第5話
狂暴化した実装石「実装デビル」も上がれぬ上空にその実装石は居た。
千里眼と地獄耳、どこへでも飛べる美しい翼を持っていた。
がしかし、
世界の惨状には一切の興味を持たなかった…
昼夜を問わず瞬く閃光はデビルが自爆した光。
朝霧に代わり地上を曇らすガスはデビルが吐く毒息。
今日も地上から祈りの声が大合唱となって実装の耳に響く。
『人間って馬鹿だなぁ、神なんてこの空のドコにも居やしないじゃないか』
一方、
地上では避難民の一団がデビルに襲われていた。
次々に殺されて行く中人々はそれぞれの神に祈り、
殺されていった。
祈る神を知らぬ少女は母の形見の手鏡を天空へとかかげた。
その光は何故か空にいた実装を呼び寄せる。
血飛沫を上げ倒れる少女、
舞い降りる天使を見た。
抱きかかえるはその実装。
「あなたは誰?神さま?」
『ボクは…ちがー』
「私はあなたに祈るわ」
『?なにを』
「私もママの所へ」
『…おい…キミ…まいったな…ボクが神だって??
でもボクは神さま失格だよ。ボクはキミを助ける…』
彼の名前は「実装空(スカイ)」
自由の翼を捨てた天使。
補足
・強盗団
デビルに抵抗するわけでも無く武装し
中〜小規模の避難所を襲っては
物資を略奪、殺人などをする集団。
馬に乗って移動している。
デビル=悪
人間=被害者
では無い事を説明するため用意した話である。
「真の悪とは人間の中に存在している」
と言った所だろうか。
人間を救済したいのに当の人間に裏切られる、
そんな実装涙のやり切れ無さ、心の揺らぎが描写されていて
3話のヒロイックな描写と比べられるシーンだ。
この話で実装涙のデザインや性格も決定している。
・避難所
デビル達の襲撃から逃れるために各地に点在している。
実装涙はいくつかの避難所を自主的にパトロールしていた。
多くの避難所では実装石である彼を快く思わなかったが
襲撃された避難所のように
家族のように受け入れてくれた所もあったのだ。
・超感覚
進化した実装石達には何らかの特殊能力が備わっている。
(後の話で「実装魂」と表現している)
涙の能力、超感覚は
視力や聴力などの五感と
運動神経などを限界まで引き上げる事ができる。
しかし副作用もあり(23話にて描写)
超感覚を使用した後
五感のいずれかが一定時間機能停止してしまうのだ。