台風(家帰い)

日傘を差して歩くおばさんも
(アチサヌヤー)

ヤギにエサをやる少女も
(アチサヌヤー)

海にジャンプして飛び込む少年も
(アチサヌヤー)

縁側で三線を弾くおじさんも   <サンシン>
(アチサヌヤー)

―気象台の話では
『台風接近中』との事です
雲の流れが速くなりました
いつもより暗い夕暮れです

おばさんは日傘をたたんで
タクシーに乗りました
(家帰い)   <ヤーカイ>

少女は残ったエサを
柵の中に突っ込みました
(家帰い)

少年はもっと高い所から
海にジャンプしています
(家帰い)

おじさんは三線をやめて
雨戸を締め始めました
(家帰い)

台風を喜ぶ人はいないけど   <たいふう>
来てくれないのも困る
迷走台風はもっと困る
ウージが倒れないくらいの
ケガ人の出ないくらいの
台風小を   <たいふうぐぁ>
年に五回かな?

■書始−91/12/23 ◇台風はイヤだけど、全然来ないのも困る。台風の日には家の中で
ポーポーを焼いてもらって食べるのが楽しみだったとオバーが言ってました。

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