帰沖(きおき)

明日飛行機に乗って
朝一番の飛行機に乗って
沖縄に帰るよ
最初は断ったけど
空港まで迎えに来るというおとー
ちょっと恥ずかしくもあるけど
うれしいよ
五年ぶりの沖縄
あの真蒼な海を見たら
ジーンとしてしまうだろうな

土産なんてと思ったけど
昨日お菓子を買った
ねーねから家の事は聞いているけど
おばーの病気は大丈夫かな?
ねーねの結婚式に出れなかったのは
悪かったと思っているけど
朝から晩まで働かなきゃ
東京じゃ食ってゆけなかったんだ

おとーがあの事を許したわけじゃないし
俺も考えを変えたわけじゃないし
あれは間違っていないと
今でも思っている
免許の更新とかモロモロで帰るだけさ
胡屋十字路やセンター通りは   <ゴヤ>
変わっていないかな
いや変わっているだろう
変わるのが当たり前さ

沖縄を出た時は船だった
三日もかかったしシケていて
さんざんだった
友達の所を点々としたけど
いい仕事なんてなかなかないよ
まして写真の仕事なんてないよ
先生の所でフイルム巻きを三年
暇を見つけて撮った写真が
少し騒がれただけだよ
でも今度飛行機で帰れるのは
うれしいよ

長距離レースでは
自分のペースのキープと
ダッシュの思い切りの良さが
勝負だってことは
長距離選手だった自分は知っている
市営グランドのトラックを
何周も廻って
練習していた日々
北谷に沈む夕日のキレイさを   <チャタン>
今思い出したよ

明日飛行機に乗って
朝一番の飛行機に乗って
沖縄に帰るよ

■書始−91/04/24 ◇「昔は苦労したよ。」と内地で頑張り成功した沖縄人の方が語って
くれました。今は、「沖縄出身」と言うと羨ましがられるそうです。

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