎゃああああ! ダメだこれ絶対ダメな奴だ! もう死んでる死んでるしっかりぶっ壊れてる!!」
 ……などと当たり前な台詞を吐かれますが、しかし我々の業界では、
「こいつ、動くぞ……!!」
 となります。
 そもそもピポるだけで十分、画面だってちゃんと98のROMフォントが出るだけ十分過ぎるほど98として起動出来ていることが分かります。俄然やる気が湧いてきますね! 普通の人はゴミ捨て場に捨てる算段を始めるのでしょうけど、我々の業界では修理の算段を立てるのです。

修理方法を検討してみましょう

 上記の状況を考えてみるに、このマザーは以下の状態である事が分かります。

 結果として、修理すればなんとか使い物になりそうなことが判断出来ます。
 では実際に修理していきましょう。
 ちなみにこのマザーは錆びてはいない物の、かなり汚い状態だったので、修理に先立ち全体をくまなく水洗いしました。ちなみに何度も言っておりますが、何でもかんでも水洗いすれば良いというものではありません。このマザーも水洗い後に一旦動作確認をしましたが、起動しなくなることが増える等、状況が悪化するだけでした。
 さて気を取り直して、まずは画面の鬱陶しいグチャグチャを直してしまいましょう。FM音源など、ぶっちゃけ今回のマザーではオペアンプが燃えていない限り、腐れ電解コンデンサを全部取り替えれば必ず直りますので(だから今回の修理はかなりぞんざいです)。

故障の原因を考えてみましょう

 画面のチラチラですが、起動時にKANJI CG RAM ERRORと出ます。
 これだけで98の修理やアーキテクチャに詳しい人なら、故障原因がすぐに分かると思います。
 どこかで98のメモリーマップを見れば一撃ですが、このKANJI CG RAMとやらはたぶんテキストVRAMにあるCGウインドウあたりの事かと思われ、それはメモリースイッチの隣にある領域です。
 メモリスイッチということは、バッテリでSRAMに電源供給しているはず。そしてAp2の基板に載っている4つのSRAMは256kbitであって、8バイトしか無いメモリスイッチの為だけに128kバイトも使っているとは思えません。たぶんCGウィンドウ辺りのメモリは、メモリスイッチのためのSRAMと共用しているのでしょう。ということで、CGウィンドウあたりでエラーが出るのは、SRAMがまともに動いていないのが原因だと考えられます。
 さて、このページの主役であるUSではSRAMチップのCS信号のパターンが腐っていたことで同様のエラーが出ておりましたが、このマザーのパターンの引き回しを見るに、CSのラインだけが器用に切れることなど考えられません。もしSRAMの近くにある電源コネクタの腐れ電解コンデンサが噴いた場合、SRAMのデータバスもおかしくなると考えられ、その場合はテキスト画面が余計にグチャグチャになるでしょう(場合によってはマトモに起動してこないかも)。
 となると、画面にノイズが舞うのは一部のSRAMだけが動いていないという状況が原因だと考えられます(SRAMチップがまともに動いていないので、他のメモリを読んでいるのにデータバスにノイズが乗る)。その理由として挙げられるのは、そのSRAMに電源供給出来ていないということです。
 SRAMは他のDRAMと違い、メモリスイッチの保持のためにバッテリバックアップされています。つまり他のDRAMやその他ICチップとは電源の供給ラインが違うと思われます。そこでバッテリ周りでSRAMの方に伸びている電源のラインを調べてみると、右(または下)の写真の様な状態でした。

修理してみましょう

 上の写真をじっくり見ても分かりませんが、16B4の腐れ電解コンデンサのプラス側のパッド(下の方)において、すぐ左に出ているビアとの接続が腐って切れています。また、右に出ているパターンとの導通も実はありません。そしてこの右に出ているパターンはSRAMの電源端子に伸びています。
 ここを、以下の様に修復しました。

 これでバッテリの+端子とBV2から伸びる電源がSRAMにちゃんと供給される様になり、以下の通り画面のノイズは全く出なくなりました。
 いやっふい! \(^o^)/
 この修理での学ぶべき事はといえば、画面の異常がバッテリ回路周りの断線で出てくる、ということです。一生懸命グラフィック周りの回路ばかりを追っかけていても、分からないかも知れません。(もちろん真面目にメモリーチップの各ピンの信号を追っかけていけば、SRAMのVCCに電圧が来てない事はやがて分かるでしょうけど、いちいちテスタやオシロを当てなくても98のアーキテクチャからも類推できるという実例です)

 FM音源部に関しては、劣化状態が酷い腐れ電解コンデンサを手持ちがある分だけ取り替えておきました。取りあえずこれで音割れとLINE OUT端子から音が出ないのは直りました。ちなみにコンデンサの交換をやり過ぎたマザーはこんな有様です。よい子は決してマネしないでください。

 ところでバッファ(74F245)にタンタルコンデンサが付いてなかったので、手持ちのタンタルコンデンサを貼り付けておきました。

 この後HDDや増設メモリ、A2アクセラレータボードなどを接続してWindows3.1を動かしてみましたが、特に問題無く動きました。これでこのマザーの修理は完了です。

実録 管理人は見た! ジャンクマザー修理の実態 その2

 常時接続で頭のおかしい管理人は、またもヲクでジャンク基板を漁ってきました。
 しかもご丁寧に「起動しません」と説明入りの物です。自分でも何を考えているのだかよく分かりませんが、取りあえずそんな物が家にあるのは気持ち悪いのでさっさと修理してみましょう。
 もちろん賢明な読者諸氏におかれましては、ちゃんと「ピポります」と書かれた物を買われることを改めて奏上いたします。自分で修理するとかほんと頭オカシイです。

マザーの状態を確かめましょう

 はやる気持ちをおさえて、動かないマザーの様子を確かめましょう。一体どんな理由で動かないのだか、色々妄想しながら調べるのは大変楽しい瞬間です。
 ちなみにこのマザーは、自分の修理歴の中では「下の下」です。下に写真があるので見て貰えば分かりますが、なんであちこち削れているのでしょうか?
 前のオーナーはいったいどんな折檻をしながらこのPCをバラしたのか、自分の頭のおかしさを棚に上げて正気を疑います。まぁ水没マザーに比べたら、まだマシなのかもれませんが……。
 それでは、実際の状況を見ていきましょう。(状況の詳細については、画像を突っついて下さい)
 以下の写真では、修復が必要と思われる部分をピックアップしてみました。他の部分でもエラい勢いで汚いので、水洗いは必須ですね……。

 マザーの状況を纏めてみると、いつも通り腐れ電解コンデンサがいくつか噴いていますがその状況は割と軽度。それより物理的に壊れている部分が多い状態です。
 写真の他にもあちこち削れていますし、コネクタ部分の鉄板も良い感じにひしゃげています。ついでにいうと、86C928が載ったサブ基板もボロボロでした。
 意味が無いのは分かっていますが電源を入れて、マザーの動作や状態を確かめてみました。
 以下はその動作状態です。

 ピポりません。CPUボードが抜けたのと同じ様に、ディスプレイの出力は水平・垂直同期(24KHzモード)が出ているだけで、うんともすんとも言いません。
 なので一般の人がこんな状況に直面すると、
「あばばばば! ダメだこれもう絶対ダメな奴だ! もう死んでる死んでる絶対確実にぶっ壊れてる!!」
 ……などと至極当たり前な台詞を吐くでしょうし、我々の業界でも大概の人は諦めます。だってこんなの修理する時間があれば、まだ具合の良いマザーを修理した方が地球環境に遥かに優しいという物です。
 しかしこのマザーの今の持ち主は管理人。これを直さずして、なんでこんなクソみたいなWebページをこさえるというのでしょうか。むしろ燃える! やってやる!!
 やはりつくづく頭がおかしいです。

修理方法を検討してみましょう

 上記の状況を考えてみるに、このマザーは以下の状態である事が分かります。

 結果として、修理しても直らない可能性が良い感じに高いということが予想されます。
 しかしここで諦めたらそこで試合は終了です。無駄な試合なのは分かっていますが、オトコノコたるものやらなきゃいけないときはリスクヘッジなんてすっ飛ばしてやるべきなのです!
 ちなみにこのマザーはステキな位に埃まみれで汚い状態だったので、修理に先立ち全体をくまなく水洗いしました。

故障の原因を考えてみましょう

 取りあえず見ただけでも15本くらいパターンを切られていますが、場所的にCバスに影響が出そうな感じのところなので、まったく起動しない理由はタンタルコンデンサを固定している腐れ両面テープのおかげかと思われます。
 上でも書きましたが、腐れ電解コンデンサよりもこの腐れ両面テープの方がよっぽど質が悪いです。
 例え今動いているAp2といえども、腐れ両面テープは腐れ電解コンデンサの腐汁よりも確実に基板を腐らせていきます。なのでこの部分のメンテナンスは必須と言えましょう。腐れ電解コンデンサだけ交換して安心している読者諸氏におかれましては、今すぐAp2(後に出てきますが初期のAp3も)の腐れ両面テープの具合を確かめてみてください。クリスタルが錆びていたり、近くのバッファ(74F245)の足が錆びていたらかなりヤバい状況です。
 さて、話を修理に戻します。取り急ぎ、削れたパターンと腐れ両面テープのおかげで腐食したパターンとビアの修復を行いました。また足の腐ったバッファも二つほどドナドナ機から引っぺがして移植しました。バッファは実際には壊れていないのかも知れませんが、故障判定が面倒なのでさっさと取り替えてしまった方がメンドウが無くて吉です。

 ここまでの修理で(ちなみにタンタルコンデンサ周りの断線を見つけるのに1日くらい掛かっています)無事ピポる様になりましたが、Cバス(MLバス含む)に刺さったボードをちっとも認識しません。 o... rz
 いい加減この腐れマザーは天井裏にでも投げ込んで、何も無かったことにしようかと思いましたが、気を取り直してCバス100ピン全部と基板上のチップセットなどの導通を確かめてみたり、オシロで波形を見てどこぞの線が切れていないか確かめました。
 すると、Cバスのデータ線で1本信号が来ていない箇所が見つかり、喜び勇んでマザーのパターンを追っかけましたが、残念ながらちゃんと接続されていました。となると、Cバスコントローラのチップがぶっ壊れているのかとウンザリしましたが、その後しつこく弄くっているとCバスライザにだけ信号が来ていないことを発見し、さらにCバスライザ基板を揺すると信号が来たり来なかったりすることが分かりました(ちなみにこの接触不良を見つけるのに1日潰しています)。
 さて、聡明なる読者諸氏におかれましては、以下のCバスライザ用のコネクタを見て何か感じるものがありますか?

 モニタにモノサシでも当てて見れば分かるかも知れませんが、コネクタが上下で割れて下側が逆アーチ状に変形しています。なのでCバスライザを突っ込んでも接触不良が出まくり、結果ボードが認識出来無いのです。
 このマザーは一体どれだけのトラップが仕掛けられているというのでしょう!? パターンを削っただけでは飽き足らず、こんな足の多い(216本もあるの♪)コネクタまでもぶっ壊してくれてやがります!
 ええ、ええ、管理人はやりますよ。やってやりますよ。こんな時ほどウチに気合いの入った電動のハンダ吸い取り機があって良かったと思ったことはありませんでしたよ。

 ここまでの作業でCバスのボードも認識するようになり、いつも通りに増設メモリやA2アクセラレータボードなどを接続してWindows3.1を動かしてみましたが、特に問題無く動く様になりました。
 なお、FM音源はあちこち音が小さくなっていたので目立つところだけコンデンサ交換。万が一実用するときになったら全部のコンデンサを変えることとして、修理は完了です。ちなみにシリアルとかは面倒なので確認していません(砕けたチップ抵抗はちゃんと移植しましたけど)。どうせ使う事も無いのでぶっ壊れたままでも管理人的には全く無問題です。
 ここまでご覧頂いて、聡明なる読者諸氏におかれましては修理なんて手間が掛かるだけで自分でやるメリットなんてほとんど無いことを良〜く分かって頂けたかと思われますので、ご自分の有限かつ貴重な人生の無駄遣いなど決してされませんよう、心よりお祈り申し上げます。

実録 管理人は見た! ジャンクマザー修理の失敗

 さて、上の記事ではいとも簡単に修理している様に見えますが、単に直せたマザーを記事にしているだけであって、現実には直せなかったマザーももちろんあります。
 調子に乗ってジャンクAp2を仕入れて修理に失敗した(というか、修理出来無かった)顛末を笑いながら見てやってください。
 ちなみに、腐れ電解コンデンサが載ったポンコツPCを今更ヲクで狩って、例え今は動いてたとしても、明日には似た様な状況になるかも知れません。
 これからも末永く98を愛でたければ、動いている内に腐れ電解コンデンサや両面テープを何とかして置いた方が良いです。

 さて、早速マザーの様子を見てみましょう。特に良い感じに緑青を吹いている部分を撮影してみました。

 この状態で起動したのが以下の状況です。

 98使いにはおなじみなサイケデリック画面です。そしてまだやる気のあるマザーならSET THE SOFTWARE-DIP SWITCHの後にピポってメモリカウントなぞ始めるものですが、このマザーはこの画面から全く遷移しません。
 その後、見た目で具合の悪そうなビアや断線を「全て」修復してみましたが、結局以下の状況で実用に耐えません。

 取りあえずOSは起動するようになりましたが、リセット直後はテキスト画面のアトリビュートが設定されません。色は出ないし反転も出来ないし(グラフィックは正常)、他にも以下の動作異常があります。

 起動出来るときはWindowsも動きますが、やはりPCとしては常用に至りません。結局このマザーは30時間くらいいじって数十箇所もジャンパを飛ばしましたが、最後まで直せませんでした。
 たぶんまだどこかの断線があるか、どこぞのICがぶっ壊れているのでしょう。単にメモリスイッチ付近のSRAMがぶっ壊れているならずっと表示がおかしいのでしょうけど、やがて正常に動く様になるのを見ていると、きっとリセット時にテキストやその他周辺回路の初期化に失敗しているのだと思われます(ちなみにソフトウェアディップスイッチの画面などは正常に表示する)。

 このように毎度必ず修理出来るわけではありませんので、ジャンクPCに手を出すのはリスクが多い事をよ〜〜〜く覚えていてくださいね。

【追記】その後しつこく原因を漁っていると、バックアップ電池周りで断線があり、SRAMに電源供給出来ていなかった事が分かりました。現状では上記の動作異常は全て解消されています。ちなみにこの1箇所の断線を見つけるのに6日くらい掛かりましたが何か?

おまけその2 86音源でも弄くろう! 〜PC-9801-86の修理の勘所〜

 前章のAp2での音源部の修理は結構ぞんざいな説明でしたので、たまたまヲクで放置プレイされていた86音源を例に、クドクドと修理の勘所など説明していきます。当たり前ですが、実際の修理方法を見いだすのは読者様のお仕事です。あくまで故障原因の特定に参考になるかも知れない情報提供だけですからね。
 さて、86音源はご存じの通り最後期ロット以外は大量に張り付いている腐れ電解コンデンサが基板やオペアンプをしこたま腐らせます。しかし、以下の状況により割と簡単に修理が出来ます。

 基板内層での接続盛り盛りのAp2の修理に比べたら、かな〜りお気楽に修理出来ます。とは言っても、表面実装パーツの交換が必須なので、最近は中学生のときに技術の時間でハンダゴテ握りました!とか言ってるレベルの人には必ず無理なのでさっさと諦めましょう。世の中、自分の出来る事と出来ないことを見極めるのが成功の第一歩です。86音源の修理はハンダゴテ初心者がいきなりやるレベルではありません。

状況の確認

 はやる気持ちをおさえて、まず始めにボードの様子を見てみましょう。
 このボードは「コンデンサを取っ替えても外部出力できまへんでした」とのことなので、オペアンプ周りにも故障が及んでいることが推察されます。まぁ普通の修理なら、いきなり全部腐れ電解コンデンサを取り替えても差し支えないとは思いますが、一応チュートリアルっぽくしたいので存分に回り道をして故障状況を調べていきたいと思います。

基板の目視確認

 オトコノコたるもの、有無を言わさずハンダゴテを突っ込みたくなる物ですが、ここは一旦我慢。また動作確認の為にいきなり愛機に突っ込んで86音源を燃やしたり、ついでに愛機ごと燃やしたりしない様に、基板の状況を目を皿のようにしてチェックしていきましょう。
 管理人が適当に見た感じで、特に酷そうな部分を以下にピックアップしてみました。ご自分なりに障害の考察をされてみるのもオツでしょう。
 画像を突っつくと適当な説明が出ます。

基板の動作確認

PMDの実行画面。86音源を正常に認識している

こいつ、動くぞ!

 さて、どうやら基板が燃え上がる様な状態ではないので、早速より詳しい状況を確認していきましょう。ここで大切なのは、音が出ないにせよどの程度出ないものなのか(例えば繋いだアンプのボリュームを目一杯上げたら微かに音が聞こえる場合、コンデンサを張り替えるだけでほぼ直ってしまうことが分かる)しっかり確認すると共に、PC側が86音源をどう認識するのかもしっかり見極める必要があります。
 さて、いきなりですがこの86音源をPC(PC-9801US)に突っ込んでPMDを常駐させてみた結果は右の通りです。
 極めてつまらないラッキーなことに、PCは86音源を認識しています。これでこの音源は98%の確率で修理出来る事が分かりました。残り2%は、これからの修理でミスってショートさせて音源チップを燃やすリスクを鑑みてのことです。
 ちなみにですが、音は全く出ません。前オーナーが付けたカップリングコンデンサがちゃんと導通してないのは目視で確認済みですが、それ以外にも障害があるかも知れませんので、しっかり確認していきましょう。

FM音源(YM2608)の動作確認

 YM2608の役目は、IOポートから来たデータとマスタークロックを元に、DAC(YM3016)にI2Sっぽいシリアルデータを送ることと、SSG音源を内蔵DACで発音する事です。IOポートに関しては、PMDが音源を認識出来ていることからまともに動いていることが確認出来ていますので、敢えてこれ以上のことはしません。
 まずは、YM2608に正常なマスタークロックが入力されている事を確認します。YM2608の2pinがマスタークロック入力(φM)ですので、そこにオシロを当てて波形を見てみましょう。

 YM2608の隣にあるクリスタルの標記どおり、7.987MHzのクロックが入力されているようです。これでクリスタル周りはまともに動いていることが分かりました。もしここで波形がおかしいようなら、近くに電源のパスコンがあるので、その腐汁をしっかりぬぐって何とかする必要があります。
 次はYM2608がちゃんとデータを出力しているかの確認です。YM2608の1pinではDAC用のマスタークロックφS(約2.6MHz)、29pinおよび30pinで同期信号(L/Rの選択)、31pinでシリアルデータが出ていて、かつそれらがYM3016に入力されているか見てみます。

 今回の86音源では、YM2608からのデータ出力、およびそれら信号のYM3016への入力は正常でした。つまりFM音源部ではデジタル回路部分では全く障害が出ていません。残るはアナログ回路だけです(そしてこっからが長い……)。

オペアンプの動作確認

 86音源のオペアンプは、Cバスから供給された±12Vからボード上の三端子レギュレータで生成した±9Vで動いています。アナログ回路をいじる前に、まずはボード上の全オペアンプにしっかり±9Vが供給されているか確かめてみましょう。もし全てのオペアンプに電源が来ていない場合は、基板裏面に実装されているレギュレータの動作を確認してみて下さい。よく見るとシルクでNJM〜と書いてあるのですぐに分かります。もし壊れているようなら、適当なレギュレータと交換しましょう。平滑用の腐れ電解コンデンサの処置も忘れずに。
 またPCM音源が鳴らない場合は、同様に5Vのレギュレータもチェックです。

FM音源DAC(YM3016)の動作確認

 さて、デジタル部分では全く問題の無かったFM音源部。DACの出力はいかがなもんでしょう?
 そして以下がDACのアナログ出力(CH1)の波形です。

 YM3016のCH1からは、何かしらの波形が出ております。大概の人は「YM3016周りは異常なしか」と思うでしょうが、ある程度音声信号の波形を見慣れた人なら「こりゃアカン」と考えるでしょう。これ、普通の音楽の波形ではありません。ちなみに今回のボードではこれより先の回路であちこち断線しているのでこのステキな音が聞けませんでしたが、この音がそのままスピーカーから出れば相当歪んだひっでー音になっていたのは想像に難くありません。たぶん「ばびばぶぶべぼびびぶあーっっっ!」って感じです。(お願い伝わって)

修理してみましょう

 ざっくりとした86音源全体の状況は分かりましたので、早速修理を始めてみましょう。
 86音源の場合、回路を追っかけるのと同時にオシロで波形を見た方が途中の回路の不具合が分かりやすいので、上流側(DACの周辺)から少しずつ動作確認→修理と進めていくこととします。
 さて、前項の調査でYM3016周りに異常があるのは明白。YM3016と裏に付いているIC7のオペアンプの間で導通チェックです。そして結果から言うと、以下の画像の赤丸部(C30の上)のビアが断線していました。右隣の方がよっぽど腐っているのにこいつらは導通しています。見た目と違うのって、本当に面倒くさいですねぇ。
 なお、ここからの写真は前オーナーが付けたコンデンサは全部外し、水洗いしたあとになります。

 この状態で再び火を入れて波形を見てみましたが、ちゃんと音楽っぽい波形が出る様になりました。あとついでに YM2608から出力されているSSG音源も確かめました。特に問題無く出力されています。

 さてこの後、YM3016から出たFM音源のアナログ信号は、

  1. IC7(オペアンプ)の上側
  2. XRU4066BF(無用のアナログスイッチ)
  3. C11/C10
  4. IC9(オペアンプ)の上側(ここでSSGがミックス)
  5. C14/C15
  6. IC11(アッテネータ)
  7. C18/C19
  8. IC25(オペアンプ)の下側
  9. C33/C34
  10. LINE OUT

……と、途中の抵抗やらは端折りましたが、ざっくり上記の経路で流れていきます。
 この音源ボードでは、C15のパッドの根本が断線していましたので、それを修復。

 続けて信号をおっていくと、LINE OUT直前のカップリングコンデンサ(C33/C34)でパッドが不通。分かりますか? ちなみにそれぞれ+−の両端が切れています。

 ここまで来て、ようやくLINE OUTやヘッドフォン端子からFM音源が出る様になりました。
 またPCM音源は特に調査しませんでしたが、音出しの結果普通に音が出ました。以下はPCM音源のDAC(PCM61P)のアナログ出力波形です。PCM61Pでは特にオペアンプなど使わずにそのまま音声波形が出るので、FM音源に比べて動作確認はやりやすいかと思われます。

 ちなみにPCM音源のざっくり過ぎる信号経路は以下の通り。

  1. IC21(オペアンプ)の上側
  2. IC21(オペアンプ)の下側
  3. C56/C57
  4. IC23(アッテネータ)
  5. C58/C59
  6. IC25(オペアンプ)の下側
  7. C33/C34
  8. LINE OUT

 取りあえずこれで音源ボードとしてはギリギリ使える様になりましたが(録音回路は面倒なので確かめてません。マイクは使えましたけど)、残りの腐れ電解コンデンサが今後もボードを腐らせるでしょうし、実はパッドがあちこち剥げかけていてどうにも不安です。
 また音が出ることは出ますが、左右に音量差はあるし、全体的に音が小さめです。たぶんドライアップ気味の腐れ電解コンデンサの抵抗が高くなっていて、回路中で音声信号が減衰しているようです。
 ということで、修理のついでに(?)コンデンサを張り替えておきました。交換後は左右の音量差も無くなり、全体的に音も大きくなったようです。もちろんFM音源もPCM音源もちゃんと動きます(再生側は)。
 なお、今回はあくまで修理とし、高音質化の改造は一切行っていません(簡単なXRU4066BFのスルー化もしていません)。一旦高音質化を始めるとキリが無いし、それに部品代があと1万円くらい掛かります。今後使うアテも無いのに……

 さて、このページのタイトルは「USで遊ぼう!」なのに、全然USが出てこねーじゃねーかくそったれめそろそろコロすぞゴルァとか色々な皆様に言われそうな気分がしてきましたので、ちゃんとUSと遊んだ写真も載せておきます。
 86音源の修理にはUSが大活躍です。ちっちゃいしひっくり返しても問題無いし万が一燃えても予備があるし(コラ)
 あとCバスの延長基板は必須アイテムです。1枚持ってると超便利です。

 なお、一部変な写真もありますが、華麗にスルーするのが大人の嗜みってヤツです。

おまけその3 また86音源でも弄くろう! 〜PC-9801-86の修理をするにあたり〜

 前章に引き続き、86音源の修理についていくつか思うところなどを載せておきます。
 さて、また使いもしないのにヲクで放置プレイされていた86音源をポチりましたので、これを修理しつつこの手のレトロデバイスの修理について考えていきたいと思います。
 ところでこの記事を作った頃(2018年)の86音源の相場と言えば、幾分ピークを過ぎたとは思いますが、まだまだ高値(オークションで1万円位。即決だと15,000円とか意味不明な値段が付いている)で取引されています。どこぞのオークションでは「海外の投資家の間でも投資対象として高値で取引されています!」なんてアホな説明が出ているくらいですが、本当にこのボードが欲しい人は一部の好事家(管理人含む)くらいなもので、あとは転売厨が押し入れにしこたま溜めて腐れ電解コンデンサの腐汁で基板を発酵熟成させているだけでは?なんて勘ぐったりもしています。どうせ98本体の機械寿命が尽きる頃には、再び100円とかで売られるようになるんでしょうけどね。
 さて、今回入手したボードは「コンデンサを張り替えたけど音が出まへん」というジャンク品であり、無改造のボード(どうせ大概は腐汁でぶっ壊れている)の一般的な落札価格の半値以下で入手することが出来ました。いやっふー!\(^o^)/
 以前にも何度か記事にしておりますが、86音源はこの手のレトロデバイスの修理の中では比較的簡単な方で、丁寧に腐れ電解コンデンサとオペアンプを取っ替え、切れたパターンやビアをきっちり修復すればほぼ生き返る根性のあるデバイスです。だから修理しても動かないというのは手に負えない故障(音源チップが死んでるとか)が出ているのでは無く、ほとんどはきっちり修理し切れていないだけ(=頑張れば大概直る)という事を意味しています。特にこの基板は一番面倒な腐れ電解コンデンサの除去が終わっているので、作業時間を大幅短縮可能な実に素晴らしい逸品です。少々パターンが剥げている程度は簡単に修復出来ますし。

 ところで、先程から管理人は簡単簡単適当に書いていますが、家電の修理というのは正しい知識とそれ相応のスキルが無ければ、絶対やってはいけないことでもあります。特にPCのデバイスは定電圧動作のために、もしどこかがショートしているとがっつり電流が流れてリアルに火を噴きます。以前、実際に燃えた86音源の記事もネットで見かけたことがありますが、ちょっとでも接続を間違うとそういったことが容易に起こりえます。
 もし今後この記事にあるようなジャンク品の修理をしたいのならば、いきなりネットのうさんくさい記事を鵜呑みにしてテキトー修理を行い見事発火の上に自分の家を燃やすのでは無く、地道に電子工作キットでも100個くらい作って、もう表面実装の標準ロジックICくらいならヨユーでハンダ付け出来るぜ、もっとクソ難しいキットを寄こせグルァア!と生意気な口を叩くようになってからやった方が良いです。管理人はそんな感じで基礎訓練を積んで参りました。そしてまだまだヘタクソなハンダ付けしか出来ません。
 ちなみに本記事ではたまたまヲクで手に入れたボードを引き合いに出していますが、前オーナーをディスる目的は一切ありませんのでその辺誤解無きよう。前オーナが頑張っても修理出来無かった無念を晴らすと共に、修理に当たっての気構えを改めて書いていこうと思います。
 もしアナタが記事と似た様な状態のブツを修理する事案に出くわした時の為の、一つのサンプルとして捉えてみてください。

状況の確認

 いつも通りにはやる気持ちをおさえて、まず始めにボードの様子を見てみましょう。
 このボードも前回のと同じく「コンデンサを取っ替えても外部出力できまへんでした」とのことですが、前のと違って全ての腐れ電解コンデンサが取り替えられています。たぶん単なる修理ミスだろうなぁと考えておりましたが、実際どうでしょう? まずは状況確認から参りましょう。

基板の目視確認

 ぱっと見は新しいコンデンサが整然と並んでいるので綺麗に修理されている様ですが、それよりも重要なハンダ付けの箇所を重点的に見ていきます。
 ちなみにこの基板、腐れ電解コンデンサの腐汁が垂れた痕跡がほとんどありません。実に綺麗な基板であります。そもそもなんでコンデンサを取っ替えたのだかよく分かりません。
 ところで写真をよく見れば分かりますが、実はディップスイッチの設定が全て逆になっています。これは入手時そうだったのでわざとその設定にして写真を撮りましたが、案外全然壊れてないのにイタズラでディップスイッチをひっくり返され、それで音が出ないのをコンデンサの所為かと思ってやっちゃったのかも知れませんね。
 画像を突っつくと適当な説明が出ます。

そもそも腐れ電解コンデンサの腐汁とは

 たまにヲクでは86音源のボリュームやマイク端子の裏面にある手ハンダ(リフローでは無く、工員さんがハンダゴテでハンダ付けしたもの)のフラックスを見て「液漏れしています、86音源の液漏れは基板裏面に出る様です」なんてトンチンカンな事が書かれてありますが、表面実装の腐れ電解コンデンサの腐汁は裏面に出てくる前に表面を盛大に腐れせます。裏面だけに出る様な事は絶対ありません。(ちなみに腐汁はビアを通って裏面にも流れていき、そこでハンダや部品を良い感じに腐らせます)
 以下の写真は手ハンダのフラックスと実際の液漏れの例ですが、フラックスは固い透明の樹脂状の物がハンダにこびりついていて、かつハンダ表面がキラキラしているのに比べて、腐汁は全体的にカビが生えたように見た目が本当に汚らしくなります。水分っぽいのが見える事はほぼありません。ちなみにフラックスはハンダ表面を保護する物なので、基板に付いたままでも問題ありません。

基板の動作確認

 一通り状況を確認し、かつ前オーナーはこれで動作確認をしているので、通電してもいきなり燃え出す事は無いと思われます。それに燃えたら燃えたで記事が賑やかになるので(コラ)、取りあえずUSに刺して動作を確認してみました。
 いちいち写真は撮りませんでしたが、PMDは86ボードを認識しています。しかしアプリはハングアップして音が出ません。この時点でちょっとワクワクしてきましたが、ちゃんと調べたらディップスイッチのON/OFFが全部ひっくり返っています。これを直したら、アプリ上では普通に動いている様でした。
 ちなみにアンプに繋いだ結果、案の定全く音は出ません。しかもアンプのプロテクターが落ちました(涙) 相当良い感じにDC漏れがあるようです。
 目視チェックの結果も踏まえ、以下の状況を想像してみました。

  • カップリングコンデンサがあちこちショートしているので、以降のオペアンプの出力がサチって音声信号が伝わっていない
  • そもそもグランドに落ちているので(片方は)鳴らない
  • パターンは綺麗で腐食痕が無いので断線は余り無いだろう
  • コンデンサ付け直したらすぐに動くだろう
  • オペアンプが壊れてたらいいなぁ
  • このままじゃ修理記事が盛り上がらない……(涙)

 という事で、実際に動作の詳細を調べていきましょう。

FM音源DAC(YM3016)の動作確認

 基板も綺麗なので、たぶんデジタル回路は問題無いだろうから、手抜きしていきなりDACの出力を見てみます。

 結論から書くと、案の定つまらない素晴らしい事にDACから正常な音声信号が出ています。これでこの86音源は99%修理できることが分かります。残り1%は何かミスって交換が面倒くさいICを燃やすリスクを鑑みてのことです。ちなみにパターンが綺麗なので前回よりも壊す確率は少ない感じ?

 ついでにPCM音源の出力も見てみました。

 ちなみにキャプチャ画像には余り出ていませんが、USのFDDなどが動くと盛大にノイズが乗ってきます。パスコンがちゃんと働いていないのかも知れません。

修理してみましょう

 前項の確認で、今回はコンデンサを付け直すだけで動く様になるだろうという予測が付きましたので、取りあえず一旦全てのコンデンサを取っ払い、そもそも容量などの選定が正しいかの確認も含めて付け直しを行っていきます。どうにも電源辺りに付いているちっこいコンデンサが気になりますので。

基板の整備

 元々腐食のほとんど無い綺麗な基板ですが、腐れ電解コンデンサを取っ払った際にちゃんと基板を掃除していないのか、コンデンサの破片が基板にたくさんこびりついています。美しいハンダ付けは、そもそも基板が綺麗で無いとダメなので、ハンダ吸い取り線と自動車のブレーキクリーナで酸化したハンダやフラックスなどを一旦綺麗に除去してしまいます。そもそもどこがおかしいかよく分からないデバイスの修理で部品交換をするならば、同時に基板の様子も確かめなければならないので、こういった一手間は必須と言えます。ただ部品を取り替えれば良いといったものではありません。

 一旦基板を綺麗にした後、全てのパッドでパターンとの接続を確かめてみましたが、剥がれた2箇所以外全部導通していました。V166のところで豪改造した86音源ボードに比べて、よっぽど具合が良いですね。
 ということで、さっさとコンデンサを貼り付けていきましょう。

コンデンサの実装

 ところで基板に張り付いていたコンデンサは、

  • DACやアッテネーター周りのカップリングコンデンサ(25V/4.7uF、50V/0.47uF、50V/1uF)はパナソニック汎用105℃品NHGの50V/4.7uFが張り付いていた
  • LINEOUT近くのカップリングコンデンサ(16V/47uF、25V/4.7uF BP)はJWCOの16V/47uFが張り付いていた
  • Cバスの電源ラインや三端子レギュレータの平滑用のパスコン(16V/33uF、25V/33uF)は、TOWAの50V/3.3uFが張り付いていた
  • ショート(コンデンサの+−や隣のパッドなどと)や誤接続、剥がれたパッドの未接続などが多数存在

 ……などの問題があります。
 オーディオ回路のカップリングコンデンサは容量などを変えると音が変わるので、好みの音を追求して元々と全然違う値の物を付けるのはアリかと思いますが、無極性のところに普通のがそのまま付いていたり、電源周りの平滑用で元々の1/10の容量を付けているのはさすがに乱暴であると言えましょう。
 もしオリジナルとぴったりの容量が無かった場合は、電圧も容量も一回り大きな物を付けるのは基本中の基本。(但し電圧は最大で12Vなので、回路によっては25Vのコンデンサを16Vに変えても大丈夫でしょうけど。部品選定の都合で高めの耐圧のものを使っていたりしますしね)
 また当たり前の事ですが、ハンダ付けするのはあくまで部品を電気的に接続させるために行うものであって、基板に物理的に張り付いていればどこのパッドに付けても良いと言ったものではありません。
 つまりここで挙げたような事を知らないレベルの人は、家電の修理をする資格はありません。たまたま電圧が掛かっていないところがショートしていたから火が出なかっただけで、Cバス近くのパスコンがショートしていたら火が出ます。そこまで行かなくても、貴重な98の本体がぶっ壊れるでしょう。
 厳しい事を書きますが、火事を出して人様に取り返しの付かない迷惑を掛ける前に、自分のスキルをよく確かめてから修理をするかしないか決めましょう。スキルが無いなら、ヲクで業者さんが綺麗にコンデンサ交換をした86音源が売られていますので、そういった物を買った方が良いです。少なくとも火事を出すことはありませんので。
 ということで、適当にコンデンサを貼り直した写真を以下に晒します。

 今回の基板では、コンデンサを付け直しただけでFM音源とPCM音源が正常に鳴る様になりました(録音回路はいつも通り面倒くさいから無視)。やはり途中でショートしてたりしたのが音が出ない原因だったようです。
 ところで、今回はこれ以上コンデンサを張り替えたりはしません。折角基板に取り付けられたのに、役割を全く果たせないまま廃棄されるのは、このコンデンサ達が余りにも可哀想すぎますからね。
 なお、緑のコンデンサはさすがに容量が少なすぎるので、手持ちの適当な物と交換しました。Cバス周りは古いOSコンを付けましたが、まぁ余り意味は無いでしょう。
 ちなみに管理人は表面実装のパターンに無理矢理ラジアルリードのコンデンサを取り付けて手抜き修理していますが、偉そうな口を叩くなら表面実装のコンデンサと取り替えるべきでしょう。ヲクでよく見る業者さんの整備品はチップタンタルと交換されていますが、まさにそういうのがプロの犯行ってヤツですね。実際タンタルコンデンサは音響的にもいい音がするらしいですし、部品の入手が何とかなれば嗜んでみたいものです(チップタンタルは普通の部品屋だと程良い量を買えないので、簡単には入手出来ません……。業者ならリール単位で買っても良いのかも知れないけどさ)。

 ちなみに気になる音質は、極めてフツーのナローレンジな86音源の音です。ゲームのBGMとしてはこういう音質の方がいいのかも知れませんね。オペアンプやコンデンサを音響用に張り替えたヤツは、音のエッジが立つので音楽が前面に出すぎてしまう傾向にあります。

おまけその4 Ap3も修理しよう! 〜PC-9821Ap3の修理〜

 入手理由やその経路などは九拾八の記事を見て貰うとして(淀みなくワケの分からん理由です)、気張って入手してしまったからにはしっかり修理するのが人の道と言えましょう。そもそもこのAp3も、ご多分に漏れずAp2同様に修理する事が目的で入手したものですし。
 では、いつも通りに修理のポイントなどを纏めてみましたので、以下適当にご参考下さい。
 そしてクドいようですが、実際の修理は読者様が実物を見ながら考え出してくださいね。ここはあくまで情報提供の場でしかありません。ヲクでド素人がテキトー修理した半壊品を「完全整備、感動品!」とかで掴まされたくないですからね。
 ちなみにAp3は製造時期の都合上、腐れ電解コンデンサの影響が少なめですので、取り替えのきかないチップが壊れていないのならばAp2に比べて修理の難易度は低いかも知れません。また修理する箇所には基板内層での接続は無い様ですので、根性さえあれば断線したパターンも全て追っかけられるでしょう。
 なお、管理人が手に入れたAp3は、前期のジャンパが凄まじく飛び散ったものです。後期のものでは全く当てはまりませんし、たぶん後期のマザーでおかしくなった物は、専用のチップがぶっ壊れている可能性が高いです(基板のパターンなどが簡単に壊れる理由がありませんので)。こうなると修理はほぼ不可能なので、大人しく諦めた方が良いです。

状況の確認

目視確認

 はやる気持ちをおさえて、Ap3の様子をじっくり調べましょう。ヲクで入手したものは、その説明文に「通電確認しますた!」とか書かれてありますが、だいたい電源入れた事なんてどうでもイイから、その結果をしっかり書けといつも思います。
 さて、通電の結果も書けない出品者から手に入れたものは、いつ火を噴くか分かったもんじゃありません。なので自宅で電気を入れる前に、必ず蓋を開けて中身の確認が必須です。

 中を調べて、以下の事が分かります。

  • スピーカーが取れて下に落ちている
  • 全体的にベタベタした埃が積もっている
  • フロントパネルの一部が割れていて、固定が甘い
  • 何か落ちたか本体毎落としたかで、フロントパネルやFDDに強い衝撃が加わった形跡がある
  • FDDは上カバーが歪んでおり、シャッターやボタンが無くなっている
  • 後ろは水を被って錆びている。いわゆる水没機である

通電確認

取りあえずいきなり火を噴くような状態では無かったため、早速電源を入れてみます。さて、これで普通に動いたら全然記事が盛り上がりません。しかしチップが壊れていたら修理なんて出来ませんから、12,000円も出してゴミを買った事になります。人生つくづくドキがムネムネですね!

故障原因の考察

 さてさて盛り上がって参りました! オトコノコのロマン、しましまです。そして普通「SET THE SOFTWARE DIP-SWITCH」と出た場合、数秒後にはメモリカウントを開始するものですが、このAp3は延々この画面を繰り返してピポりません。
 だいたいこのエラー(?)は、メモリスイッチの内容が壊れている場合に出してくる物で、要はSRAMの内容が消えている事を示しています。確かに内蔵のバックアップ電池は腐れ切っているだろうからエラー自体が出るのは良いとしても、ここから画面が進まないのは、結局SRAMの内容を初期化出来ない事を示している様です。
 ここで一旦基板上のSRAMのVCCなどを確認しましたが、電圧はちゃんと来ています。そもそもテキストVRAMにSET THE SOFTWARE DIP-SWITCHのデータを書き込めているので、メモリアクセスが出来ていないという事は無いでしょう。ちなみにキーボードはカナとかCAPSのランプも光らず、起動時に押すボタンの類は全く効きません。となると、どうも周辺I/Oのチェックが通らないから、内部的に再起動を繰り返している様です(等とエラそうに書いていますが、かなり長時間試行錯誤して後知恵で書いてるだけですけど)。

故障原因の追求

 ここで、今一度基板の様子を確かめていきます。

 さて、このGALを基板に貼り付けている両面テープは、Ap2の基板を腐らせるのと全く同等であります。偶然か否か、ちょうど隣にクリスタルがあって、そいつもしっかりサビさせています。また近くの74F244や245などのバッファの足も腐らせています。
 このAp3の基板は水没機ではありますが、ここ以外には(エラい汚いですが)ほとんどおかしい部分はありません。ハンダも艶があってそれなりに綺麗な状態です。
 となると、基板に瑕疵があるのはこの部分だけと考えられますし、むしろここが正常ならばこの基板はどこかのICが壊れているという面倒な事態に陥っています。ぶっちゃけ汎用ロジックを全部取り替えれば動く様になるかも知れませんが、ウンザリするほど実装されているのでそんな面倒な事をするなら5万円出して業者さんがネジ一本まで磨いた整備品を買った方がよっぽどマシという物です。(オシロで波形を見てもどうせ分かんないからチップの故障判定が出来ない)
 ということで、GALと腐れ両面テープを引っぺがした拡大図は以下の通りです。

 左(上)の写真では、クリスタルの下のシルクの4C3の4の部分にあるビアが断線しています。Cの所にあるビアは断線していませんでした。

修理の実際

 前段まででこの断線が故障原因の一つだと考えられたため、さっそくこの部分を適当に接続し、かつそれでもちゃんと動かなかったので足の腐った4B4の74F245と4C5の74F244をジャンク基板から引っぺがして交換したのが以下の図です。

 この修復をした後電源を入れたら、以下の画面が出ました。

 さて、折角Ap3が動き始めたのでFM音源とPCM音源のチェックをしてみましたが、特に問題無く音が鳴ります。基板はそれなりに腐れ電解コンデンサの腐汁で汚れていますが、まだコンデンサは自分の仕事を忘れていないようですね。
 ただし今後も基板を一層腐らせる危険性があるので、取りあえずコンデンサの交換は必須でしょう。ということで、いつも通りにFineGoldに張り替えておきました。

 その後、元々付いていたハイレゾボードやHDDを接続しましたが、おかしなところも無く動作確認は完了しました。折角ライトバックに対応したBIOSやVision864を積んでいるので、シャレでWindows98でも入れてみますかね?
 なお、今回の修理は水没品だったことも合わせてサビ落としと基板の修理でほぼ二日を潰しています。一般的なAp3よりも安価に手に入れることは出来ましたが、全体的なコストパフォーマンスを考えると、やはり初めからちゃんと動く機体を買った方が良いですね。どうせたまたま修理出来ただけでしょうから。
 修理出来ることを前提でジャンク品に手を出すと、色々面倒が多くで結局お金が余計に掛かったりします。

コンデンサ考

 ところでAp3の時代になると、基板には腐れ電解コンデンサは張り付いていません。おかげで張り替えのメンドウが無くて非常に幸せです。しかし、万が一今後この基板でコンデンサの張り替えをするとなると、結構悲惨な作業が待っている感じです。
 Ap3はユーザー諸氏なら既知かと思いますが、全部のコンデンサがスルーホールでハンダ付けしてあります。つまりAp2みたく表面実装では無いので、普通のハンダゴテでは取れません。ちまちま電動のハンダ吸い取り機で取り去る必要があります。つくづくコンデンサの寿命が気になりますね。
 なお、手持ちのAp3(ジャンパゴテゴテの前期の基板)ではニチコンのVRという超絶標準品が張り付いております。後期に至っては105℃品ですが何処のメーカーか分からない中華コンデンサみたいなのになっていますが。今のPCみたく、超低ESRとかの高級品で無いところがミソですかねぇ。ちなみにAp2では、基板もスイッチング電源も何も考えずにニチコンのPWで交換してあります。単に入手性だけで決めているので、懸命なる読者諸氏におかれましては決して真似されぬよう。今のところは特に異常も無く動いていますけど。

おまけその5 水没機・ヤニ漬けAnを磨こう! 〜PC-9821Anのレストア〜

 ここではたまたま手に入ったPC-9821An 2台を見本として、野外の産廃置き場に放置されていたようなサビサビ水没Anと、水没はしていないものの長く喫煙環境で稼働させられ頭痛がするほどのヤニ臭を漂わせるポンコツヤニ漬けAnを磨いて綺麗にする(先に言っておくと、ちっとも綺麗にはなりません!!)一部始終を晒したいと思います。
 最近(2019年くらい)では98の出品も本当にロクなタマが無くなってきたようで、見るからに黄ばんで汚らしい、10年前じゃ10円でも誰も入札しないようなゴミ寸前のAnあたりが3万円前後で取引されています。
 上段までの記事で管理人は何度も「業者の整備品を買った方が安上がりぃ!」と書いておりますが、腐れ電解コンデンサの張り替え修理云々以前に、未整備の機体はそれはもう絶望確定の汚さと錆び具合で、届いた瞬間にこんなゴミに多額を払った自分自身とこんなモンを送りつけて来た産廃業者と終了時間1分前にチマチマ1円ずつ高値入札してきやがったクズ共(コラ)全てに殺気を催すものであります!!(自分以外は甚だイチャモンですけど)
 ここまで言っても今更自分で修理しようだなんて漲っておられる読者諸氏におかれましては、次回自分家に送られて来るであろう、ヲクで数万円はたいて狩ったゴミ98は間違い無くこんな状態なのだと肝に銘じて頂き、それでも本当にそのゴミ98に3万円とか4万円とか入札する価値があるのかを、今一度ご確認頂ければと思います。

状況の確認

 以下の記事では基本は水没Anを中心とし、適時ヤニ漬けAnのご紹介を致します。
 ちなみに先に書いておきますが、ラッキーなことに2台のAnはどちらもマザーの製造が1996年くらいの後期であり、おかげで腐れ電解コンデンサは張り付いていない様であります。このためPCとしては全く問題無く動作します。なので今回ハンダゴテはドライブのLEDを青に変えるのと、一部コネクタを取っ替えるくらいにしか使っていません。
 また以下の写真を見て貰えば分かりますが、今回のAnはアマダにOEM提供されていた物で、PC-9821An/U2をベースに、PC-9801-104 NIC、PC-9821A-E02 ハイレゾボード、PC-9821A-E10 SCSI-HBA、PC-FD511F ファイルスロット用5インチFDD、ハードウェアプロテクト用ボードが組み込まれています。起動するとAMACOMの格好いいロゴとか出てきますよ?

目視確認

 まずは送られてきたゴミAnを見ていきましょう。
 ちなみに以下の写真の水没Anはヲクで「ピポりました!」と書かれていただけで、もう片方のヤニ漬けAnに比べて1万円以上高値が付いていました。はっきり言って、PCの状態としてはこの水没Anの方がよっぽど悪いです。全ての金属パーツはサビだらけで汚らしいことこの上無いし、もちろんFDDはまったく動きません(FDDが動かないのに関しては、ヤニ漬けも同様ですけど)。
 また、この水没AnはDys○nの掃除機と同じ位に爆音を発します。回転する物はCPUファンと電源ファンと内蔵HDDがありますが、うるさい原因は一体どれなのでしょうねぇ……(たぶん全部がうるさい)。
 いくら元気にピポるとはいえ、この辺でいい加減絶望してきます。ちなみに管理人はこの記事を書く良いネタが出来たと大喜びですが。
 一般の人は、こんなゴミジャンクが家に送られてきたらどうするんでしょうかねぇ……。真面目に出品者とトラブルになると思いますけど。

 まずはフロントカバーを開けて、FDDまわりのサビや埃を見て絶望してみます。ここだけを見ても、このPCが果てしなくロクでも無い環境に長年放置されていたことがよく分かります。賢明なる読者諸氏におかれましては、本当にこんなゴミ屑鉄に何万円も入札する価値があるのかを、今一度ご考慮頂けましたら幸いです。
 ちなみにレストア中に、中から生きた毛虫さんが出てきました。つい最近、野外の産廃置き場から掘り返してきたのでしょう。産直もいいとこですね。

 大切なことなので何度も言いますが、上記写真のネジあたりが錆びてるPCは間違い無く屋外に放置されていたものなので、絶対買ってはいけません。
 ちなみに左にあるSCSIコネクタには虫さんのお家が出来上がっています。最悪ですね。
 続けてマザーの様子を見て参りましょう。

 またご参考に、より状況がヘビィなヤニ漬けAnのマザーも晒します。触るのも嫌な感じですね。でも見てくれがちょっと汚めな98の中身なんて、みんなこんなもんです。ヲクの写真でちょっと茶色く見える98を狩ったら、漏れなくこのヤニの混じった埃を自らの肺に溜め込むことになります。そして当分の間ヤニ臭が自分の体にまとわりつきます。

 次に水没Anの電源ユニットを晒してみます。
 ここは空気の流れが激しいところなので、より堅固な汚れがたくさん付いています。この埃もまた掃除中に部屋に舞って、最終的には自分の肺の中に入っていきます。

 ちなみに水没Anの電源はかなり最近(とか言っても1996年くらいですけど)に作られた様で、コンデンサがいつものマルコンでは無く日ケミのものが使われております。USやAp2とかの電源メンテでいつも困ることはといえば、その辺の電源で良く使われているマルコンのコンデンサのスペックがよく分からないことです。
 そしてヤニ漬けAnの電源ではいつも通りのマルコンのコンデンサで埋め尽くされているので、ラッキーなことにコンデンサのスペック比較が出来ます。

■マルコンと日ケミの比較
マルコン日ケミ日ケミ(現在)
DWF-MSMHSMQ
CE-BSKMGKMG
EFMKMGKMG

 ところでセカンドキャッシュの所に付いているパナのデカいコンデンサ(HFQ 10V 1000uF)はディスコンになっていて、代替推奨品はFCだそうです。

通電確認

 従前の通り、このPC共は電源を入れればピポります(何かしら爆音で擦れた音がしますけど)。
 画面やCバス系には全く異常が無く(ハイレゾでAMACOMのシステムが起動してきます)、唯一FDDが全く読み取り出来ません。またFDの挿入を誤検知して、ディスクを入れていないにも関わらず、アクセスランプが点いたり消えたりしています。典型的なマイクロスイッチの接点不良ですね。
 では、ここから磨いていきましょう。
 ちなみにコンデンサは現時点では全く液漏れしていない為、敢えて交換はしていません。FM・PCM音源回路も正常で、問題無く音が出ます。

レストアの実際

基板の掃除

 マザーについては、適当に埃やヤニを掃除機で吸ってティッシュで拭うしかありません。どうにもならないほど汚い場合はひと思いに水洗いもオツな物ではありますが、今回は特に腐れ電解コンデンサの腐汁も無い事から、ひたすらOA機器用ウェットティッシュで磨きました。

 ちなみにヤニ漬けAnのマザーご参考に。

ファンのメンテナンス

 ジェットエンジンみたいな音を奏でるCPUファンですが、ぶっちゃけソケ5やソケ7に填まるCPUファンが手に入るなら、さっさと新品に取り替えてしまった方がメンドウが無くて良いです。(Anの狭い筐体に填まるファンがどれだけあるか謎ですが)
 とは言ったものの、CPUがCoreシリーズに変わったのは一体何年前でしょうか。今更何処を探してもソケ5のCPUファンなんて、ジャンクですらロクに市場にはありません。新品なんて、真面目に探しましたがヲクでも一つもありませんでした。
 となると、目の前にあるこのポンコツをしごき倒して、これからもCPUを冷やして貰わなくてはならないのです。
 なのでCPUファンをバラして中のベアリングに注油し、異音が無くなるまで5時間くらいモーターを回し続けました。結果、ある程度は静かになったものの、それでも耳障りな『み゛ぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜』という音がなかなか消えず、気分が悪いので中のベアリングを取り替えることにしました。ちなみにベアリングの型番は693ZZです。こちらは汎用品なので、Amaz○nやらの通販で簡単に買えます。
 ベアリングの交換は、ファンのシールを引っぺがして、中のEリングを上手く外せれば簡単に出来ます(反対側から棒を突っ込んで突けば、ベアリングはすぐに外れる)。ついでにファンや基板にこびりついている埃や砂(たぶん鉄粉)などを綺麗とっておきましょう。
 ベアリング交換後は、小気味よい『シャーッ』という小さな音に変わり、全く耳障りにならなくなりました。
 ちなみにPODP83のベアリングも693ZZでした。みーみーうるさい人は試しにベアリングを変えてみてはいかがでしょうか。中国製なら安く売ってますし(管理人はミネベアのベアリングにしましたけど)

 

 また電源のファンも同様のメンテを行い、こちらもある程度音は小さくなりましたが、結局静音ファンに取り替えました。電源のファンは普通の8cmファンなので、いくらでも新品が手に入るので楽ですね。Anやらの電源に入れるには、なにやら無駄な線が多く生えていますが(パルスとかPWMとか)。

コネクタの取り替え

 ところで水没Anはシリアルのコネクタが錆びて、めっきが浮いてしまっています。
 実際はこの程度のサビなら電気的な動作には影響ありませんが、見た目が悪くて腹が立つので、ジャンクマザーのシリアルコネクタと交換する事にしました。
 手持ちのPC-9801FAのジャンクマザーからシリアルコネクタを引っぺがして付け替えます。

電源の掃除

 電源やファンも、ひたすら掃除機とOAティッシュと自分の肺で埃を取り去ります。
 本来ならばついでにコンデンサを取っ替えるべきでしょうが、Anの電源はやたらコンデンサが多くて面倒なのと、とくに液漏れなどは見られないため、今回は見送りました。そのうち暇になったら取り替えようと思います。(後に取り替えました)

FDDの修理1

 今回唯一まともに?壊れていたのはFDDです。症状はスピンドルモーターの固着とマイクロスイッチの接触不良でした。
 さて、スピンドルモーターの固着やら基板上の腐れ電解コンデンサの交換は、他に諸先輩方が秀逸な解説ページをたくさん作られているのでそちらをじっくりご覧頂くとして、ここでは汚いドライブの掃除とFDの挿入およびライトプロテクトノッチの検出に使っているマイクロスイッチの修理……というか、渇入れについて説明してまいります。
 とりあえず以下は水没Anに入っていたFDDです。えげつなく汚いですね。見ているだけで喉がいがらっぽくなってきます。
 ちなみにドライブの天面に貼られている型番のシールの汚れは、かなり酷い環境に置かれていた事を示す良いマーカーとなります。出来るだけここのシールが真っ白なモノを選びましょう。綺麗だけど真っ黄色のものに至っては、お部屋をヤニ臭で満たしてくれる高機能なフレグランスの機能も備えています。

 ちなみにFD1138TとFD1148Tは見た目はそっくりな感じですが、中身のパーツは微妙に寸法が違うのでニコイチしてもまともに動きません(FDが入らなかったりする)。修理するときは注意して下さいね。
 ということで、磨き終わったのが以下の写真。全然綺麗になりません。また絶望出来ます。

 さて、さっきから何度も出てくるマイクロスイッチですが、こいつはノーマリーオンというちょっと変わったスイッチでして、普段は(FDDが刺さっていないときは)電気が流れてON、FDが刺さったりライトプロテクトノッチがライトイネーブル側になっている時にOFFになって電気が流れなくなる、という動作をします。
 つまり、接点が腐って電気の流れが悪くなると、FDが入っていないのにも関わらずFDが入っているものと勘違いしてスピンドルモーターやヘッドがガコガコ言い出したり、ライトプロテクトしているのにしれっと書き込みを入れるステキ状態に陥ります。
 ということは、マイクロスイッチの接点が腐っている場合でも、FDの読み書き自体は正常に行えます。FDを刺して読み書きしない場合は、それはマイクロスイッチの状態は関係無いということです。以下を見て貰えば分かりますが、分解掃除は結構大変なので、原因が定かで無いうちからバラしてメンテするのは余りお勧めしません。
(他のFDDでもマイクロスイッチの動作は同じなので、FD1231Tとかも同様の考え方が出来ますよ)
 実際のメンテですが、一部解説ページでは接点復活剤をちょっと入れるとかの説明がありますが、下の写真を見て貰えば分かるとおり、接点の金属が酸化?して電気が流れない状態になっているので、こんなモンに接点復活剤をぶち込んだところで絶対元に戻りません。
 スイッチをバラして、中に針でも突っ込んで端子の表面にある酸化膜だかを削り取るしかないのです。その後、接点復活剤なりをちょっとだけ塗ったくっておくと良いでしょう。管理人の持つFDDでマイクロスイッチの調子が悪い奴は、100%この方法で復活しています。
 まずマイクロスイッチのバラシ方ですが、下の写真のように透明パーツの突起の下にでも精密ドライバを突っ込んで、あとはテコの原理+パワーで透明パーツを抜き取ってください。このとき雑にやると中のバネやらごま粒くらいの大きさの接点がどこかに飛んでいって無くなるので、大胆かつ繊細にやることが肝心です。
 ちなみにマイクロスイッチ内部のバネには向きがあり、写真の置き方では下の方がすぼまった方向になります。

 バラしたら、バネの下にあるごま粒くらいの接点をどかし、中の錆びた接点の表面を精密ドライバやら針やらでガリガリこすって酸化膜?をこそぎ落としてください。ちなみに雑にやり過ぎると接点の表面があばたになってちゃんと導通が出なくなるので、やっぱり大胆かつ繊細にやることが肝心です。
 またごま粒接点の方も、裏面?(銀色の方)の端に作り込まれている接点を番手の細かい紙やすりで軽く磨くか、カッターか何かで汚れを落としてください。その後接点復活剤の類をちょっとだけつけておきます。

 接点磨きが終わったら、元あったようにごま粒接点とバネを戻して、透明パーツを上から押し込みます。
 ちなみにごま粒接点は銀色の方が下側で、バネとふれあう方(上側)が銅色です。方向を間違えるとFDDの動きがおかしくなるので要注意。

FDDの修理2

 さて、ヲクではやたらと人気があるPC-FD511Fですが、これもご多分に漏れず汚れ果てています。適当にバラして中身を掃除しましょう。

 ところで下の写真の通り、剥ぐった上カバーの裏面を見ていると、このPC-FD511Fは虫さんの住処になってるようですね。最悪が過ぎます。
 そして磨き終わった水没AnのPC-FD511Fを晒しておきますが、ちっとも綺麗になった気がしません。常時起動で絶望です。

 さてはて、たまにPC-FD511FはA-MATEの本体よりも高い値段で取引されていますが、そんな高価なブツの中身が虫さんの寝床になっているのとか、日頃の素行の悪さを棚に上げても己の人生の不運を恨むことしか出来ません。なのでヲクでフィーバーする前に、出品物の出身地が産廃置き場でない事をしっかり確認する必要があります。取りあえず外見は一寸の曇りも無くピカピカのモノが最低ラインです。そんなもんでも、中を開けてみたら埃だらけでどうにもならない状態であることは特段珍しくないのですが……。
 あと、たまたま今回のPC-FD511Fは製造年度が比較的新しいので中の基板のコンデンサは噴いていませんでしたが、普通のPC-FD511F(含む中身のFD1158Dとか、その他PCに組み込まれたFD1158xとか)は盛大に腐れ電解コンデンサの腐汁が漏れ出ていて、基板がとんでもないことになっています。なので必ずコンデンサの張り替えが必要ですので、それなりのスキルが無い人は買うのを諦めるか動かすのを諦めてください(3割くらい、コンデンサを変えても動きません。基板のICが壊れているのでしょう)。

SCSIコネクタの交換

 DOS用のSCSI-HBAとしてはソコソコ人気の高いA-E10ですが、いかんせん管理人的にはコネクタがセントロニクス・ハーフピッチとか今更使いづらくて仕方ありません。そもそもセントロハーフのSCSIケーブルとか1本しか持ってないし、物置の奥に仕舞ってあるのでいちいちとってくるのが面倒なのです。
 ということで、問答無用でD-Subハーフピッチのコネクタに交換します。こっちのケーブルはまだたくさんあるので使うのが楽なのです。
 それにコネクタが虫さんのベッドになっていたり、錆びてみっともないことになっていますしね。

ハイレゾボードの掃除

 ぶっちゃけ少々基板が汚れていようとブラケットが錆びていようと、ボードの動作には変わりはありませんが、サビが浮いているのを見るのは甚だ分が悪いので適度に磨きます。
 しかし気張って磨きすぎると、ブラケットのめっきまで完全に剥がしてしまってそれはそれで取り返しが付かないことになるので、コンパウンドで軽く磨く程度に抑えています。またネジはワイヤーブラシでサビを落とす程度です。

NICの掃除

 ぶっちゃけ少々基板が汚れていようと以下略。汚いのは腹立たしいので気張って磨きました。
 水没機はこんなボードまでチマチマ磨かないとどうにもならないくらいに、微に入り細に入り汚れていたり錆びています。

その他の掃除

 そのほか、

 ……など、全てのパーツに対して手を入れています。
 ちなみに割れたプラパーツは諸先輩の作られたWebページにも記述があるとおり、アクリサンデーみたいなアクリル向けの接着剤(ジクロロメタン)が良くくっつきます。但しこの溶剤はあらゆるプラを溶かしてくれるので、使うときは要注意。万が一PCのモニタやキーボードなどにぶっかようものなら、確実にゴミに変化させてくれます。

レストアの完了

 上記で掃除したり修理したパーツを組み上げ、今一度レストアを完了した水没Anを晒してみます。

 一連のレストア作業を見て頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
 今回の作業時間は、1台につきざっくり2日くらい掛かっています。人生がヒマすぎてしょうもないとか、サビ落としが魂の底から楽しすぎて息をするのも辛いという人は別でしょうけど(管理人はひたすら苦痛です)、ここまで手間が掛かることを考えると、費用対効果を真面目に考えてしまう人もたくさんいるかと思います。
 ところで、一般的に今のご時世で知識が無いのに98x1に手を出すのは、DOSの知識やマシンをメンテできる工学的な知見が必要とか言われますが、こういった「手に入れたマシンを壊さず綺麗に磨く」という、非常に泥臭い作業(スキル)も必要になることを改めて記しておきます。
 ちなみに管理人が考える、今更98x1に手を出す素人に一番必要なのは、『98x1に超詳しいお友達』ですかねぇ。
 例えばどこぞのネットの質問ページでは「(2018年で)98のエロゲをやるにはどの本を読めば良いですか?」とか阿呆な質問をしている輩がいますが、そもそもこの平成も終わろうかという時に、98x1の本なんて本屋をいくら探しても出てきやしません。それにインターネットが流行り始めた時期と98x1が隆盛を誇った時期は微妙にズレているので、ネットにだって98x1の素人向けの情報はほとんどありません。しかも質問ページに良く沸いている、PC-9801とPC-98NXの違いも分からん知ったかぶりが嘘ばっかり書いていますので、ネットの情報では現在のPCの情報以上に、正しいソースの取捨選択が必要になります。加えてデバイスドライバの類もなかなか入手出来ないので、ヲクでジャンクを買い漁っても、使い物にならないことも多いです。
 そもそもこんなページを喜んでご覧頂いている賢明なる読者諸氏におかれましては到底素人の域では無いかと存じますが、万が一そうでは無いのなら、こっちの世界に来る前に必要になる物がどれだけ大量にあるのか今一度考えてみてくださいね。単にお金を掛けるとか、本を2〜3冊読めば何とかなるとか、そんな甘いことは絶対ありませんので。確実に3年くらい貴重な青春を無駄にしないと、必要最低限の知識すら身に付きません。そしてそこまでして身につけた知識は、一般では全く必要とされていないのです。
 このご時世で、いまだ98x1をいじってる人は、最近使い始めたのでは無く延々昔からずっといじり続けてきた人達ばっかりです。むしろそういった長期間にわたる知識やノウハウの積み重ねが無いと、98x1は維持出来るような物ではありません(リアルに入手不能な部品が劣化してきていますし)。
 このページにある様なことを全部独りで出来る様になって初めて、98x1をPCとして使う為の勉強が出来ると言った状況です。ちなみに管理人は98x1をPCとして使ってはいません。単に電子工作のネタとしていじっているだけです。

おまけその6 Anよ、お前もか! 〜両面テープで腐ったPC-9821Anの修理〜

 Ap2やAp3を腐らせる例の黒い両面テープ。
 たまたま手に入った超初期型An(94年6月製造)のサウンド関係が死滅しているのでバラしてみたら、パッチ当て基板の周りにしこたま使われておりました。

 そして上の通り、パッチ基板と相対した筐体も良い感じに錆びております。亜鉛めっきした鉄がここまで錆びるのならば、基板だって腐りますなぁ。Anがやたらぶっ壊れるのってこれが原因ではないですかね? まぁ基板にやたら張り付いてるラティスのGALが良い感じに熱い(キャッシュよりGALの方が熱を噴く)のでそいつらが原因っぽいですが。
 ということで、こいつは両面テープの他にもいつもの腐れ電解コンデンサも中身を噴き散らして余計に周りを腐らせているので、いつも通り腐臭に捲かれながら適当に直すとして(ちなみにこのパッチ基板はマイクの回路なので、マイクは絶対に使わない!というのであれば取っ払ったままでも大丈夫でしょう)、他にも腐れ電解コンデンサの腐汁や腐れ両面テープが無いかチェック。

 基板を見回してみると、いつも通りサウンド小基板が全滅(実際に動作を確かめても、スピーカーから小さな音でしかFM音源とか鳴らないし、なぜか分からんけどボリュームが全く効かない)していて、キャッシュの下の方に付いているラジアルのコンデンサも噴いています。Anの場合、サウンド小基板は大丈夫でも、この10V1000uFのコンデンサがよく噴いているので要注意。さっさと交換しておきましょう。

サウンド小基板の研究

 AnやAp3などに使われているサウンド小基板は、腐れ電解コンデンサが腐れやすいにも関わらずパターンに根性が無く、雑にコンデンサを引っぺがすとパターンまで剥げまくって悲劇に陥ります。
 ところでこの辺の修理指南をしている諸先輩方のWeb記事等では、パターンをやっちまったら小基板を引っぺがして裏でジャンパを這わす、などという説明文句がお決まりですが、実際に引っぺがした勇者はいるのでしょうか? ということで、このAnのサウンド小基板も色々状態が怪しいのでついでに引っぺがしてみました。そして人類が月の裏側をなかなか見られないのと同じくこのサウンド小基板の裏っかわもなかなか見る機会が無いので、取りあえず適当に撮った写真を晒しておきます。そしてこの写真を見て思うことは、YM3016の下の方には裏にデカいチップが2つも張り付いているので、この辺の腐れ電解コンデンサでパターンを剥がしたら、とても良い感じにどうにもならない状況に陥る、という事です。まぁ密度のユルいQFPだから剥がすのはそこまで大変ではありませんが、面倒くさいことには間違い無く。

 さて、残念ながら?このサウンド小基板には断線は無く、それなりに綺麗にコンデンサの張り替えが終わりました。というか、もう5回くらいやってるので慣れたもんです(涙)。そしてここで「直しました〜」だけだと何の役にも立たないクソ記事として末代まで誹りを受けても仕方がありません。仕方ないのでこのサウンド小基板のピンアサインを、調べられるだけ調べてみました。何か上手く音が出ない時にご笑覧下さい。
 ちなみに、あくまで実機で適当に調べただけなので、間違ってても怒らないで下さい。ついでに正しい情報を教えて下さい。

■サウンド小基板のピンアサイン(Anの場合)
Pin役割Pin役割
1GND71AGND
2不明(22.579MHz)70AGND
3GND69GND
4不明68FM IC
5PCM マスタークロック(2.8224MHz)67FM SH1(55,466Hz)
6PCM L/Rセレクト(44.1kHz)66FM SH2(55,466Hz)
7不明65GND
8PCM シリアルデータ64FM φS(マスタークロック 2.6MHz)
9GND63FM SD(シリアルデータ)
10不明62MIC Vol(132.3kHzのPWM)
11SP Vol Min:0V Max:5V61GND
12不明60FM COM
13GND59MIC
14GND58MIC
15PCM Vol(264.6kHzのPWM)57マイクスルー 0V:ON 5V:OFF
16FM1 Vol(264.6kHzのPWM)56GND
17GND55GND
18BEEP54GND
19LINE OUT R53LINE IN L
20AVOUT L52GND
21GND51FM SPOFF
22AVOUT R50FM SSG
23PHONE L49GND
24GND48LINE IN R
25LINE OUT L47AVCC OUT(9V)
26スピーカー46GND
27+12V45LINE1 Vol(264.6kHzのPWM)
28スピーカー44FM2 Vol(264.6kHzのPWM)
29PHONE R43LINE2 Vol(264.6kHzのPWM)
30GND42GND
31+12V41AVCC IN(5V)
32GND40AVCC IN(5V)
33GND39AVCC IN(5V)
34AGND38AGND
35AGND37AGND
36NC

※ AVOUT……モニタ端子の音声出力
 FM1/2,LINE1/2……SIC(TAKE52様)の標記参照
 AGND……アナロググラウンド
 FM ???……YM2608Bのピンアサイン参照
 AVCC……アナログ電源
 PWM……振幅は0〜5V

巻末おまけ 修理考 〜98ジャンクにまつわる種々のネタ〜

 平成から令和に移ろうかという時期にもなって98ジャンクと戯れていて、色々と思うところが出てきましたので以下に纏めておきます。
 上にも何度も書いておりますが、確実に使える98x1が欲しければ中古屋さんから買うのが良いし、オークションで漁るにしても、丁寧な修理をしている人から整備品を買うのが良いでしょう。
 とは言っても管理人は自分で修理するのが好きであり、人に勧めておきながら他人様の修理を100%信用出来ないので、そんなへそ曲がりな貴兄におかれましては、ヲクでフィーバーする前にここの駄文でもちらっと見て頂き、より良い機体をお安く手に入れられるよう心よりお祈り申し上げます。

水没品の修理にチャレンジ!

 早速タイトルから飛ばしていますが、本気で止めましょう
 確かに見るからにサビサビでボロボロな98は、A-MATEみたいなレア物でもそれなりに安く買えるでしょう。しかしそんな物を実際に見ると、確実に心を病みます。安かろう悪かろうどころでは無く、安物買いの銭失いになります。(ちなみに例として水没したPC-9821Anのメンテを紹介していますので、そっちもご笑覧ください)
 だいたい錆びた家電なんて近づくもんじゃありません。何台も水没機を復活させて思うことは、本気で人生の無駄だという事くらいです。
 賢明な諸先輩方におかれましてはつくづく常識以前の事なのですが、そもそもAp2辺りの時代のPCはとても環境が整ったクリームルームに入れられていても腐れ電解コンデンサで基板がボロボロになっている「地雷」なのであります。
 こんな故障前提のブツが、水没したおかげで余計にぶっ壊れていて、修理したそばから別の箇所が次々に故障していきます。マジでつまらないクソゲーを無限ループで遊んでいるような物です。まともな人間のやる事ではありません。
 例えばAp2のマザーは腐れ電解コンデンサがやたら多く、例え水没Ap2が送料込みで4〜5,000円で手に入っても、必須の部品代で軽く5,000円を超えます(音響用コンデンサに高級オペアンプだ〜♪とか頭の悪いことをやると、部品代だけで2万円コースです。まぢで)。それだけの部品を買っても、直る保証が無いどころか、例え直ったとしても翌朝には起動しなくなっているかも知れません。
 また水没品はサビだらけで外見がエラく劣化しているので、見ているだけで精神が凹みます。どう磨いても綺麗にならず、コンパウンドで磨こうものなら不用意にテカテカになって悲しい外見を晒すことになります。
 という事で、水没品など掴まされないよう、ヲクで古い98を狩る場合は以下の点を要注意。

外見にちょっとでもサビがある場合はほぼ間違い無く水を被っている
特にモニタやシリアルのコネクタのネジの中が錆びている場合は、確実に水没品である(普通こんなところは錆びない)
外見が汚い物は、ロクな環境で保管されていない
水没品で無くとも中身が激しく汚損している。少なくとも精密機器であるPCを保管するべき場所で無いところに置かれていた。FDドライブとか間違い無く壊れている
筐体に凹みや歪みがある物は、物理的に部品が壊れている
水没以上にやっかい。特に通電したらショートして余計に壊れている場合もある
狙い目は個人所有で自分で出品しているもの
野外の産廃置き場よりも個人宅の方が遙かにマシ。ただし納屋に置かれていた物は錆びだらけなので買わない
業者の修理品を狩る場合は、事前に評判(腕前)を調べておく
変な業者より、個人の修理サービスの方が腕が良い場合も。ちなみに管理人は修理は受け付けていません
説明に「通電した」という文言があれば詐欺と思え
開示すべき情報は「PCとして起動するか」である。それを書かない奴は不動品を売りつけようとしている
一回でも水没品を出品した奴は疑って掛かれ
綺麗に見えても出所(産廃置き場)が同じという場合も。但し水没品を「水没品です」と明記しているなら多少は信用出来る
錆びたPCに「経年劣化で相応のさび・汚れがあります」などは騙しである
自宅や会社にあるPCが錆びる人はどれくらい居るか? 海辺でも無ければ、経年で錆びる98は存在しない

 ここまで言ってもまだ水没PCを安く買って修理しようと漲っておられる愚者勇者様には、以下の言葉を贈ります。

  • Ap2で言えばタンタルコンデンサなど、補修が入らないロットを選ぶ。そのほうが基板の腐食が軽く済む
  • 電源基板は割と水を被らないのでラッキー。泥だらけになったファンは磨いてベアリングを取り替えよう
  • 錆びた筐体は好きな色を塗ってオリジナリティを追求!
  • せめてモニタのコネクタのサビが軽い物を選ぶ。またはドナドナ機から移植する
  • 虫の死骸とかゴロゴロ出てくるので、そういうのが苦手な人は見る前に掃除機を突っ込むべし
  • 物理的にひしゃげてない限り部品自体が壊れていることは余り無いので、部品交換を考える前に切れたパターンの修復に専念する
  • 少々回路がショートしても部品は壊れない。所詮は5Vのロジックで動いている古い機械である。運悪く壊れるのは電源(+5V、±12V)ラインとショートしたときだけ
  • FDDなど泥を被っていても分解して綺麗に掃除すればほぼ確実に生き返る
  • 何台か手に入れて、相互に切れたパターンを追っかける。余ったマザーは大切な予備品
  • エッジコネクタの接触不良がさりげに多いので、端子は接点復活剤でもぶっかけて良く磨いておく
  • 動かないからと、すぐには諦めない
  • しかしある程度で諦める
  • ヲクで5万円くらいの修理品を買った方が、保証も効いて遙かにシアワセになれる
  • 結局業者の綺麗な修理品を買った方が安いので、修理後の錆びたマシンを見て後悔する

ならば他人が修理したPCはどうなのか

 先にも書きましたが、自分でこのページにある様なドM修理をしたくなければ、金に物を言わして業者が修理したPCを買った方が遙かにマシです(ある程度保証も付くでしょうし)。但しその業者を選定するためには、価格の安さではなく腕前をきっちり下調べしておいた方が良いです。
 当たり前ですが業者はアナタの為に存在しているのでは無く、営利団体です。利益を上げるためには、無駄な事は一切しません。つまり、一般的な業者での修理というのは、その時点で機能劣化していない部品は一切交換しないという事です。
 とくにA-MATEあたりは必ず基板を腐らせる腐れ電解コンデンサがしこたま張り付いているわけで、現状汁を噴いているようには見えなくとも、いずれ間違い無く汁を噴くか、そろそろ寿命を迎えて、いずれにしても近い将来にコンデンサの役目を果たさなくなります(そして基板を道連れにしてぶっ壊れる)。
 となると、単に「修理しますた!」ではなく、「全てのコンデンサを取っ替えました!」とはっきり書いている業者が、我々の希望を満たしていると考えられます。
 また、一度自分で張り替えをやれば十分分かると思いますが、凄まじく面倒くさいし部品代のお金は結構掛かるし設備も要るし、それなりにスキルがないと出来ないので、例えば2018年ごろではヲクで幾人かの人が5〜6万円で全部のコンデンサを取っ替えたA-MATEを出品していますが、ぶっちゃけアレ、十分安いです(管理人は回し者ではありませんよ?)。修理した基板の写真も晒してありますが、もともと超絶具合の良い基板(管理人はあんな綺麗な基板に当たったことはありません;涙)に腕の良いハンダ付けがしてあるので、そうそう壊れるものでは無いかと思われます。
 逆に、修理後の基板の画像がない業者は疑った方が良いでしょう。必要最低限のコンデンサしか交換しないでしょうし、それに管理人のような素人をバイトとして雇って、適当修理しているかもしれません。なんせ普通の業者は工場の生産設備向けのコントローラとして修理しているので、音源などはノイズまみれでもビープ音さえ鳴ればその程度で十分と考えているかもしれません。
 次に、ネット上で活躍されている個人の修理サービスですが、こちらも色々と情報を調べるか(そのサービスを受けた人の感想とか)、本人に根掘り葉掘り聞くのが良いでしょう。半分趣味でやっているからこそこだわりある修理を請け負ってくれるかも知れませんし、修理した基板の写真などメールで送って貰い、じっくり確認するのも良いかも知れません。
 修理後の基板について、特に根拠はありませんが、管理人なら以下の点に注目します。

部品は整然と並んでいるか?
部品を雑に並べるヤツはだいたいに於いて他の作業も雑。もしくは部品を綺麗に並べるだけのゆとりも無いほどスキルも無い。
ハンダの形は綺麗で艶があるか
ハンダの形が汚いのはハンダ付けの腕が悪いのでそもそも一切信用出来ない。
フラックスの焦げが無いか
フラックスが焦げるのはハンダゴテの温度管理も出来ないのか、ヘタクソで時間が掛かりすぎているのか、それともハンダ付けの基礎が分かっていないので一切信用出来ない。
部品選定は正しいか
例えば音源回路に普通の積セラ貼り付けて「高音質!」とか言うヤツはダメすぎる。人様向けに修理するのに、出所の怪しい中華コンデンサをしこたま使うのも人として信用出来ない。
部品は適切に実装されているか
たまにヲクで限界まで足を伸ばして電解コンデンサを貼り付けている非常識な輩がいるが、電解コンデンサはできる限り足を短くしないとインピーダンスが高くなるので論外。だいたい振動で倒れてショートしたら危険すぎる。
汚れた基板をドコまで掃除しているか
汚いまま修理していると、パターンの異常が分かりづらい。つまりそれだけ雑な修理しかしていないということ。
ここの管理人のようにエラそうな能書きばかり垂れていないか
だいたいに於いてスキルが無いから口が先に出る。本気で修理技術に自信がある人は、とやかく言わずに光り輝くハンダを盛った、綺麗な修理写真を見せてくれる。
マザーやドライブごと交換して「修理」と言っていないか
たまたまその時動いているだけの半壊品のパーツをあてがわれているかも知れない。部品交換出来る業者じゃないと、どうせすぐに壊れる。

果たして修理するならどのA-MATEがいいのか

 管理人はこの記事以外にも、Afを除く全てのA-MATEを修理しております。
 そこで基板を見て、いくつかは実際にコンデンサを張り替え、修理のし易さや故障の傾向などを以下に纏めてみます。
 DOSでそれなりに動けば良いといった割り切りがあるならCPU性能やメモリの量にこだわりも必要有りませんので、ぶっちゃけどの機種を使っても大した性能差はありません。一番しょっぱいAeだってDOSで使えば十分高速なPCとして運用出来ます。
 ちなみに三世代あるApとかの性能差・機能差を適当に纏めました(DOSに関係あって差異のある部分だけ。Windows向け機能は割愛)。詳しい情報は他の秀逸なサイトをご確認ください。

■Apシリーズの差異
種類CPU周りメモリ周り画面周り内蔵ストレージ周りI/F周り
Ap/As/Ae486SX-25〜DX2-66
2ndCache搭載不可
14.6MBまで
61SIMM
パックドピクセル○
プレーンアクセス○
HDDのみ、540MBまで
5インチファイルスロット
1MB FDD
14pinパラレル
Ap2/As2486SX-33〜DX2-66
2ndCache搭載可
125.6MBまで
JEDEC仕様SIMM
パックドピクセル○
プレーンアクセス○
HDDのみ、540MBまで
5インチファイルスロット
36pinパラレル
Ap3/As3486DX2-66WB〜DX4-100
2ndCache搭載可
128MBまで
JEDEC仕様SIMM
パックドピクセル○
プレーンアクセス×
HDD/CD-ROM、4.3GBまで
5インチファイルベイ/スロット
36pinパラレル

 以下、管理人のねじくれた偏見で修理に関わる所見を纏めてみます。

■各A-MATEの故障と修理具合
種類修理のし易さ復活具合
Ap/As/Ae表面実装の腐れ電解コンデンサの交換だけならば数が少なく簡単に交換が出来るが、万が一音源部のコンデンサが劣化しているとスルーホール型であるために交換が悲劇的に難しい。かつ音源部の半分が2階建て基板になっており、入手性の良くない背が低いコンデンサを使うか、並べ方を立体パズルの如きトリッキーな方法で実装しないと普通の音響用コンデンサーなど利用出来ない。ちなみにパターンの損傷はAp2とかに比べたら余り無い感じなので、気合いと根性で何とか修理は出来る。ICが壊れていなければ、大概直る。しかしスルーホールのコンデンサを綺麗に抜けない人は「無理」。
Ap2/As2腐れ電解コンデンサの交換だけならば、ほとんど表面実装なので一番簡単(数は多いので死ねるけど)。しかしパターンの劣化や腐食が多いと全く修理出来無い。見た目がそんなに悪くないビアでも稀に内層で断線していることがあり、完動のマザーと取っ替え引っ替え導通チェックをやっても埒があかない事も多い。異常が音源部分だけならばいいけど、ロジックに異常が出ているマザーを生き返らせるのは本気でキツい。人間のやる事じゃ無い……。パターンの劣化が軽度ならば楽勝。逆なら地獄。というか無理ゲー。ピポら無いのは修理出来無いと思っておいた方が良い。
Ap3/As3腐れ電解コンデンサが無いので、故障しづらいと思われ。しかし音源部はコンデンサが噴きやすくしかもパターンが剥げやすいため、かなり修理に手こずる。万が一ビアまで剥げた場合は音源部の小基板を抜き取ってジャンパを飛ばさなければならない(裏面にもICがしこたま実装されているので、パターンが全部表面にあるわけでは無いのがミソ)。ちなみに万が一コンデンサを張り替える場合は、全部スルーホールになっているので悲劇過ぎる。ICさえ死んでなければ修理は楽な方。逆に見た目でパターンの腐食とか無くて起動してこないのは、たぶんICが死んでるので直せない。コンデンサの張り替えはかなり難しい。
An音源部はAp3と同様。また腐れ電解コンデンサは数も少なく表面実装タイプなので交換はまだ楽な方。セカンドキャッシュの所にいるパナのデカいコンデンサが噴いている場合もあるが、足が長いのでいちいちスルーホールから抜かなくても良いので交換はたやすい。ICさえ壊れていなければ、腐れ電解コンデンサをちまちま変えれば動く。しかし腐れ電解コンデンサをはぎ取ってもPCが不安定になる程度なので、そもそも起動してこない場合は修理出来無い場合が多いと思われる。
おまけ FAマザーの腐れ電解コンデンサは表面実装で数も少ないので簡単に取り替え出来る。しかし電源のコンデンサが激しく噴いているものが多く、場合によっては半導体も壊れていて修理出来ないかも(リニアレギュレータみたいに汎用部品なら交換出来るけど)。マザーは部品数が少ないので修理は楽。電源は劣化が激しいと修理が難しい場合もあり。

ヲクでフィーバーする前にほくそ笑むTIPS

 管理人が暇つぶしにヲクを眺めていて(仕事しろ)、色々思った事など書きだしておきます。より良い物をポチるためにご参考くださいね。

画面が出力されません
A-MATEならハイレゾボード、PCI機ならVGAボードが刺さっている場合、無知な出品者ならモニタを見当違いのコネクタに刺している可能性が高いです。特にハイレゾボードは普通のAT機用のVGAコネクタ(3列のD-sub15pin)にモニタを繋げても絶対映像が出ませんからね。また、24kHzが映らないモニタを使っている場合でも同様です。98の場合、ピポれば大概何とかなります。Ap2は何とも言えない場合が多いですけど。逆に、98に詳しい出品者で画面出力が無いと言っている場合は、大変良い感じにぶっ壊れている可能性が高いです。
PC98専用FD(第2ドライブ専用)
専用どころか、AT機用の改造品です。間違い無く。第1固定でも同じですが、ドライブセレクトが無いAT機用を改造して使っている決定的な証拠です。
もちろん納得して買うのをいちいち止めたりしませんが、汎用性はたぶん劣ります。上手く動かないときに、FDDを疑うのかPC本体を疑うのか、確認する面倒が増えるだけですね。それに、素人の改造品を”専用”だのと表現するところには、騙しの要素が含まれていると考えていて差し支えないでしょう。値段も大して変わらないので、どうせなら正式な9801用のドライブを買いましょう。
PC98用のデバイス
メーカーなりサードパーティー企業が98で動作確認(動作保証)している物なら「98用」と名乗っても良いでしょうが、素人が動かしたらたまたま動いたというのは「98(の特定機種で)動作確認済み」であって、アナタの98で動く保証は一切ありません。もちろんそういうのに特定の価値を見いだす向きはそのままのベクトルで突き進んで頂きたいのですが(管理人も嫌いではありません)、実用用途や自分のスキルが足りないと思う場合は近づくものではありません。
だいたいIBMのFRUが書いてあるシールが貼り付けてあって98用とか、つくづく意味が分かりませんよね。
バックアップ電池
98のRTCやメモリスイッチ保持用の電池は、その辺に売っているCR2032とかではなく充電できる二次電池やら変な形をした電池ばかりで、つくづくメーカーのへそ曲がりっぷりが分かる良い例となっています(落ち着け)。
ところでヲクではそういった電池が良いお値段で売っていますが、Fシリーズ以降で使われている電池は2019年現在、メーカーが新品で安く売っています。USとかに入っている妙に細長い電池も現役です。つまり、風水や宗教的な事由でヲクの決済システムを使わなければならないとかならばともかく、普通に通販出来るならまともな販社から買った方が新鮮かつかなり安く電池を手に入れる事が出来ます。ヲクが何でも安いと思ったら大きな大間違い。程度の悪い中古品を高く売りつけられている可能性が高いので、必ず他でマトモに売っていないか確認してくださいね。
ところで管理人がやたらとCR2032に交換しているのは、単にCR2032を捨てるほど持っているからです。他意はありません。
交換用の電子部品
出品者が念入りに98で使えるかチェック・調整してくれているのならば貴重な物でしょうが、その辺に売っている様な部品は送料を加味しても専門の業者(マルツやDigiKeyやRSなど)から仕入れた方が遙かに安価・しかも品質が良いです。
例えば電解コンデンサなどは、いくら98なんて電源含めて大した性能のものは要らない(電源でもない限り85℃品で十分)とはいえ、メーカーもしっかり分からない様な中華コンデンサを修理用パーツとして使うのは全くお勧め出来ません(別にいまさら中華品が性能悪いとか言いませんが、極端に寿命が短いものが紛れ込んでいるのは経験談としていくらでもあります)。
ちなみにA-MATEあたりは1.5uFとか微妙にマニアックな容量のコンデンサを大量に使っていますが、諸先輩方の報告から2.2uFなどひとかた大きいもので全く問題無いことは承知の通り。
胡散臭い転売厨にくだらない物を売りつけられないように、よくよく下調べしてみてください。
32MBのSIMM
32Mと読めるシールが貼ってあるから「32MBのSIMMです!」と元気よく出品されている場合がちらほらありますが、元々16MBのSIMMが2枚組で32MB製品です!といった感じの型番のシールが貼られている場合が多く、片面の写真だけではそのSIMMが16MBなのか32MBなのか確認には至りません(特にメルコのメモリ)。なので必ずシールの型番を検索して、そのメモリが何枚組で売っていたのかを良く確認してください。ちなみにA-MATEで使うパリ付きFPメモリでは、32MB品は必ず両面にメモリチップが実装されています。型番がよく分からないメモリの場合、裏面の写真が無い場合は16MBのSIMMを掴まされる可能性があります。また32MBが2枚組で売られていた場合、型番シールは64Mと書いている場合も多いです。
SCSI接続の外付けFDD
あくまでフロッピーであってハードディスクではありません。コネクタが50pinだと何でもSCSIと思っている人もいますが、普通の98で使えるFDDは専用の1MB FDD I/FであってSCSIで無いのは常識以前の話ですね。ちなみに、SCSI接続のFDDというのは、世の中を探せばちゃんとあるにはあります。しかしそれを98で使っても何も良いことが無いし、たぶんBIOSが対応していないのでリムーバブルとしても認識しないかと……(ブートなど何があっても出来ないでしょう)。だからレア物だ!とかいって普通のFDDをSCSIと思って買わない様にご注意を。もちろん普通の外付けFDDもそれだけで十分レア物になってきていますが……。