第8話
「時空石」の存在を知った実装飯は
スラムを離れ砂漠地帯を横断していた。
『フヒィ〜あの岩影で休むデス』
中には普通の実装石が3匹、
震えながら実装飯をみつめていた。
人間の迫害から逃れて来たのか、体中を傷だらけにして。
『テメーら怯える事ないデス。しかし、随分と痩せてるデスね」
実装飯は焼き飯を作ってやり、そして彼らと友達になった。
『ボチボチ行くデス。オメーらもココ出て行かなきゃ死ぬデスよ』
「デス!デス!デス〜!」
彼らは外に出ようとする実装飯を引き止めた。
『外は危険?ヤメロ?ダメデス行くデス。
引っ張るなデス!苦しいデス!』
実装飯は焼き飯を作り、彼らが食べているスキに岩影を出た。
しばらく歩き、振り返ると岩影の中、
実装石達の眼が午後の照り返しを受け、キラキラと輝いていた。
『オメーら聴くデス!ココに焼き飯の作り置きしたデス!
コレ喰ったらモ少しマシなトコ行くデス!』
しかし、実装石達は相変わらずで、
その光る様はまるで宝石箱の様だった。
実装飯は砂漠地帯を渡る間に少しずつ焼き飯を置いて歩いた。
彼らが勇気を出して外の世界に出る事を願って。
『チィッ! オレの飯がなくなっちまったデス』
補足
・普通の実装石
現時点の世界で「普通」の
実装石には居場所が無い。
この兄弟達は人間の迫害から逃れ、デビルに追われ
遂には行き場を失い穴蔵に閉じこもってしまったのだ。
砂漠のど真ん中、どう生き長らえていたのか?というと
彼らは穴蔵の奥からシミ出るわき水と
そこに生えるコケとかを食料にしていた。
といった感じ。