ていねいな表現

さまざまな表現

日本語の話しことばと書きことばは、表現(ひょうげん)が大きく(ちが)います。また、話しことばにも、ていねいな表現・ふつうの表現・くだけた表現の違いがあります。ていねいな表現の中では、敬語(けいご)重要(じゅうよう)です。

表現の使(つか)()

話しことばの「ていねいな表現」・「ふつうの表現」・「くだけた表現」は、話す相手によって使(つか)()けられる。たとえば、目上(めうえ)の人と話すときは、ていねいな表現を使い、(した)しい友だちと話すときには、くだけた表現を使う。また、相手が(した)しくない人の場合は、ていねいな表現を使ったほうが良い。

表現の使い分け
話す相手親しい人親しくない人
上位者(じょういしゃ)ていねいな表現
ふつうの表現
ていねいな表現
同位者(どういしゃ)ふつうの表現
くだけた表現
ていねいな表現
ふつうの表現
下位者(かいしゃ)くだけた表現(ていねいな表現)
ふつうの表現
くだけた表現

ていねいな表現

ていねいな文末

ていねいな文末を使うと(「敬体(けいたい)」という)文をていねいな表現にすることができる。

敬語

敬語には、(1)丁寧語(ていねいご)、(2)尊敬語(そんけいご)、(3)謙譲語(けんじょうご)  がある。

  1. 丁寧語
    話し方をていねいにすることば。
    1. 「〜ございます。」という
      • 例:「山田でございます。」
    2. 名詞や形容詞(けいようし)に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」
      • 例:「値段(ねだん)はいくら?」、「(あつ)いですね。」
  2. 尊敬語
    相手の動作(どうさ)行為(こうい)(たか)くして((うえ)()げて)いうことば。
    1. 「おっしゃる」や「いらっしゃる」などの特別(とくべつ)動詞(どうし)を使う
      • 例:「先生がおっしゃった。」(←先生が言った。)、「主任がこちらにいらっしゃる。」(←主任がこっちに来る。)
    2. 動詞に「れる」「られる」をつける
      • 例:「主任がそう言われた。」(←主任がそう言った。)、「先生が来られた。」(←先生が来た。)
    3. 相手の動作や行為をあらわす動詞のかたちを「お(ご)[ 動詞 ]になる」「お(ご)[ 動詞 ]くださる」「お(ご)[ 動詞 ]だ(です)」に()える(→「お」と「ご」
      • 例:「主任はもうお帰りになりました。」(←主任はもう帰りました。)、「こちらをお読みくださいますか。」(←これを読んでくれますか。)、「誰をお待ちですか。」(←誰を待っていますか。)
    4. 相手が所有(しょゆう)したり、相手に関係(かんけい)のある物や人に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」
      • 例:「立派なお(うち)ですね。」、「両親は元気ですか?」
    5. 相手に関係する形容詞や形容動詞(けいようどうし)に「御(お・ご)」をつける(→「お」と「ご」
      • 例:「さみしくありませんか?」、「みなさま、元気ですか?」
        ※形容詞に「御」をつけると上品(じょうひん)(かん)じられるが、女性的(じょせいてき)な表現になる。
  3. 謙譲語
    自分の動作や行為を(ひく)くして((した)()げて)いうことば。
    1. (まい)る」「(ぞん)じる」など特別な動詞を使う
      • 例:「私が参ります。」(←私が行きます。)、「うれしく存じます。」(←うれしく思います。)
    2. 自分が所有(しょゆう)したり、自分に関係(かんけい)のある物や人を表わす特別な名詞を使う
      • 例:「拙宅(せったく)では暖房(だんぼう)にガスストーブを使っています。」(←自分の家では暖房にガスストーブを使っています。)、「愚息(ぐそく)を紹介します。」(←自分の息子を紹介します。)
    3. 自分の動作や行為をあらわす動詞のかたちを「お(ご)[ 動詞 ]する」「お(ご)[ 動詞 ]いたす」と変える(→「お」と「ご」
      • 例:「あしたご連絡します。」「()まりましたら、お電話いたします。」

敬語に使われる特別な動詞

敬語の動詞の例
尊敬語もとの動詞(敬語でない形)謙譲語
なさるするいたす
おっしゃる言う・話す申す・申しあげる
()しあがる食べるいただく
いらっしゃる行く・来る参る
いらっしゃるいるおる・おります
くださるくれる-----
-----もらういただく
-----思う存じる
-----(たず)ねる・訪問(ほうもん)するうかがう

尊敬語と謙譲語の区別(くべつ)

自分や自分に関係(かんけい)する物事(ものごと)には謙譲語を、他人や他人に関係する物事には尊敬語を使うのが基本(きほん)である。

ていねいな文末と敬語

敬語はていねいな文末と()()わせて使うことが多い。

敬語とていねいな文末との組み合わせ
ていねいな文末を使わないていねいな文末を使う
敬語を使う尊敬語謙譲語尊敬語謙譲語
いらっしゃる
おっしゃる
参る
申す(申し上げる)
いらっしゃいます
おっしゃいます
参ります
申します(申し上げます)
敬語を
使わない
行く
言う
行きます
言います

一番(いちばん)ていねいな表現は〈敬語を使う+ていねいな文末をつかう〉である。2番目(ばんめ)が〈敬語を使う+ていねいな文末を使わない〉、3番目が〈敬語を使わない+ていねいな文末を使う〉となる。〈敬語を使わない+ていねいな文末を使わない〉はていねいな表現でない。たとえば、順番(じゅんばん)をつけると

  1. 奥様(おくさま)はいらっしゃいますか?」「ケーキを()しあがりますか?」=(もっと)もていねい
  2. 「奥様はいらっしゃる?」「ケーキを召しあがる?」
  3. 「奥様はいますか?」「ケーキを食べますか?」
  4. 「奥様はいる?」「ケーキを食べる?」=ていねいでない
のようになる。
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