『アロマテラピー』という言葉は、1928年にフランスの科学者ルネ・モーリス・ガトフォッセによって作られ世に送り出されました。
彼は1937年に「アロマテラピー」というタイトルの著書を出版し、その後の人生を精油の治療研究に捧げました。
この言葉自体は比較的近年に作られた新しいものですが、身体だけでなく心や感情に働きかける療法として植物を用いる慣習は、紀元前2000年ごろから存在しました。古代エジプト人は宗教的儀式で植物を使用し、魂を慰めたり人々の精神状態に変化を与えたり、また植物の薬効効果も見極めていました。中国でもエジプトと同時期から、漢方薬なども含め植物療法は早くから発展していました。
その後もヨーロッパ地方を中心に発展し、コレラなどの伝染病に対しても使用されてきました。
19世紀になって合成化学薬品が開発されても、これらの自然療法は消えることなく人々を癒し続けてきました。
20世紀以降、たくさんの研究者達が精油の持つ様々な効果(細胞再生回復能力や免疫力を高める力、抗鬱など)を発表し、その治療特性に対しても説得力をつけました。その後、精油を身体に塗布するというマッサージ方が考案され、美容も含め全身に作用するアロマテラピートリートメントとして、現在たくさんの人々に愛されています。
アロマテラピーは、精油を使い分けて心(Mind)と体(Body)と魂(Spirit)のバランスを健やかに保ち、健康を促す芳香療法です。
精油は世界中の様々な植物から水蒸気蒸留方や圧搾方などによって抽出され、植物の部位も精油によってそれぞれ異なります。
例えば、フトモモ科のユーカリやティートリーは葉から、バラ科のローズは花弁から、フトモモ科のクローブ油は乾燥させた蕾から抽出されますし、キク科のヤロウは全草が蒸留されます。その他にも根から抽出されるイネ科のベティバーや、根茎からはジンジャーなどが抽出され、もちろん柑橘類の精油は果皮から圧搾方によって抽出されます。
精油は、植物の持つ化学成分の独特な組み合わせから構成されています。そのため、効用のシナジー(相乗効果)と香りが生まれるのです。
ラベンダーの精油は、火傷にもとても効果的で抗炎症作用、鎮静作用に優れます。天然の精油には副作用もほとんどないため、正しい使い方をすれば子供をはじめ誰でも安心して使うことが出来ます。
私は心理的に疲れたり心の緊張を緩めたいときは、ラベンダーやネロリ、カモミールローマンやメリッさをよく使います。また何かを考えすぎたり悩み事があるときは、フランキンセンス、ミルラ、ベティバーなどの香りを嗅ぐだけでも心の落ち着きを取り戻すことが出来ます。
精油は嗅神経を介して、脳の中でもとりわけ意識の最も原始的な領域である大脳辺縁系に影響を及ぼします。精神の奥深くに分け入って、心をリラックスさせ、魂を高揚させる力があります。
私たちは今、ハイテク社会の中で忙しくストレスの多い毎日を強いられています。私たちに必要なのは“自然への回帰”ではないでしょうか。
アロマテラピーにはこの“自然への回帰”や“ホリスティックアプローチ”が含まれます。生活の中に精油をうまく取り入れて、様々なストレスを緩和し自分らしい生き生きとした生活をしましょう。 |