第21

操作石 『お待ちしておりました。どうぞ』

その実装石は実装涙を招き入れた。

『時空石が居る大展望台までは
 お時間がかかります…』

彼女が動力にギアを入れると
2人を乗せた箱はユックリと上昇を始めた。

中はいたって普通で警戒すべきモノは無かった。
長い沈黙。

「私が何者か知っていて連れて行くのか」

『…時空石からそうせよ。と言われていますから』

「誰も私を警戒しない。何故恐れない?
 みんな狂信ー」

『勘違いされていますね。
 彼は我々に強制も束縛もしません。
 ただ道を示しただけ、
 みんな新たな可能性を追求しているに過ぎません』

「しかし、多くの人間が殺された。
 それでも平気なのか?」

『我々は人間に依存するあまり
 自身の進化を疎かにしたのです。
 御覧になったでしょう、数々の成果を。』

「自分達さえ良ければソレでいいのか」

『人間達にも同じ事が言えますね。
 ただ我々の進化に彼らを養う余地が無いだけです』

「私は時空石を倒す。その時キミ達はどうするんだ」

『想定されている事項です。
 実装城の技術を公開し、人類の然るべき代表機関に
 この地での自治を要求し、
  実装国を興します』

「実装国…そんな事ー」

『到着しました。
 議論よりまず時空石の言葉に触れて下さい。
 あなたは良いパートナーになれます』

実装涙は彼女を見送った。
ココには暴力も狂信者も居ない、
まるでホームだ。
涙は永い空中回廊を全速で駆け抜いた。

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補足
・操作石
「そうさせき」と読む

・想定されている事項
予定通り の意味。
常に最善の策を模索しているようだ。

・人類の然るべき代表機関
いわゆる国連、もしくは国家の事。
劇中ではどちらもすでに存在していない。
操作石は「我々はならず者の集団では無い」
という事を言いたかったのだろう。

・まるでホームだ
家族が居る場所の意味か。
呆れる程意外な展開から出た言葉であろう。

・大展望台 空中回廊
空中に浮かんでいるわけでは無い。
まるで空中にいる様な「錯覚」を興す構造である事。