第27話
静かな展望台で混じり合う拳、
吹き出す血潮。
お互いの実力は五分、
しかし、
戦いの勘で勝る時空石が一方的に押し始めていた。
『世界の運命を決めるというのに
素手で殴り合いとは滑稽だとは思わんか?実装零』
「あぁ、滑稽さ。不器用な生き様だよ。お互いにな!」
零は隙を突かれ時空石の両手に捕われてしまった。
『貴様の類い稀な実装魂、吸収し分析してくれるわ』
太い指が両脇腹に食い込む。
『そうか、この私と互角に戦えた秘密はこれか
…馬鹿な事を…良かろう、
この私の一部となれ実装零!』
実装零の実装魂が時空石に流れて行く時、
零と時空石の意識が共有されてゆく。
時空石の勝利、
哀れみ、
喜びという感情がわずかに零に感じられた。
その時、
実装城が爆音と共に大きく揺れ、
城は下部からバランスを失い崩れ始めた。
『これは一体どうした事か、
馬鹿な!あり得ん!』
零は動揺、
混乱という意識を感じた。
城内を流れる煙と埃が一瞬切れた刹那
[もらったぁアー!!]
未来石の強化服が
デタラメな軌道を描き突っ込んで来た。
意表を突かれた時空石は
胸をライフルの銃口で抉られた。
[これでも喰らえですー!!]
完全実装弾が時空石の胸部を破壊した。
零の意識『絶対勝機』に
時空石が気付いた時には
零の拳は
時空石の心臓を照準に捕らえていた。
補足
・戦いの勘
当然といえば当然か。
・素手で殴り合い
アクション系の
映画やドラマ、マンガも何故か最後は
手持ちの武器を捨てて殴り合いだ。
最後は拳で勝負がつけるのが定石らしい。
・吸収し分析 意識が共有
最近はやりのネットワークの共有である。
危険である。
・馬鹿な!あり得ん! 混乱という意識
時空石は人間が実装城に爆薬を仕掛けたのを
知って居たようである。
当然それが爆竹以下の効果しかないと知っていたはずで
その存在を無視していたからこそ驚いたのである。
・完全実装弾
突然出て来た武器だが設定では
未来で作られた
「唯一実装石に効果(殺害)の有る弾丸」
である。
製造に時間がかかり1発しか無いのだ。
・絶対勝機
なぜか4文字、マンガ「覚悟のススメ」の影響が。