さまざまな表現
日本語の話しことばと書きことばは、表現が大きく違います。また、話しことばにも、ていねいな表現・ふつうの表現・くだけた表現の違いがあります。ていねいな表現の中では、敬語が重要です。
- 日本語
- 書きことば
- 話しことば
- ていねいな表現
- ていねいな文末(「〜です。」「〜ます。」)を使う
- 敬語を使う
- その他の方法
- ふつうの表現
- くだけた表現
表現の使い分け
話しことばの「ていねいな表現」・「ふつうの表現」・「くだけた表現」は、話す相手によって使い分けられる。たとえば、目上の人と話すときは、ていねいな表現を使い、親しい友だちと話すときには、くだけた表現を使う。また、相手が親しくない人の場合は、ていねいな表現を使ったほうが良い。
表現の使い分け
話す相手 | 親しい人 | 親しくない人 |
上位者 | ていねいな表現 ふつうの表現 | ていねいな表現 |
同位者 | ふつうの表現 くだけた表現 | ていねいな表現 ふつうの表現 |
下位者 | くだけた表現 | (ていねいな表現) ふつうの表現 くだけた表現 |
ていねいな表現
ていねいな文末を使うと(「敬体」という)文をていねいな表現にすることができる。
- ていねいな文末を使わない(常体)
- 私が行く。
- ケーキを食べるか?
- それではだめだ。
- 空が青い。
- 星がきれいだ。
- ていねいな文末を使う(敬体)
- 私が行きます。
- ケーキを食べますか?
- それではだめです。
- 空が青いです。
- 星がきれいです。
敬語
敬語には、(1)丁寧語、(2)尊敬語、(3)謙譲語 がある。
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- 丁寧語
- 話し方をていねいにすることば。
- 「〜ございます。」という
- 名詞や形容詞に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」)
- 例:「お値段はいくら?」、「お暑いですね。」
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- 尊敬語
- 相手の動作や行為を高くして(上に上げて)いうことば。
- 「おっしゃる」や「いらっしゃる」などの特別な動詞を使う
- 例:「先生がおっしゃった。」(←先生が言った。)、「主任がこちらにいらっしゃる。」(←主任がこっちに来る。)
- 動詞に「れる」「られる」をつける
- 例:「主任がそう言われた。」(←主任がそう言った。)、「先生が来られた。」(←先生が来た。)
- 相手の動作や行為をあらわす動詞のかたちを「お(ご)[ 動詞 ]になる」「お(ご)[ 動詞 ]くださる」「お(ご)[ 動詞 ]だ(です)」に変える(→「お」と「ご」)
- 例:「主任はもうお帰りになりました。」(←主任はもう帰りました。)、「こちらをお読みくださいますか。」(←これを読んでくれますか。)、「誰をお待ちですか。」(←誰を待っていますか。)
- 相手が所有したり、相手に関係のある物や人に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」)
- 例:「立派なお家ですね。」、「ご両親は元気ですか?」
- 相手に関係する形容詞や形容動詞に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」)
- 例:「おさみしくありませんか?」、「みなさま、お元気ですか?」
※形容詞に「御」をつけると上品に感じられるが、女性的な表現になる。
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- 謙譲語
- 自分の動作や行為を低くして(下に下げて)いうことば。
- 「参る」「存じる」など特別な動詞を使う
- 例:「私が参ります。」(←私が行きます。)、「うれしく存じます。」(←うれしく思います。)
- 自分が所有したり、自分に関係のある物や人を表わす特別な名詞を使う
- 例:「拙宅では暖房にガスストーブを使っています。」(←自分の家では暖房にガスストーブを使っています。)、「愚息を紹介します。」(←自分の息子を紹介します。)
- 自分の動作や行為をあらわす動詞のかたちを「お(ご)[ 動詞 ]する」「お(ご)[ 動詞 ]いたす」と変える(→「お」と「ご」)
- 例:「あしたご連絡します。」「決まりましたら、お電話いたします。」
敬語の動詞の例
尊敬語 | もとの動詞(敬語でない形) | 謙譲語 |
なさる | する | いたす |
おっしゃる | 言う・話す | 申す・申しあげる |
召しあがる | 食べる | いただく |
いらっしゃる | 行く・来る | 参る |
いらっしゃる | いる | おる・おります |
くださる | くれる | ----- |
----- | もらう | いただく |
----- | 思う | 存じる |
----- | 尋ねる・訪問する | うかがう |
尊敬語と謙譲語の区別
自分や自分に関係する物事には謙譲語を、他人や他人に関係する物事には尊敬語を使うのが基本である。
- 私が食べます。→私がいただきます。[敬語]/×私が召しあがります。
(私が)ケーキを食べてもいいですか?→ケーキをいただいてもいいですか?[敬語]/×ケーキを召しあがってもいいですか。
- 先生が食べます。→先生が召しあがります。[敬語]/×先生がいただきます。
(先生は)ケーキを食べますか?→ケーキを召しあがりますか?[敬語]/×ケーキをいただきますか?。
- 先生の家に私がが行きます。→(先生の)お家に(私がが)参ります。[敬語]/×(先生の)お家に(私が)いらっしゃいます。
ていねいな文末と敬語
敬語はていねいな文末と組み合わせて使うことが多い。
敬語とていねいな文末との組み合わせ
\ | ていねいな文末を使わない | ていねいな文末を使う |
敬語を使う | 尊敬語 | 謙譲語 | 尊敬語 | 謙譲語 |
いらっしゃる おっしゃる | 参る 申す(申し上げる) | いらっしゃいます おっしゃいます | 参ります 申します(申し上げます) |
敬語を 使わない | 行く 言う | 行きます 言います |
一番ていねいな表現は〈敬語を使う+ていねいな文末をつかう〉である。2番目が〈敬語を使う+ていねいな文末を使わない〉、3番目が〈敬語を使わない+ていねいな文末を使う〉となる。〈敬語を使わない+ていねいな文末を使わない〉はていねいな表現でない。たとえば、順番をつけると
- 「奥様はいらっしゃいますか?」「ケーキを召しあがりますか?」=最もていねい
- 「奥様はいらっしゃる?」「ケーキを召しあがる?」
- 「奥様はいますか?」「ケーキを食べますか?」
- 「奥様はいる?」「ケーキを食べる?」=ていねいでない
のようになる。