♯ヒコさん心の一曲−ジェラシー(井上陽水)


・『ジェラシー』を初めて聞いたのは与那原(よなばる)十字路
 の小さな本屋さんでした。有線から流れる陽水の声に、本を見
 る手を止めて、聞き惚れてしまった事を覚えています。
 あれはいったい何年前の事だったか思い出せませんが、「音楽
 に聞き惚れる」という事が、年齢とともに少なくなってきていた
 頃でしたから『ジェラシー』という曲に久々に私の心のアンテナ
 が反応した一瞬だと思っております。

・特に海のシーン−「飛び散った化粧 波が海の底へ引き込む〜」
 を聞くと私は「静かな夜の海にかかる真珠色の霧」の幻影が浮
 かびます。
 −『ジェラシー』愛の言葉は愛の裏側
 −君に寄せる愛は『ジェラシー』
 パラドックスの様な歌です。
 「嫉妬心」、「恨み」、「愛するが故に憎さ百倍」、「愛憎」‥
 以下は私の勝手な想像ですが、
 −相手の言葉や態度の端々に「私を本当に愛しているの?」と
 フッと疑問が湧く時に「私はこんなに愛しているに!」と‥
 「小さな恨み」も同時に生れます。人はそれを「恨み」と認識
 したくないから『ジェラシー』と名付けて自分を納得させよう
 としているのではないか−と思っております。 

・『ジェラシー』と「ジェラス・ガイ」
 ジョン・レノンの歌に「ジェラス・ガイ」という名曲があります。
 私は、「僕は嫉妬深い男」と素直に歌うジョンを逆に男らしいと
 思います。この曲が作られた時期は、ジョンのちょっとした浮気
 が元でヨーコとの別居生活がしばらく続いた頃と思いましたが、
 ビートルスの最新アルバム「レット・イット・ビー ネイキッド」
 のボーナスシングルに「チャイルド オブ ネイチャー」という
 題名で元歌が歌われおりました。
 
・「なぜか上海」と「上海帰りのリル」
 「なぜか上海」−これも聞いた途端、陽水インパクトを受けた曲
 です。イントロの高中正義のギターのカッコよさもプラスされて
 今までにないタイプのとても個性際立った曲だと思いました。
 陽水自身が作曲の経緯という事で子供の頃ラジオで聞いた戦後の
 引揚者の身元探しの番組の話をしておりました。「上海からの
 引き上げのXXさんをご存知の方は連絡をお願いします。」
 このラジオから「なぜか上海」を生み出す才能は、陽水ならでは
 だと思います。
 津村 謙さんが歌った「上海帰りのリル」−リルさんが引揚者か
 どうかはわかりませんが、この曲のアンサーソング(?)が
 「なぜか上海」だと思った時期がありました。

 (309-2005/02/27記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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