国の指導で「総合的な学習の時間」の導入により、子供達がボランティア活動を体験したり学習する時間が増えてきました。 そして、地域や学校で福祉や健康、環境、国際理解を学ぶために、それを応援する地域の人々の存在が必要になってきました。
そこで、取手市社会福祉協議会内の総合ボランティアセンター(以下ボラセン)では地域で子供達の質問に答えたり、ボランティア活動の支援をする体制を作っています。そんな中で、ボラセンは市内の小・中・高等学校で、「車椅子体験」「アイマスク体験」「高齢者疑似体験」の指導などを学校支援ボランティアの方々にお願いしています。
この講座は、そのボランティアさん達に経験者や専門家がそれらの技術や体験学習を指導するために、どのようにして子供達に理解させるかを聞いてもらいます。
さて、今回「車椅子体験」の部分を当事者または介助経験者の立場で宮脇が担当することになりました。まず、車椅子はどのような人が利用しているかを聞いてもらいました。 少ししか歩けないために一時的に利用する人。下半身だけが不自由になり、自分の手で車椅子をこげる人、手でこげないけど電動車いすを操縦できる人、全く身体機能が効かなくなって介助者の手を借りて車椅子移動する人などです。全ての車椅子利用者にとって、車椅子は体の一部でありとても大切なものだと理解してもらいました。 また、使い方によっては大変危険なもので、本人だけでなく他人を傷つけることもあること。 実際は未経験者に扱ってもらいたくないのが本音です。しかし、それでは子供達に障害者を理解してもらうことができません。この機会を通じて、子供達には、障害を持った人はできない部分をちょっとお手伝いをすれば健常者と同じような生活ができること、そのお手伝いをするには困っている障害者に気軽に声をかけて、何をして欲しいかを聞くことが必要です。ただ、子供たちは指導されるだけでは興味を持たないので、最初は遊び感覚で車椅子に触れてもらい、体験させて、自分達で不快感や恐怖感を味わい、また、介助する側に立ったときに、その経験を生かして工夫したり、また、自分達の手に負えない状況を理解することの大切さを学んでもらいました。 その上で、安全で基本的な取り扱い方法を教えるのが効果的だと理解してもらいました。
どうしてもタイトルが、「車椅子体験」ということで技術的なことに走りがちですが、介護技術を子供達に教えるのではなく、子供達が自然な姿で障害者に接して援助できるような気持ちになれるようにアプローチするのが学校ボランティアの役目だと私は思います。