第20

未来石は実装涙の指事に従い
高層ビルから時空石を狙撃すべく準備をしていた。

「狙撃はプログラムに一任するとして…
 このプログラム、
 隕石破壊ゲームのおまけゲームっていう噂、
 本当ですか?」

未来石の世界では戦争は存在せず、
戦闘プログラムのほとんどは
民間のゲームソフトから拝借していた。

「あーっ…これやった事あるです…
 ハイスコア狙えるです…」

緊張が解けた未来石は下界を覗いてみた。
デビルが追って来る様子は無い。
奴らに限らず
実装石達は目視以外での個体識別を
耳の後ろから出る
分泌液を嗅ぎ分ける事で識別する。

しかし、
完全密閉された未来石の強化服は
発見され難い事が解っていた。
(このため時空石が未来石の存在に 気付いていない可能性もあり、
 だからこそ涙は彼女に狙撃を任せたのだ)

建物の影で動く集団が見えた。
人間の軍隊、
恐らく地上で唯一の軍隊だろう。
装備、車両、人種もバラバラの一団
が実装城の基礎に爆薬をしかけていた。

「人間は諦める事を知らないです…
 あんなの無駄と知っていても犠牲を覚悟で…」

人間の愚かさ、それが彼らの強さなのだ。

ようやくビルの頂上に到着した。
かつては世界一とうたわれたビルも
実装城の前では丸太に爪楊枝。

「準備はプログラムがやってくれるです…  
 射撃ボタンは自分で押さなくちゃいけないですか…
 変な所がアナログですぅ」

強化服はミシミシと音を起てながら狙撃ポーズを取った。

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補足
・高層ビル
ほとんどビルは実装城の基礎土台と
なっているため高層ビルは残っていない。
だがこのビルはあまりに巨大すぎて残されていた。

・隕石破壊ゲームのおまけ
宇宙生まれの未来石が遊んでいたゲーム。
おまけと言っても十分実用に耐える内容で
オプション設定を変える事で地球を模した重力下での
狙撃が楽しめる仕様があった。

・個体識別  未来石の存在に気付いていない
生物なら当然持っている体臭の様なモノか。
実装石は鼻が良いのだろう。

・人間の軍隊
デビルによってほとんどの文明兵器は
ネジも残らぬ程破壊されている。
彼らは
実装涙達の活躍の裏で密かに編成された
「最後の軍隊」である。
タイミング良く都市に侵入し実装城まで無傷で辿り着いていた。

・丸太に爪楊枝
造語。
実装城とビルの大きさの例え。

・変な所がアナログ
未来石は訓練を受けた軍人ではない。
敵とはいえ同族を的にする事に抵抗があるのだろう。

・狙撃ポーズ
設定資料に説明はまかすが
銃の射撃に色々撃ち方があるように
強化服も狙撃用の姿勢を取るのだ。