♯ヒコさん心の一曲−Yes-No(オフコース)
・男の猛烈アタックでやっとデートまでこぎつけた喫茶店。
男は準備してきた女の気を引くための話をします。
女は少し笑うだけです。
男は次に準備してきた話をします。
女は笑いはしますが、話には乗ってきません。
男がさりげなく聞きます−「好きな人はいるの?『Yes-No』」
女は聞こえないふりします。
男は少々あせりぎみです。
男の心が大胆に聞きます−「君を抱いていいの?『Yes-No』」
女の瞳は窓の外、街の雑踏を見ています。
・「♪君を抱いていいの?」とオフコースの『Yes-No』を、小学
五年生が、体育館の舞台の上で歌います。
彼は、「♪君を抱いていいの?」の意味をどの様に理解して
歌っているのかわかりませんが、少し棒読み調ながら大きな
声で歌います。そして、全校生徒も先生達も顔色一つ変えず、
聞いています。最後まで歌いきると体育館いっぱいの拍手です。
・歌謡曲の歌詞がどんどん過激になっていく中「抱く」という
表現は、過激度が低い表現になった気がします。
「抱く」は、聞く人のとらえ方で「抱っこ」程度から、SEX
その物をさすまでの広い解釈ができます。これは「抱く」と
いう歌詞が、聞く人のイメージに依存するともに、色気を出し
たり、意味深にしたりと多彩な味付け可能なオールマイティー
な言葉である事を意味しているのかと思います。
・オフコースの『Yes-No』は、オンコード進行の傑作です。
Cmai7 ⇒ D on C ⇒ Bm7 ⇒ Em。このD on Cというオンコードは、
コードDのベース音をCにするという意味です。具体的には、コード
D(レ、ラ、ファ#)のベースをコードDのセブンス(7th)の音で
あるC(ド)で演奏する事です。これにより曲に独特の緊張感が生
まれます。このCmai7 ⇒ D on C ⇒ Bm7 ⇒ Emの進行は、イントロ、
歌のサビ、歌の中間部にと大活躍して『Yes-No』の大ヒットへ大きく
貢献していると私は、思います。また、オフコースの小田和正は、
余程このコード進行が気に入ったのだとも思います。
・男と女が抱き合う。そこにたどりつくまでに男と女の物語があり、
その後も物語が続く事を予感させます。お互いの体の暖かさを
全身で感じあい、男と女の心はさらに一体化していきます。
その前段の喫茶店での男と女の物語。オフコースの『Yes-No』は、
軽快なメロディーの中に、この物語を歌い込むとともに、男の本能
ともいえる欲望をさらりと歌い込んでいる名曲だと私は思います。
(311-2006/02/25記)
*著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。