第26

時空石が視線を向けた先にその実装石は居た。

『!?…何者だ貴様。
 その顔の傷は涙だが、違うな』

「名は無い、ただの実装石さ」

『…ふん、それでは呼び難かろう。
 ゼロ、貴様の名前は実装零だ。
 クズの寄せ集めにはそれで十分だ』

「ゼロ、それも良いだろう。
 ココからは私から始まり、私で終わる」

実装零は両腕の刃と
柔軟な体さばきで時空石を翻弄した。

『素晴らしい!
 貴様の様な馬鹿げた実装は初めてだ。
 愉快だ!さぁその実装魂を見せてみろ!』

時空石は感動していた。
平行世界を制した彼にとって
すべての事象は予定されたモノでしかなかった。
しかし、実装零は違った。
どの世界にも存在しなかった可能性が
ここに居るのだ。
時空石は確信した。
この世界こそが実装世界をなし得る宇宙なのだと。

今また、実装零の刃が
予想外の軌道を描き時空石の兜を砕いた。

『少々浮かれ過ぎたか。
 実装零、教えてやろう。
 貴様が何百とかかって来ようが
 私の足下にも及ばん事を』

27話へ

補足
・平行世界を制した彼  実装世界をなし得る宇宙
先にも書いているが時空石は
他の平行世界を消滅させている。
すべての可能性を唯一残したこの世界に注いでいるのだ。
それ故に「実装零」といっ予想外の存在が生まれたと言える。