♯ヒコさん心の一曲−キャシーの歌(S&G)


・誰でも「生涯忘れられない人」がいるかと思います。
 何度も片思いや両思いを経験したけれど、人生を振り
 返った時、一番先に心に浮かぶ人。
 えてしてそういう人とは、強く魅かれ合いながらも、
 最後はすれ違ってしまう。人生のめぐり合いとは、
 本当に不思議なものです。
 ポール・サイモンにとって、キャシーはそういう人
 だったようです。

・ポールは、度々イギリスやヨーロッパのフォーク・
 クラブで歌うロード生活を体験しています。
 デビューアルバム「水曜の朝、午前3時」が、大した
 話題にもならず終わった後、ポールは再びイギリスへ
 渡り、ロード生活を送っていました。
 そんなイギリスのロード生活のなかで、出会った女性
 がキャシーでした。
 キャシーとは、彼のソロアルバム「ポール・サイモン
 ・ソング・ブック」の裏表紙に写っている女性です。
 私はその横顔に、母性的なあたたかさを感じます。

♪かすかな音をさせて こぬか雨が降る
 雨音は 私の想い出
 やわらかく そして あたたかく
 屋根に 壁に 響く

 心は 隠れ家から出て
 僕の瞳を 通りぬけ
 雨の道を 飛び越えて
 かってのすみか イギリスへ向かう 

・キャシーは、S&Gの二作目のアルバム「サウンド・オブ
 ・サイレンス」の『キャシーの歌』、三作目のアルバム
 「パセリ・セ−ジ・ローズマリー・アンド・タイム」の
 『早く家に帰りたい』に登場します。
 『早く家に帰りたい』では、ロード生活からロンドンで
 待つ恋人キャシーのもとへ早く帰りたいと歌っています。

・そして、四作目のアルバム「ブックエンド」の「アメリカ」
 では、青年(ポール)とともに「アメリカ探しの旅」に出る
 のがキャシーでした。バスの中、キャシーが眠っていると
 知りつつも、彼は、
 「♪キャシー、僕は自信を失ってしまったよ。」
 「♪僕は、この苦しさと虚しさに、もう耐えられないんだ。」
 と、本音をもらすのでした。
 歌の中のキャシーは、ポールの想い出の人という実在を超えて
 すべてを暖かく包むこんでくれる、女神のような超越的存在に
 成長しているように思います。
 それは、程度の差はあっても、「生涯忘れられない人に共通に
 見られること」かと、私は思います。

 (603-2007/7/14記)

 *著作権の関係で音や歌詞等は載せる事はできません。
  機会があれば原曲を聞く事をお勧めします。

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